戦士絶唱シンフォギアIF   作:凹凸コアラ

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 皆さん、どうもシンシンシンフォギアー!!(挨拶)

 お久しぶりです、読書の皆様。3ヶ月ぶりの投稿ですが、皆さんは僕のことを覚えていてくれましたか?

 辛い就職活動を乗り越えて内定を掴み取り、漸く先週に放送スタートした“戦姫絶唱シンフォギアXV”の波に乗って帰ってきました!

 これからは執筆ペースを徐々に戻しながら投稿できるように努めていきたい所存です!

 投稿していない間に長い時間が過ぎて言いたいことや伝えたいことが積もりに積もってしまいました。ですが、今はこれだけ言いたい。

 “戦姫絶唱シンフォギアXV キャラクターソング1 立花 響”好評発売中です! 僕はもう既に購入済みです!

 一週間ごとに次々とキャラソンが発売されるので懐の消費が激しいですが、僕はシンフォギアファンのいち装者として全部揃えてみせます!

 聞くがいい! 僕(の財布)の歌(絶唱)を!!

 さて、懐かしい無駄話コーナーもここまでにしてそろそろ番外編の方に入っていきましょうか!

 かなり時間をかけた上に僕も少し執筆能力が衰えていたり、登場人物のキャラが合わなかったりするかもしれませんが、それはこれから徐々に修正していきますので今回はご了承下さい。

 それでは、どうぞ!


EXTRA EPISODE 3 平穏の一時

 行動制限が解除され、装者達は元の日常へと戻ってきた。それによって窶れていた未来の体調も元に戻り、装者達の新しい日常が始まった。

 

 まず最初に行われたのは、響の兄貴分で弦十郎の友人である黎人への説明であった。響達装者に命を救われ、結果的に響達がシンフォギアを纏っている姿を見られた為、責任者であり友人である弦十郎からその事情説明が行われたのだ。

 

 弦十郎の説明を聞いて事情を把握した黎人は、自身から二課に協力することを申し出た。黎人のことをよく知る弦十郎と響は大変驚いていたが、結果的に黎人は未来と同じく民間協力者という形で二課の仲間となった。

 

 その際、黎人はクリスに自身がクリスの両親と親しい間柄であったことを説明した。生前のクリスの母であるソネットの面影が大きく残っているクリスの容姿を見て、黎人は本当に母親にそっくりだと言葉を漏らしていた。

 

 それとクリスの身の上を決めるに当たって、黎人がクリスの書類上の保護者として立候補した。響や弦十郎からも厚い信頼が寄せられていることや、亡くなった両親と親しかったということもあって、クリスからは特に反対意見は出なかった。

 

 結果として黎人はクリスの保護者となり、義父と義娘という関係に落ち着いた。

 

 余談であるが黎人には沢山の奥さんがいるだけでなく、その分だけの沢山の子供達もいる。黎人の実子の数は両手の指の数以上いて、1番上の子の歳は12歳であったりする為、義理とはいえクリスは何時の間にか沢山いる弟妹の姉となっていた。

 

 次に、翼や未来とその友達である創世達リディアンの女生徒は、政府から用意された新しいリディアンの校舎へと通うこととなった。

 

 今のリディアンの校舎は昔に廃校となったミッションスクールを改装したもので、以前のものと比べて黒板が電子黒板でなかったり、廊下が木製であったりと古めかしい要素が残る(おもむき)のあるものである。

 

 しかし、ノイズの襲撃や前衛的であった校舎が古風なものに変わったことで女生徒達の何人かはリディアンを去ってしまい、その生徒数は春の新学期時と比較して6割程度にまで減少した。

 

 それでも残ったのは心からリディアンを愛し、音楽について学ばんとする少女達であった。その少女達も最初の内は新しくなった校舎に苦労していたが徐々に順応していっている。

 

 クリスも学業に復帰し、新しくなったリディアンへと通っている。クリスが素直じゃない且つ恥ずかしがり屋ということもあって、未だ親しい友達が出来たという報告を受けていない響や黎人であったが、それも時間が解決してくれるだろう。

 

 口が少し乱暴であるが雪音クリスという女の子は本質的に良い子であり、そんな素直になれない女の子の本質を分かってくれるお人好しな人間がきっといる筈なのだから。

 

 その次に、アーティストとしての日常に戻った翼はよりアーティスト活動に注力するようになった。

 

 今回の件で大切な人が亡くしてしまった人が少なからずいるのは変えようの無い事実である。2年前に比べれば、人の亡くなった規模そのものは小かったが、人が亡くなったことに変わりはない。

 

 翼は、そんな大切な人を亡くして傷付いた人達の心が少しでも癒されるよう、亡くなった人達への弔いの意味合いも込めて歌を送り届けていた。

 

 奏が亡くなったことをずるずると引き摺り続けていた翼を立ち上がらせてくれた響のように、翼も誰かを立ち上がらせる為の力になれるよう頑張っているのだ。

 

 そんな翼の想いも歌を聞く人達にしっかりと伝わっていて、顔を俯かせて意気消沈していた人達も徐々に立ち直り始めている。

 

 事件が終わったことでノイズの発生も以前と比べて大きく減少し、その分だけ装者達が自由に行動出来る時間も増えた。

 

 前述のように翼は自由になった時間をアーティスト活動の為に使い、クリスも新しい生活に順応する為に頑張っている。

 

 そして、装者達の中で唯一学校に通わずノイズが発生しなければニート同然の響はと言うと──

 

「おい、坊主ぅ! そこの大きめの板こっちに持ってきてくれ!」

 

「はいよ!」

 

「響! それ運んだら今度はこっちに来てくれ!」

 

「了解!」

 

「響君! そっち終わったら今度は味見を頼むわ! 炊き出しと差し入れ作ってるから、その味見をして欲しいのよ!」

 

「かしこまっ!」

 

 ──夏空の下、上半身タンクトップで沢山の人達に頼られていた。

 

 最近の響は午前中や二課の装者として任務が無い時は、戦いのせいで滅茶苦茶になってしまった街の復興を手伝っていた。

 

 知らなかったとはいえ、フィーネという存在の組織への侵入を許し、良いように踊らされ、挙げ句の果てに街に混乱を招いてしまった責任を政府は感じている。

 

 故に人員を多く派遣し、国からの出費を惜しまずに街が少しでも早く元の姿を取り戻せるよう尽力している。だが、幾ら人や資金を惜しみなく注ぎ込もうと、人が出来ることには限界があって直ぐに街は元通りにはならない。

 

 だから響は少しでも街が元の姿を取り戻せるよう自身も街の復興に協力をするようになった。シンフォギアの力は使えないが、それでもこれまで自分が培ってきた技術を少しでも役立たせる為に。

 

 最初こそ年齢の問題や響が中学中退という学歴の事情もあって、大人達からはあまり過度な期待はされずにただ実直で良い子だとしか認識されてなかった。

 

 だが、響が街の復興作業の中で多くの技術や料理の腕前を披露したことによって多大な貢献を示した結果、大人達の態度は一変して響のことを頼りにする者が増えていった。

 

 加えて言うと、街に残っている響のことを知る人達からも響のことを教えられ、響の人間性をよりよく理解した大人達はどんどん響のことを好意的に思うようになった。

 

