最近調子がよくて週一で投稿出来てるのが自分でも不思議です。でも、そろそろ週一も厳しくなってくるかも……。
XV3話は色々と豪華でしたね。まさか1話の中に変身シーンが2つも入ってるとは。
クリスちゃんの変身は相変わらずカッコよさメインの中にそのムチムチボディを活かした演出と可愛さがあって最高でした。
まさか集大成でおっぱいリロードが見られるとは。最後のバァーン!も合わせてクリスちゃんの魅力が僕の脳内を領空侵犯してきて、脳内がクリスちゃん一色で染め上げられそうになりました。
危ない危ない。大丈夫、僕の推しは翼さん……翼さん……つbiすしゃん……クリスちゃん……あれ?
【クリスちゃんのおっぱいは弾薬庫】\_(・ω・`)「はい、ここ重要ね!テストに出るからチェックしておくように」
ちゃんと抜き打ちでテストするから、ここを復習しておくのを忘れないように。
調ちゃんも可愛かったですね。個人的に今回はエロさよりも可愛さメインで、変身シーンの最後のウサギさんポーズはハートにズキュンと来ました。
まぁ、可愛さ増しても要所要所でエロさも健在でしたけどね。
それと風鳴の種蒔き糞爺はやっぱり最低最悪の魔王でしたね。あんな老害通り越して害悪そのものの糞爺の種からどうやったらあんな聖人パパんとOTONA、それに翼さんが生まれたのか……。
今後予定してる今作の展開的に、家のビッキーは糞爺ととことん険悪な仲になるかもです。
世間話も終了してそろそろ本編の方の話をしていきましょうか。
今回のタイトルは、貴重な意見を下さった方のお陰で原作とは違ったものになっています。
調べたのですが、少女という言葉は7歳から18歳前後までの年齢の女性が該当するらしいです。
G編でのマリアさんの年齢は21歳だと思われ、ニコニコやようつべのコメントでも言われていた通り、少女という言葉には定義的にもどうも当て嵌まりません。
ですので、そんなマリアさんを表すのに相応しい言葉は乙女だと思うのです。
先も言いましたが少女は違いますし、女って表現は個人的に好きじゃないので却下しました。
という経緯で今回のタイトルはこのような形で落ち着きました。
それでは、どうぞ!
現在とあるライブ会場では、その日に行われるライブの会場設営が行われていた。
音響のスピーカーを上げたり、ステージの足場を設置したり、ステージの背景モニターの映像を確認したりと設営班の人達が一生懸命精を出している中、その光景を一望出来る観客席にその女性は座っていた。
綺麗な桃色の髪を前からは猫耳と見えるような形でアップにしている美麗な女性は、呆然と今見える風景を眺めながら静かに鼻歌を
すると、女性が懐に入れていた通信端末から着信音が鳴り始め、女性は鼻歌を止めて端末の着信に出た。
『こちらの準備は完了。サクリストSが到着し次第始められる手筈です』
「
端末から聞こえてきた厳かな女の言葉を聞いた直後、女性の視線は鋭くなり、決意を固めたかのように静かに立ち上がった。
「OK、マム。世界最後のステージの幕を上げましょう」
立ち上がった女性──マリア・カデンツァヴナ・イヴは、まるで宣戦布告でもするかのように勇ましく言葉を告げた。
一方、ノイズの襲撃に見舞われた岩国の米軍基地では既にノイズとの戦闘後の戦後処理が行なわれていた。
無数に出来上がった煤の山を生き残った米軍基地の人間達が回収しているが、その表情はどれも優れない。
それも仕方が無いことだ。ノイズの襲撃から生き残ったとはいえ、今彼らが回収している
「既に事態は収拾。ですが行方不明者の中にウェル博士の名前があります。そして、ソロモンの杖もまた……」
既に響達装者は退去しており、戦後処理の為に残って司令部に事のあらましを報告している友里の視線の先には、中身のソロモンの杖が抜き取られて空になってしまているケースがあった。
見ての通り、ノイズの襲撃時に何者かの手によってケースの中にあったソロモンの杖を強奪されてしまったのだ。
