今回は、前回の後書きで書いた通り未来サイドから話がスタートするぞい。
393サイドの話を“歪鏡・シェンショウジン”を聞きながら書いてたら、何かに急かされるように筆が進みました。寒気とか色々感じました。
ビッキーサイドの話は、“青い果実”を聞きながら書き上げました。本当に今作ビッキーによく合う曲なので、良ければ1度聞いてみて下さい。気に入ってくださったら、その歌を聞きながら今話の後半部分を読んでみて下さい。
余談はここまでにして、そろそろ本編に移りましょうか。
それでは、どうぞ!
小日向未来という少女にとって、立花響という少年は太陽と言っても過言では無かった。
どれだけ未来が暗い気持ちに陥ろうと、傍に響がいるだけで顔を上げることが出来たし、響が笑い掛けるだけで暗い闇は暖かな光に包まれて何時の間にか消えてしまっていた。
大好きな幼馴染みと優しい両親や大勢の良い人達に囲まれて、小さな悩み事はあっても十分に幸せと言える順風満帆な日々は、唐突に終わりを迎えた。
2年前の“ツヴァイウィング”のライブがあった日、未来は家の事情で行くことが出来なかったが、そのライブ会場がノイズの襲撃に遭った。
その時、本来は一緒にライブに行く筈だった響も会場に居合わせていた。結果的に言えば響は助かったが、それでも重傷を負ったのだ。
元々は未来がチケットを手に入れ、その渡されたチケットで響がライブを見に行って怪我を負ったということが負い目になって、響に恨まれているのではないかと思っていた。だが、怪我から復調した響は、決して未来のことをこれっぽっちも恨んでいなかった。そのことに未来の心は救われた。
しかし、悲劇は尚も続いた。次に待っていたのは、惨劇の生存者への迫害である。その対象には、当然響も含まれていたのだ。
響が世間の殆どから迫害されるようになって、未来はある1つの決心をした。それは、自分はどんなことがあろうと、響の味方であり続けよう、というものだった。
迫害される響と仲良くしていた未来にも迫害の手が及ぶようになっても、決して未来は弱音を吐くような真似はしなかったし、屈するということもしなかった。何れだけ辛いことがあろうと、大切な幼馴染みである太陽が傍にいれば、それだけで未来はどんな苦難も乗り越えられると信じていたからだ。
けれど、それも唐突に終わりを告げた。事態を見兼ねた未来の両親が、元々上がっていた引越しの話を強行して無理矢理未来を転校させたのだ。
そのせいで未来は響と最後の別れの挨拶をすること無く離れ離れとなった。それ以来、未来は両親に対して全幅の信頼を寄せるということは無くなった。無理矢理未来を転校させたこともそうだが、未来の両親までもが自分達の保身の為に決して響に手を差し伸べようとしなかったことが後に発覚したからだ。
それからの未来は、両親に黙って響宛てに手紙を出し始めた。手紙の内容には、引っ越した先であった出来事と響の身を案じた文が記されていた。だが、響から未来宛ての手紙が返ってくることは1度たりとも無かった。
響に嫌われたのではと思い始めた矢先、テレビのニュースで響が行方不明になったという報を知った。当然未来は響を捜しに出ようとしたが、そんな何処にいるかも分からない人間を捜しに行くという無謀なことを周りの人間が許すことは無かった。
リディアンへの入学を果たし、響の母親と祖母との親交を復活させた未来は、自身の新たな道を歩み出すことと同時に過去に置いてきてしまった大事な物を探し出すことを始めた。
最初に未来が予感を抱いたのは、始業式の翌日の登校中だった。通学路を登校中に小さな女の子が車に轢かれそうになったのだ。
誰もが最悪の未来を予想して目を逸らす中、未来はハッキリと見た。自分の荷物全てをかなぐり捨て、女の子を助ける為にその身一つで突っ込んでいくフードを被った人物を。
フードの人物は、見事に女の子を救い出し、その無謀であるが褒め称えられるべき行動を取ったフードの人物を、その場にいた全員が称賛した。勿論未来自身も拍手という形で称賛を送った。