「にしても若えのに大した奴だよな、あの坊主」

 

「本当ですね。自分があのくらいの頃は、自分は独りでも生きていける、自分は一人前だって信じて疑わず、威張り散らしては周りに迷惑ばかり掛けて、見ず知らずの誰かの為に態々頑張ろうだなんて思ってませんでしたよ」

 

「そうだな。自分は一人前だなんて見栄張って、その実は親の脛を齧りながら生きてた。あの坊主もまだまだガキな所はあるが、それでも俺があのくらいだった頃のうん百倍はマシだ。あの頃の俺は、家事一つも出来なきゃ大工仕事も満足に出来なかった」

 

「俺は学校でただただ将来のことを漠然と考えてるだけで何の技術も持ってませんでしたよ」

 

「俺もだ。考えてみれば学歴は中学中退で、今年で漸く16になるってガキがあんだけ色々出来るってことは、それだけ面倒な修羅場を潜って生きてきたってことに他ならねぇんだろうなぁ……」

 

「生きる為に必死に身に付けたってことですかね? ……何だか恵まれた環境で育っておきながら、この程度でひーこら言ってる自分が恥ずかしくなってきました……」

 

「言うな。そんなの俺も同じだ。……ったく、世の中ってのは理不尽なもんだ。俺らみてぇなのが碌に苦労もせず生きれて、ああいう良い奴に限って変な苦労ばかり背負わされるんだからよ」

 

「幸せになって欲しいですね、あいつには」

 

「あぁ、全くだ」

 

 復興作業をしていた男達は、先程まで自分たちを手伝って今さっき料理を作った女性達の下へ駆けていった響のことを見ながら自分の過去を振り返り、思い思いの言葉を漏らしていたのだった。

 

「立花響、ただいま到着しましたー!」

 

「待ってたわ、響君!」

 

「えぇ、本当に。ささ、早く味見の感想を聞かせてちょうだい!」

 

 次に響がやって来たのは、仮設住居や復興作業の現場近くに設けられた大きめのテントであった。そのテントには、種類は少ないが量は沢山ある料理とその料理を作った女性達がいた。

 

 テントにいた女性の年齢は割とバラバラで、響より少し年上に見える20代前半から60代後半の様々な年齢層の人が集まっている。

 

 このテントに集まっている女性達は、政府から要請されて援助に来た人と響のようにボランティアとして自らやって来た人で構成されている。

 

 彼女達が響を味見に呼んだのには勿論訳がある。ここの人達にとって、和食に洋食に中華、国によって違うメジャーな料理からマイナーな民族料理を数多く作ることの出来る響に料理を味見してもらうことは一種のステータスのようになっているのだ。

 

 響が味見をして満足のいく料理なら実際に食べる人達にも絶賛され、逆に響が満足のいかなかった料理は皆が同じように微妙な反応を返す。料理を作るからには、食べてもらう人に美味しいと言ってもらいたいのは皆同じだろう。

 

 故に彼女達は響に味見役を頼み、自身の料理の腕前を磨いているのだ。それに料理というのは出来るだけで女性としての女子力に繋がり、男子から見る女性としての格を上げるものだ。

 

 ボランティアとして来た女性の中には、まだ若く未婚者の人間もいる。そのような人達にとって、今この場は正しく花嫁修業の修練場と言っても過言では無いのだ。

 

「ではでは、早速頂きます!」

 

 女性達に案内され、響は目の前に用意された炊き出しの料理を少量ずつ味見していく。炊けたての白飯、具沢山の豚汁、他にも魚や野菜のお浸しといったものが次々と響の口に飲み込まれて消えていった。

 

 料理の出来を確認するように響はしっかりと料理を咀嚼しながら味わう。それを見守っていた女性陣、その中でも特に料理を作り始めてまだ日が浅い若い女性達が固唾を飲んで響からの言葉を待ち、後ろに控えている小母ちゃん組は温かな眼差しで成り行きを見守っている。

 

 (やが)て響が全ての料理を食べ終えて最後の一口を飲み込み、それに釣られて若い女性陣も生唾をごくり飲み込んだ。

 

「ふむふむ……うん! 良いと思うぜ! 文句無しに普通に美味い!」

 

 響から好評な評価を貰い、響の言葉を待ち続けていた若い女性陣が諸手を挙げて喜んで騒ぎ始め、後ろにいた小母ちゃん組も笑顔を浮かべて頷いている。

 

「米もしっかり炊けててベチャベチャしてないし、豚汁も具沢山でもしっかりとしてるし、魚もしっかりと火が通ってる。文句無しだ」

 

「ありがとう、響君! これまで付き合ってくれて本当にありがとう! これで彼氏に恥じること無く手料理を振舞えるわ」

 

「あたしも! 手料理を作れるようになったから漸く婚活を始められるわ!」

 

「そいつは良かった。それじゃ、俺はこれで」

 

 若い女性達が一人一人しっかりと響へお礼の言葉を述べ、響も1人ずつしっかりと相手にしてお礼の言葉を貰いながら席を立ち、その場を後にしようとする。

 

「おや? 何だい、響君。もう行っちゃうのかい?」

 

「あぁ、うん。今日はちょっと昼から予定が入ってるんだ」

 

 テントから出て行こうとする響を呼び止めて訊ねる小母ちゃんに、響は訊ねられたことへの解答を律儀に返した。すると、周りにいた女性陣の目の色が変わって途端に視線の全てが響に集まり始める。

 

「おやおやぁ? もしかして、今日はデートの予定でも入ってるのかい?」

 

「デートって訳じゃないけど、女の子に呼び出されてるのは確かだな」

 

 響の口から出た“女の子”というワードに反応し、年齢問わずに周りにいた女性全員がニヤニヤとニヤけ顏を浮かべ始めた。やはり、女性というのは幾つになっても男女の関係に関する話は大好物なのだ。

 

「成る程ね〜。それはもしや、昨日に響君を迎えに来てたあの黒髪のリボンちゃんかい?」

 

「何言ってるのよ、小母様。今日はきっとキャスケットを被った青色の眼鏡の子よ」

 

「いやいや! もしかすると、偶に犬の散歩の序でに顔を見せてくあのハーフちゃんかもしれないわよ?」

 

 女性陣が言っているのは未来、翼、クリスのことである。響がこうして復興現場で広い交友関係を持ってる故に、響によく会いに来る女の子として未来達は覚えられている。

 

 勿論、未来達の他にも創世や詩織や弓美といった響とも繋がりのあるリディアンの女生徒や非番の二課職員なんかが差し入れに来たりするのだが、目敏い女性陣はそれが親愛や友愛から来るものだということを見抜いていた。

 

 逆に未来、翼、クリスが響に恋愛感情を向けている恋する乙女だということも見抜いている。故に女性陣は未来達のことを目敏く覚えているし、話題にすれば直ぐに誰か思い浮かぶのだ。

 

「やっぱり響君の本命は、あの黒髪の子かしら? あの子とっても健気で良い子じゃない? それに何と言っても響君のことを1番分かってる気がするわ」

 

「何を言ってるのよ! キャスケットで眼鏡の子がきっと本命でしょ! ちょっとやんちゃで頑張り屋な響君は、断然あの子みたいなしっかり者のお姉さんがお似合いだわ!」

 

