皆さん、漸く海賊ギアのクリスちゃんを当てることが出来ましたよ! 初のクリスちゃんの☆5枠です! 今まで数種類のガチャを回してきましたが、クリスちゃんの☆5が出るのは初めてなので、凄く感動しております。
最近AXZを見直したんですが、あの響の腕ドリルを早くシンフォギアXDにも出してくれませんかね。あれ凄く好きなんですよ。後、マフラーでの攻撃も。
無駄な話はさておいて、そろそろ本編に入りましょうか!
それでは、どうぞ!
病院からの退院手続きを済ませた翼は、リディアンと二課の本部を行き来するエレベーターに独り乗っていた。
(奏が何の為に戦ってきたのか、今なら少し分かる様な気がする。だけど、それを理解するのは正直怖い。人の身成らざる私に、受け入れられるのだろうか?)
翼が考えていたのは、彼女の夢の中に出てきた奏が言ったことについてだった。戦いの裏側やその向こう側にある何かを模索していた翼だったが、今回の響との対話や共闘によってその一端に触れ始めていたのだ。
しかし、翼の過去の生い立ちがそれを理解して自分自身の中に受け入れられるかどうかは別の問題であった。
「“自分で人間に戻ればいい。それだけの話じゃないか? 何時も言ってるだろ。あんまりガチガチだとポッキリだって”なんてまた、意地悪を言われそうだ」
自分の抱えている悩みに、奏ならこう答えられるだろうと考えた翼はその言葉を口にして出していた。
(だが今更、戻ったところで何が出来るというのだ? いや、何をして良いのかすら分からないではないか)
翼はそう内心で独り言ちながら、二課本部に着いて開いたエレベーターから降りていく。
『好きなことすれば良いんじゃねえの。簡単だろ。それに、もし本当に分からないなら、人に聞いてみれば良いさ。あの頑張り屋の可愛い後輩とかにさ。きっと力になってくれるよ』
すると、後ろから翼の耳に自身を励ます奏の声が聞こえた気がして、翼は咄嗟に振り返った。だが、後ろには当然奏の姿は無く、開いていたエレベーターが閉まる光景があるだけだった。
(遠い昔、私にも夢中になるものがあった筈なのだが。……奏の言う様に、立花に聞いてみるというのもありかもしれない)
結局、考えも纏まらず答えも見つけられないまま翼は二課本部の廊下をずんずん進んでいくのだった。
一方、翼よりも一足先に二課の本部に戻ってきていた響は、メディカルルームで了子に体の検査をしてもらっていた。検査の結果、響の体には特に異常は見つからなかった。
「外傷はそこそこあったけど、深刻なものが無くて助かったわ」
「要するに、何か悪い箇所があったって訳じゃないんだな」
「今回は、どうやら少しお疲れ気味のようね。今までのストイックな特訓に、響君の新必殺技の我流・撃槍衝打が原因といったところかしら」
「やっぱり、ぶっつけ本番の即興がいけなかったかぁ」
「発想そのものは素晴らしいんだけど、初めてってこともあってエネルギー消費を度外視だったのよねぇ。折角編み出したんだから、これからも戦いの中に活用していけば良いけど、次からはちゃんと使い所を見極めてエネルギーのセーブはちゃんとしなきゃね♪」
「はい、肝に銘じてこれから課題にして取り組みます……」
了子がウィンクをしてそう言い、響は苦笑いを浮かべながら返答した。
「まぁ、少し休めばまたいつも通りの体調に回復するわよ」
「そっか。なら、問題無いなっと」
響は、検査の為に横になっていた寝台から勢いよく飛び降りて、近くまで歩み寄ってきていた了子の傍まで自分も歩み寄る。
「……了子さん、俺の友達は……未来はどうなったんだ?」
だが、先程とは打って変わって少し影のある表情になった響が了子に未来のことを訊ねた。戦闘中は兎も角として、戦闘終了後の響はそればかりが気になってしょうがなかった。
「心配しなくても大丈夫よ。緒川君達から事情の説明を受けている筈だから」
「……」
「機密保護の説明を受けたら、直ぐ解放されるわよ」
「あぁ……」
了子は響を元気付けようと飽く迄明るく話していたが、それでも響の心の不安を完全に拭い去るということは叶わなかった。