「そうか……分かった。急ぎこちらに帰投してくれ」
『了解しました』
司令部で友里からの報告を受けた弦十郎は、現場に残っている友里に帰投命令を出してから通信を切った。
「今回の襲撃……やはり何者かの手引きによるものなのでしょうか……?」
今回の不可解な一連の事件について藤尭が率直な意見を述べ、その言葉を聞いた弦十郎は腕を組んだまま顔を顰めていた。
◇◇◇
時間帯は夕方頃に移ろい、ライブ会場は大きな盛り上がりを見せていた。
ライブ会場入り口には、ホログラムによって“QUEENS of MUSIC”と表記された文字や風鳴翼とマリア・カデンツァヴナ・イヴが映っている画像が投影されている。
『この盛り上がりは皆さんに届いていますでしょうか? 世界の主要都市に生中継されているトップアーティスト2人による夢の祭典! 今も世界の歌姫マリアによるスペシャルステージにオーディエンスの盛り上がりも最高潮です!』
直接会場からアナウンスしているアナウンサーの言う通り、アメリカを始め、カナダ、フランス、ドイツ、ベルギー、ルクセンブルク、アイルランド、スイスといった沢山の国にこの“QUEENS of MUSIC”というイベントは中継されている。
世界規模で生中継される程に、風鳴翼とマリア・カデンツァヴナ・イヴという2人の歌姫には沢山のファンがいて、そんな2人が今宵に限って同じステージで歌うということそのものがファンにとっては奇跡のように感じられていた。
そんな大人気な歌姫の片割れである翼は、現在舞台裏にあるスペースで椅子に座りながら静かにステージに上がるその時を待っていた。
「状況は分かりました。それでは翼さんを──」
『無用だ。ノイズの襲撃と聞けば、今日のステージを放り出しかねない』
「そうですね。では、そちらにお任せします」
その翼の近くでは、緒川がインカム型の通信機で本部と連絡を取り合っており、弦十郎と一通りの遣り取りを終えたことで緒川は本部との通信を切ることにした。
「司令からは一体何を?」
緒川が通信を終えたタイミングを見計らい、一連の遣り取りに耳を傾けていた翼は緒川に通信の内容を訊ねた。
訊ねられた緒川は、先程まで掛けていた眼鏡を懐に仕舞いながら翼の方へ振り返って答える。
「今日のステージを全うして欲しいと」
緒川の一連の動作を見ていた翼は、呆れるように小さく溜め息を吐いた後にゆっくりと席から立ち上がり、距離を詰めながら人差し指を緒川に突き付けながら言葉を述べる。
「眼鏡を外したということは、マネージャーモードの緒川さんじゃないということです。日頃から響にも言っていますけど、自分の癖を覚えておかないと敵に足元を掬われ──」
「お時間そろそろでーす! お願いしまーす!」
「ッ! はい! 今行きます!!」
翼が緒川に注意の言葉を促していた途中で会場のスタッフからステージ入りの準備の言葉を投げ掛けられ、翼は会話を中断させて返事を返した。
会話が途中で途切れて既にもう時間がない中、緒川は真剣な眼差しで翼を見遣りながら伝えたい言葉だけを簡潔に述べる。
「傷付いた人の心を癒すのも、風鳴翼の大切な務めです。頑張って下さい」
真剣な雰囲気から一転してニッコリと笑いながら翼を鼓舞する緒川を見て、すっかり毒気を抜かれた翼は余計なことを言わずに言葉を返す。
「……不承不承ながら了承しましょう。詳しいことは後で聞かせてもらいます。では行ってきます」
「はい。特に今日は翼さんにとって大事な日でもありますから。響君の心を再び翼さんだけに夢中にさせられることを心から祈ってますね」
「ッ! い、いきなり何を言うんですか、緒川さんッ!?」
クールな雰囲気から一転して取り乱し始める翼。その顔はすっかり赤らんでいて、恋する乙女の容貌になってしまっていた。
「ここ最近の響君はあのマリア・カデンツァヴナ・イヴに夢中ですからね。いちアーティストとしてだけでなく、一人の女性としても負けていられませんもんね?」
