戦士絶唱シンフォギアIF   作:凹凸コアラ

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 皆さん、どうもシンシンシンフォギアー!!(挨拶)

 今話で丁度第1期の真ん中に差し掛かるんですかね。そういう訳で、今回は原作エピソードのタイトルを頂戴しました。

 前以って言っときますと、今話は少し短いです。何時もは10000字ぐらい行くんですけど、今回は7000ぐらいの仕上がりになっています。

 閑話休題、そろそろ本編に移りましょうか。

 それでは、どうぞ!


EPISODE 13 撃ちてし止まぬ運命のもとに

 響の必殺技、我流・撃槍衝打によって戦況は響に傾きつつあった。

 

 放たれた拳は余波だけで地面を抉り取り、拳を諸に喰らったネフシュタンの少女は、崩れた瓦礫に凭れ掛かりながら痛みを堪えていた。

 

(何て無理筋な力の使い方をしやがる。この力、あの女の絶唱の力に匹敵し兼ねない)

 

 ネフシュタンの少女が受けたダメージは、直接当たった腹部だけを見るなら以前に翼が解き放った絶唱と同等のダメージを与えていたのだ。その証拠に、拳が当たった鎧の箇所はごっそり無くなってしまっている。

 

「ぐぅ……!」

 

 ネフシュタンの少女が苦悶の声を漏らす。破壊された鎧が少女の体を蝕みながら再生を始め、それに伴ってやって来る痛みが更に少女を苦しめる。

 

(食い破られる前にカタを付けなければ)

 

 早期決着を望むネフシュタンの少女は、自分の目の前にいる響の姿を見て固まる。何故なら、響は息吹で呼吸を整えていて、少女に向かってくる素振りを全く見せていないからだ。

 

「お前バカにしてるのか、このあたしを。雪音クリスを!」

 

 そんな響にネフシュタンの少女は激昂する。少女からしてみれば、今の響の態度は少女を侮っているとしか見えなかったからだ。

 

 だが、激昂するネフシュタンの少女に対し、響はニッと笑みを浮かべながら嬉しそうに笑って見せた。

 

「漸く名前を教えてくれたな。雪音クリス、か。良い名前だな。お前の名前、確かに俺の胸に刻んだぜ、クリス」

 

「ッ!」

 

 ネフシュタンの少女──クリスからして見れば分からないが、今さっきの遣り取りだけで響の目的の1つが達成されたのだ。

 

 それは、相手の名前を知るということ。相手と分かり合おうにも、名前が分からなければ何も始まらないのだ。響は、確かに相手と分かり合う為の第1歩を踏み出せたのだ。

 

「なぁ、クリス。こんな無意味な戦いはもう止めようぜ。ノイズと違って、俺達は言葉を交わすことが出来る。ちゃんと話をすれば、必ず分かり合える筈だ! 俺達は、同じ人間なんだ!」

 

「……お前臭えんだよ! 嘘臭え! 青臭え!」

 

 立ち上がったクリスは、響に向かって駆け出して拳を振り抜く。響はクリスの拳を捌き、続く蹴りを後ろに後退して回避する。

 

「目障りだぁ!!」

 

 クリスは鞭を頭上で回転させて、鞭と同じ色のエネルギーで出来た円盤状の光輪を生成して響目掛けて投擲する。

 

【NIRVANA MAGOG】

 

 放たれたNIRVANA(ニルヴァーナ) MAGOG(マゴグ)は、響に向かって行く途中で4つに拡散して各方向から響に飛来する。

 

「うおっ!?」

 

 響は、1つ目を跳んで躱し、2つ目はかなりギリギリのところで避け、3つ目は避けられないと悟って先と同じ十字受けで防いで受け切るが、4つ目はガードが間に合わずに諸に喰らってしまう。

 

「ぐあはっ!?」

 

 NIRVANA(ニルヴァーナ) MAGOG(マゴグ)をまともに喰らった響は、その場から弾かれるように衝撃と爆発によって吹き飛び、地面を何度もバウンドする。その際、後ろに生えていた木々を何本も倒したせいで土煙が周囲に舞う。

 

「はぁ……はぁ……これなら!」

 

 攻撃に確かな手応えを感じたクリスは、悪どい笑みを浮かべながら笑う。しかし、土煙が晴れたところで浮かべていた笑みが凍り付いた。

 

「こんなの、へいき、へっちゃらなんだよ……っ!」

 

 NIRVANA(ニルヴァーナ) MAGOG(マゴグ)をまともに喰らった筈の響が、痛みを堪えながらも確かな足取りでゆっくりと立ち上がった。

 

