銀色の二重奏   作:乱れ咲

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メインヒロイン(になるのかな?)が多分出てきます。


出会い

 

さて、12歳になるまでにあった主要の2つの出来事の後は、目下の懸念事項である、研究員の男が言っていた、他の研究施設についてだ。あの時間から数ヶ月経った今、ハーデン=ヴュルテンベルク駐屯地の調査により、場所が判明した。ダルムシュタットの住宅地から遠く離れたところに、地下研究所があるらしい。ここ以外に該当する場所が無いことから、国内に分散されていた研究員や実験体が、度重なる失敗や私達の妨害のため、1箇所に集められたと考えられ、ここを摘発し、実行犯を拘束することで、以降の犠牲者をなくすことができるだろう。

この作戦実行にあたって、私は小隊(特にブルーノ少将)から作戦参加に反対された。小隊の仲間からしてみれば、私はまだ子供。それも、被害者側の人間である。加えて、前作戦において、犠牲者、黒幕とも接触している。作戦遂行より、私の精神的な部分に不安を感じているのだろう。しかし、私は参加する。あの一件から私は、事の顛末を最後まで見届けると決めたのだ。だからこそ、参加しないなんてことはできないし、許せない。もしかしたら、これが所謂、反抗期なんていうものなのかもしれない。

 

 

作戦の日程が決まった。

2日後、午後8時より、移動を開始。

それまでに自身の装備の点検等準備を済ませて集合。

 

 

 

 

 

作戦前日ピアノの前に座っていた。どうやら私は、思い詰めると楽器に触わる癖があるらしい。鍵盤に指を置く。鍵を叩く。音を組み合わせ、感情を乗せ、命を吹き込む。教わった弾き方。見て真似た弾き方。無意識に弾く。多分ベートーヴェンの悲愴第二楽章。叩く。叩く。叩く。

思いを発散させる。

明日で全て終わる。

でも、また助けられないかもしれない。

死体の山を思い出す。運び出され、どれが誰だかわからないままに供養されたあの少年少女。生きたかっただろう。私が羨ましいだろう。次こそは、必ず。

 

「何悲しい音出してやがる」

 

第二楽章を終え、第三楽章を弾こうとしていたときに、入り口から声が響いた。

バッと振り向く。そこには、ブルーノ少将がいた。

「やっぱり、そう感じましたか」

「そりゃもう、声殺して、涙こらえて泣いてるような音だったよ」

「俺は音楽なんてからっきしだけどな、それくらいはわかるし、何より、お前は俺の息子だわからないわけがない」

かなわないな。と私は思う。

「お前が何でそんな思い詰めてるかなんて、そんなわかりきったこと聞かないがな、それでも、親として息子と向き合っていく必要がある。今は、その時だ。話してみろ」

 

思いの丈をぶつけた。私が、何に、どれだけ悩んでいて、恐怖しているか。ブルーノ少将は、黙って私の言うことを聞いてくれた。全て話し終え、ブルーノ少将はゆっくりと口を開き、

「俺は、やっぱりお前が作戦に参加するのには反対だ。でもな、これは、最後はお前が決めなきゃならない問題だろうさ。実験の被害者で、死ぬ寸前だったんだから。だから、もう俺らは止めやしない。行って来いって、背中押してやる。ただな、絶対に帰って来い。お前の帰る場所は、俺ら家族の所だ」

ちょっとうるっときた。口下手な少将が、ここまで自分のことを思って、伝えてくれている。嬉しかった。

「明日は作戦だ。実行は夜だとはいえ、さっさと寝とけ。お前は、まだまだ子供なんだから」

む、子供とは失礼な。

でも、ありがたい。暖かい。久しぶりに、2人で話した気がする。ちょっとだけ、感謝も込めて仕返しをしよう。立ち上がり、ブルーノ少将を置いて、入り口に向かって歩く。振り返って、

「ありがとう、元気でた。おやすみ、父さん」

と、今まで言ってたお願いされてた呼び方をする。すぐに入り口から出て、屋根に登る。

ブルーノ少将が慌てて出てきた。

「おい!フェルト、いっ今、父さんって。頼む!もう一回!もう一回言ってくれ!」

面白い。面白い。声を殺して笑う。降りるとバレそうなので、屋根の上を走って部屋に戻る。

今日は久々によく眠れそうだ。

 

 

 

 

 

作戦開始時刻。駐屯地からのバックアップ、通信兵などを残し、20人で出発する。UMPを担ぎ、VP9、ナイフ2丁を確認し、フクス装甲兵員輸送車に乗り込む。肩まで伸びた髪を1つにまとめ、ヘルメットをかぶる。決意を固め、向かう。

 

 

 

研究施設に到着した。入り口は1つ。警備員は2人。ブルーノ少将の指示のもと、私とマルコで無力化させる。

ここで、部隊を2つに分ける。1つが私達の小隊。もう1つが残り。中に入るのは私達。後は周辺警戒と二次突入班。

気配を消し、侵入する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マズイ、マズイ、マズイ。

私達の存在がバレた。

まるで、ここに今来ることが分かっていたようなタイミングで警備員が出てきた。数は10。ヨアヒムが気付かなければ、下手すれば全滅もありえたかもしれない。

バレた。のなら、仕方がない。強行突破。

次々出て来る敵を、なぎ倒していく。ヨアヒムのHK416が火を吐く度に、敵が倒れていく。流石と思ったが、すぐに切り替える。ここは戦場。油断は命取り。

実験区画に入った。弾は心許ない。研究員は拘束する必要ない。任務遂行第一。殺しも厭わない。

撃つ。刺す。切り裂く。撃つ。撃つ。撃つ。

 

 

 

 

 

 

 

どれくらい倒しただろうか。どれくらい殺しただろうか。殺らなきゃ殺られるとはいえ、殺す感覚には慣れない。区画の最奥部区画に着いた。ルッツがキーを開け、ヨアヒム、ベネディクトが先行しその後に続く。そこには、ISがあった。

IS。元を辿れば、これが元凶なのか?いや、少なくとも、私はISがなくても作られてた。変に憎むのもお門違い。取り敢えず、ヨアヒムとベネディクトをこの部屋に残し、4人で進む。残り2部屋。ここで、違和感。なんとなく、音の響きが違う。まるで、後1つ部屋があるみたいだった。

少将に意見具申。単独にて、隠し部屋の捜索。これに了承。

壁を弱めに叩く。

コッコッ、コッコッ、コッコッ、コッコン

発見。しかし、扉がない。360度、あるのは壁、床、壁、天井、ダクト。ビンゴ。

壁を蹴り、ダクトの金網にぶら下がる。ナイフでこじ開け、侵入。まだ子供で良かった。大人なら、入れない。ちょっと進む。気流が乱れている。。人の気配あり。1人。多分女性。居た。

ガシャガシャと音を出す。ライトで照らす。目があった。

 

 

 

 

 

 

音が聞こえる。銃声が外から響いている。懲罰房の扉越しに聞こえるとは、なかなか近いところで発砲しているようだ。空砲ではない。実弾だ。仲間は皆無事だろうか。皆死んでしまったのだろうか。嫌だ、嫌だ、嫌だ。

ガシャ!ガシャ!と上から聞こえた。見上げる。ライトだろうか?明るくなった。目があった。

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