銀色の二重奏   作:乱れ咲

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英中独

シャルル君が女だとわかった翌朝。私は0500に同時に目覚めた。ラウラを起こして歯を磨き、ジャージに着替え、軽く糧食を口にしてから外に出る。気持ちのいい朝だ。

体をほぐして走り出す。軽いウォーミングアップであるが、それでもかなりのスピードは出ていた。

学園正門に行くと、織斑先生がいた。

「ほう、今日は2人か」

「はい。今日からはラウラが加わります」

「よろしくお願いします」

「ああ、よろしく頼む」

程なくして、いつものコースを走り出す。ラウラは初めてのIS学園での早朝ランニング。やはり、織斑先生の速さに驚いている。ドイツに織斑先生がいた時は走っているところを見なかったからな。一般人の全力に近いスピードで息を乱さず走るのだ。驚くなと言う方が無理がある。織斑先生は人間の先を行く何かなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

ランニングを終え、各種トレーニングをした後、自室に戻る。時刻は0630。いつも通り。シャワーを浴びて、IS学園の制服に着替える。いつもの癖か、ラウラは軍服に着替えそうになっていた。思わず笑ってしまい、ラウラは少し膨れている。

久しぶりにラウラに髪を結ってもらい、私はラウラの髪を梳く。絹のようにキラキラと光る銀髪はいつ見ても綺麗だ。制服に仕込んだ各武装のチェックをして、食堂へと向かう。

 

 

食堂には既にそこそこの人が集まっていた。だが、まだ弟君達の姿は見えない。いつも通りにサラダモーニングを頼んで丸テーブルにつき、迅速に食事を済ませてコーヒーを飲む。朝はこうでないと。

「すまん、ここいいか?」

そう言って、弟君とシャルロットさんが来た。断る理由もないため、私とラウラがくっついて席をあける。

弟君達の食事が中盤に差し掛かった時、弟君が思い出したように言ってきた。

「あ、そうだ。今度の土曜日、みんなで訓練することになってるんだ。よかったら2人とも来ないか?」

「フェルトが行くなら行こう」

「まあ、その日に予定はありません。参加させてもらいますね」

「よっし!」

ガッツポーズをする弟君。そんなに嬉しいことなのか?まあいい。

「早く食べないと遅れますよ」

私とラウラは立ち上がり、教室へ移動する。今日は一日中座学だったはずだ。

 

 

 

 

 

 

さて、時は飛んで放課後である。私とラウラは私のガレージにて置いてあるソファに2人で腰掛け、紅茶を飲んでいる。今度は緑茶なるものに挑戦してみようか。

「ドイツ連邦陸軍からの物資は液体火薬にその他火薬類一式、各種機材、真鍮、軟鋼、鉄鋼、弾頭の材料一式にスモークの材料一式だ。なあ、フェルト。お前は何を目指しているんだ?」

「さあね。生産ラインは構築されているから意外と労力はかからないよ。そうだ、ラウラの88mmリボルバーカノンの砲弾を数個くれないか?」

「構わないが、まさか私のまで作るつもりか!?」

「自分のは大量にあるからな」

「呆れたやつだ」

私が今まで作ったのは、リボルバーカノンは対IS用特殊徹甲弾、近接信管キャニスター弾、フレシェット弾、炸裂弾、焼夷弾、衝撃弾。ショットガンは炸裂弾とスラグ弾。全ての火器の通常弾。あとは普通のグレネードにスモークグレネードとフラッシュグレネード。これらは全て有り余っている。自分でも自分がどこに向かっているのかわからなくなってきた。こんなに作って役立つのか?88mmリボルバーカノンの砲弾は設計図を書いて自分で試作し、問題なければ自作した生産ラインに乗せればいいので、あまり労力はかからない。隙間時間にでもやろう。