「〜〜〜ッ!!? えぇ、仰る通りですッ!」
「それにあのような宣戦布告もしてしまいましたし──」
「もう結構ですッ!!」
羞恥心が限界に達した翼は、緒川との会話を無理矢理切り上げて逃げるように早歩きでその場から歩き去っていく。
(……そう。今日は私にとって大事で、楽しみだった一日であると同時に負けられない一日でもある)
未だ顔にほんのりと赤みを残したまま歩みを進める翼は、内心で独白しながら今日あった出来事を回想し始める。
それはステージ衣装に着替えた翼が緒川に腹パンを決めた後、腹パンの痛みから立ち直った緒川から今後のスケジュールについて打ち合わせをしていた時であった。
翼のいる控え室の扉が突然ノックされ、翼の返事を待たずにその扉が開け放たれたのだ。
『邪魔するわよ』
無遠慮にも翼の控え室に入ってきたのは、今宵に翼が共にステージに立って共演することになっているマリア・カデンツァヴナ・イヴその人だった。
『今日は宜しく。精々私の足を引っ張らないよう頑張ってちょうだい』
腰回りまで伸びた桃色の長髪を大きく揺らしながら、マリアは何とも自信に溢れた物言いで翼に挨拶をしてきた。
人によっては傲慢と見て取れる態度であり、その物言いが原因で揉め事が起きそうな言動であったが、翼はささくれ立つこと無く言葉を返した。
『えぇ。今日は共に最高のステージを飾りましょう』
極めて冷静に返した翼はマリアに向けて右手を差し出し、それを見たマリアも翼の右手を握り返して握手した。
『それと、私からも言っておくことがあるわ』
『あら、何かしら?』
しかし、先程までの空気から一転して剣吞とした雰囲気が漂い出し、近くで見守っていた緒川も冷や汗を流し始める。
『私は同じアーティストとしてあなたを共に競い合うライバルだと思っている。今日は同じステージに立つけれど、だからこそ私はあなたに負けたくない』
『あら、それは今日のライブで私と白黒付けるという意味で受け取っても構わないのかしら?』
『好きなように受け取ってくれて構わないわ』
徐々にであるが、翼は普段のような落ち着いた面持ちからこの剣呑な雰囲気に合う好戦的な鋭い目付きに変わり始めている。
対するマリアも最初の自身に満ち溢れる面持ちを崩すこと無く好戦的な笑みを浮かべ始めている。
『私のデビュー当時からのファンが最近あなたの歌に惹かれ始めてるようなの。だから、今日を以って私は再びあの子の心を私の歌に引き戻してみせるわ』
『お生憎様。私も今日はあなたに負けられない理由があるの。今日のライブには、私がデビューしてから初めてファンになってくれた子が私のステージを見に来てくれているのだから』
お互いの視線の間に火花が幻視出来るような空気であるが、この互いをライバルと認め、共に相手に負けたくないと思わせる想いこそが互いを高め合うキッカケとなり、結果的にステージのレベルを引き上げることになるのだ。
尚ライバル意識は確かにあるかもしれないが、翼の方は50%程私情混じりであるのは言うまでもないだろう。
『……ふっ。続きはステージで。楽しみにしているわよ』
『えぇ。お互いにベストを尽くしましょう』
剣呑な雰囲気が霧散し、最初のような面持ちに戻った二人は互いに相手に一言告げた後にマリアが控え室から出て行ったことで別れたのだった。
(今日は、私の今までのどの歌よりも素晴らしいものを届けてみせる。だから、ちゃんと私の歌を聞いていて、響)
二課の任務で遅れてライブ会場にやって来る予定である自身の想い人に翼は想いを馳せた。
マリアのスペシャルステージでライブ会場が盛り上がる中、そのライブ会場よりかなり離れた場所に正体不明の謎の車両が停まっていた。
その車両内には、複雑な数値のパラメーターや謎の物質などが映ったモニターがあり、車内の一番大きなモニターには歌を歌うマリアの姿が映し出されている。