場所は再び変わり、今度は二課の司令室でも重苦しい深刻な空気が満ち満ちていた。
「まさか、イチイバルまで敵の手に。そして、ギア装着候補者であった雪音クリス」
「聖遺物を力に変えて戦う技術において、我々の優位性は完全に失われてしまいましたね」
「敵の正体、フィーネの目的は……」
問題を口に出せば出す程に室内の空気は重くなっていき、弦十郎に至っては先程から一言も話さずに腕を組んだまま黙り込んでしまっていた。
「深刻になるのは分かるけど、シンフォギアの装者は2人共健在! 頭を抱えるにはまだ早過ぎるわよ」
そんな重い空気の中、途中で合流した翼と響を伴って了子が司令室に入室した。どうやら話は外まで聞こえてきた様で、了子は重い空気をどうにかする為に言葉で弦十郎達を鼓舞した。
「翼! 全く無茶しやがって」
「独断については謝ります。ですが、仲間の危機に、私の背中を死に物狂いで必死に追い掛けている後輩の危機に伏せっているなど出来ませんでした」
「ッ!」
改めて翼から仲間だと、後輩と呼ばれたことが響にとってはとても嬉しく、言われたその直後につい翼の顔を一瞥してしまうのだった。
「立花は未熟な戦士です。半人前ではありますが、戦士に相違無いと確信しています」
「翼さん……!」
未熟や半人前という言葉は響の心に軽く伸し掛かったが、それでも翼に戦う者として認められたことは響にとって何より嬉しかった。響の努力と奮闘が、確かな結果となって身を結んだ瞬間だった。
「完璧には遠いが、立花の援護くらいなら
「俺、今まで以上に頑張ります!」
自分の体調を確認する様に手を握って開いた翼に、響は体ごと振り向いて正面から面と向かってそう告げた。瞳を爛々と輝かせる響を見て、翼の顔にも自然と笑みが浮かぶ。
「響君のメディカルチェックも気になるところだが」
「飯を
「君の友達のことなら大丈夫だぞ。もうリディアンの寮に戻ったと連絡が来た」
「そっか……。知らせてくれてありがとな、おやっさん」
未来の安否を聞き、一先ず響は安堵の息を漏らす。
すると、今まで黙っていた了子が唐突に響の左胸を指差し、それを不思議に思った響は首を傾げながら了子の方を見遣る。
「どうしたんだよ、了子さん?」
「響君の心臓にあるガングニールの破片が、前より体組織に融合しているみたいなの。驚異的なエネルギーの回復力はそのせいかもねぇ」
「融合、ですか……」
「ッ!?」
融合という言葉を聞き、クリスが纏っていたネフシュタンの鎧も修復の際に装着者の体組織を侵食しようとしていた光景を思い出して、翼は了子のことを一瞥した。
「大丈夫よ、あなたは可能性なんだから」
「可能性って大袈裟過ぎるだろ。それじゃー、俺は今日はこれで。疲れを取る為にも、飯食ってぐっすり寝ないといけないから」
「あぁ。今日はお疲れだった」
弦十郎からの了承も得て、響は足早に司令室を後にする。その際、響に向かって手を振る了子のことを、近くにいた翼はずっと訝しげに見続けていた。
◇◇◇
月光と街灯が夜の闇を照らす中、二課からの捜索を振り切ったクリスが1人で夜の街の中を歩いていた。
「何でだよ、フィーネ?」
独り言ちながら歩き続けるクリス。その脳裏では、夕方に戦った響が言っていた言葉が何度も反復していた。
「っ、あいつ……くそっ!」
先からずっと響の言葉はクリスの中で繰り返され続け、それが苛立つ要因となっていた。
(あたしの目的は、戦いの意思と力を持つ人間を叩き潰し、戦争の火種を無くすことなんだ! だけど……)
クリスが内心で自身の考えを吐露していると、不意に女の子の泣き声が聞こえてきた。それを聞いたクリスの視線は、自然とそちらに向けられる。
「泣くなよ! 泣いたってどうしようも無いんだぞ!」
「だって……だってぇ……」
泣き声が聞こえてきた方向には、街灯の側にあるベンチに座りながら泣いている女の子と、少し強めの言葉で女の子を泣き止まそうとしている男の子がいた。
「おいこら、弱い者虐めるな!」
それを弱い者虐めだと思ったクリスは、そちらへ歩み寄りながら男の子を叱る。クリスの声が聞こえたことで、男の子と女の子の視線もクリスに向けられた。
