戦士絶唱シンフォギアIF   作:凹凸コアラ

31 / 37
 皆さん、どうもシンシンシンフォギアー!!(挨拶)

 自分でもビックリしてるけど、何と前回の投稿から1週間で投稿できました!

 やっぱり新章突入ということもあって、僕自身のモチベーションが無意識で向上しているのでしょうか?

 それともやっぱりデート回を書くのに時間を掛け過ぎなのか……。

 まぁ、読者の皆さんが僕の存在を忘れずにいてくれて、前回の投稿にもしっかりと感想を送ってくれたというのが最もモチベーションの向上に繋がったんだと個人的に思ってます。

 それとXVの2話は色々と凄かったですね……。

 切ちゃんの変身シーン、エロ過ぎませんか? アレもう本格的なポールダンスですし、一々の描写が格好良さが詰まりに詰まった響に対してエロ過ぎますよ。

 切ちゃんであれなら、お茶の間でシンフォギアの変身シーンのエロ担当とか言われてる調ちゃんはどれだけエロくなってしまうんだ……?

 それとライブシーンもありましたね。ライブ描写が出た瞬間、何処ぞの魔王の家臣がグランドな魔王を見た時みたいなリアクションをしてしまいました。

 でも、その後のアレは無いよ……。アレさ、翼さんのトラウマ穿り返した上に更なる絶望で上書きしたんだぜ……?

 しかも1期の時に比べて、描写や被害はより明確に描かれてましたし……。

 しかも翼さんのこと叩く人が絶対に出てくるよね、アレ……? 1期の時も翼さんのライブ中に起こった訳ですし、「災厄の歌姫」とか言われそう……。

 翼さん、大丈夫かな? ミラアルクに何か描写があったし、失声症とかにならないと良いけど……。

 さて、世間話もここまでにしてそろそろ本編の方に入っていきましょうか!

 今日から2期ことG編スタートです!

 それでは、どうぞ!


Chapter2 フロンティア事変
EPISODE 28 ガングニールの少年


 燃え盛る瓦礫の山の中心で一人の少女が立っていた。

 

 少女の右手には得体の知れない異物が握られている。

 

 近くのモニターには少女が握る異物が映っていた。

 

 しかし、その映像も火に焼かれたモニターが破損したことで消えてしまう。

 

 少女の姿は、戦士のような装いから少女のものへと変わる。

 

 少女の背後から少女よりも幾許か歳上に見える少女が現れた。

 

 その少女は、少女に向かって必死に呼び掛ける。呼び掛け続ける。

 

 少女に向かって手を伸ばすも、それは炎の壁によって遮られた。

 

 燃え上がる炎の中、少女は振り返る。

 

 振り返った少女の目と口から一つの線を作る程の血流が流れ出ていた。

 

 その姿を見て、もう一人の少女はその目に涙を浮かべる。

 

 血を流している少女は、もう一人の少女を見て微かに笑みを浮かべていた。

 

 少女を助け出そうするもう一人の少女に向かって瓦礫が降り注ぐ。

 

 少女に瓦礫が当たるその直前のところで一人の老年の女性が少女を庇った。

 

 少女は間一髪のところで危機を免れたが、代わりに老年の女性が瓦礫の下敷きとなる。

 

 立て続けに降り注いできた瓦礫は、炎の中心にいた少女にも降り注いだ。

 

 危機を免れた少女は大粒の涙を流しながら少女の名を叫ぶ。

 

 少女の目には、瓦礫に押しつぶされた少女とそれを包み込む炎が映っていた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「あぁもう! 何でこんな大切な日に出てくるかなぁ! 俺って本当呪われてる!!」

 

「無駄口叩いてないで前行け、前ッ!」

 

 苛立ちを隠さずにボヤく少年の後ろから少年に急ぐよう少女が促した。

 

 少年の名は立花響。特異災害対策機動部二課に所属する第3号聖遺物“ガングニール”のシンフォギア装者である。

 

 少年の後ろをついて走る少女の名は雪音クリス。響と同じく二課に所属する第2号聖遺物“イチイバル”のシンフォギア装者だ。

 

 2人のシンフォギア装者は二課から通達された任務である武装列車の護衛をしていたのだが、現在二課が懸念していた通りのトラブルに見舞われている。

 

 そのトラブルとは、ノイズによる武装列車の襲撃であった。

 

 彼らが乗っている武装列車は岩国にある米軍基地に向かって走行しているが、降り掛かるノイズの厄災の前では護送の為の武装列車など無意味である。

 

 武装列車に備え付けられた実弾兵器が列車に向かって飛行する無数のフライトノイズを迎撃するが、ノイズの有する位相差障壁によってその攻撃の全てが無効化される。

 

 飛翔しているフライトノイズは、形状を変化させて列車の重火器システムを制御している最後尾の車両を攻撃する。

 

 槍のような形状に変化したフライトノイズは、列車の装甲ごと列車の重火器を制御していた護衛の人間を貫き、貫かれた人間を物言わぬ煤の塊へと変化させて朽ち果てた。

 

 同じようにその区画に乗り込んでいた別の護衛の人間が手に持った拳銃で自身の直ぐ傍に突き刺さったフライトノイズを攻撃するも、次々と来襲してきたフライトノイズの攻撃に車両が耐えられず爆発を起こした。