「でも案外あの銀髪ちゃんかもしれないわよ? 口は乱暴で素直じゃないけど、本当は優しい子だもの。それに何と言ってもおっぱいが大きいわ! 男の子としてはやっぱり大きなおっぱいに魅力を感じる筈だもの!」

 

 何時の間にか女性陣は響を置いてけぼりにしてヒートアップし始め、誰が響と引っ付くのにピッタリなのかを議論し始めてしまった。

 

「そ・れ・で? 響君はどの子が好みなのかしら?」

 

「待て待て待て! 待って! 本当に待って! 何でそんなに話がエスカレートしてんだよ!? そもそも俺にそんな気は無い!」

 

「どうしてだい? みーんな、あんなに可愛らしいのに。勿体無いわ。……まさか響君、男の子が好きだなんてこと──」

 

「それは無い! 絶対に無い! 俺は普通だ!」

 

 響の発言で変な勘ぐりを覚えてしまった女性陣の一部であったが、何かを言い切る前に響はその考えを否定した。幾ら否定したからといって、何の脈絡も無しに同性愛者扱いされるのは誰だって嫌なものだ。

 

「確かに3人共それぞれ良いところがあって、全員可愛いって言葉がピッタリな女の子だ。でも、だからこそ俺は付き合うとか考えられない」

 

「どうしてだい?」

 

「俺が3人に不釣り合いだからだ。俺はそんな大した人間じゃない」

 

 響には自身の自己評価が低過ぎるきらいがある。そのせいで自身の価値を低く思っており、そのような価値の低い人間が財宝や宝石よりも価値のある輝きを持っている少女達に見合う筈がないとも考えている。

 

「それにあいつらが俺に会いに来てくれてるのも、そもそも友達だからだ。あいつらが俺のことを男として好きだなんて思ってる訳がない。だから変な気持ちなんて持っても、あいつらに迷惑だろ?」

 

 友達だから会いに来てくれているのだと思っている響。実際のところ彼女達は響が友達だから会いに行ってもいるが、根っこの部分では好意を向けてる男の子に少しでも自分に振り向いて欲しいと思ってアピールしているのだ。

 

 しかし、悲しいことに先に記した自己評価が低い傾向にある考え方が響の鈍感さに拍車を掛けさせていることで響は未来達の好意に気付かない。気付いたとしても、それは親愛から来るものだと勝手に自己解釈をして終わらせるのである。

 

「それじゃ、俺はもう行くから! 俺がいない時にあいつらが訪ねてきても変なこと言わないでくれよ?」

 

 余程急いでいるのか、響はそれだけ言い残すと急ぎ足でテントから出て行ってしまった。そんな響を見送った女性陣は、やれやれといった様子の困り顔をしながら嘆息した。

 

「全く……とことん罪作りな子ね。そうは思わないかしら?」

 

「そうねぇ。あの子達も頑張ってアピールしてるのに、肝心の男の子があれだとねぇ……」

 

 1人の若い女性の言葉に小母ちゃん組の内の1人が賛同の言葉を述べて苦笑し、周りにいた女性陣全員も続くように首を縦に2回振って頷く。

 

「性格が良くて、家事も一通り出来て、修理やら何やら色々出来る」

 

「ちょっとおバカなところもあるけど、そこがまた愛嬌になってて可愛い」

 

「それに一生懸命な頑張り屋さんで、一途で真っ直ぐなところはカッコ良い」

 

 女性陣は指を1本ずつ折って数えながら響という人間の特徴を述べていく。指が1本折られる度に周りにいた他の女性陣もうんうんと頷いて同意の意を示す姿を見るに、どうやら響という人間の特徴は響の人間性が単純であるが故に分かりやすく明確で全員の認識として当て嵌まっているようだ。

 

「そこに世話焼きとかお節介とも言えるものが加わって……心キラッキラッの太陽みたいな魂イケメンの男の子が出来上がると……」

 

「顔だけ見れば、中の上の中くらいの普通よりかはイケメンなくらいよね」

 

「でも、そんな顔の出来なんてどうでも良いと思えるくらいに魂がイケメンな上に何でも出来るわ。……えっ、響君って旦那様にするなら優良物件過ぎない?」

 

「おまけに男女問わずに子供達からも人気があって、本人の面倒見も凄く良いわ。あの子が将来結婚して子供が出来たら、きっと良い旦那さんで良いお父さんになれるわ」

 

「……何で私って彼と同年代で生まれて来なかったんだろ? もう少し遅ければ……せめて5歳差くらいの年齢差ならアタックしても問題無かったのに……!」

 

 此方でも概ね響は好意的に見られている。中には己の生まれた時期を嘆き、せめてもう少し若ければと悔し涙を流しそうになっている者もいる。

 

「……あんなに良い子だからこそ、もっと自分を大事にしてもらいたいものなんだけどねぇ……」

 

 だが、好意的に見られるのと同時に響は女性陣から心配もされていた。まるで生き急ぐように身を粉にしながら人助けと称して他人の為に頑張り、避けられるトラブルにも自分から首を突っ込んで解決しようとする響の姿に女性陣は危機感を覚えた。

 

 別に響は強迫観念や他人から強いられて誰かの為に動いている訳ではない。響は自身の意思で動いている。一途に真っ直ぐに生きている。しかし、愚直故に見えぬものがあるという話である。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 街の復興に尽力して人々に様々な影響を与えている響は、呼び出し人である女の子から指定された場所を目指して街中を駆け抜けていた。

 

(不味い……。このままだと確実に遅れる……)

 

 響は懐に入れていたスマホの時計を確認してから内心で独り言ちた。復興現場で少々長く作業をしていたせいで響は指定された時間に遅刻しそうになっている。

 

 仕事を終えた響は、一旦帰宅してシャワーで汗を流してから身支度を整えて出発した。だが、復興現場でのことや響の不幸体質が折り重なって(あらかじ)め組んでいた予定よりも遅れてしまったのだ。

 

(少し遅れたくらいじゃ怒らないかもだけど……)

 

 待ち合わせ相手のことを理解している響は、自身が多少遅れたところで相手は少し呆れながらも笑って許してくれる相手であることを理解している。

 

 しかし、そうだとしても響の心にはかなりの罪悪感が湧いて出てきているのだ。

 

 そうして響が全速力で街を駆け抜けること10分が経ち、響は漸く待ち合わせに指定されていた場所である街の公園前に到着した。

 

「えーっと、時間は……げっ!?」

 

 響は再びスマホで時間を確認するが、スマホに刻まれていた時間は指定された時間より30分は経過しており、完全に響は大遅刻をしてしまっていた。

 

(まずったなぁ……。早いとこ見付けないと……って、あ!)