だが、フードの人物が花のような笑顔で笑う女の子の頭を撫でているのを見て、未来の脳裏に眠る記憶が揺れ動いて呼び覚まされた。
フードの人物の頭を撫でる手付きに、未来は何処か見覚えがあったのだ。何度も見たことがあるし、何度もその手付きで頭を撫でられたことが未来にはあった。
フードで顔も見えず、距離があって声も聞き取れなかったが、未来は確かにフードの人物から響を感じたのだ。故に、無意識で響の名前を呟いていた。
次も、リディアンに向かって登校している最中のことだった。結局、フードの人物が響だったのか確信も持てず、先日の出来事が記憶の海に沈んでいき、未来は前と変わらない日常を過ごしていた。
だが、それは突然起こった。未来が通学路の曲がり角を曲がろうとしたところで、突然1人の少年が猛スピードで曲がり角から飛び出してきたのだ。
そのことに驚いて足を止めた未来は、間近でその少年の顔を見て全身が固まった。
最後に見た時よりも幼さが消えたが、それでもまだ少し幼さが残る顔。以前と全く変わらない髪型と髪色。優し気だが何処かキリッともしてるやる気と元気に満ち溢れた目。
身長は未来よりも小さかったのに、今では10cmは大きくなっていて、体型も普通だったものが限界まで絞られて無駄の無いものに変わっていた。
身長と体型以外は殆ど変わっていなかった幼馴染みが確かにいたのだ。
硬直が解けた未来は、直様後ろから大声で響の名前を呼んだ。しかし、聞こえていなかったのか、響は一向に止まらなかった。
未来は、響の後を追いかけた。現役を退いたと言っても、以前に確かな記録を保持していた未来は走ることには自信があった。だが、
結局、未来は響と言葉を交わすことは出来なかった。だが、この街に響がいるということが分かっただけでも、未来にとっては十分な収穫だった。
それからの未来は、響を見付ける為に色々と試行錯誤を繰り返した。朝の登校時間は遭遇した時と同じ時間に固定して響を捜し、放課後に響が行きそうな場所に行って街を練り歩いていた。
しかし、数多くの試行錯誤は何れも身を結ばなかった。
響捜しが上手くいかない度に暗い気持ちになって沈み込み、未来はその都度周りの友達から励まされていた。友達からの声援を糧に、未来はめげずに頑張り続けた。
流石に個人的な悩み過ぎて友達に相談することは無かった未来だったが、そんな未来の想いを察して友達も深くを訊くということはしなかった。それでも、未来が自分達の知らないところで頑張っていることを知っていた友達は素直に未来を応援し続けたのだ。
そこで今日は少し趣向を変えて、未来は捜すのではなく見付けた時に会話を円滑にする為の方法を調べに図書室までやって来ていた。
「あっ! あった!」
探していた本を見つけ、それを本棚から引っ張り出して手に取る未来。目的のものを見付け、未来は嬉しそうにニコリと笑った。
だが、そこでふと視線を横に向けた。未来の視線の先には、窓越しでリディアンに隣接する総合病院がある。
「えっ」
未来は、窓越しから見えた光景を見て持っていた本を落としてしまう。
未来のいる場所からは、総合病院に入院する入院患者達がいる病室が見えていた。見えた病室には、2人の人物が談笑をしている光景があった。
1人は、未来が所属する私立リディアン音楽院に在籍する3年の風鳴翼である。最近のニュースで、翼が過労が原因で入院していることは知っていた。だから、これは別に何の問題でも無いし不思議に思わなかった。
だが、翼と談笑しているもう1人の人物に問題があったのだ。その人物とは、未来がずっと捜し続けそれでも見付けることの出来なかった大切な幼馴染みである響だったのだ。
「響……!」
未来は声に出して響の名を呼び、落とした本のことも忘れて窓に手を着いた。響達のいる病室まで手を伸ばすように、未来の手に無意識に力が込もる。しかし、窓ガラスによって遮られた手はそれ以上伸ばすことが叶わない。
(何で響があそこに? 何処で翼さんと知り合ったの? どうして……そんなに楽しそうなの?)