 

 その爆発による衝撃は走行する列車全体に及び、手摺りも何も無い不安定な列車の連結部分を渡っていた響達もその余波に巻き込まれる。

 

「うわッ!?」

 

 連結部分を渡り切ろうと片足を上げていたクリスは、諸に列車の揺れに巻き込まれたことでバランスを崩し、連結部分を逸れて背中から線路の上に落ちて行く。

 

「ッ! クリスッ!?」

 

 だが、既に連結部分を渡りきっていた響が落ちていくクリスに向かって手を伸ばし、クリスが無意識で咄嗟に伸ばした手を掴んだことでクリスが線路の上に落下することを防いだ。

 

「装者は根性ぉぉおおおおぉぉぉッ!!」

 

 クリスの手を掴んだ響は、開いている車両の扉付近の壁を支えにしながらクリスを力一杯引き上げる。

 

 引き上げられたクリスは、響の引き上げる力が予想以上に強かったことで軽く宙を飛び、そのまま勢いに乗って響の胸の中に飛び込むこととなった。

 

「大丈夫か、クリス!? 怪我無いか!?」

 

「あ、あぁ。大丈夫だ……」

 

 クリスを受け止めた響は、直様胸の中にいるクリスの安否を心配して怪我の有無を問い、反対に抱き留められたクリスは響の顔から目を逸らしながら簡素に答えた。

 

「……悪い、その……助かった……。助けてくれてありがとな……」

 

(うわぁぁぁぁぁぁぁあああああああああぁぁぁぁぁぁッ!!? あいつに助けられた上に抱き締められたッッ!!?!?)

 

 頬を少し赤く染めながら普段のような素直じゃない態度でお礼を述べる一方で、その内心は自身の想い人に助けてもらったことに加えて抱き締められたことで凄まじいパニック状態に陥っていた。

 

「礼なんていらねえよ。仲間は助け合うもんだからな」

 

 対する響は何時もの調子でそう言って含羞(はにか)んで笑っている。

 

「よし! 怪我が無いなら急いで友里さんと合流しようぜ」

 

「そ、そうだな!」

 

 響の言葉にクリスは自身の内心の動揺を露見させないよう表面を取り繕いながら無難な返事を返して次の車両に向かった。

 

 響とクリスは入ったばかりの車両を最速で駆け抜け、次の車両に移る為に再び列車同士の連結部分を今度は慎重に渡る。

 

 自動で開かれた次の車両の扉の先で響とクリスが見たのは、アラートサインを意味する赤いランプが照らす中で前方の車両へと避難しようとしている友里と1人の男の姿だった。

 

「急げ! 凄い数のノイズが追ってきてる!」

 

「連中、明らかにこっちを獲物と定めていやがる……! まるで、何者かに操られてるみたいだ……!」

 

「急ぎましょう!」

 

 響の催促とクリスの率直な意見を聞き、友里も急いで前方の車両へ避難するよう男へ促した。

 

 響達が乗る武装列車がフライトノイズによる襲撃を受けていた頃、新たに設立された二課の本部の司令部では現在進行形で事態のモニタリングと状況の分析が進められていた。

 

「第71チェックポイントの通過を確認! 岩国の米軍基地の到着までもう間もなく! ですが!」

 

「こちらとの距離が伸び切った瞬間を狙い打たれたな」

 

 友里が現場に出て不在の為、残った藤尭が1人で現場の観測と弦十郎への報告を行い、藤尭からの報告を聞いた弦十郎は冷静に状況を分析しながら考えを口に出した。

 

「司令、やはりこれは……」

 

「あぁ。何者かがソロモンの杖強奪を考えていると見て間違いない」

 

 弦十郎は自身も思い至った敵の目的の予測を藤尭が口にしたことで、その意見に同意しながら大きく頷き返した。

 

 現場では、車両の端へと到着した響達一行が車両の自動ドアを潜って次の前方車両へと移ろうとしていた。

 

「はい。多数のノイズに混じって高速で移動する反応パターン?」

 

 先頭を切る友里は二課の端末を片手に司令部からの通信を聞きながら車両の連結部分を渡り、その後ろに続くように次は長細い長方形のケースを大事に抱えた男が連結部分を渡り始める。

 

「3ヶ月前、世界中に衝撃を与えたルナアタックを契機に日本政府より開示された櫻井理論、その殆どが未だ謎に包まれたままとなっていますが、回収されたこのアークセプター、ソロモンの杖を解析し、世界を脅かす認定特異災害ノイズに対抗し得る新たな可能性を模索することが出来れば──」

 

 ケースを抱えた男──ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス、通称ウェル博士と呼ばれている男が話をしている間に響達は連結部分を渡り終え、次の車両へと足を踏み入れたが、突如クリスが通路の真ん中で足を止めたことで全員の動きも止まって自然とクリスに視線が集まる。

 

「……そいつは、ソロモンの杖は、簡単に扱っていいもんじゃねぇよ」

 

 ソロモンの杖をノイズに対抗し得る手段を見付ける為に扱おうとしているウェルの言葉を否定するような言葉をクリスは右手で軽く握りこぶしを作りながら口にした。

 

「クリス……」

 