 

 響は待ち合わせに遅れてしまったことを気不味く思い、せめて一分一秒でも早く待ち合わせを見付けようと思ったが、響が行動を移す前に響が捜そうとしていた件の人物が響に歩み寄ってくるのを響は見た。

 

「遅れてごめん! 復興作業が長引いた上に何時もの面倒事に巻き込まれて遅くなった……!」

 

 歩み寄ってくる人物に響自身も歩み寄り、響は一応の言い訳として遅れた理由を簡単に述べ、両手の掌を合わせながら軽く頭を下げた。

 

「もう、響ってば仕方ないんだから」

 

 響と待ち合わせをしていた件の人物こと未来は、本当に申し訳なさそうに頭を下げて謝る響を見遣りながら不機嫌そうに片方の頬をプクリと膨らませた。

 

 そう、この日に響と待ち合わせをしていたのは未来であった。

 

 今は季節が夏真っ只中ということもあって学生達は基本的に夏休みの日々を楽しんでいる。当然それは未来や翼、クリスにも当て嵌まる。

 

 夏休みということもあって、響に好意を寄せる少女達は響にアピールする為に各々が様々な形で響にアタックを仕掛けている。

 

 翼は大人気アーティストということもあり、あまり時間が取れない上に下手に外で2人切りになればパパラッチに写真を撮られてスキャンダルに繋がる可能性もあるので、基本的には新たに設営された二課の仮設本部にてアピールしている。

 

 クリスは本人のツンデレ気質な素直じゃない性格のこともあって、外に出掛けて何かするよりも響の家にいる飼い犬のミライを出汁にして響の家を訪れ、別に何かする訳でも無い2人切りの時間を過ごすことを楽しんでいる。

 

 そして、今響と共にいる未来であるが、その未来こそが3人の中で1番に積極的なアプローチを図っていた。

 

 翼のようにスキャンダルを危ぶまれる立場でもなく、クリスのように素直になれない故の消極的なスタンスでもない上に、響のことを昔からよく知っている幼馴染みとしての立場を活用した立ち回りを未来は実行している。

 

 翼とクリスの予定を綿密且つ悟られないよう上手く聞き出し、響の予定を把握して今後の計画を練って、上手く2人を出し抜いて響と2人切りで過ごす時間を確保するという徹底振りの未来。

 

 現に未来は響に日程を合わせてデートの約束を取り付け、翼とクリスは今日は予定が入っている。

 

 憧れの先輩と友達を騙しているようで悪く見えるが、恋愛の前に女の友情とは何とも儚いものであり、恋とは正しく戦争なのである。

 

「本当にごめん! 許して下さい! ですから裁判だけはご勘弁を!!」

 

 余程身に沁みたのか、響は以前に実行された私刑を恐れて未来に謝り倒している。

 

「もう、私を何だと思ってるの? そんな鬼や悪魔に謝るみたいことしないでよ。私は気にして無いからさ」

 

 未来から見て響が真心込めて真摯に謝っているのは分かっているし、響が何かと小さなトラブルに多々巻き込まれるのはよく知っているから呆れることはあっても、怒るなんてことは余程のことでなければ決してない。

 

 だが、以前に自分がしたことのせいとはいえ、響に鬼や悪魔のような扱い方をされることを未来は望んでいない。未来はいつも通りの態度で響に接してもらうことを望んでいるのだ。

 

「ほら、早く行こ? 響が遅れた分の時間を取り戻さないと!」

 

「……それもそうだな! ぐずぐずしてても時間が勿体無い!」

 

 何時迄もずるずると引き摺りそうな話題をバッサリと切り上げ、未来は響の左腕に組み付いて響を引っ張り、響は抵抗することも無く未来にされるがまま歩き出す。

 

「ねぇ、響」

 

「何だ、未来?」

 

「今日の私の服なんだけど……どうかな?」

 

 恥ずかしそうに顔を赤らめながら笑う未来に訊ねられ、響に見えやすいよう少し距離を取った未来の服装を響はじっくりと見る。

 

 今の未来は、上が薄いラベンダー色の半袖のフリルブラウスで、下が膝下くらいの長さの白色のシフォンスカートという装いをしている。

 

 露出が多くなく、お洒落っぽさも健在且つ季節感も合っていて、服も万人受けする物であり、清潔感もある。夏服のコーデとしては、満点に近い点数を叩き出している。

 

 加えて言うと、ラベンダー色という紫色に属する色はこの上無く未来と合っているということもあって、未来の持つ女の子としての魅力にも拍車を掛けている。

 

 他にもベルトの細い小さな腕時計、季節感の合っているショルダーバッグといった未来の身に付けている物も未来の持つ魅力を底上げしていた。

 

「そうだなー……うん! 凄い似合ってるぜ、未来! どっからどう見ても美少女だ!」

 

「そ、そうかな? ありがと、響。……えへへ」

 

 響は未来の服装を見た率直な感想を述べてサムズアップをし、未来は更に頬を赤らめて嬉し恥ずかしそうに含羞(はにか)んだ。

 

 響と未来は話をしながら街に置かれているバスの停留所にやって来たが、響が遅刻してしまったせいで既に目的のバスは出発してしまっていた。

 

「バス、行っちゃってるね」

 

「そうみたいだな……。ごめん、俺が遅れたせいで」

 

「気にしないで。それにほら、もう新しいバスが来たみたいだよ」

 

 未来が言った通り、今回響と未来が乗ろうとしていたバスと同じ場所に行く次のバスがやって来る。運が良いことに遅れた分の時間と停留所にバスがやって来る時間が上手く噛み合ったようである。

 

「今日は何処に行くんだ?」

 

「えっとね、今日はここから6つ先のバス停の近くにあるショッピングモールに行きたいんだ」

 

「ショッピングモール? それなら近場ので良くないか?」

 

「良くありません。今日行くショッピングモールは、近くのショッピングモールよりも大きくて、ワンフロア丸ごとお洋服のコーナーに使われてるんだから!」

 

「ワンフロア丸ごと!? 凄いな、それ!?」

 

「でしょう! 他にも色々なお店が入ってるみたいなの。だからね、今日は響と一緒に見て回りたいんだけど、良いかな?」

 

「あぁ、勿論! そこまで言われると、俺も凄く興味湧いてきた! 今日は楽しみまくるぞ、未来!!」

 

「うん!」

 

 未来は響に態々遠くのショッピングモールへ行く理由を述べたが、未来が述べたものは出掛ける理由の半分くらいのものである。

 

 無論、未来とて女の子なのだから、当然お洒落にだって興味があるに決まっている。だが、飽く迄それは出掛ける理由の半分、要するに出掛ける為の建前である。

 

 未来が態々離れた場所にまで出掛けるのは、知り合いに見られること無く響と2人切りの時間を過ごしたいからである。

 

 デートして響にアピールするという目的もあるが、それ以上に未来は響と共にゆっくり落ち着いて時間を過ごすことに重きを置いていた。

 

 響と再会してからこれまで未来は響とゆっくり過ごす時間を持つことが出来ずにいる。

 

 未来が響と再会した時には、既に響は激化する戦いの渦中にいた。戦いが終わって漸く落ち着けるかと思えば、響は町の復興や数が減りはしたが未だに発生し続けるノイズの脅威と戦い続ける日々を送っている。

 

 その中でも未来は何かと時間を見付けては響と一緒にゆっくり過ごそうとした。しかし、そういう時に限って上手く落ち着いた時間を過ごせなくなるのだ。

 

 故に未来は今日という日をずっと楽しみにしていた。既に予定が少しだけ狂っているが、それもまだカバー出来る範囲であるし、予定が狂うこと自体は未来も覚悟をしていた。

 

「そう言えばショッピングモールで思い出したけど、俺と未来がまだ小さかった頃にショッピングモールで迷子になったことなかったっけ?」

 