その映像を見ているのは、メカメカしい車椅子に乗って右目に眼帯をしている一人の老齢の女性である。
歌うマリアの映像を見ていた老齢の女性は、背部にあるモニターから鳴った電子音に反応して振り返り、モニターに表示されたメッセージを見る。
モニターには、“
「漸くのご到着。随分と待ちくたびれましたよ」
そのメッセージが届くのを余程心待ちにしていたのか、老齢の女性はほんの少しだけ表情を綻ばせて誰もいない車内で独り呟いていた。
◇◇◇
再び時は移ろい、太陽が姿を消して夜の帳が空を覆う時間帯となった。
多くの歓声と拍手が木霊するライブ会場では、その会場の中心とも言えるステージの上で黒色のステージ衣装を着たマリアが観客や中継用のカメラに向かって大きく手を振って沢山の声援に応えている。
そんなマリアの姿がよく見えるライブ会場のロイヤルボックスには、本日の主役の一人である翼から直接招待された未来や未来と響の友人である創世、詩織、弓美の姿があった。
「おぉ! 流石はマリア・カデンツァヴナ・イヴ!! 響に聞いてた以上に生の迫力はやっぱ違うねぇ!!」
両手にサイリウムを持った弓美は、友人に聞いていた以上の歌を披露したマリアの存在にすっかり魅了され、その両手に持ったサイリウムをハイテンションで振り捲っている。
「全米チャートに登場してからまだ数ヶ月なのに、この貫禄はナイスです!」
詩織の言うように、マリア・カデンツァヴナ・イヴは日本の歌姫と言っても差し支えない翼のように長い経歴を築いてきた訳ではない。
マリア・カデンツァヴナ・イヴは、デビューして僅か2ヶ月程の短期間で全米チャートのトップに君臨した新進気鋭の歌姫なのである。
そんな米国の音楽業界の記録を一気に塗り替えた彼女の実力は本物であり、今この瞬間にも翼のファンとしてライブ会場に来た人間の何割かがマリアのファンに鞍替えしていたりする。
「今度の学祭の参考になればと思ったけど、流石に真似出来ないわ」
「それは初めから無理ですよ、板場さん」
弓美の口から出たこの場に来た目的と感想を聞いて、詩織は苦笑を浮かべながら諌めた。
詩織の意見も最もであり、素人の少女達が幾ら学祭の参考にしようと、プロであるマリアは歌もステージも最高級のものであるのだから、そもそも参考にしても実現不可能。出来ても質の悪い劣化コピーにしかならないだろう。
そんな会話に耳を傾けながら、未来は手首にあるピンク色の腕時計を見遣った。既に時計の針は5時半という時間を指し示していて、ライブ開始から随分と時が経っていた。
「まだビッキーから連絡来ないの? メインイベントが始まっちゃうよ?」
隣で未来の様子を窺っていた創世は、未来の待ち人である響からの連絡の有無を未来に訊ねた。
「うん……」
創世から訊ねられたことに未来は眉を八の字にしながら答え、小さく顔を俯かせる。
「折角風鳴さんが招待してくれたのに。立花さんが大ファンな2人による今夜限りの特別ユニットを見逃すなんて……」
「本当に期待を裏切らないわね、彼。あたしもあそこまで運が無い人は響ぐらいしか知らないよ」
未来と創世の会話に混ざり、詩織は今日という日をずっと楽しみにし、愛犬の散歩中も特訓中もずっと口に出していたらしい響がこの場に来れないことに同情し、弓美は自分の友人の不幸っぷりを嘆いていた。
すると、突然ライブ会場の照明が消されて辺り一帯が暗闇に包まれた。それが次の公演の合図だと知っている詩織と弓美は、会話を切り上げて喜色の表情を浮かべた。
アリーナ席を青と白のサイリウムが一斉に彩り、ステージの背景モニターに映像が流れ出すのと同時にステージの下から2人の歌姫がその姿を現す。
「見せてもらうわよ。戦場に冴える抜き身のあなたを!」
1人は先程から話題となっているマリア・カデンツァヴナ・イヴ。その姿は、先程の黒色を基調とした衣装から一転して、その殆どが白色で彩られた衣装を身に纏っており、左手にはレイピアのような形をした金色のマイクが握られている。