「最も、あたしにとやかく言える資格は無えんだけど……」

 

 響がクリスを心配するような視線を向け、クリスは自身に視線を向ける響達からの視線から逃れるように顔を逸らして小さく俯いた。

 

 ソロモンの杖。それは使用時の出力に応じた数のノイズを呼び出し、その全てをコントロールする力を持つ完全聖遺物。

 

 ソロモンの杖は、以前に起こったルナアタックの一連の事件の中で黒幕であるフィーネが主に使用していたが、その簡単に人を殺せる力を持つ聖遺物を起動させてしまったのはクリスである。

 

 その結果、多くの罪の無い命が無残にも物言わぬ炭素の塊となって死体すら残さずに消えてしまうこととなった。

 

 加えて言うと、クリス自身もフィーネの命令に従ってソロモンの杖を使って二課の職員や多くの人の命を奪ってしまった。

 

 故にクリスは、ソロモンの杖に(まつ)わる全てに対して重く責任を感じている。自分がソロモンの杖を起動させなければ、こんなことは起こらなかったと。

 

 そんなクリスの暗い心情を察したのか、響は唐突にクリスの下まで歩み寄り、その全てを背負おうとする責任感で押し潰されてしまいそうな小さな体を優しく抱き締めた。

 

「う、うわッ!? バ、バ、バババ、バカッ!? お、お前こんな時に!? い、今はそんなに揺れても無いだろッ!!?」

 

 突然抱き締められたクリスは当然慌てふためき、響の抱擁から離れようと腕に力を込めて響を引き剥がそうとするが、体格がクリスよりも大きく素の身体能力でも遥かにクリスを上回っている響を引き剥がすことは出来なかった。

 

「大丈夫だ、クリス。俺がいる」

 

 響はまるで幼子をあやすようにクリスの頭を優しく撫でながら穏やかに語り掛けた。

 

 最初は羞恥から顔を赤らめて慌てふためいていたクリスも徐々に落ち着いていき、落ち着きを取り戻すどころか、頬を赤くしながら嬉しそうにうっとりとした表情を見せていた。

 

「……はッ!? お、お前、本当にバカ……!」

 

 響の抱擁に安心して気の抜けた表情を晒していたクリスであったが、友里の微笑まし気な視線とウェルが咳払いをしていたことに気が付き、気を引き締め直すと同時に小言を吐くことで気を持ち直した。

 

 しかし、気を持ち直しても人前で気の抜けた表情を晒していたことに後になって気が付いたせいで頬は再び赤らんでしまっていた。

 

 余談であるが、丁度その頃に友人と一緒にいた未来が持っていたボールペンを唐突にへし折っていたとか。

 

「了解しました。迎え撃ちます」

 

 話を戻すが、端末で司令部と連絡を取っていた友里は通信を終えると端末を懐に戻して代わりにリボルバー型の拳銃を取り出し、シリンダーの中身を確認してから回転させて元に戻した。

 

「出番なんだよな?」

 

 クリスは念の為に友里に迎撃を行うのかを訊ね、友里はクリスと響に見遣りながら間髪入れること無く頷いて返答した。

 

 その直後、列車を襲っていたフライトノイズの内の何体かが遂に響達のいる車両へと攻撃を仕掛けてきて車両の天井を貫通して突き刺さった。

 

「うわぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁッ!?」

 

 天井に突き刺さったノイズを見て、ウェルはケースを抱えながら勢いよく廊下に尻餅を着いて倒れ、友里は臆すること無く持ってい拳銃でノイズを銃撃することで応戦する。

 

「よし! 行くぞ、クリス!!」

 

 意気込んでいる響にクリスは静かに頷きを返し、2人はその身に纏うシンフォギアを起動させる為の歌を歌う。

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

「Killiter Ichaival tron」

 

 響とクリスの聖詠が鳴り響き、その歌を起動キーにして響の胸の内にあるガングニールの欠片とクリスの胸元にあるペンダントが起動する。

 

 響とクリスは起動したシステムが展開したシンフォギアを身に纏うが、シンフォギアを身に纏った2人の装いはルナアタック時に纏っていたギアとは少し違っていた。

 

 響の身に纏う上下のインナーの色合いは全体的に橙色が多くなって黒色が減り、上に身に付けているジャケットからは完全に黒色が消えて袖口や裾の先端部分の橙色以外は白一色に染まっている。

 

 腕部ユニットの前面は赤い結晶状の物に変わって手を守るようにナックルガードも追加され、黒一色だった脚部ユニットには真ん中に金色のラインが入って、ヘッドギアの角のような部分も一部が金色になっている。

 

 そんな響のシンフォギアの何よりの変化は、両肩に装着されていた明るい橙色のユニットから先端部に菱形状のパーツが付いているマフラーが出現していることであった。

 

 クリスも響同様に全体的の色合いから黒色が減る代わりに白色と赤色が増えた。

 

 ニーハイ型のインナースーツは白一色に染まって足部装甲も赤色に変わっており、腕部ユニットは黒一色から赤一色へ、スカート状リアアーマーは赤と白と黒の3色に、ヘッドギアは以前のものより肥大化している。

 