「うーんと、それって確か私達が8歳ぐらいの時じゃないかな? 覚えてる? 私が迷子になっちゃって……」

 

「そうだそうだ、思い出した! 親から離れた上にショッピングモールが大き過ぎたせいで未来が迷子になっちゃったんだよな」

 

 2人が話題にして話しているのは、まだ響の父親も蒸発しておらず、未来も両親に全幅の信頼を寄せていた、平和で穏やかな時間がずっと続くと無意識に思っていた頃の思い出であった。

 

「独りぼっちでいるのが怖くて、何処かも分からないフロアの隅っこで蹲って泣いてた私を響が見付けてくれた」

 

「そうだったな」

 

(あの頃からそう……私にとって響は、優しい温もりをくれる太陽で、何処までも頼りになるヒーローだった‥‥)

 

 幼き頃の思い出話に花を咲かせる響と未来。沢山ある思い出を脳裏で回想させていく未来は、隣にいる少年の存在がどれだけ自分にとって大きなものであるかを改めて実感していた。

 

「昔からそうだったよね。響は私が困ってると、何時も直ぐに私のところに来てくれた」

 

「これからだってそうだぞ? お前がピンチなら何処にだって必ず駆け付けるさ!」

 

 快活な響の自信満々の宣言を聞き、未来は笑顔を浮かべながら小さく頷き返した。

 

 端から見れば最早幼なじみカップルにしか見えない二人の遣り取りを見て、同じバスに乗っていた人間の約半数が暖かい視線を送り、もう半数が嫉妬の視線を送っていた。

 

 そのような感じで昔話を織り交ぜながら響と未来が談笑を続けている内にバスは目的の停留所に到着し、響達は停留所から少し歩いた後に目的のショッピングモールに辿り着いた。

 

「ここがそのショッピングモールか。映画館もあるんだな、ここ」

 

「お買い物が終わったら何か見てく? でも、そうすると荷物が邪魔かな」

 

 買い物をしてからでは荷物が邪魔になって映画に集中出来ない可能性があると考える未来を見た後、響は映画館の施設の中にコインロッカーがあることに気付いた。

 

「映画館の前にコインロッカーもあるみたいだぞ。あそこで荷物預けてから中で映画も見れるっぽいな」

 

「あっ、本当だ! なら、ショッピングの後で映画館に寄ってこっか?」

 

「そうだな。それにしても未来と一緒に映画見に行くなんて本当に久々だな」

 

「そうだね」

 

 響と未来が離れ離れになってから優に2年は経過しており、2人が一緒に映画を見ることを久しく感じるには十分な時間が経過していた。

 

「チケット代って幾らぐらいなんだ?」

 

「えーっと、高校生は1000円みたい」

 

「残念ながら、俺は学生じゃないから一般料金になるんだよなぁ……」

 

 未来と自身のチケット代で800円もの料金差が出ることにショボくれる響であった。

 

「待って響。なら2人で割り勘にすれば──」

 

「いいって。二課で装者やってるから元から結構金は持ってるし、最近は復興を手伝っててバイト代も出てるから。遅刻したお詫びとして今日は全部俺が奢るから、未来は気にせずに好きに楽しめよ」

 

 こう見えて羽振りが宜しい響である。

 

 命の危険が常に付き纏う装者には、政府から多額の報奨金が振り込まれている。それは遅れて二課の装者になったクリスも例外ではなく、響や翼と同じ額をクリスも貰っている。

 

 そして、最近は街の復興活動を手伝っているので、その報酬も響は手に入れている。故に最近の響の懐は十全に潤っているのだ。

 

「お金のことを考えるなら、響もクリスみたいに学生に復帰すれば良いのに」

 

「嫌だよ、面倒臭い。それに今更学生なんて柄じゃない」

 

 クリスが学業に復帰するに当たって、実はその時に響の方にも学業に復帰するかどうかの話が回ってきていた。

 

 生徒数が減ったリディアンの生徒数を補填する為に共学化のテストという(てい)で響をリディアンに通わせる案や、リディアンと少なからず交流のある共学または男子校の学校に響を通わせる案と色々上がっていた。

 

 しかし、響はこの2つの案や他にも上がっていた案を全て蹴った。

 

 響は別にそこまで学業に興味を持っている訳ではない。

 

 リディアンに通うにしても響以外男子がいない状況では、客寄せパンダのように周りから沢山の視線が飛んで来そうであり、そのような居心地の悪い環境に響はいたくないのだ。

 

 ならば共学か男子校に通えば良いと思われるが、そもそも響は勉強が大嫌いである。それも頭を使って覚えることは特にである。

 

 響が身に付けた技術だって、黎人が生きる為に必要なことだと何度も言い聞かせ、響も恩人が言うことだからと渋々納得しながら体に技術を覚え込ませることで体得したのだ。

 

 故に響は学業には復帰せず、二課所属の装者としてノイズと戦い続ける道を選び、結果的に響が装者に専念したことで二課は自由に動かすことの出来る戦力を手に入れたことになった。

 

 そのことはさておき、響と未来は席が多い内にチケット購入を済ませてからデパートを物色することに決め、映画館にあるチケット販売機で見る映画を選び始めた。

 

「未来はどんな映画が見たいんだ?」

 

「私は響と一緒なら何でも良いよ。今は特に見たい映画も無いし、今日は響が決めてよ」

 

「そっか。ならお言葉に甘えて!」

 

 未来からの了承も頂き、響は自分が見たいジャンルの映画を探し始める。

 

「アクション……アクション……うーん、今はアクション映画無いみたいだな」

 

 弦十郎と同じく大のアクション映画好きな響は、当然アクション映画を見るべく新作でも続編でも良いからアクション映画を探すが、どうやら今の時期はアクション映画は上映していないようであった。

 

「おっ! マスクドライダーの映画やってるみたいだな!」

 

 響が言ったマスクドライダーとは、数ある特撮映像作品の1つであり、過去に多くのシリーズが制作され、その作品の多さから幅広い年齢層に愛されている作品である。 

 

「響は小さい頃からマスクドライダー好きだよね。今でも見てるの?」

 

「あぁ、勿論! 日本にいなかった2年間も欠かさず見てたよ!」

 

 響はアクション映画と同じくらい特撮作品が大好きであり、怪獣映画やヒーロー系の映像作品の殆どを網羅している程である。

 

 2年間ずっと日本に立ち寄ること無く生活していた響であったが、態々兄貴分である黎人に頼み込んで日本の電波を中継してもらって特撮を見ていたのだ。

 

「そうなんだ。じゃー今日は一緒にこの映画見よっか。私も久しぶりに見ていたいし」

 

「よっしゃ!」

 

 未来からの賛同を得た響は、上機嫌で懐の財布から5000円を取り出して購入機にぶち込み、鮮やかとも言える俊敏な手付きでチケット購入を早々に終わらせた。

 

「時間は夕方頃で、席の場所は大体真ん中から少しズレた右上辺りに取っといた」

 

「うん。それじゃーそろそろ行こっか、響」

 

「あぁ」

 

 購入したチケットを見て時間帯と席の場所を確認した後、未来は響の手を握りながらショッピングモールの中へ歩を進めた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「うーん……これも違うなー……」

 

「……」

 

「じゃーこっちはどうかな?」

 