もう1人は日本を代表する歌姫である風鳴翼。その姿は、白を基調とするマリアとは正反対であるかのように、左上半身に着た黒色の大きな袖が目立つ和装を彷彿とさせるステージ衣装を身に纏っていて、右手にはマリアと同じ金色のマイクが握られている。
長い前奏が終わると、翼がAメロをメインで歌い始め、マリアがバックコーラスとして翼に合わせながら歌う。
翼がある程度まで歌ったところでマリアも合流して同じ歌詞を歌い始め、2人の歌う“不死鳥のフランメ”が遂に本格的に始まる。
2人の歌姫は互いにマイクを剣舞のように重ね合わせながら歌い、曲が間奏に入るとセンターステージの上で大きく踊る演出で会場内を盛り上げる。
翼が歌う歌詞の部分では、翼のファンであろう青いサイリウムを持った観客達がリズムに合わせながらそのサイリウムを振って合いの手を入れる。
逆にマリアが歌う歌詞の部分では、マリアのファンであろう白いサイリウムを持った観客達がリズムに合わせながらそのサイリウムを振って合いの手を入れた。
ステージの演出であるエフェクト効果によって翼とマリアのマイクを持っていない方の手に炎が灯り、2人は互いに自身のマイクを相手に向けて差し出しながら歌う。
マリアが歌いながらレイピア状のマイクを振ると、そのレイピアの軌道を彩るように複数の炎のエフェクトが演出を豪華にした。
そして曲のBメロが終わり、2人がステージにマイクを突き立てて歌詞の一部である“
2人はサビに突入した歌を歌いながら炎が彩る花道を走り抜けてメインステージに移動する。
2人がメインステージに移って歌い始めると、今度は背景モニターと足場のモニターに燃え盛る炎の映像が映り、更なる演出で会場内のボルテージがますます高めていく。
翼の左半身の大きな袖とマリアの腰から伸びたスカート状のマントが翻された直後、モニターの炎の輝きが増して2人の姿がシルエットとして浮かび上がった。
そしてサビが終わって2人が歌い終わると、背景モニターに2人の歌う歌を意味するかのような不死鳥のシルエットが映し出され、会場内に不死鳥の羽のようなエフェクトが広がった。
2人の歌姫による競演効果は凄まじく、2人の歌に魅了された観客達は今まで以上の大きな拍手と歓声を送り、先程までしょんぼりした顔を見せていた未来を含めた全員が興奮を抑えられずにいる。
歓声を送ってくれる観客達に向けて翼とマリアは手を振り返し、翼は2、3歩前に進み出て観客達に言葉を送る。
「ありがとう、皆!」
翼がまず謝辞の言葉を述べると、その言葉に応えるように沢山の歓声が翼に返ってきた。
「私は、何時も皆から沢山の勇気を分けてもらっています。だから今日は、私の歌を聞いてくれている人達に少しでも勇気を分けてあげられたらと思っています!」
翼の言葉に会場内のテンションが高まり、より一層の歓声と拍手が巻き起こる。
「私の歌を全部世界中に暮れてくれる!」
すると、今度は翼と同じように前に進み出てきたマリアが発した大胆な宣言に会場内のテンションが高まり、中継カメラからライブの放送を見ていた人達も釣られて声援を送り始める。
「振り返らない! 全力疾走だ!! 付いてこれる奴だけ付いてこいッ!!」
そんなマリアの言葉に感謝の言葉を返すと同時に涙を流し始める人間まで多数出始める。
「今日のライブに参加出来たことを感謝している。そしてこの大舞台に日本のトップアーティスト、風鳴翼とユニットを組んで歌えたことを」
マリアが翼のいる方向を見遣りながらそう言うと、翼はマリアの下へ歩み寄りながら次の言葉を述べる。
「私も、素晴らしいアーティストに巡り会えたことを光栄に思っています」
翼が右手を差し出すと、マリアもそれに応じるように右手で翼の手を握り返した。
「私達が世界に伝えていかなきゃね。歌には力があるってこと」