疑問は次から次へと湧き上がり、際限無く増え続ける。その中には、自分の苦労も知らずに楽しそうにしている響への複雑な感情や、自分が大好きな響と楽しそうに談笑している翼への嫉妬の感情などが入り混じっていた。
今直ぐにでも飛び出して、直接響に事情を説明してもらいたい未来だったが、何方かと言えば内向的な未来にそんなことは出来なかった。
そうこうしてる内に、病室にいた響と翼は病室か出て行って、これ以上2人のことを見続けることは不可能になった。それを見届けた未来も、落とした本を本棚に戻してから暗い表情で図書室から出て下校した。
(どうして、どうしてなの響? どうして、私やおばさんに連絡を
疑心や不安が心に闇を生んで染め上げ、未来の思考はどんどんネガティブなものに変わっていく一方である。
以前、未来は響の母から響が出て行ったのは、きっと残された家族を守る為だと言われたことがあった。しかし、実はそうでは無いのでは?という間違った考えに至りそうになっていた。
心に陰りがある状態の未来は、何時の間にか友達との行き付けの店であるお好み焼き屋の“ふらわー”まで無意識に足を運んでいた。
「いらっしゃい!」
厨房で作業をしていたおばちゃんが、店の扉を開けて入ってきた未来に振り向く。
「こんにちは……」
「おや、今日は他のお友達はいないのかい?」
「今日は、私1人です……」
「……そうかい」
何時もの雰囲気と違う且つ心の曇りが表情にまで表れている未来を見て、ふらわーのおばちゃんは何も言わずに未来を迎え入れた。
「今日はねぇ、お昼にすっごい食べっぷりをする男の子が来たんだよ。だから、おばちゃんも少しお腹減っちゃってるのさ。おばちゃんもその子に負けないように沢山食べようかねぇ」
「食べなくていいから焼いて下さい……」
「あら。アハハハハハハ……」
おばちゃんなりに気を利かせて未来に話し掛けたが、大したリアクションも無く真顔で返されておばちゃんも愛想笑いをする他無かった。
「今日はお腹空いてるんです。ずっと考え事ばっかりしてて、朝ご飯も食べてなくて……」
「……さっき言った凄い食べっぷりの男の子にも似たようなことを言ったんだけど、人間ってお腹空いたまま考え込むとね、嫌な答えばかり浮かんでくるもんなんだよ」
「ッ!」
おばちゃんの言葉を聞いて、未来はハッとなって顔を上げた。
(そうかもしれない。何も分からないまま、私が勝手に思い込んでるだけだもの。ちゃんと会って話せば、きっと……!)
おばちゃんに言われ、未来は自分が嫌な方ばかりに考えを傾けていたことに気付いた。まだ何も分かっていないのに、全てを自分の考えで決め付けるのは早計であると。
おばちゃんの言葉で希望を見出せたことで、未来の表情が何時もと同じ明るいものに戻っていった。
「ありがとう、おばちゃん」
「何かあったら、また何時でもおばちゃんの所においで」
「はい!」
元気よく返事を返した未来は、おばちゃんが焼いてくれたお好み焼きを2枚食べた後に店を後にした。
(響がこの街にいるのは分かってるんだから、そんなに焦らなくて良いんだ。私が諦めなければ、信じてればきっと会える筈だから!)
少し前には無かった確かな希望の光を胸に歩みを進める未来。そして、未来の願いは唐突に思わぬ形で叶った。
(えっ、あれって……。ッ!)
未来が歩いている道の前方から凄い勢いで走ってくる少年がいた。少年は、耳元に通信機と思われる端末を当てながら話している為、前方にいる未来の存在に気付いていない。
少年が端末での通話を終えたのを見計らって、未来は前に名前を呼んだ時よりももっと大きな声でその名を呼んだ。今度は、擦れ違うなんてことが起きないようにする為に。
「響っ!!」
未来がその名を呼んだ直後、前から走ってきていた少年は釘で縫い止められたかのように足を止めて急停止し、未来の顔を見て目を見開いた。
「そんな、どうして……!? 何で……!!?!?」
少年──立花響は明らかな動揺を表情に浮き上がらせる。
「やっと見付けた……! 今まで何処に行ってたの? うぅん、そんなことは本当はどうでも良いの。響が無事で良かった……!」
聞きたいことは沢山ある。しかし、今の未来は疑問よりも胸の内に広がる嬉しさでそれどころではなかった。ただただ響と再び巡り会えたこと、響が元気な姿で自分の前に現れたことに感謝する。
「私だよ、響。小日向未来だよ。分かるよね?」
目から大粒の涙を流しながら、未来は確認するように目の前にいる響にそう訊ねた。
◇◇◇
(……忘れる訳が無い。忘れられる訳が無いだろっ!!)