 ショッピングモールに入った未来は、自身の手に取った商品を見比べながら長考を繰り返し、響はそんな未来の直ぐ傍で何も言わずにただじっと見守っている。

 

「うーん……やっぱり、こっちの方が良い! はい、響」

 

「ん……なぁ、未来」

 

「なぁに、響?」

 

「これ、何してるんだ……?」

 

 上機嫌な未来から差し出された商品を手に取りつつ、響は今まで感じていた疑問を未来に訊ねた。

 

「何って、服を選んでるだけだよ? 響」

 

「あぁ、服を選んでるのは分かるんだよ。でもさ、何で選んでるのが女物じゃなくて男物なんだ?」

 

 現在、響と未来は来る時に未来が言っていたショッピングモールのワンフロアを丸ごと使った服コーナーを訪れているのだが、未来が選んでいるのは自身が着るような女物の服では無く、サイズの大きい男物の服だった。

 

「だって今選んでるのは、私のじゃなくて響の服だもん。なのに女の子の服を選ぶのは可笑しいでしょ?」

 

「うん、そうだな。でもさ、何で態々俺の服選んでんだ? 別に俺、服欲しく──」

 

「ダメだよ響! 折角セールやってるんだから、これを機に響もお洒落出来るようにならないと」

 

 当初は未来の希望で服のフロアを訪れ、そのまま女物のコーナーに行くんだろうなと考えていた響であったが、フロア入り口付近に出されていた広告を見てから突如として未来の動きが急変したのだ。

 

 未来は広告に書かれていた男物の夏服のセールを見ると、直様響を連れ立って男物の洋服コーナーを訪れ、響に似合うと思われるセール中の服を片っ端から選び始めたのだ。

 

「それに響ってば基本的に持ってる服がパーカーばっかなんだもん。偶にはパーカー以外の服も着ないと!」

 

「あぁー……言われてみれば、確かにそうかも」

 

 未来に言われた通り、響の家のクローゼットやタンスに入っている響の私服はその殆どがパーカーで占められている。春用、夏用、秋用、冬用と春夏秋冬のパーカーが揃っているのだ。

 

 未来からすれば響のファッションや好みに無理に口出しする気は別に無いのだが、何か特別な行事でも無い限りずっとパーカーでは余りにも味気無いのだ。

 

 折角かっこいい容姿(未来目線)をしているのだから、その容姿に見合った響に似合うコーディネートの服を着熟して欲しいと欲求もあるのである。

 

「後はこれと……これ! はい、響! 早速試着してきて!」

 

「あぁ、うん。……まぁ、偶にはこんな日があっても良いか」

 

「ん? どうしたの、響?」

 

「いや、何でもない。ただ未来が楽しそうで何よりだなーって」

 

 自身で選んだコーディネート一式の服を渡してくる未来を見て、響は態々着替えることを面倒には思いつつも未来が楽しそうならそれで良いかと思い、この場に相応しくない考えを切り捨てた。

 

 未来に選んでもらった服を片手に響は試着室に入って着替え始め、未来は試着を終えた響が出てくるのをまだかまだかと少し鼻息を荒くしながら待ち続ける。

 

「着替えたぞー」

 

「うん! 響見せて! 早く早く!!」

 

「そんなに急かさなくても、直ぐに見せますよっと!」

 

 急かす未来にそう言い聞かせながら、響は掴んだカーテンを勢いよく引いてその姿を隠すこと無く曝け出した。

 

「どうだ、未来?」

 

「うん、良いよ! 凄く、凄く良いよ! 凄くかっこいいよ、響!! やっぱり私の見立てに間違いは無かったよ!!!」

 

 似合ってるかどうかを訊ねた響に対して、未来は鞄から取り出したスマホを直ぐにカメラモードに移行させ、凄い勢いで様々な角度から写真を撮り捲り始めた。

 

 写真を撮る未来の速さは半端なものではない。連射式シャーターの音は一切鳴り止まず、様々な角度で撮り続けている内に未来の動きには残像まで見え始める程だった。

 

 今の響の服装は、上が白色の半袖Tシャツの上にグレーの五分袖のコーチジャケットを着ていて、下が彩度高めのジーンズといった装いになっている。

 

 今時の若者感が滲み出ているその服装は見事に響にマッチしており、未来がここまで興奮するのも頷けるものだった。

 

「似合ってるなら、買ったほうが良いか?」

 

「うんうん! どんどん着てどんどん買おうよ、響! 最低でも5着は買ってこうね!!」

 

 今着てる服を買うことに決め、響は未来が他にも手に持っていた服の一式を受け取って再び着替え始める。

 

 次に響が着替えたのは、薄いグレーのラインが入った白のTシャツの上にモカの色のサマーカーディガンに黒色のスキニーパンツを組み合わせたものであった。

 

 新たな装いの響を見た未来は、先程の動きに勝るとも劣らない凄まじい動きを披露しながら響を写真に撮り続けた。

 

 その次は、白のロングTシャツとグリーンのラフゲージTシャツの組み合わせにベージュのワイルドパンツという装いであった。

 

 何時も服の上にパーカー等の別の服を着るという装いが多い響が上に何も着ていないという服装はかなり新鮮なもので、未来は何時もと違う響の装いを見て女の子がしてはいけなさそうな顔で写真を撮っていた。

 

 それから暫くの間は未来プロデュースによる響のファッションショーが続き、それが終わる頃には流石の響も何時もはしないことを長い時間し続けたことで疲弊していた。

 

 一方の未来はほくほく顔でスマホを眺めながら試着に使った服の厳選をしており、結果的にその日は響の新しい服を上と下のセットで5着買うことになった。

 

「あぁ〜疲れた〜……」

 

「ごめんね、響。私、何か凄く調子が乗っちゃって、つい……」

 

「謝らなくても良いって。未来が俺のことを考えてしてくれたことなんだから……!」

 

「そ、そっか……あはははは」

 

 響は謝ってくる未来に気にしないで良いと言葉を返した。

 

 確かに響の今後のことを考えて未来は服装をコーディネートしていたが、飽く迄響に言ったことは建前で、響を着せ替え人形にしてかっこいい装いの響を見たかったという欲望が未来の本音であったりする。

 

 善意でコーディネートをしてくれたと思っている響に、未来はばつが悪い思いを感じていた。

 

「ねぇ、響」

 

「何だ?」

 

「何時も響が使ってるパーカーを作ってるメーカーさんって分かる?」

 

「うーんと確か……ユニシロってとこのパーカーだったかな?」

 

 自身が使ってるパーカーのメーカーを聞かれ、響は記憶の海から微かに覚えていたメーカーの名前を救い出して未来に教えた。

 

「ユニシロだね。ねぇ、響。少しだけ待っててくれる? 直ぐ戻ってくるから」

 

「ん? 別に良いけど……何か買い忘れか?」

 

「そんなところ! じゃー行ってくるね!」

 

 未来は響にそう言い残して服のフロアへと戻ってしまい、暇になった響はショッピングモールの階層を行き来するエスカレーター付近で待つことにした。

 

 響が未来を待つこと5分くらい経過した頃に未来は戻ってきた。その未来の右手には、先程までは無かったこのショッピングモール特有のレジ袋が握られていた。

 

「お待たせ! ごめんね、響」

 