「虐めてなんかいないよ! 妹が……」
男の子はそう言うが、話している間にも女の子は余計に泣き出してしまう。
「虐めるなって言ってんだろうが!」
「わっ!?」
女の子が更に泣き出したのを見て、クリスは余計に女の子が虐められていると思い、拳を振り上げながら男の子を叱る。それを見た男の子は、自分の顔を庇うように咄嗟に両腕で顔を隠す。
だが、クリスが男の子に詰め寄るよりも先に、先程まで泣いていた女の子が毅然とした態度でクリスと兄の間に割り込んで、兄を守るように両手を広げた。
「お兄ちゃんを虐めるな!」
まだ目尻に涙を溜めて今にでもまた泣き出しそうな女の子だったが、それでも兄を守ろうと強い眼差しでクリスを見遣る。クリスはそれを見て、眉をへの字に変えて上げていた腕を下ろした。
「お前が兄ちゃんから虐められてたんだろ?」
「違う!」
「はぁ?」
兄に虐められていた訳では無いという女の子の話を聞き、ますます泣いていた理由が分からなくなったクリスは更に頭を悩ませる。
「父ちゃんがいなくなったんだ。一緒に捜してたんだけど、妹がもう歩けないって言ってたから、それで……」
「迷子かよ。だったら、端からそう言えよな」
女の子の兄である男の子から事情の説明をされ、クリスは思わず呆れ返ってしまった。
「だって……だってぇ……」
「おいこら──」
「小っちゃい子にそんな強気な口調で話しかけるなよ。余計に泣かせちまうぞ?」
再び泣きそうになる女の子をクリスは強い口調で止めようとしたが、言葉を言い切る前に新しくやってきた第三者に遮られる結果に終わる。
「この声……!?」
その声の主の正体を知っていたクリスは、直様声が聞こえてきた方角に体ごと振り返った。その方向には、背中にかなり巨大なバックパックを背負い、左手にパンパンに膨らんだバックを持った響が立っていた。
「よっ! さっき振りだな、クリス!」
「なっ、どうしてお前がここにっ!?」
響は、まるで友達に会ったかのようにクリスに声を掛ける。対してクリスは、響が平然とこの場にいることに驚きを禁じ得ず警戒心をグッと引き上げる。
「
「買い物帰りって訳かよ……。もしかして、手持ちのそれと背中のそいつも食料が入ってるのか……?」
「応よ! 自分で言うのもなんだけど、俺って大食らいだからな。これぐらい無いと、1週間も持たないんだよ」
若干引き気味に訊ねられたクリスの質問に、響は隠す気も無く堂々と肯定する。冗談のつもりで聞いたクリスだったが、本当に全部食料であったことを理解して、口元が引き攣っていった。
「で、クリスはどうしてここにいるんだよ? それと、後ろの子達は?」
「あたしのことなんて知ってどうしようってんだよ? あたしが何処にいようが、あたしの勝手だろうが! ただぶらぶらとその辺歩いてたら、こいつらの声が聞こえてきてよ。少し気になったから……それで……」
響にここにいる理由を訊ねられ、最初は強気だったクリスも事情を説明していく内に声がか細くなっていって、終わりの方は殆ど聞こえなくなるが、その代わりにクリスの頬は赤くなっていた。
少し恥ずかし気に顔を赤くして目線を逸らすクリスを見て、響はブッと吹き出して満面の笑みで笑い出した。自分の態度を見て響が笑い出したのを悟り、クリスは向きになって響に噛み付く。
「おい! 何笑ってやがる!! 人様の顔見て笑うなんて、失礼極まりねえぞ!!!」
「悪い悪い! 許してくれよ! クリスってそんな顔もするんだなって思ってさ。今まで俺達にツンツンしてばっかりだったからさ、ついな」
「そいつは、お前らがて──」
敵、と言い掛けたところでクリスが口を噤む。何も知らない子供達が傍にいる中で、血生臭いを戦いの話をする訳にはいかなかったからだ。
(……強気で女の子にしちゃ口が悪いけど、根は優しいんだな)
響が笑っていたのは、何もクリスの態度が面白可愛かっただけだからじゃない。クリスが子供達のことを気に掛ける優しさを秘めていることが分かったからだった。