 これらのギアの変化は、響達の日々の鍛錬での技量の向上とバトルスタイルの多様化に応じてシステムに施されている3億165万5722種類のロックの幾つかが系統的、段階的に限定解除されたことで起こったことであった。

 

 ゲーム風に言うならば、経験値を積むことで装者達のレベルが上がると同時に、新たなスキルと元あるスキルの派生スキルを習得したことで装備もどんどんパワーアップしたということだ。

 

 そんな新たにパワーアップしたギアを纏った2人は、乗っていた車両の天井をに突き破って外に出た。

 

「群れ雀どもがうじゃうじゃと!」

 

「こういう時は作戦Tだ、クリス!」

 

「作戦T? 何だよ、それ? 何のTだよ?」

 

「勿論、突撃(TOTUGEKI)のTだ! 簡単だろ?」

 

「ただの脳筋戦法、要するに力押しじゃねぇか……」

 

 聞いた自分が馬鹿だったとクリスは大きく溜め息を吐いて呆れながら響を見遣った。

 

「お前が前衛で陽動、あたしが後衛で後方支援。お前が動きやすいよう全力でカバーするし、弾は極力当てねえよう努力してやる。合わせてやるから好きに動きな」

 

「OK! 要するに前と一緒ってことだろ?」

 

 先のクリスの言葉は、初めて響とクリスの2人が共闘した時のことを思い出させるが、今のクリスの言葉は当時のものと比べて全く棘が無く、響に合わせて動くという彼女なりの優しさと協調性に溢れていた。

 

「それにいざって時は今日まで訓練してきた()()もあるしな!」

 

「アレはまだ未完成だろ。アレはただでさえお前への負担がデカいんだ。実戦でいきなり()()もうなんて可笑しなこと考えてんじゃねぇぞ?」

 

「あぁ、分かってるよ。奥の手は最後まで取っておくもんだからな!」

 

「ふん。分かってるなら言わせんな」

 

 クリスは両腕の腕部ユニットを変形させてクロスボウのアームドギアを2丁形成し、響は左の掌に軽く拳を叩きつけて笑みを浮かべた。

 

「背中は任せたぜ!」

 

「あぁ。ヘマすんなよ、響」

 

 背中合わせで立ちながらも響は後方にいるクリスに向けて拳を突き出し、クリスも響の名を呼びながらその突き出された拳に自身の拳をコツンと合わせた。

 

 拳を合わせあった直後、響がその場から上空に飛び出す為に踏ん張ったのと同じタイミングでクリスが開戦の狼煙を上げる意味を含めたクロスボウによる射撃を繰り出した。

 

 2丁のクロスボウから撃たれたエネルギーの矢は上空にいる無数のフライトノイズの内の何匹かを撃ち抜き、クリスに攻撃されたフライトノイズも響達に向かって攻撃を開始する。

 

 そして、歌い始めた響は攻撃の為に近寄ってきたフライトノイズに向かって飛び出し、その勢いに乗ったまま近寄ってきたフライトノイズに迎撃の拳を繰り出す。

 

 繰り出された拳は簡単にフライトノイズを煤の塊に変えて砕き、背後から近寄ってきた別のフライトノイズも響の回し蹴りによって先のフライトノイズと同じ結末を迎え、更に近寄ってきたフライトノイズを響は蹴り砕くと同時に踏み台にして跳ぶ。

 

 ルナアタックの際に空中戦を経験した響は、敵を踏み台にして高さを稼ぐことで擬似的な三次元空間での動きを出来る程までに成長しているのだ。

 

 しかし、ノイズ側もただヤられてばかりではない。反撃と言わんばかりに射撃を行っているクリスの視覚である背後上空からクリスに向かって攻撃を仕掛ける。

 

 クリスは気付いていないのか全く動く気配を見せない。このままではフライトノイズの攻撃によってクリスはダメージを受けることになる。

 

 クリスは別に気付いていない訳ではない。その気になれば簡単に避けれるし、何なら華麗にカウンターだって決めることが出来る。

 

 それをしないのは(ひとえ)に避ける必要が無いからだ。

 

 自分がピンチであれば、何処までもお節介な仲間がきっと何も言わなくても勝手に助けると分かってるから。

 

 そんな仲間(ひびき)のことを信用し、信頼しているからこそクリスは自分の為すべきことだけを見ていられるのだ。

 

「そっちは通行止めだッ!」

 

 クリスの考え通り、響はクリスに迫り来る3体のフライトノイズを視界に収めていた。

 

 響は新たにフライトノイズを足場にして跳躍と同時に蹴り砕きながら高さを稼ぎ、瞬間的に輝かせた右足をクリスに迫るフライトノイズに向かって振り抜いた。

 

【我流・猛虎翔脚】

 

 振り抜かれた響の右足の脚部ユニットから橙色の斬撃が放たれ、その斬撃は軌道上にいる別のフライトノイズを切り裂きながらも止まること無く飛んで行き、目標である3体のフライトノイズをほぼ同時に切り裂く。

 

 敵に大きな隙が出来たことで、クリスは自身のイチイバルの持ち味である長射程広域攻撃を行うべく手に持つクロスボウを大型化させ、既に装填された2連装の赤紫色のクリスタル状の矢を上空に向けて撃ち放った。

 

 射出された矢は射線上の敵を全て穿ち、一定高度に到達したところで割れるようにどんどん分裂していく。

 