 仮にも完全聖遺物の必殺技である。その威力は、決して低くは無い。寧ろ、所詮は聖遺物の欠片でしかないシンフォギアの方が、性能的には劣るだろう。だが、響は立ち上がった。(あまつさ)え、クリスに向かって不敵な笑みさえ見せてみせた。

 

「ッ!?」

 

 その衝撃がクリスの体中に走り、クリスの体を硬直させたのだ。だが、ゆっくりしている時間はクリスには無い。今こうしてる間にも、修復をしているネフシュタンの鎧からの侵食が行われようとしているのだから。

 

「クリス……!」

 

「吹っ飛べよ、アーマーパージだっ!!」

 

 手を伸ばして歩み寄ろうとする響に対し、クリスは身に纏っていた鎧を爆発させて鎧の破片を使って響を攻撃する。まだ避けることがままならない響は、再度十字受けの体勢で防御に徹する。

 

 飛ばされた破片によって木々と大地は抉られ、その際の余波で発生した土煙が大きく宙に舞い上がる。

 

(クソッ、土煙で視界が悪い! これじゃクリスが見えない!)

 

 土煙で視界が潰されている中、鎧の破片をどうにか遣り切った響がクリスの姿を視認しようとするが、土煙の量が濃過ぎてクリスを見付けられずにいた。

 

「Killiter Ichaival tron」

 

「これは……歌?」

 

 そんな中、突如として周囲に歌が響き割り、その歌は響の下までしっかりと聞こえていた。時間が経過して土煙が消え、先程までクリスがいた場所には、人影が見えるエネルギー状の球体が存在していた。

 

「見せてやる、イチイバルの力だ!」

 

 クリスがそう言った直後、エネルギーの球体が周りに広がって、新たに土煙を巻き上げながら周囲にモクモクと満ちていた土煙を一瞬で吹き飛ばした。

 

「イチイバルだとっ!?」

 

 司令室から響の通信機越しでクリスの言葉を聞いた弦十郎は、響のガングニールが発見された時と同等の驚きの声を上げて驚愕を露わにする。

 

 そして、司令室の中央のモニターにも“Ichii-Bal”という単語が大きく表示された。

 

「アウフヴァッヘン波形、検知!」

 

「過去のデータとも照合完了。コード、イチイバルです!」

 

「失われた第2号聖遺物までもが、渡っていたというのか」

 

 弦十郎がモニターを見ながら独り言ちる中、現場で実際に対峙していた響は、新しく巻き起こった土煙が顔に掛かるのを防ぎながら真っ直ぐ目を向けていた。

 

「クリスも……俺や翼さんと同じ……」

 

「歌わせたな」

 

「はい?」

 

 唐突に呟かれた意味がよく分からないクリスの言葉を聞いて、響も思わず素っ頓狂な返事を返してしまう。

 

「あたしに歌を歌わせたな! 教えてやる! あたしは歌が大っ嫌いだ!」

 

 そこに立っていたのは、先程までの全身が銀色の雪音クリスではなかった。全体的に赤色を中心としたプロテクターと色気のある色合いの肌に密着したアンダースーツを身に纏い、バイザーが無くなったことで露わになったアメジスト色の目をギラリと光らせ、4つに結われた綺麗な銀色の髪が棚引いている。

 

(め、滅茶苦茶可愛いじゃねえか!? それに、前々から思ってはいたけど、何だあの胸の大きさ! あの身長であの胸は明らかにアンバランスだろ!? でも、そのアンバランスさが良い!)

 

 戦闘中であるにも関わらず、露見されたクリスの顔や全体を見て響は内心で荒ぶっていた。

 

 露わになったクリスの顔は、気の強い面持ちをしているが翼とタメを張れるくらいに可愛い顔立ちをしていて、アメジスト色の目と綺麗な銀色の髪がその魅力を引き立てている。

 

 身長は、女の子の中でも低い部類に入るだろうが、その胸の大きさは男を魅了するには十分過ぎる程の大きさをしていた。露出された上乳部分に響の視線が向いてしまうのも仕方が無いことだろう。

 

 気の強そうな面持ちの可愛い顔立ち、低い身長の巨乳というアンバランスなギャップが響の中で眠りに尽き掛けていた本能を刺激する。

 

 だが、今は戦闘中だということを思い出した響は、1度咳払いをしてから先にクリスが言った言葉の意味を訊ねることにした。

 

「歌が嫌いってどういうことだ?」

 

 響はクリスに問い掛けるが、クリスは響の問答に取り合うこと無く自分が嫌いと言った歌を歌い始める。

 