「そんなに待ってないから気にすんな。それより、何買ってきたんだ?」

 

 待っていた響は、未来の謝罪よりも未来の右手に握られている中くらいのレジ袋の中身の方が気になっているようであった。

 

 レジ袋の中身を訊ねられた未来は、少し頬を赤色に染めながら照れ笑いを浮かべてレジ袋を広げて中身を取り出す。

 

「じゃーん! これ買ったんだ!」

 

「ん? これって……パーカーか?」

 

 未来がレジ袋の中から取り出したのは薄紫色のパーカーであった。パーカーを取り出した未来は、パーカーに付いているタグを響に見せ付けながらタグのある部分を指差す。

 

「あれ? これ、俺が愛用してるユニシロのパーカーじゃん!」

 

 響が言った通り、未来が指差していた箇所には未来が買ってきたパーカーのメーカーの社名が書かれており、その社名は先程に響が言っていた響愛用のパーカーを作っている場所である。

 

「うん、そうなの! もう夏だから長袖のパーカーは殆ど値引きされてたから買ってきちゃった! それに私のはレディースのだけど、一応響が持ってるのとお揃いなんだ!」

 

 未来は満面の笑みを浮かべながらそう言い、対して響は嬉しいような気恥ずかしいようなといった複雑な気持ちになって頬を少し赤くして含羞(はにか)んでいた。

 

 未来の目的を達成して十分に満足していただけたところで、響は自身の気恥ずかしい想いがこれ以上膨らまない内に話を切り替えようと別の話題を未来に振る。

 

「なぁ、未来。まだ映画までは時間あったよな?」

 

「えっと、ちょっと待ってね。……うん、まだ時間あるよ。何所か行きたいところでもあるの?」

 

「あぁ。ちょっと寄りたいフロアがあるんだ。寄って行っても良いか?」

 

「うん、良いよ。響が行きたい場所なら私も興味あるから」

 

「う〜ん……未来は見てて楽しいか分からないと思うけどなぁ」

 

 そう言いつつ響はショッピングモールの案内板を確認しながら未来を連れて目的の場所に向かって移動し始める。その際、響は無意識で未来の手を握っていた。

 

「……」

 

「……どうかしたか?」

 

「ううん、何でもないよ♪」

 

「そっか」

 

 隣にいる未来が笑顔を浮かべていることを不思議に思って響は未来にその理由を訊ねたが、未来は笑顔で響の問いを流したが、響もそんな未来に深く聞こうとは思わなかった。

 

 ただ未来が握っている響の手を優しくもしっかりと握るよう手に力を入れると、響もまた未来と同じよう未来が痛がらないくらいにしっかりと手を握り返し、未来はそんな響の無意識な気遣いを嬉しく思って笑顔の頬を若干赤く染めていた。

 

「着いたぞ、未来」

 

「ここって……バイク屋さん?」

 

 響が未来を連れてきたのは、ショッピングモールの1階に位置する場所にあるバイクのコーナーであった。

 

「そう言えば、響ってバイク乗れるんだよね?」

 

「無免だけどな。と言ってもそんな無免許とも後ちょっとでおさらばだ!」

 

「そっか。後1ヶ月ちょっとで響の誕生日だもんね。そしたら免許取れるようにもなるね」

 

 そう、響の誕生日は9月13日である。今は8月であるから、後1ヶ月もすれば響も16歳となり正式にバイクの免許を取れる年齢になる。

 

「だから今の内からバイク見てるんだ。けど、ちょっと気が早くないかな?」

 

「そんなこと無いって! 確かに免許持ってないけどさ、こうやって見てるのも凄く楽しいんだって!良いか、未来! バイクはなぁ──」

 

 響は未来の言葉を否定すると、途端に饒舌になってバイクの良さを語り始める。

 

 バイクのことはよく知らないし、あまり興味を持っていない未来であったが、2年の間に増えた幼馴染みの知られざる趣味について聞くことには興味があり、幼馴染みが楽しそうに話していることを嬉しく思って笑顔のまま聞き続けていた。

 

「──という訳で、バイクには男の浪漫が詰まってるんだよ」

 

「そうなんだ。ふふ」

 

「序でに言うと、バイクの二人乗りは免許取ってから1年経たないとダメなんだ。後、原付での二人乗りも禁止だ」

 

「へぇ、そうだったんだ。……じゃあさ、響がバイクの免許を取って、1年くらい経ったら後ろに乗せてよ。それで一緒に遠出しよ?」

 

「あぁ。 未来も学校があって忙しいと思うけど、時間見付けて何処か一緒にバイクで行きたいな。冬休みになったら、日帰りで温泉旅行とかも良いかもな」

 

「うん! 今から凄く楽しみだね!」

 

 響が無事にバイクの免許を取れたことを仮定して少し未来(さき)のことを話し合う響と未来。楽しそうにバイクを見ながら談笑する2人の姿は、知らない者から見ればまるで恋人同士のように見えていた。

 

「おっ! バイク見て語ってる間にもうこんな時間か! そろそろ映画館に行こうぜ、未来!」

 

「うん!」

 

 見る予定の映画の上映時刻が間近に迫っていことに気付いた響は未来に映画館に戻るよう促し、未来は笑みを浮かべながら快活に頷いて応じて見せた。

 

 ショッピングモールのバイクコーナーを後にした響は優しく繋いだ未来の手を握りながら映画館に向けて先導し、未来は自身が求めていることを無意識で行ってくれる響を見て頬を少し赤く染めながら笑みを浮かべていた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 流石に夏であっても7時台半ばを過ぎた時間帯に映画館を出れば、昼間に地上を眩しく照らしていた太陽も既にその存在を引っ込めており、辺りは夜の支配する暗闇に包まれいた。

 

 映画を見終わって映画館を出た響と未来は、特にやり残したことも無かったので早急に帰路についていた。

 

「今日は楽しかったね、響」

 

「あぁ、そうだな。こんなに買い物が楽しかったの、春に翼と行った以来だ」

 

 充実した一日を過ごしたことで満足そうな未来が隣を歩く響に話題を振り、響は未来の言葉に同意しながら以前に翼とも一緒に買い物に行ったことを軽く思い出した。

 

 しかし、仮にもデート中(未来の中では)だというのに知り合いとは言え別の女の子の名前を出したことに未来は不満を感じ、荷物を持っていない方の手で握り拳を作って軽く力を込めながらポコッと響の頭を叩いた。

 

「いて。何すんだよ、未来?」

 

「別にー。何でも無いですよーだ。……もう、響のバカ

 

 最後は何を言ったか分からなかったが、少なくとも最初に頭を軽く叩いたことや後の言動、今も片方の頬をぷくりと膨らませていることから未来が何らかの不満を感じていることは分かった響。

 

 すると、響は唐突に荷物を持っていない方の手の人差し指で膨らんでいる未来の頬を優しく押した。

 

 指圧で押されたことで膨らんでいた頬は見事に引っ込み、その頬を膨らませていた空気がぷひゅーと情けない音を出しながら未来の口から漏れ出たのであった。

 

「ぷっ! あははははは!」

 

「〜ッ! もう響ってば笑わないでよ!!」

 

 羞恥で顔を真っ赤にした未来は、横で爆笑している響の肩をポカポカと叩く。しかし、然程(さほど)力が入っていないのか響は痛がる素振りなど見せず、ただ笑い続けていた。

 