 割れた端から更に分裂していった矢はクリスの周辺を囲むように広がり、分裂した小片がまるで今も降り続ける雨のように重力に従いながら辺り一帯に降り注ぐ。

 

【GIGA ZEPPELIN】

 

 まるで天罰と言わんばかりの広域過剰攻撃は、クリスや響の周辺を飛んでいたフライトノイズやフライトノイズより上空にいた空中要塞型ノイズも巻き込みながら周辺の全ての敵を殲滅する。

 

 しかし、それでも後方に控えていたものは殲滅するには及ばなかった。それに加えてクリスの視線の先には、無数のフライトノイズに混じりながら飛んでいる別種のノイズがいた。

 

「そこそこデカいな。それにあれは初めて見る」

 

「あいつが取り巻きを率いてやがるのか」

 

 周りに足場(ノイズ)が無くなったことで響はクリスの隣に着地し、そんな響の視界にも入った未確認の個体をクリスは目測で周辺のフライトノイズのリーダーと断定した。

 

「うおぉぉぉぉぉッッ!!」

 

 すると、クリスの左右の腰部アーマーが展開され、内蔵されていた無数の追尾式小型ミサイルがクリスの咆哮を合図にして一斉に発射される。

 

【MEGA DETH PARTY】

 

 上空にいた未確認のノイズ──翼獣型ノイズをMEGA(メガ) DETH(デス) PARTY(パーティ)のミサイルが攻撃するが、翼獣型ノイズは戦闘機のようなスピードで大空を縦横無尽に飛び回ってその全てを回避して見せた。

 

「だったらぁぁぁッ!!」

 

 クリスのアームドギアがクロスボウから、赤色の装飾が加わって全体的に赤色に染まった2丁4門の2連装ガトリングガンに変形し、それによる無数の銃弾の一斉掃射で翼獣型ノイズを狙い撃つ。

 

【BILLION MAIDEN】

 

 しかし、翼獣型ノイズはガトリングガンの銃弾の雨の悉くを潜り抜け、その体の上部についていた浅葱色の装甲のようなものを纏って攻撃態勢に入る。

 

 翼獣型ノイズの纏った何かは本当に装甲のような役目を果たしてクリスのガトリングガンの銃弾を全て弾き、後方からジェット機のように火を吹かせて翼獣型ノイズはクリスに突撃する。

 

「クリスッ!」

 

 後ろから戦況を見守っていた響は、迫り来る翼獣型ノイズを前にして腕部ユニットを引き絞りながらクリスの前に躍り出て、翼獣型ノイズ目掛けて跳躍した。

 

「うおりゃあぁぁぁぁッッ!!」

 

 響は咆哮を上げ、跳躍の際の勢いに乗ったまま迫り来る翼獣型ノイズに向かって全力で拳を振り抜いた。

 

【我流・撃槍衝打】

 

 響の全力の我流・撃槍衝打が翼獣型ノイズの打ち込まれるが、殴った際の打撃やその直後に発生するハンマーパーツによるインパクトを受けても翼獣型ノイズはビクともせず、その軌道をクリスと列車から反らすのが精一杯であった。

 

「くそッ! 硬ぇな、あいつ!」

 

 着地した響のギアの排熱機構によって水蒸気が発生し、自身の右手の拳を見詰めながら響は殴った際の感触を思い出して独り言ちた。

 

 クリスがガトリングガンによる銃撃で周囲のノイズの殲滅と牽制を懸命に行う中、司令部にいる弦十郎はモニターに映る戦闘の中継映像を見て思考を巡らせる。

 

(ノイズとは、ただ人を殺すことに終始する単調な行動パターンが原則の筈……。だが、あの動きは目的を遂行すべく制御されたもの。ソロモンの杖以外にそんなことが……)

 

 人を見れば見境無く殺しに来るものというのがノイズと世間には見られている。しかし、弦十郎が思う通り、今回の襲撃はあまりにもそんなノイズの行動とはかけ離れている点が多い。

 

 集団での統率された行動、武装列車に内蔵された重火器システムを担う車両へだけの的確な攻撃、クリスの攻撃を悉く避ける回避運動といったもの全てが、普段のノイズの動きと明らかに違う。

 

 その動きは明らかに人の思考による統率の下になされる緻密な動きであり、それを行うことが出来る聖遺物を響達シンフォギア装者や弦十郎達二課の職員はソロモンの杖しか知らない。

 

 しかし、ソロモンの杖はケースに入れて保管されている故に使えない。

 

 残る可能性はソロモンの杖とは別の聖遺物によるコントロールを受けていることであるが、そんな都合の良い聖遺物がそう簡単にあるとは思えない。

 

 今回の襲撃には不可解な点が多く、弦十郎は様々な可能性を脳裏の片隅で模索し続けながら、一先ず目の前の戦闘に集中することにした。

 

 戦況は明らかに響達が劣勢を強いられている。フライトノイズの数はとても多く、高速で飛行する翼獣型ノイズはクリスの狙撃力を以ってしても擦り傷一つ与えられずにいる。

 

「あん時みたく空を飛べるエクスドライブモードなら、こんな奴に一々おたつくことなんて無えのにッ!」

 