焦りと動揺で心が揺れ動く中、響の脳裏には未来と過ごした沢山の思い出が蘇っていた。
近所で年が同じだったから付き合いが始まったこと、幼い頃は一緒に
幼い頃から2年前の唐突な別れまでの未来との思い出の全てを響は覚えていた。小日向未来は、立花響にとってそれだけ大切な幼馴染みなのだ。
「……あぁ。覚えてるよ。全部、覚えてる。お前を……未来のことを忘れた日なんて1度も無い」
「ッ! 響ぃ!!」
その響の発言に感極まった未来は、涙を流しながらも笑顔でその場から飛び出した。
しかし、忘れてはいけない。この場は、もう既に
「お前はぁ!!」
「ッ!?」
弦十郎が言った通りに現れたネフシュタンの少女は、開幕初っ端から鞭を叩き付けるように振るった。響自身は、鞭が振るわれた先にはいないから避ける必要が無いが、響に向かって走ってきている未来は別である。
「ダメだ、未来っ!! こっちに来るなっ!!!」
響が未来に向かって警告を飛ばした直後、振るわれた鞭が地面に叩き付けられた。タイミングが未来が響に辿り着く直前だった為、未来に鞭が当たることは無かったが、それでも間近にいた未来は衝撃によって吹っ飛ばされてしまった。
「きゃあぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁっ!?」
吹っ飛ばされた未来の悲鳴が周囲に響き、その声と吹き飛ばされる未来の姿を見て、響の瞳孔が大きく見開かれた直後に獣の如き鋭い目付きに早変わりする。
「しまった、あいつの他にもいたのか!?」
当然未来の悲鳴はネフシュタンの少女にも聞こえていた。
「うぅ……」
吹き飛ばされ地面に落ちた未来は、血こそ出なかったが節々に擦り傷が出来ていた。痛みで動くことの出来ない未来に向かって、傍に駐車していた車が落ちてくる。先程の攻撃の際、未来よりも近い距離にあった為に未来よりも高く打ち上がっていたのだ。
「ッ!?」
それを見た未来の動向もまた大きく開かれる。痛みで立ち上がれない未来には避ける手段が無く、例え這って動いても這うスピードでは逃げ切ることは出来ない。完全に詰みだった。
(やだっ! 折角、折角響とまた会えたのにっ!! 死にたくないっ!! こんなところで死にたくないっ!!!)
このまま何も起こらなければ、未来は落ちてきた車に押し潰されてその短い生を終えることになるだろう。だが、それを絶対に許さず、未来の命を救うことが出来る力を持つ者がこの場にいたことによって、その運命は覆されることとなる。
「Balwisyall Nescell gungnir tron」
その場に歌が響く。聖詠によって起動したシンフォギアを纏った響は、土煙の中から飛び出して危機に瀕した未来の前に躍り出た。
「させるかぁ!!」
響は、落ちてきた車を両手で受け止める。下手に殴って衝撃を与え爆発でもしたら大変な為、敢えて響は車を受け止める手段を取ったのだ。
「響……?」
未来は目の前で起こった現実に付いていくことが出来ずにいた。
急に吹き飛ばされ、空から落ちてきた車に押し潰されそうになり、それを先程の少年的な服装から打って変わったアニメに出てくるような服装になった大切な幼馴染みが守ってくれたのだ。
場面の展開が早過ぎて、事態に理解が追い付かず置いていかれることも仕方なかった。
「……話は後だ。今は兎に角この場から1秒でも早く逃げろ、未来!」
それだけを言い残して、響はネフシュタンの少女がいる方向に向かって駆け出した。
「待って! 待ってよ、響ぃぃぃぃぃっ!!」
理解は追い付かなくても、また離れていく幼馴染みを止めようと手を伸ばしてその名を呼ぶ未来。しかし、響を呼ぶ未来の声が聞こえていても、響がその場に足を止めることは無かった。
(ごめん、未来! 本当にごめんっ!!)