 すると、クリスの腕に装着されていた腕部ユニットがボウガンの形に変形し、クリスは響に向けてエネルギー状の矢を撃ち放った。

 

「えっ、ちょ!? 遠距離武器かよ!? さっきと全く攻撃パターンが違うじゃねえか!?」

 

 飛来するエネルギーの矢を走って躱しながら捲し立てる響。エネルギーの矢が当たった場所は軽めの爆発が起き、それが連射で行われることで爆発の規模と周囲への被害がどんどん広がっていく。

 

 響はクリスの攻撃を回避し続けるが、響が走ったその先にはクリスが既に待ち構えていて、逃げの体勢の響の無防備の腹に勢い付けた蹴りをお見舞いした。

 

(しまった!? 矢を避けるのに夢中で、誘導されてたことに全く気が付かなかった! 動きもさっきより数段上手いし、こっちが本来の戦闘スタイルってことかよ!?)

 

 響は強くなったと思っていた先程までの自分を殴りたくなった。響が優勢だったのは、相手が本来の自分の土俵で戦っていなかっただけに過ぎなかったのだから。

 

 蹴りで吹き飛ぶ響の隙を突き、クリスはボウガンの形のアームドギアを変形させる。変形したアームドギアは、その形を4門の3連ガトリングに変える。

 

【BILLION MAIDEN】

 

 クリスの歌がサビに突入するのと同じタイミングで、ガトリングの弾丸の雨がばら撒かれる。

 

「ちょちょちょちょちょちょちょっとぉ!? んな物騒な代物が出てくるなんて聞いてねえ!?」

 

 慌てて立ち上がった響は、連射されるガトリングを避ける為に、横への移動を開始して兎に角クリスの銃の射線上から逃れようと走り続ける。

 

 その際、ガトリングの流れ弾によって周辺の木々が一掃されて周囲一帯が更地へと変わっていった。

 

 すると、今度はクリスの腰辺りから出ている腰部アーマーが展開して、そこには装填された無数の小型ミサイルが頭を覗かせていた。

 

【MEGA DETH PARTY】

 

 続いて一斉に発射された小型ミサイルは、射線上から逃れて距離を取ろうと走る響を追従して、複雑に生える木々の中を躱しながら飛んでいく。

 

「ガトリングの次はミサイルって何でもありかよ!? 拳銃(ハンドガン)とか拡散銃(ショットガン)なら兎も角、ガトリングとミサイルの同時避けなんて誰が出来るかぁぁぁぁぁぁぁ!?!!?」

 

 飛来する弾幕とミサイルから必死に逃げながら叫ぶ響。世界を巡る中で、響は黎人から銃の避け方というものも教えてもらっていたが、流石にガトリングとミサイルを同時に避ける方法は知らなかった。

 

 いや、1対1の戦闘で敵側が何の前触れも無くガトリングとミサイルを唐突にぶっ放してくるなど、誰が想定出来るものだろうか。

 

 響は必死に逃げたが、それでも猛スピードで進む無数のミサイルからは逃げ切ることが出来ず、遂に無数のミサイルは標的を捉えて爆発した。

 

 更に爆炎が巻き起こる中へ容赦の無い追撃のガトリングを撃ち続けるクリス。その様は、正に彼女が歌う歌詞の中にある相手を否定するという意思を体現しているようであった。

 

 暫く弾を撃ち続け、漸くガトリングの回転が止まる。興奮しながら攻撃していたクリスは、攻撃の手を止めて荒くなった息を整える為に、肩を上下させながらゆっくりと呼吸をする。

 

 クリスの視線が睨む先は、爆炎と爆煙が渦巻くように激しく巻き起こっていて、その中にいるであろう響の生存は幾らシンフォギアを纏っていたとしても絶望的であった。

 

 少しして爆炎と爆煙が収まり、次にクリスが目にしたのは蒼のラインが入った銀色の巨大な何かだった。それは一見壁にも盾にも見える。

 

「盾?」

 

「剣だ!」

 

 クリスの疑問に答えるように発せられた声が上から響き渡り、クリスは即座に視線を上へと向ける。そこには、巨大化させたアームドギアの柄の上に凛と佇む翼の姿があった。

 

「へっ、死に体でお寝んねと聞いていたが、頼り無い足手纏いを庇いに現れたか?」

 

「もう何も失うものかと決めたのだ」

 

 以前と同様に煽るように口汚ない言葉をクリスは口にするが、翼の方は以前と違って全く喰い付きもせずに極めて冷静に返す。

 

『翼。無理はするな』

 