 クリスの苦言もこの場では最もな意見であり、近くで聞いていた響も全くの同意見であった。

 

 エクスドライブモードになれば、単純な火力アップが図れるだけで無く、その最大の特徴とも言うべき飛行能力を得ることが出来る。

 

 たった3人で響達の住む街を埋め尽くす程に呼び出されたノイズを10分と掛からずに殲滅せしめた高火力と機動力を知っているだけに、クリス達は今この瞬間にあの状態になれないことを歯痒く思う。

 

 そもそもエクスドライブを発動するには、それ相応の膨大なフォニックゲインが必要不可欠であり、たった2人だけしかいない現状では例え響の性格が反転したとしても到底無理な話である。

 

「……ん? あッ!? く、グリスッ!?」

 

「あたしは潤滑剤になった覚えはねぇぞ! ったく、一体何だって──」

 

 響は焦りから何処ぞのヒーローの名前のような呼び名でクリスを呼び間違い、クリスは律儀にもツッコミを忘れずに響のいる方を見遣り、その視線の先にある物を見て言葉を途切れさせた。

 

「トンネルだぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁッッ!!?」

 

「う、うわぁぁぁぁああぁぁぁぁッ!?」

 

 響達進む行く手にはトンネルがある。列車の上にいる響達はこのままだとトンネルの入り口上部に正面衝突することになり、もうその瞬間まで目と鼻の先である。

 

「おらぁ!!」

 

 だが、響は直前で近くにいたクリスをお姫様抱っこして回収し、その場の勢いで今いる足場を思いっきり踏み抜いて破壊した。

 

 破壊されたことで足場が無くなった響達は、当然重力に従って降下することになり、響の機転のお陰でどうにか2人は入り口との正面衝突を回避することに成功した。

 

「あっぶねぇ! ギリギリセーフッ!!」

 

「わ、悪ぃ……助かった……」

 

 列車内部に戻って衝突をギリギリ回避した響は安堵の溜め息を吐き、クリスは先のように顔を赤らめながらボソボソとお礼の言葉を述べた。

 

 こんな状況で何顔を赤らめているんだとクリスに言いたい人もいるだろうが、ここは大目に見てあげてほしい。

 

 何故なら例え戦闘中であろうと、今現在クリスは女の子の夢の1つである念願のお姫様抱っこを好きな人にしてもらっているのだから。

 

「ん、んんッ……! くそ、攻めあぐねてるな……! どうする?」

 

 クリスは一度咳払いをして自分の気を引き締め直し、この戦況に苦言を漏らしてから響に意見を求めた。

 

 先の機転の良さからも垣間見えたが、響は場の状況を打開する此処一番での奇策を思い付く程に戦闘中の頭の回転は誰よりも早い。

 

 そんな響の機転の良さはクリスも信頼しているし、その響の能力はあのフィーネが警戒した程のお墨付きである。

 

「うーん……おッ!」

 

「何か閃いたのかッ!!」

 

「こういう狭い場所で追って来る敵にはな、列車の連結部分をぶっ壊して()つけるのがセオリーだ!」

 

 これまた良い表情を浮かべた響にクリスは急かすように訊ねたが、その後に出た響の案を聞いて呆れるように小さく溜め息を吐く。

 

「はぁ……それってお前が大好きな泥臭いアニメとか漫画とか映画、それとおっさんの面白映画で出てくる奴だろ? そんなのが役に立つものか? 大体、ノイズに車両を()つけたって、あいつらは通り抜けてくるだけだろ?」

 

 クリスの意見も最もである。

 

 ノイズの位相差障壁の前では物理的な障害など無いに等しい。そんな相手に車両を()つけても何の意味も無いどころか、遮る為の壁にさえなり得ない。

 

 だが、意見を否定された響は落ち込む素振りを見せないどころか、逆に胸を張りながらチッチッチとクリスに言っていた。

 

「甘いなぁ、クリス。誰がそれで終わりって言った?」

 

「んん……?」

 

 自信満々の響を見てクリスは怪訝な表情を浮かべていた。

 

「……ところでクリス、俺は何時までこの状態をキープし続けるんだ?」

 

 響の言うこの状態とは、響が先程クリスを助けた際にお姫様抱っこをした状態のことであり、その状態は今も尚継続中であった。

 

「お、お前があたしを下ろさないからずっとこのままなんだろうがッ!?」

 

「いや、下ろそうにもそっちがずっと俺の首に腕回してるから下ろせないんだがッ!?」

 

 実はクリス、響にお姫様抱っこで助けられた際にちゃっかり響の首に腕を回してしっかりとホールドしている状態であった。

 

 何もクリスは何かを意図してこのような状態になった訳ではない。クリスも気付かぬ間に無意識で腕を回してしまっていただけだ。

 

 だが別の捉え方で考えるのであれば、それはクリスが無意識、つまりは本能的に響を離さぬよう捕まえていたということである。

 

「……」

 

 自分から離れぬようホールドしていたことに気付いたクリスは、最早何も話せぬレベルで真っ赤になりながら惜しむように響から離れた。

 

 要するにクリスの本能は、クリスの理性よりもずっと素直であったという話である。

 