未来の呼び掛けに応えず無視するという行為は、響の心に確かな痛みと罪悪感を与えていた。
響はネフシュタンの少女に自分の姿を晒しながら走り、弦十郎の指示通りに少女を誘導する為に指定された場所への移動を開始する。
「筋肉バカが一丁前に挑発するつもりかよ!」
響の後を追って、ネフシュタンの少女もその場から移動を始める。
「響君、交戦に入りました! 現在市街地を避けて移動中!」
「そのままトレースしつつ、映像記録を照会!」
二課の職員達に指示を飛ばす弦十郎。戦闘が始まったことは二課の司令室からもモニターされていて、響は弦十郎に指定された人気の無い自然地帯に向かっていた。
木の上を移動し続け、指定されたポイントまでやって来た響は木の上から飛び降りて地面に着地する。それから間も無くネフシュタンの少女も地上に着地した。
直後、ネフシュタンの少女が鞭を振るうが、響は慌てること無く歌を歌いながら鞭を裏拳で弾いて防ぐ。
「筋肉バカがやってくれる!」
「筋肉バカなんて名前じゃねえ!」
響の雰囲気が何時もと違うことを何となく察したネフシュタンの手が思わず止まる。響は自分に右手の親指を向けながら話を続ける。
「良いか? その耳
何の臆面も無く自分のプロフィール情報を公開する響。
一方、唐突に自己紹介された上に女性経験の有無まで公開されたネフシュタンの少女はというと、バイザーに隠れた顔を真っ赤にして言葉を捲し立て始めた。
「な、な、な、なななななな、何をトチ狂ってやがるんだ、お前!?!!? ってか、そんな、ど、どど、ど……女に変なこと教えてんじゃねえ!!!」
「俺達はノイズと違って言葉が通じるだろ! だから、俺はお前と話がしたいんだ!」
「何て悠長、この後に及んで!」
ネフシュタンの少女が鞭を振るい、響はそれを跳んで避ける。少女は連続で鞭を振るい続けるが、それらの全てを響は躱し、捌き、防ぎ続ける。
(こいつ、また前の時よりも動きが良くなってやがる!?)
良くなっていた響の動きが以前のものよりもキレを増していたのを見て、ネフシュタンの少女は驚愕を露わにする。
(技の次は何だ。 あいつの雰囲気と目……覚悟か!?)
先程に自分が感じた感覚と今自分が見た響の目で、ネフシュタンの少女は響の心に覚悟が定まった影響によるものだと確信する。
「話をするんだ! 俺達は戦うべきじゃない!」
「ッ!」
戦わずに話をするように促す響の言葉を聞いて、ネフシュタンの少女が舌打ちをする。
「言葉が通じるんだ! だから、俺達人間は──」
「煩えっ!!!」
悲鳴のように発せられたネフシュタンの少女の言葉によって、話していた響の言葉が途中で中断される。
「分かり合えるものかよ、人間が! そんな風に出来ているものかっ! 気に入らねえ! 気に入らねえ! 気に入らねえ! 気に入らねえ! 分かっちゃいねえことをベラベラと口にするお前がぁ!!!」
興奮しながら捲し立てるように言われ続けた言葉を聞いて、響は思わず呆然としてしまう。ネフシュタンの少女の言葉は、彼女の抱く心の叫びに聞こえてならなかった。
「はぁ……はぁ……お前を引き摺ってこいと言われたが、もうそんなことはどうでも良い。お前をこの手で叩き潰す! 今度こそお前の全てを踏みにじってやる!!」
「俺だってただヤられる訳にはいけねえ。それにな、今の俺は機嫌が良くて機嫌が悪い意味分からねえ状態だ! 迂闊に触れると火傷するぞ!!」
「ウオォォォォォッ!!」
ネフシュタンの少女は、以前翼との戦いの時にも作った黒い雷を内包した白いエネルギー状の球体を生成し、鞭を振るって響目掛けて投げ付ける。
【NIRVANA GEDON】
飛来する
「持ってけダブルだっ!!」
だが、ネフシュタンの少女はそこに新たな
その爆発した感情の如き激しい攻撃を見て、二課の司令室から2人の戦いを見ていた二課の面々も呆然としてしまい、言葉を失っていた。
「はぁ……はぁ……お前なんかがいるから……あたしはまた……」
荒い呼吸を整えながら自身の思いを吐露するネフシュタンの少女。その姿は、何処までも痛ましく物悲しかった。
晴れていく土煙の内部を見て、ネフシュタンの少女は目を見開く。
「ハァァァァァ……!!」
何と、土煙の中にいた響の両手の中に橙色のエネルギーが集まっていたのだ。しかし、集めらたエネルギーは暴発して、その衝撃によって響は軽く吹っ飛ばされてしまう。
(こんなんじゃダメだ……。翼さんみたいにギアのエネルギーを固定出来無え)
「この短期間にアームドギアまで手にしようってのか!?」
そう、響がしようとしているのはアームドギアの生成に他ならなかった。しかし、イメージが固まっていなくてロクにアームドギアを生成する為の訓練んを積んでいない響には難しいことだった。
(エネルギーはあるんだ。アームドギアに出来ないってんなら、その分のエネルギーを直接打つけるまでだ!)