「はい」

 

 司令室のモニターから翼を見ていた弦十郎は、翼を止めることはせずにただ一言だけ言葉を掛け、翼も一言だけ肯定の返事を返した。

 

 翼のアームドギアに守られた響は、軽く頭を振ってから翼のいる上の方を見遣る。

 

「翼さん……!」

 

「気付いたか、立花?」

 

「……ったくよぉ、怪我がまだ治ってないのに……本当に、あんたは頼り甲斐のあるかっこいい先輩だよ!」

 

「頑張り屋の可愛い後輩がピンチなのだから、私が出ない訳にはいかない」

 

 響の軽口に翼もまた軽口を返し、互いに軽く笑みを浮かべ合う。今の2人には、あの頃の不和な関係を思い出させる要素は一切無かった。

 

「けど、私も十全では無い。力を貸して欲しい」

 

「Yes, ma'am!」

 

 翼の頼みを、最初にシンフォギアを纏ったあの時のように英語で返事を返して了承する響。その返事を懐かしく感じたのか、翼は微笑を浮かべた。

 

「おぉらぁ!」

 

 いい加減に待ち草臥れたクリスは、不意打ち気味にガトリングを翼に向けて撃ち放つ。しかし、翼はクリスの張る弾幕を、まるで宙で踊るかのように回避して地上に降り立つ。

 

 そこから間髪入れずに直進し、翼はクリスに向かって通常状態のアームドギアの剣を振るう。クリスは翼の攻撃を後ろに跳んで避け、正面にいる翼にガトリングを撃つ。

 

 だが、その銃撃も舞うように背中を反りながら跳んで躱す翼。翼は宙での振り向き状に一閃を入れ、クリスは頭を下げてそれを躱す。

 

 その中でクリスの隙を見極めた翼は、クリスのガトリングを持っていた剣の柄でど突いた。ど突かれた反動でクリスは少し後退し、下がったクリスの首に何時の間にかクリスの背後に回り込んでいた翼の剣の刃が当てられる。

 

(この女……以前とは動きがまるで)

 

 以前の翼の荒々しい動の動きとはまるで違う洗練された静の動きに翻弄され、クリスは動揺して目を見開く。

 

「翼さん! そいつは……」

 

「分かっている」

 

 響が言わんとしていることを理解していた翼は、言葉を以って響を制する。クリスは、会話の隙を突くようにガトリングで翼の剣を弾き、2人は向かい合うように移動してお互いの得物を構える。

 

(刃を交える敵じゃないと信じたい。それに、10年前に失われた第2号聖遺物のことも(ただ)さなければ)

 

 内心で自身の想いと考えを吐露する翼。それに対してクリスは、敵意を剥き出しにしてガトリングを撃とう砲門を翼へと向けた。

 

 その直後、突如フライトノイズが上空から襲来し、その形状を変化させてクリスの持つ2丁のガトリングを破壊した。

 

「何っ!?」

 

 唐突にノイズによってアームドギアが破壊されたことにクリスは驚き、その隙を突くようにもう1体のフライトノイズがクリスを強襲する。

 

「危ねえ、クリス!」

 

 その場から駆け出した響は、クリスを守るようにクリスとノイズの間に割り込んでその身を盾にする。

 

「うぐっ!?」

 

 ノイズの攻撃を防御せずに諸に背中で受けた響は、その際の衝撃でクリスの方へ倒れ、自身の方へ来た響をクリスは慌てて受け止めた。

 

「立花っ!」

 

 それを見ていた翼は、直様2人の下へと駆け寄ってノイズの攻撃が来ないか周囲を警戒し始める。

 

「お前、何やってんだ!?」

 

「クリスを守ることだけ……考えてたから、自分の身を疎かにしちまった……。本当に、何やってんだろうな。あれくらい、普通に考えたら対処出来るのによ……」

 

「そうじゃねえ! 何であたしを守った!? バカにしてんのか! 余計なお節介なんだよ!?」

 

 クリスには理解出来なかった。先程まで戦っていて、自分は殺す勢いの攻撃をしたというのに、響が身を挺してクリスの身を守ったということが。

 

「命じたことも出来ないなんて、あなたは何処まで私を失望させるのかしら?」

 

 緊迫した状況の中、新たな第三者の声が周囲に響き渡った。動揺するクリスも、痛みを堪える響も、周囲を警戒する翼も、全員が声が聞こえてきた方角を見遣った。

 

 その方角の上空には、3体のフライトノイズが飛び回っていて、その下には黒い帽子と黒いサングラスに黒い服といった全身が黒ずくめの金髪の女が佇んでいた。その手には、以前クリスが持っていたノイズを呼び出す杖のようなものが握られている。

 

「フィーネ!」

 

「フィー、ネ……?」

 

(フィーネ? “終わり”の名を持つ者?)