「そうだ、ハンブルクからも1つ、試作品を試して欲しいと武器が送られてきている。量子変換は済ませてあるから、拡張領域に入れておいたぞ」

「ああ、ありがとう。試作品がどんなものか教えてくれないか?」

言うと、ラウラは苦笑し、

「かなりのゲテモノだぞ」

ゲテモノ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土曜日。IS学園では土曜日は午前が理論学習、午後が完全な自由時間となっている。まあ、土曜日はアリーナが全開放されているので、多くの生徒が実習に使うのだが。

場所は第二アリーナ。今は弟君とシャルロットさんの模擬戦が行われている。しかし、弟君の行動がことごとく予測、回避されているな。まあ、弟君は射撃武器を使ったこともなさそうだし、近接戦闘もブレードのみだから、弾道やら間合いやらを知らないのだろうけれど。

「なあ、フェルト。あいつは本当に織斑先生の弟なのか?」

「仕方がないとは思う。彼はISに乗ってまだ間もないんだ。搭乗時間の割にはよくやっている方じゃないか?」

「まぁ、そうだが。しかし、織斑一夏だけならまあわかるが、デュノアはともかく、イギリスと中国も実力不足なように見えるが」

あー、言っちゃった。

「な!?わたくしが弱いと!?」

「そうだな」

「上等よ、やってやろうじゃない!」

この人達はどうも喧嘩っ早いのだ。ただ、今のは全面的にラウラが悪いか。

「そういえば、私フェルテンと戦ったことなかったわね。ちょっと相手してよ」

飛び火してきたんだが。まあいい、私も鈴さんの実力は気になっていたところだ。

「わかりました。では、私と鈴さん、そしてラウラとセシリアさんで戦いましょうか。どちらを先にしますか?」

「私とフェルテンが先でいいわよね?」

「構わん」「構いませんわ」

ちょうどいい。試作品の試験も兼ねてしまおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弟君とシャルロットさんの模擬戦が終了し、アリーナの外ではシャルロット先生による講義が行われている。私と鈴さんはアリーナの中央で対峙し、試合開始を待つ。

 

 

試合開始の合図が鳴る。双天牙月を振り上げ突撃してくる鈴さんに合わせ、私は両手に高周波ナイフを呼び出し受け止める。

ビィィィィィィィィイイ!!!

アリーナに響く不快音。鈴さんは慌てて双天牙月を戻し、衝撃砲を撃ちながら距離をとった。衝撃砲を避けて見ると、刃に大きく切れ込みが入っている。

「な、何よ今の!?」

「これは高周波ナイフなので、振動で物を斬ります。対象が硬かったため一瞬で斬ることができずに振動が刃に伝わってあの音が出て、中途半端に斬ってしまったんですよ」

とりあえず簡単に説明しておく。にしても、高周波ナイフで斬りきれないとは相当硬いな。ISの武装なら当たり前か。強力な対物仕様でなければ装甲も斬れるのだが。

ナイフを戻し、ショットガンを呼び出す。それと同時に瞬時加速を使わない程度の速度で距離を詰める。鈴さんは衝撃砲を撃って迎撃しようとしてくるが、いつ、どこに向かって発射されるかは、衝撃砲の砲口付近の空間の歪みを見ればだいたいわかる。それに、

「近距離でウェイトのある空間圧兵器を使うのは悪手ですよ」

近づいている間に溜め込んだエネルギーを使って瞬時加速し、ショットガンを至近距離で撃つ。装填しているのは炸裂弾。8個の小型爆弾の直撃によって鈴さんは吹っ飛ばされる。行き場をなくしたエネルギーにより、衝撃砲も爆散した。その隙にショットガンを収納して左手にマシンピストル、右手に例の試作品を展開する。

試作品は80口径6連リボルバー。弾倉振出式であり、ISによるサポートがなければ撃てるわけがない。なんてものを送ってきたんだ、本国は。この銃の特殊弾も今度作らなくては。

体制を瞬時に立て直した鈴さんが私に向かって突撃してきた。衝撃砲を撃って牽制しながら、確実に距離を詰めてくる。私は衝撃砲を避けながら、鈴さんを待つ。今のうちに撃鉄も起こしておこう。

「もらったわ!!」

双天牙月を振り上げ、斬りかかってくる。これを待ってた。迫り来る双天牙月の刃に瞬時に狙いを定め、マシンピストルを反動を殺しきらずに連射し、それにリボルバーを合わせる。

ギギギギギギドギャン!!!