現に今も、戦いを知らない子供達のことを気に掛けて、言ってはいけない単語を無理くり引っ込めたのだ。
響は恥ずかしがっているクリスの横を通り過ぎて、置いてけぼりにされている兄妹に目線を合わせる為に片膝を着いてから話しかける。
「あのお姉ちゃんと何話してたんだ? 良かったら、俺にも教えてくれないか?」
「あ、う、うん。妹と一緒に父ちゃんを捜してたんだけど、妹がもう歩けないって言うからこの場所から動けなくて……」
「成る程な。よし、分かった! 俺とお姉ちゃんが2人と一緒にお父さんを探してやるよ!」
「良いの!?」
「あぁ!」
少し冗談を交えながら、男の子の頭を撫でて子供達に笑い掛ける響。そんな響の無邪気な笑顔を見て、子供達も視線と笑顔を浮かべた。
「おいこら待て! あたし抜きで何勝手に話を進めてんだ!? 」
「ん? 何か問題でもあったか?」
「大有りだ! 何であたしも一緒に捜すことになってんだ! お前がそいつらと一緒にいるなら、あたしは別に必要無いだろうが!」
どうやら、クリスは何時の間にか自分まで父親捜しに加えられるように話を進められたことがご不満のようであるが、響はクリスの事情なんて知ったこっちゃないと話を進める。
「そんな寂しい事言うなよ。俺とお前の仲じゃん。
「競うとかいう青臭え言葉で片付けられる仲じゃ無えだろ、あたしとお前は!?」
「まぁ、良いじゃんか。それにだ。最初にこの子達を見付けたのはクリスなんだ。最後まで付き合ってくれよ。それとも、そんな途中でほっぽり出すような筋の通らない酷い人間じゃねえよな?」
「ッ! 言ったな! 分かったよ、付き合ってやるよ! 最後まで付き合えば良いんだろ!? だから、これ以上話を面倒臭くするんじゃねえぞ!? ……あっ」
響の挑発口調に乗せられ、最後まで付き合うと口に出してしまったクリス。確かなクリスの言質を取り、響は満足気に悪戯小僧のような笑みを浮かべていた。
「乗せられちゃったぁ? ……怒った?」
「……ッ!」
子供達の前ということもあって、殴るに殴れないクリスは心に沸々と湧いてくる怒りを溜めこんでいくのだった。
響達は女の子が再び歩けるようになるのを待ってから、響とクリスで子供達を挟むように手を繋ぎながら夜の歓楽街を歩き出した。順番はクリス、女の子、男の子、響といった順である。
子供達の父親を捜す中、響は隣にいる男の子に男の子なら興味を持つであろう響が外国諸国を巡った2年の間に起こった面白い冒険譚を話していた。その話に男の子は興味津々で、響もノリノリになって話していたが時折別の場所にも視線を向けていた。
「♪〜♪〜♪」
それは響と同様に子供達の父親を捜しているクリスだった。クリスはこうして父親捜しをしてる中で、鼻歌を歌っているのである。最初は興味本位で鼻歌を聞いていた響も、今では彼女の鼻歌に夢中になっている。それはクリスと手を握っている女の子も同様で、先程からずっと鼻歌を歌うクリスに視線を向けっ放しだった。
「な、何だよ? お前も、何こっち見てんだ!?」
響と女の子に見られ続けていた事に気付き、クリスは少し乱暴な言葉でそう言った。
「お姉ちゃん、歌好きなの?」
「……歌なんて大嫌いだ。特に、壊す事しか出来ないあたしの歌はな……」
女の子に歌が好きかどうかを問われ、
「俺はそんなこと無いと思うけどなぁ」
しかし、そんなクリスの言葉を響は否定した。響の言葉を聞き、クリスは直様キツい視線と言葉を響に投げ掛けた。
「何寝むてえこと言ってんだ!? お前は現に知ってんだろうがっ! あたしの歌は──」
「それはそれ、これはこれだろ? そんな一概に考えなくても良いだろうが。難しいことばっか考えてると禿げるぞ?」
「禿げるだぁ!? お前、あたしが女だってこと分かってんのか!? 夕方の時も普通なら女に言わないようなこと口走りやがって!!?」
「隠すべきようなことでもないから、別に言っても構わないだろ。それにクリスが女だなんて、何当たり前なこと聞いてんだ? こんなに可愛い女の子が男の訳無いだろ?」
「なっ!? おま、可愛いって!? 本当に言葉を選べよ、お前!!