 

 フィーネとは音楽記号の1つであり、音楽の世界に携わってその意味を知っていた翼は、その名を名乗る謎の女を訝しむ。

 

 クリスは未だ抱き留めていた響を一瞥して、拒絶するように突き放した。未だダメージと疲労で上手く立てない響を、素早く駆け寄った翼が今度は抱き留める。

 

「こんな奴がいなくたって、戦争の火種くらいあたし1人で消してやる! そうすればあんたの言うように、人は呪いから解放されてバラバラになった世界は元に戻るんだろっ!?」

 

「ふぅ……もうあなたに用は無いわ」

 

「ッ!? 何だよそれ!?」

 

 フィーネと呼ばれた女が手を翳す。すると、翳された手が青白く淡く輝き出し、周囲に散っていたネフシュタンの鎧の破片が粒子に変わってフィーネの下に集まっていく。

 

 粒子に変わったネフシュタンの鎧は全て回収されたところで何処かへ消え、フィーネは持っていた杖のようなものを翼に向ける。

 

「あいつ……!」

 

「ッ! 無茶をするな、立花!」

 

 翼から離れて、前に出ようとする響の肩を翼が掴んで諌める。上空で待機していた3体のフライトノイズが体を高速回転させて木々を薙ぎ倒しながら翼達に迫り、翼はやって来たノイズを斬り捨てる。

 

 フィーネはノイズを囮にして翼達の足止めをし、自身はその隙を突いて素早くその場から撤退して姿を消した。

 

「待てよ! フィーネェ!!」

 

 姿を消したフィーネを追ってクリスもその場から駆け出し、翼達がノイズを全て殲滅した時には、既にクリスは空に大きく跳び上がっていてかなりの距離が開いていた。

 

「待ってくれ、クリス! 俺は、まだ……っつぅ!?」

 

「立花、大丈夫か!?」

 

 響は、急いでクリスの後を追おうとしたが蓄積したダメージと疲労によって足を止め地面に片膝を着き、そんな響を心配して翼が傍に寄り添う。

 

 結局、響達はフィーネという存在が謎の女だけでなく、クリスのことも取り逃がしてしまったのだった。

 

 一方その頃の司令室では、二課の職員達が慌ただしく機器を操作していた。

 

「反応ロスト。これ以上の追跡は不可能です」

 

「こっちはビンゴです」

 

 藤尭が機器を操作して司令室の中央モニターにある資料を表示させる。それは、2年前に発行されたとある新聞の一面の記事だった。

 

 そこには1人の少女の行方不明について書かれていて、記事の隣に載せられた写真は今よりも顔に幼さが残っている雪音クリスのものだった。

 

「あの少女だったのか……」

 

「雪音クリス。現在16歳。2年前に行方知れずとなった過去に選抜されたギア装着候補の1人です」

 

 藤尭からの説明を聞いた弦十郎は、その顔を深刻なものへと変えて瞑目する。その弦十郎のデスクには、響の幼馴染みである未来と二課のエージェント達が映った映像が表示されていた。




・原作ビッキーと今作ビッキーとの相違点コーナー

(1)響、NIRVANA(ニルヴァーナ) MAGOG(マゴグ)を喰らう
──シンフォギアXDにて、最近プレイアブルでも使えるようになった必殺技を出しました。分からない人は、ようつべなどで動画検索してみて下さい。

(2)響、クリスに釘付けになる
──今作ビッキーは、クリスちゃんに釘付けになっちゃいました。素が可愛い上にあれだけの巨乳ですからね、そりゃ年頃の男の子ならそっちに視線がいっちゃいますよ。

(3)響、翼と軽口を飛ばし合う
──仲良くなった結果の遣り取りです。

(4)響、背中でクリスを守る
──原作ビッキーは、タックルで相打ちのダメージでしたが、今作ビッキーは背中で守ったのである意味原作よりもダメージが大きいです。それでも気を失ってないのは、鍛えていたお蔭です。

 今回で僕が挙げるのは以上です。他に気になる点がありましたら感想に書いて下さい。今後の展開に差し支えない範囲でお答えしていきます。

 戦闘終了までが丁度キリが良かったので、今回はここまでになります。

 さて、次回からはどう話を運んでいきましょうか。393と会話させてみるのも有りですかねー(棒)

 それでは、次回もお楽しみに!

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