「そう言えば、確か今日からだよな? 未来が家に泊まりに来るのって」

 

「うん! もう響の家に荷物は置いてあるんだけど見た?」

 

「いや、今日は未来との待ち合わせで急いでたから見落としてたかもな」

 

 翼やクリスと同じく響から響の家の鍵を貰っていた未来は、今日という日を有意義に過ごす為に響が復興の手伝いで不在の午前中の間に響の家にお泊まり用の準備一式を置いておいたのだ。

 

「未来は何日くらい泊まる予定なんだ?」

 

「取り敢えずは2泊3日の予定かな。それ以降は一旦寮の方に戻って考えるつもり」

 

「夏休みの宿題とかも持ってきてるのか?」

 

「ううん。夏休みの宿題ならもう7月中に終わらせておいたから、夏休みは何の心配も無く響と過ごせるよ」

 

「凄えな、未来!?」

 

 響はへぇ〜と素直に感心した。響がまだ学生だった頃、響は夏休みの終盤まで夏休みの宿題を大抵すっぽかしていた。そして、夏休みの終盤になって漸く宿題に取り掛かり始め、未来や周りの人の力を借りて辛うじて宿題を終わらせていたのだ。

 

「でも、だとすると今日の献立だと少し心配だな。よし! 未来、帰る前に少しスーパーに寄って行って良いか? 少し献立を豪華にする」

 

「別に気にしなくても良いのに」

 

「いやいや! 折角未来が家に泊まるんだから、少しは派手にしないと」

 

 折角泊まるのだから派手にしようと言う響に未来はやんわりと断ろうとするが、響は聞く耳を持たず、そのまま夕飯を豪華な物にしようと思考を巡らせていく。

 

 そんな響に多少の申し訳なさを感じると同時に多大な感謝と嬉しさを未来は感じていた。

 

「あっ! 夕飯買う序でにCDショップに寄って行って良いか? 買いたいCDがあるんだよ」

 

「うん、良いよ」

 

「よっしゃ! サンキュー未来!! よーし! 今日の晩飯は奮発してとことん良い物にしちゃおう! 串カツだ串カツ! 今日は串カツDestinationだ!」

 

「言葉が訳分からないよ、響。何なのその言葉?」

 

「ノリだよ、ノリ! 要するに串カツパーティだ!! 未来は何が食べたい?」

 

「そうだなー……私は紅生姜の串カツが食べたいな。でも、もし余っちゃったらどうするの?」

 

クリスの家(おとなりさん)にお裾分けする。基本的に飯作り過ぎた時は何やかんやそうしてるな」

 

「それって凄くクリスに迷惑掛かってない?」

 

「まぁ、突然持ってったら小言吐かれたり、偶にど突かれたりもするな。けど、最終的には全部食べてくれる」

 

 響が言うように、響は過去に何度か作り過ぎたカレーやら野菜炒めやらといったお手製の料理を隣に住んでいるクリスの家に持って行ったことがある。

 

 クリスが居候する前は基本的に一人分を作ってた響であったが、クリスが居候してからはクリスの分も含めて作るのが当たり前になり、今でもその時の癖で多めに作ってしまうことがあったりする。

 

 故にそういった場合は隣に住むことになったクリスに作り過ぎた分の料理を持っていく響。

 

 しかし、いきなりアポ無しの訪問は当然歓迎される訳が無く、響が料理を持っていく度にクリスは毎度お馴染みの所謂“ツン”を発動して響に小言を言ったり、ど突いたりするのだ。

 

 まぁ、その後は決まって素直じゃない態度で料理を受け取り、響の見てないところで料理を食べながら“デレ”を発動して美味しく完食しているのはクリスだけの秘密である。

 

「響の料理は美味しいもんね。そういえば、この前響に作ってもらったお弁当のおかずを皆に分けたんだけど、凄く好評だったよ」

 

「マジか! そう言われると料理人冥利に尽きるな! ……別に料理人じゃないけど」

 

 確かに響は料理人ではないが、それでも地震の作った料理(もの)を美味しいと言ってもらえると嬉しく思うのは万国共通の思いだろう。

 

「今日は機嫌が良いから、特別に俺が兄貴の嫁さんの内の一人から教えてもらって作った秘伝のタレも出そう! まだ誰にも出したことがない秘伝のタレだ! 未来が初めてだから、しっかり味わってくれよ?」

 

「うん。楽しみにしてるね、響」

 

 響と未来はそのような感じで時々別の話題を談笑しつつ、串カツパーティのメニューの内容も考えながら近所のスーパーに足を運ぶのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、響。そういえば響が買う予定のCDって誰が歌ってるものなの?」

 

「あぁ、最近米国でデビューし始めた新人の歌姫で、マリア・カデンツァヴナ・イヴって人が歌ってるんだ」




・原作ビッキーと今作ビッキーとの相違点コーナー

(1)響、街の復興を手伝う
──今作ビッキーはお(つむ)は原作以上にダメですが、技術面は原作を遥かに上回っており、それを活かして復興作業を手伝っています。

(2)響、未来とデートする
──原作では描かれていない途中で重大な事件が全く関わらない貴重なデートシーンです。

(3)響、学業に復帰しない
──以前に行ったアンケートの結果、今作ビッキーは学業に復帰せずにフリーな戦力として二課に身を置くことになりました。

(4)響、未来と一緒に映画を見る
──マスクドライダーと言ってますが、結局のところは要するに仮面ライダーです。

(5)響、未来の着せ替え人形になる
──今作ビッキーはファッションにずぼらです。よって未来ちゃんの未来ちゃんによる未来ちゃんの為(?)の立花響(男)改造計画ファッション編が行われました。

(6)響、バイクについて語る
──余談だが、響はバイクの免許を取るに当たって、そのずぼらな知識面を補完する為に翼と勉強会を行ったとか。

(7)響、未来と串カツパーティをする
──串カツDestination……。それはバラルの呪詛を凌駕する井口の呪詛(ユカチノカエウタ)である。

(8)響、マリアのCDを買う
──次回への伏線をバリバリ張っていくスタイル。世界を旅した今作ビッキーは海外のアーティストにも耳聡いのです。

 今回で僕が挙げるのは以上です。他に気になる点がありましたら感想に書いて下さい。今後の展開に差し支えない範囲でお答えしていきます。

 誤字脱字等ございましたら、誤字報告機能を使ってご報告宜しくお願いします!

 今回はデート回でしたのでかなり頭を捻って考えました。当初は水族館に行く予定でしたが、それだとGのある部分と被りますので全部没にしたんですよ。

 うーん、デート回になると投稿期間が空いちゃうんだよなぁ……。何でだろ?

 兎にも角にも今話で番外編も一旦区切らせて頂き、次回からは2期こと“戦姫絶唱シンフォギアG”のお話を書いていくつもりですのでご了承下さい!

 G編では色々とやりたいことだらけなんですよね。マリアに対抗意識を燃やす翼とか、もっとハードモードな響とか、可愛いクリスちゃんとか。やりたいことが沢山あり過ぎるのも考えものですよ。

 以前にも書いた通り、次回のG編からは相違点コーナーもパワーアップさせていきます!

 それでは、次回もお楽しみに!

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