エネルギーが内包されたことによって、響の腕の腕部ユニットのハンマーパーツが引き絞られる。
「させるかよっ!!」
そこに響の思惑を阻止しようと、ネフシュタンの少女が2本の鞭を同時に振るうが、その2本の両方を響は片手で受け止めて握り締める。
「何だとっ!?」
呆気なく攻撃を無効課されたことに驚くが、その間に響は握った鞭を力一杯引っ張って自分の方に引き寄せる。
(
嘗て教えられた弦十郎の教えを胸に、響はその場からネフシュタンの少女に向かって飛び出す。その際、響の腰部ユニットのバーニアが機能して火を吹いた。
(最速で! 最短で! 真っ直ぐに! 一直線に! 胸の響きを、この想いを伝えるためにっ!)
自分に向かってやって来る響を見てネフシュタンの少女は目を見開き、バーニアで加速する響はその拳を大きく引き絞る。
「
【我流・撃槍衝打】
即興で考えられた響の新必殺技の名前が響の咆哮によってその場に轟く。打たれた拳は、吸い込まれるようにネフシュタンの少女の腹部に命中した。
更に拳が当たったことで腕部ユニットのギミックが作動し、引き絞られたハンマーパーツが打ち込まれる。それによって、先の衝撃よりも強い衝撃が間髪入れずに叩き込まれる。
響の打撃は、完全聖遺物であるネフシュタンの鎧の一部を砕き、鎧を砕かれた少女は目を見開いた驚愕を露わにする。
(バカな……ネフシュタンの鎧が……!?)
打撃による衝撃はバイザーにまで及んで、バイザーまでもが罅割れた状態となった。
その直後、大きな爆発と大きな衝撃が周辺地域一帯にまで及ぶのだった。
「……響」
離れた場所から響がいるであろう場所をずっと見詰めていた未来は、響の名前を呟いて独り涙を流していた。
・原作ビッキーと今作ビッキーとの相違点コーナー
(1)響の自己紹介
──今作ビッキーの自己紹介には、自分の星座と体重と得意なこと、それと女性経験の有無が追加されています。隠すこともせず女の子に向かって童貞宣言する主人公。
(2)響、必殺技の名前を叫ぶ
──技の名前はシンフォギアXDからの逆輸入となっております。技の名前を叫ぶ。これぞ正に男の子って感じがしますよね。
今回で僕が挙げるのは以上です。他に気になる点がありましたら感想に書いて下さい。今後の展開に差し支えない範囲でお答えしていきます。
今回は、前半393パートで、後半ビッキーパートになっております。
今作ビッキーの身長は、翼よりも1cm小さいです。ですが、今の響は成長期でございます。Gに入ってからは、きっと翼よりも大きくなっていることでしょう。
男女のあれこれについて色々知ってるクリスちゃんも、唐突に童貞宣言されたら赤面しちゃうと思う。戦闘中に赤面するクリスちゃん可愛い。
というか、前話からヒロイン赤面させてばっかだな、
次回、クリスちゃんトランザムをするの巻(違
それでは、次回もお楽しみに!