といった音が響き、双天牙月が弾かれ、鈴さんの胴がガラ空きになる。そこにダブルアクションでリボルバーを撃ち、高速切替で呼び出したショットガンで炸裂弾を喰らわせる。それからは一方的だ。ライフルに持ち替え、距離を置いて撃ち続ける。決して近寄らせない。シリンダー内の弾を撃ち尽くす前に甲龍のエネルギーが尽きた。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、さっきのやつ何?」

鈴さんが聞いてくる。さっきのやつとは?

「ほら、私の双天牙月を吹っ飛ばしたあれよ」

「あ、それ俺も気になる」

弟君も来た。

「刃に沿って弾丸を当て続けただけですよ。マシンピストルの弾が当たった衝撃で刃の動きが鈍り、そこにより威力の高い弾丸を当てて刃を弾き飛ばしたんです」

「・・・あんた何者よ、そんな芸当できるなんて」

「何者と言われましても、ただの軍人としか」

「いや、お前をただの軍人とは言えないぞ、フェルト。さっきの試合も全力には程遠かっただろうに」

ラウラも来た。って気付けば全員集まっている。

「あれで全力じゃないって、あんた本当なんなのよ」

肩を落として言う鈴さん。なにと言われても。

「今はどうでもいいことですよ。さあ、次の試合です。いい試合を期待していますよ?」

そう言ってはぐらかす。次はラウラ対セシリアさん。私の予想では、確実にラウラが勝つ。

 

 

 

 

 

 

 

試合開始。セシリアさんはレーザービット4機を放ち、ライフルと同時に撃つ。ラウラはひらりひらりとかわし、動きが鈍いセシリアさんに目も向けずにリボルバーカノンを撃つ。視線が向いていなかったため油断していたセシリアさんに砲弾が直撃し、吹っ飛ぶ。

「動かないのなら、狙いは見なくてもつけられる」

ラウラの言う通り。やはり動けないのは駄目だな。正直良い的。撃ってくださいと言っているようなものだ。

体勢を立て直して距離をとろうとするセシリアさんの足を瞬時加速で近づいてワイヤーブレードで捕まえ、地面に叩きつけ、リボルバーカノンで撃つ。セシリアさんは拘束から逃れようとするが、追加で飛来したワイヤーに四肢をつかまれ身動きが取れない。ビットは全て残っているが、操ろうとする前にリボルバーカノンに撃たれて意識が途切れてしまい、何もできない。ブルーティアーズのエネルギーが尽きて、試合終了。

 

 

 

 

 

 

 

 

見るからに落ち込んでいるセシリアさん。見ていて申し訳なくなる程の惨敗だった。弟君達が慰めている。あ、立ち直った。ちょろい。

「なあ、フェルテン。どうしてセシリアはこんなにもボコボコにされたんだ?セシリアだって弱くはないだろ?」

弟君が聞いてくる。これは弟君自身で気づくべきだとは思うが、まあいいか。

「セシリアさんの敗因は大きく2つです。ビット操作時に動けないことと、相性が最悪だったことですね。後者はまあいいとして、前者は解決できます」

「でも、最近は動けていたじゃないか」

「それでも、ビットを放った後は少し硬直しています。そこを突かれればおしまいですよ」

合点がいったように頷く弟君。今度からは自分で気付け。

「ところでさ、シュヴァルツェア・レーゲンとシュヴァルツェア・ヴォルケの第三世代兵器ってなんなの?そのライフル?」

シャルロットさんが聞いてくる。まだ情報が出回っていなかったか。確かにこのライフルは一際目立つが違う。

「知りたければ実力で引き出してみせることだな」

ラウラの言葉に手も足も出なかった2人は項垂れる。まだやることがある。エネルギーを補給して、装甲や兵器を直してこようか。

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