「それは世界を変えていける力よ」
2人の歌姫の言葉に再びライブ会場が歓声と拍手に包まれる。
すると、握手を終えたマリアはその身を反転させて再び観客達の前に歩み出た。
「そして、もう1つ……」
演出の予定に無かった言葉をマリアが口にし始め、その様子を見守っている翼は怪訝な表情を浮かべた。
そしてマリアがスカート状のマントをはためかせると、会場内の至る所に無数のノイズが出現し、翼は瞠目しながらマリアを見遣った。
直後、ライブ会場には歓声から一転して阿鼻叫喚の悲鳴が鳴り響き始める。
死の恐怖に呑まれた観客達は、出現したノイズから逃げる為に形振り構わずに叫び散らしながらノイズから距離を取ろうとする。
「……狼狽えるな」
そんな地獄絵図に等しい光景を目の当たりにしながら、マリアはまるで自分に言い聞かせるようにボソリと呟いた。
「狼狽えるなッ!!」
そして今度は先程呟いた言葉を観客達に言い聞かせるように手に持っていたマイクを使って会場全体に鳴り響かせた。
すると、その大きく力の込もった言葉によってパニックに陥っていた会場内から悲鳴が消え、会場内はシーンと静まり返ることとなった。
昼間のようにノイズの出現を検知していた二課の司令部では、今もいない友里の穴埋めの為に藤尭やその他のオペレーター達が忙しなく解析を進めていた。
「ノイズの出現反応多数ッ! 場所は“QUEENS of MUSIC”の会場!!」
「何だとッ!?」
藤尭から報告されたノイズの出現した場所を聞いて、弦十郎は驚愕を露にしながら思わず立ち上がってしまう。
「遅かりし。ですが、これで漸く計画を始められます」
同じようにノイズの出現を観測していた老齢の女性は、先程までライブ映像が流れていたメインモニターから目を離し、他のモニターに繋がっているコンソールを弄り始める。
そんな老齢の女性の背後には、赤く輝くクリスタル状のペンダントを胸に掛けた2人の少女の姿があった。
ライブ会場に出現したノイズは、出入り口を塞ぐように佇んでいて会場にいた観客達は身動きを取ることが出来ずにいる。
「ア、アニメじゃないのよッ!?」
「何でまたこんなことに……!?」
会場のロイヤルボックスからその光景を見ていた創世達もその危険性から迂闊に動くことが出来ないでいる。
「響……」
(あの時の響も、もしかしたらこんな気持ちだったのかな……?)
目の前に広がる光景が幼馴染みの体験した惨劇と重なり、未来は死の恐怖を感じながら自分を守ると約束してくれた想い人へ思いを馳せた。
そんな未来の想い人である響は、ヘリに揺られながら会場に向けて移動しており、ヘリの座席に付いているモニターからライブ会場の状況を確認していた。
「……ッ!」
「おい、大丈夫か?」
胸の中心付近を押さえながら齧り付くようにモニターを見続けている響を心配してクリスが声を掛けた。
「ッ! あ、あぁ! 大丈夫に決まってるだろ!」
「本当か? ……痛むのか?」
クリスの言葉に反応した響は何ともないようにいつも通りを装って答えが、その様子は何処か無茶しているようにクリスに見え、胸を押さえる手を見遣りながらクリスは再び訊ねた。
「……こういうの古傷が痛むっていうのかな? あの時と状況が似過ぎててな……」
翼のライブ中でノイズが発生する。それは2年前の惨劇の渦中にいた響にとって、当時の出来事を思い出させるには十分な出来事である。
2年前と違うのは今が夜であること、ノイズがまだ人を誰も殺していないこと、そして何より天羽奏がその場にいないことだろう。
「了解です。装者2名と共に常況介入まで40分を予定。事態の収拾に当たります」
端末で司令部にいる弦十郎と連絡を取っていた友里は、今の自分達の常況と到着までの予測時間を司令部に伝えてから通信を切り、後部座席に座っている響とクリスに視線を向ける。
「聞いての通りよ。疲労抜かずの3連戦になるけどお願い」