 これまた余談であるが、丁度その頃に仕事の打ち合わせをしていた翼が恐ろしいプレッシャーを放ちながら唐突に隣にいた自身のマネージャーに腹パンしたりしていたとか。

 

 話を戻すが、今こうしてる間もノイズがトンネルを通って自分達の後を追ってきてる為、他の案も無い故に2人は響の考えた案を決行することにした。

 

「急げ! トンネルを抜ける前に!」

 

 響に急かされながら、クリスは自分達が今乗っている車両とその前の車両の連結部分をクロスボウのアームドギアの矢で撃って破壊した。

 

「サンキュークリス!」

 

「本当にこんなんで何とかなるのかよ……」

 

 響から詳しい作戦の内容を聞かされていないクリスは未だに怪訝な表情をしており、そんなクリスに見られていながらも響は作業の手を止めず、自身の体を列車の連結部の間に挟み込む。

 

「後はこれでッ!」

 

 響は連結部を足で押し出し、切り離された後ろの車両はそのまま勢いに乗ってノイズに向かっていくが、ノイズは迫り来る車両をクリスが言った通りにすり抜けて止まること無く進み続ける。

 

 一方で作戦を考えた響はと言うと、既にトンネルを抜けた列車から降りてトンネルの出口の前に陣取っていた。

 

 その響は大きく拳を引き絞って構えているが、その響の右腕の腕部ユニットは今まで見たことが無い形の形状に変化していた。

 

 手に直接付いている物とは別のナックルガード、内臓式のスクリューのような軸回転機構、肘部後方に噴射口を設ける2基のバーニアが響の腕部ユニットに使いされており、サイズに合わせて巨大になったハンマーパーツも引き絞られている。

 

 そして翼獣型ノイズが列車をすり抜けて頭を出した直後、響は勢い良くその場から飛び出し、それと同時に腕部ユニットに付いている2基のバーニアを起動する。

 

 起動した2基のバーニアによって響は加速し、続けて腕部ユニットの2つあるスクリューがそれぞれ別方向に回転を始め、最後にナックルガードによって響の拳が覆われる。

 

 腕部ユニットの全ての機能を起動させた響は、バーニアによる加速の勢いに乗ったまま体を横に1回転させた後に全力で翼獣型ノイズをぶん殴る。

 

我流(がりゅう)撃槍烈破(げきそうれっぱ)ぁぁぁぁぁッッ!!!!」

 

【我流・撃槍烈破】

 

 新たな響の必殺技──我流・撃槍烈破が翼獣型ノイズに見事命中し、我流・撃槍衝打では傷一つ与えられなかった翼獣型ノイズの装甲が陥没する。

 

 すると、響の腕部ユニットの2つスクリューの回転が最大限に高まって雷を迸らせ、引き絞られていたハンマーパーツが勢い良く押し込まれた。

 

 ハンマーパーツとスクリューの組み合わせによって生じたインパクトは今までのものを遥かに上回り、直接インパクトを受けた翼獣型ノイズが爆発四散するだけでなく、その周囲にも爆炎が広がっていく。

 

 爆炎は狭いトンネル内にあっという間に広がり、その中にいた無数のフライトノイズの全てが爆炎に飲まれて煤すら残すこと無く消滅していく。

 

 結果的に残っていたノイズも全て響の我流・撃槍烈破とそれが引き起こした大爆発によって殲滅された。

 

 事を為した響は、すっかり雨も止んで顔を出した晴れ渡る太陽をバックに、腕部ユニットから排熱を行いながら右手の拳を空高く突き出して掲げていた。

 

(閉鎖空間で相手の機動力を封じた上、遮蔽物の向こうから重い一撃……。あいつ、何処まで……!?)

 

 そんな響の行動の一部始終を見ていたクリスは、唖然とした表情を浮かべながら口を小さく開いて響に視線を送っていたのだった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 ノイズの脅威も去り、響達が護衛していた武装列車は無事に岩国の米国基地に到着した。

 

 途中で列車から降りていた響も無事に合流し、今はソロモンの杖を先方に引き渡す為の最後の手続きを友里が行っている。

 

 友里は米国基地の上役から渡されたタブレット型の端末に二課で用意した電子判子を翳し、ピコンという音と共に端末に詳細なデータが表示され、最後の手続きも終了した。

 

「これで搬送任務は完了となります。ご苦労様でした」

 

 上役の男性は友里から端末を受け取ると、謝辞を述べながら友里に向けて掌を差し出した。

 

「ありがとうございます」

 

 対する友里も同じように謝辞を述べた後に差し出された掌を握り返した。

 

 一連の遣り取りを見ていた響は、隣にいるクリスを見遣りながら微笑を浮かべてサムズアップをする。

 

 同じタイミングで同じように響の方を見遣っていたクリスも、流石に響のようなサムズアップはしなかったが微笑を返事として応えた。

 

 すると、米国基地側の人間と共に佇んでいたウェルが響とクリスの下まで歩み寄って来る。

 

「確かめさせて頂きましたよ。皆さんがルナアタックの英雄と呼ばれることが、伊達ではないとね」

 

「英雄って……ハハハ! 俺はそんな大したことしてないって! 俺がしたことなんて高が剣ぶん回した後に月ぶん殴っただけだって!」

 