「おぉ、こっわ(笑)」
「さっきから喧嘩売ってんのか!?」
響のお陰で先程までの不穏な空気が払拭される。クリスは顔を真っ赤にさせながら怒り、響は表情をコロコロ変えながらクリスに笑い掛け、2人を見ていた子供達は勢いに釣られて笑っていた。
「兎に角だ。俺が言いたいのは、1つだけだ」
「……何だよ」
「俺は好きだよ、クリス(の歌が)」
「ばっ!? な、な、ななな、何言ってんだ、この筋肉バカ!? す……好き、好きって、お前……!? 第一、あたしとお前は敵同士だろ!? それに、お互いのこともロクに分かってもないのに……!?」
(……俺、何か変なこと言ったか? 普通にクリスの歌が好きだって伝えただけなのに?)
段々か細くなっていく声と何故か悶えていて顔が真っ赤のクリスの反応を見て、響はどうしてそうなっているのかが理解出来ないでいた。響からしたら、ただ自分の気持ちを正直に伝えただけなのだから。
まだ歳の低い子供達からもクリスがどうして悶えているのかは理解出来なかった。誰にも理解されないままクリスの羞恥タイムが続いた。
すると、交番の前に差し掛かったところで丁度1人の年配の男性が交番から出てきて、響達の存在に気が付いた。それを見た子供達もパァっと表情を明るくする。
「父ちゃん!」
「あぁ!」
年配の男性は、どうやら捜していた子供達の父親のようで、響とクリスの手から手を離した子供達が男性の下へ駆け寄って行く。
「お前達、何処に行ってたんだ!?」
「お姉ちゃんとお兄ちゃんが一緒に迷子になってくれた!」
「違うだろ。一緒に父ちゃんを捜してくれたんだ」
「すみません。ご迷惑をお掛けしました。折角のデート中でしたのに、本当にすみません……」
自分の子供達が掛けた迷惑を謝罪し、響とクリスを仲の良いカップルと勘違いした男性がもう1度改めて謝罪する。デートという単語を聞き、クリスは耳まで真っ赤にして否定する。
「デートッ!? ち、違う違う!? あたしとこいつはそんな関係じゃ無え! 強いて言うなら、そう腐れ縁みたいなもんだ!!」
「えぇ!? 何時もは俺にデレデレなのに!? 何でそんな冷たい言葉を!?」
「ボケ倒してんじゃねえよ!? 何出鱈目言ってやがる、この筋肉バカッ!?」
「ぐふぅ!?」
ボケ倒そうとする響の鳩尾に肘をぶち込んだクリス。不意打ちの一撃だった為、普段鍛えている響も思わずダメージを負ってしまった。
「本当、私とこいつもただの成り行きだっただけだから」
「そうですか。ほら、お姉ちゃん達にお礼は言ったのか?」
「「ありがとう!」」
男の子と女の子は、父親に促されて響とクリスにお礼を言う。2人のお礼の言葉を貰って、響は鳩尾の痛みに堪えながらぎこちない笑みを浮かべる。
「仲良いんだな。そうだ、そんな風に仲良くするにはどうすれば良いのか教えてくれよ」
仲良くする兄妹を見ていて、不意にクリスは兄妹にそう訊ねた。クリスの言葉を聞いて、妹は仲良しをアピールするように兄に抱き付いた。
「分からないよ……何時も喧嘩しちゃうし」
「喧嘩しちゃうけど、仲直りするから仲良し!」
兄妹はクリスの質問に自分なりの考えを伝えたが、クリスには今一ピンと来ず顔は曇ったままだった。