「あぁ、任せとけ。こんなの生身で完全聖遺物とタイマン張るのに比べたら全然マシだ」
響はこう答えたが、きっと彼の師匠である弦十郎はノイズを相手にするなら完全聖遺物と差しで遣り合う方がマシだと答えるだろう。
「又しても操られたノイズ……」
「詳細はまだ分からないわ。だけど……」
「だけど?」
「……ソロモンの杖を狙ったノイズの襲撃とライブ会場に出現したノイズが全くの無関係とは思えない」
「「……」」
あまりにも出来過ぎているこの常況を見て、友里は自分達も巻き込まれた先の事件と今起こっている事件の関与を疑い、友里の話を聞いた響達は同様に眉を顰めた。
(……何でだよ。何でなんだよ、マリアさん)
響はずっと応援していた歌姫あり、今回のライブ会場でのノイズ出現の明らかに関与しているマリアに疑問を抱きながら映像を見ていた。
そんなマリアの一番近くにいて、方法や今後のことを一切気にせずに動けばこの常況を打破することが出来るであろう翼は、何時でも動けるようステージ衣装の一部である首回りを覆っていた布を取って出来る限りの臨戦態勢に入った。
その布の下には、響のような特例とは違う通常のシンフォギア装者達がシンフォギアを纏う為に常に携帯しているクリスタル状のペンダントがぶら下がっている。
これで翼は何時でも聖詠を歌ってシンフォギアその身に纏うことが出来る。
「怖い子ねぇ。この常況にあっても私に飛び掛かる機を窺っているなんて」
だがマリアは翼の一連の行動の意味を知っているかのようにそう言い、何時でも行動を起こせるよう機会を窺っていた翼から全く目を逸らさない。
「でも逸らないの。オーディエンス達がノイズからの攻撃を防げると思って?」
「くっ……」
余裕の表情を浮かべたまま観客達を人質にして自身の行動を抑制するマリアを見て、翼は己の無力さと動けぬ歯痒さから歯噛みしていた。
「それに、ライブの模様は世界中に中継されているのよ。日本政府はシンフォギアについての概要を公開しても、その装者については秘匿したままじゃなかったかしら? ねぇ、風鳴翼さん?」
マリアの言動と態度は翼が日本が秘匿しているシンフォギア装者の1人であることを完全に理解しているものであり、ならばと翼も隠すようなことはせずに言葉を返す。
「甘く見ないで。そうとでも言えば、私が鞘走ることを躊躇うとでも思っているの?」
正体を看破されても翼は全く動揺を見せず、逆に強気な言葉を返しながら持っているマイクの先をマリアに向けた。
仮に正体が露見し、この先アーティストとして歌うことが叶わなくなろうとも、きっと翼は己の夢と人の命なら迷うこと無く後者を選ぶ。
歌姫として死した
例え世界が翼の歌を聞いてくれなくなったとしても、翼にはどのような常況でも必ず自分の歌を聞いてくれると思える人がいるのだから。
そんな翼の揺るぎない信念が込められた言葉を聞いたマリアは、その余裕に満ちた表情の上に微笑を浮かべる。
「あなたのそういうところ、嫌いじゃないわ。あなたのように誰もが誰かを守る為に戦えたなら、世界はもう少しまともだったかもしれないわね……」
「え……?」
余裕に満ちた表情が翳り、その中に憂いの表情を浮かべるマリアを見て翼は呆然としながら疑問の言葉を呟いた。
「マリア・カデンツァヴナ・イヴ、あなたは一体……?」
「そうね。そろそろ頃合いかしら?」
マリアは左手に持っていたレイピア状のマイクをクルクルと回した後に持ち直すことで持ち手の位置を調整し、会場内に響き渡るハウリング音が鳴り止んでから言葉を紡ぐ。
「私達は、ノイズを操る力を以ってしてこの星の全ての国家に要求するッ!」
「世界を敵に回しての口上ッ!? これはまるで──」
「──宣戦、布告!?」
近くでマリアの言葉を聞いていた翼と同様に、忙しなくライブ会場内を走り回っていた緒川もマリアの言葉を聞いて翼と同じことを思っていた。