 響は自身のしたことを簡単に口にするが、それがどのような過酷な状況下で行われたかを本人はちっとも理解していないように見える。正に言うは易く行うは難しということだ。

 

「ハハハ、どうやら英雄はとても謙虚な方達のようだ」

 

 それを謙虚と受け取ったウェルは、穏やかな笑みを浮かべながら次の言葉を述べていく。

 

「世界がこんな状況だからこそ、僕達は英雄を求めている。そう、誰からも信奉される偉大なる英雄の姿をッ!」

 

「お、おう……」

 

 穏やかで知的な人間に見えていたウェルであったが、英雄について語り始めた途端に最後の語尾が強くなったのを見て、思わず響は本能的に一歩引きながら返事を返した。

 

「皆さんが守ってくれたものは、僕が必ず役立ててみせますよ」

 

「不束なソロモンの杖だけど、宜しく頼むぜ」

 

「頼んだからな」

 

 その言葉を最後にして響達はウェルや米国基地の人達と別れ、米国基地の敷地外へと移動した。

 

「無事に任務も完了だぁ。そして──」

 

「あぁ! この時間なら翼のステージにも間に合う! それに何と言っても今日は……ひゃほほほひゃっほい!!」

 

「煩えッ!!」

 

「ぶるぁぁぁぁッッ!?」

 

 クリスの言葉を遮ったと思えば、テンションが初っ端から高かった響の精神状態が振り切れて奇声を発し出し、その煩さにキレたクリスが響の頬を殴り飛ばして正常化させた。

 

「テンション上がるのは分かるけど、もう少し抑えろこの筋肉バカ! さっきのお前ただの気持ち悪い変態だったぞ」

 

「お、おう。この抑え切れない衝動が……」

 

「まぁ、片っ方だけでもお前のテンション凄いのに、両方揃えばこうなるか……」

 

 クリスからの注意を受けて響も反省し、そんな響を見ていたクリスは呆れながら大きな溜め息を吐いた。

 

「ふふ。そんな響君の朗報よ」

 

「ほへ?」

 

「2人が頑張ってくれたから、司令が東京までヘリを出してくれるみたいよ」

 

「マジすかッ!?」

 

 微笑を浮かべる友里からの朗報を聞いて静まった響のテンションが再び再燃するかと思われた直後、先程響達がいた米軍基地で爆発が起こり、その爆炎の中からギガノイズが姿を現した。

 

「マジすかぁ……」

 

「マジだな……!」

 

 響とクリスは再び出現したノイズを討滅する為に米軍基地の中に戻るが、響達が現場に駆け付けるまでの間に米国基地の人間達はノイズの攻撃によって次から次へと物言わぬ煤の塊へと変えられていくのであった。




・原作と今作の相違点コーナー

(1)列車から落ちそうになったところを響に助けられたクリス
──その内心はしないシンフォギアの心理描写のように荒ぶっておられます。

(2)手を握られるのではなく、抱き締められるクリス
──抱き締められたことで任務中であることも忘れてついつい緩んじゃうクリス。可愛い。

(3)ペンをへし折っていた393
──久々にウルトラマンガイアを見て、今作にも入れてみたいなと思った要素。

(4)響の我流・猛虎翔脚
──XDの最初のPVを見て、凄く格好良いと思った必殺技。絶対に出したかった。これからもXDの技はどんどん出していきます。

(5)お姫様抱っこのまま会話していた響とクリス
──今作のクリスちゃんは本能的に今作ビッキーを欲しています。可愛い。流石は愛されキャラ。

(6)NINJAに腹パンするUTAME
──NINJAでも避けられない程に疾いOTOMEの拳。これぞOTONAの血筋の片鱗である。

(7)相も変わらず技名を叫ぶ響
──“撃”と“烈”の文字を使った名前をG編で出てきたガングニールの必殺技に付けるとか制作陣も粋なことをしますよね、本当に(恍惚)

(8)ルナアタックの件を謙遜する響
──謙虚な訳ではありません。ただ単に原作よりも自己愛とか自己評価が皆無なだけです。

(9)ウェルの反応に思わず引く響
──対象が違うだけで、“ツヴァイウィング”について語らせると今作ビッキーも大概です。

(10)テンションの高まりが抑えられない響
──今作ビッキーは両歌姫がデビューしたてだった頃からのファンです。古参勢です。ガチ勢です。

 今回で僕が挙げるのは以上です。他に気になる点がありましたら感想に書いて下さい。今後の展開に差し支えない範囲でお答えしていきます。

 誤字脱字等ございましたら、誤字報告機能を使ってご報告宜しくお願いします!

 以前書きました通り、相違点コーナーもパワーアップさせました。不評でしたら、響だけの相違点コーナーに戻しますので、それとなく感想でちょこちょこっと書いといてくれると嬉しいです。

 G編に突入しましたが、ぶっちゃけ初っ端からタイトルが思い付きませんでした。

 ただ響の活躍も大きいし、これの元になった原作のタイトルを捩ってタイトルの名前を決めました。

 それと今回は個人的にクリスちゃんがただただ可愛い回になってしまいました。反省も後悔もしてません。

 今回は筆が乗って早く投稿出来ましたが、次回も1週間で投稿出来るとは限らないので末長くお待ち下さい。

 それでは、次回もお楽しみに!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。