その後、響は去り行く仲良しな家族を見送った。その際、兄妹は響に向かって手を振り、響も手を振り返していた。
家族の姿も見えなくなり、響はクリスに話を切り出す。
「さてと、クリスはこれからどう……あら?」
しかし、響が話しかけようとしたクリスは既にその場にはいなかった。どうやら、響が家族に手を振るのに夢中になっている間に、クリスは姿を消したようである。
(……どうしよう。折角のチャンスだったのに、見す見す逃しちまった! フィーネって奴と仲悪くなってたから、話をするには絶好のタイミングだったのに!! ってか、あの子達に仲直り云々を聞いたのもフィーネって奴と仲直りする為だったんじゃねえか!?)
「何処行ったんだよ、クリスッ!!」
クリスの名を響は呼ぶが、その声に応える者は誰もおらず、ただ虚しく夜の歓楽街の中に消えていった。
一方で、響から急いで離れたクリスは、夜の歓楽街の中でも尚暗い路地裏の道を1人で歩いていた。
これからどうするかを考えるクリスだったが、その思考は途中で割り込んできた雑念によって中止させられる。
「ちくしょう! 何で……何で、あいつの顔ばっか浮かんできやがる……!」
クリスの脳裏に浮かび上がるのは、自分を捨てようとしているフィーネではなく、先程まで不本意ながら行動を共にしていた響のことばかりだった。
「くそっ! あいつは敵なんだぞ!? なのに、どうして……あいつと過ごしていた時間が楽しかったなんて思ってる自分がいるんだよ……!?」
クリスには、それが不思議でならなかった。クリスにとって立花響という少年は、極端な言い方をするなら敵だった筈である。
だというのに、今のクリスは敵である筈の響のことしか頭に思い浮かばない。それも、その大半が共に過ごした先程までの短い時間の中で響が見せた年相応の無邪気な笑顔である。
加えて、クリスの胸の内には、黙って響の傍からいなくなったことへの罪悪感のようなものまでもが湧いてきていた。
「何なんだよ、この気持ちはよ……。頭ん中ゴチャゴチャだ……!」
心に迷いと不安を抱え、頭の中がゴチャゴチャで思考が定まらないままクリスは自身の拠点に向けて足を運びだした。
・原作ビッキーと今作ビッキーとの相違点コーナー
(1)響、少ししか疲れていない
──原作ビッキーは割とヘトヘトでしたが、今作ビッキーは割と平気です。これも凄まじいスタミナと回復力の為せる技です。
(2)響、クリスと夜中に出会う
──クリスちゃんに発生した迷子イベントに響も遭遇。響は、クリスは口は悪いけど根は良い子だと気付き始める。
今回で僕が挙げるのは以上です。他に気になる点がありましたら感想に書いて下さい。今後の展開に差し支えない範囲でお答えしていきます。
今回はクリスちゃんのイベント回でございます。可愛いと言われて赤くなるクリスちゃん可愛い。好き(歌)と言われて真っ赤になって悶えるクリスちゃん可愛い。少し勘違いしてるクリスちゃんも可愛い(*´ω`*)
393イベントはもう少し後なんじゃよ。だから、もう少しだけ待って欲しいです。
あれ、393!? どうしてここに!? 自力で脱出を!? ……えっ、哲学兵装ってご存知ですかって?
それでは、次回もお楽しみに!