「迷子の迷子の神主さん。あなたの神社(おうち)はどこですか」   作:Veruhu

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3. 「脇巫女」

 今まで激しく感じていた悪寒が収まり、精神の安定を感じる。生命の危機から、救ってもらえたのだ。しかしあの人は()()()()()()()()し、俺を追いかけてきていた者は()()と呼ばれていた。

 

 

――――――――やはり此処は、普通の場所では無いようだ。

 

 

 俺がそう考えていると、私を助けてくれた人は俺の目の前に降り立った。俺はその命の恩人である人に対して、最大限の感謝を述べようと顔を上げた。

 

()()()

 

 巫女服? 巫女さん? でもなんだこの格好……。バイト巫女か? コスプレか?

 ん? ん!? んんんんんんんんんんんんんんんんんんん!?!?!?!?

 

 

「な、なによ……」

 

 

 俺はそのあまりの恰好に驚いて、目を回しながらその巫女さん(おんじん)を見ていたのだが、巫女さんはそれが気持ち悪いと思ったのか、顔を引きつらせながら後ずさる。

 

 でも、でもっ! だって、だってっ!!

 

 

 脇がッ! 脇が見えてるうううううううううううううう! エロイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!

 やべぇ……鼻血出そう。

 

 

「ご」

 

「ご?」

 

「ごちそうさまです」

 

「…………」

 

 

――――スタ、スタ、スタ、スパコーンッ!

 

 

「ほげぇっ!」

 

 

 その巫女さんは、こちらに歩いてくると棒のようなもので俺の顔を横なぎに殴った。視界に星が散り、地面に倒れ伏す。

 

 

「キモイ」

 

 

 巫女さんは倒れこんだ俺を、俗物を見るかのような冷たい目で睨み、自分の体を守るかのように後ずさる。

 止めて! そんな目で見ないで! ご褒美……もとい、俺のライフはもうゼロよ!

 

 

「はぁ……。助けたのは間違いだったようね……」

 

 

 巫女さんは、ため息を吐きつつ右手で頭を抱えた。

 

 

「あぁ、いやっ! あの! さ、先ほどは助けて頂き、誠にありがとうございました……。貴女が居なければ、今頃私もどうなっていたことか」

 

 

 俺は、命の恩人に対して、あまりに失礼な真似をしてしまったことに気が付き、地面ではあったが合手礼にて礼を申した。

 

 

「たまたまよ、たまたま。いつもだったら放っておいたかもしれないわ。だって真夜中に森に入ってるんだから、()()()()じゃない」

 

「はぁ……」

 

 

 巫女さんは呆れたように肩をすくめた。

 

 

「……それで、()()()()()()。そんな貴族の恰好をして。どこの人間?」

 

「わ、私は……」

 

 

 俺は自己紹介をしようと頭を捻った。しかし

 

 

 

――――頭に()()()が走る。

 

 

 

 名前を思い出そうとすると、()()()()()()()ノイズが走るのだ。

 

 では、俺は何処の人間だ。()()()()()に奉職していた?

 

 だめだ、()()()()()()()()ノイズが走って、思い出せない。

 

 

 

「私は……私は…………お、俺は……俺は……いったい……」

 

 

――――――――()()()()

 

 

「ふーん、やっぱり外の人間なのかもね。外の世界はだいぶ進んでるって聞いてたけど、そんな古い恰好して、大したこと無いのかしら」

 

「あ、あの……。すみません……」

 

 

 俺は、自分が誰なのかを言うことができず、謝ることしかできなかった。

 

 

「はぁ……、いいのよ。たまにあるのよね、外の人間がこっちに紛れ込むことが。大抵は()()()()なんだろうけど」

 

「ゆ、ゆかり?」

 

 

 巫女さんは、目をつぶり両手を腰に当てた。

 

 

「知らなくて当然……か。私を気持ち悪い目で見たのも、仕方がないのかもしれないわね」

 

 

 巫女さんは、面倒そうに目を開けて俺を見ると、つまらなさそうに話す。

 

 

「――――私は、()()()()()()()()()()()()よ。いまはそれだけ。よろしく、記憶喪失さん」

 

 

 

 

 

 

 

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