世界に対する宣告。その内容がノイズと言うシンフォギア以外誰も敵うことなのない『武力』を使っての要求とあれば、それは間違い無く宣戦布告以外の何物でもなかった。
「そして──」
マリアは宣戦布告を告げた後、前振りの言葉を述べてから左手に持っていたレイピア状のマイクを空高く放り投げ、翼も釣られて目でマイクの後を追ってしまい、不覚にもマリアの次の行動を未然に防げなくなってしまった。
「Granzizel bilfen gungnir zizzl」
マリアの口より歌が紡がれると、光がマリアを包み込むと同時に身に纏っていたステージ衣装までも吹き飛び、その彼女の首元には翼と同じクリスタル状のペンダントが輝いていた。
「まさかッ!?」
シンフォギア起動時に歌われる聖詠とその後に発生するエネルギーの輝きを見た翼は瞠目した。
「この波形パターン、まさかこれはッ!?」
二課の司令部で観測されたアウフヴァッヘン波形の波形パターンを見て、メインオペレーターを担当している藤尭も翼と同じように目を見張った。
マリアから観測されたその波形パターンは、過去に二課の方でも2度観測されたことがある。
1度目は翼の片翼であった天羽奏から、2度目は現在二課に所属していて大事な戦力である立花響から観測された。
同じ波形パターンが観測された2人には共通点がある。使えるようになった経緯までは違うが、2人が同じ聖遺物の欠片から作り出されたシンフォギアの装者であるということだ。
2人が使っていた聖遺物の名前、そんなものは二課に所属している人間なら誰だって知っている。
そんな2人と全く同じ波形パターンがマリアから観測された。つまり、彼女の纏うシンフォギアもまた──
「ガングニールだとぉ!?」
──ガングニールであるということに他ならない。
司令部の中央モニターに大きく表示された“GUNGNIR”という単語を見て、弦十郎は響が初めてシンフォギアを纏った時と同様に勢いよく立ち上がって驚愕を露にした。
腕を覆うスーツの上から響と同様の形の腕部ユニットが装着され、足を覆う脚部ユニットは奏の纏っていたギアを豊富とさせる形状をしており、腰部は響にも奏にもないマリアのもの独特の腰部ユニットとなっていて、その背には大きな漆黒のマントが付いている。
そして、頭部には響や奏と全く同じ形状のヘッドギアが装着されてマリアの変身が完了した。
だが同じガングニールと言ってもマリアの纏っているギアは、響の纏う全体的に明るめで橙色中心のガングニールと違い、全体的に暗めで桃色に近いオレンジ色中心の配色となっている。
傍で直接見ていた翼、司令部のモニターの映像で観測していた弦十郎と藤尭、そしてヘリのモニターで見ていたクリスと響も大きく口を開きながらガングニールのシンフォギアを纏ったマリアを見ていた。
「黒い、ガングニールッ……!?」
その中で最初に言葉を発したのは、皮肉にもマリアと同じガングニールのシンフォギア装者である響であった。
「私は……私達はフィーネ。そう、終わりの名を持つ者だッ!!」
高らかな名乗りと共にマリアの口から出てきたその名前は、嘗て響達がルナアタック事変の時に戦った先史文明期の巫女の名前と全く同じものであった。
・原作と今作の相違点コーナー
(1)緒川に揶揄われる翼
──今作の翼さんは、進化ルートがSAKIMORIじゃなくてUTAMEですので、言動や情緒がOTOME的なものとなっています。
(2)マリアをライバル視する翼
──自分のファンであり想い人でもある響が、最近はマリアの歌に夢中であることやその容姿と体型から、今作の翼は対抗意識を燃やしております。
(3)マリアさんのファン1号
──何でも別国の人間であるにも関わらず最初にファンレターを送ってきてくれた相手であり、活動の一つ一つにちゃんとコメントや応援メールを送っているらしい。
(4)響にシンパシーを覚えた未来
──ライブ会場でのノイズの出現。その恐怖は、きっと2年前の時に響も感じていたものだと未来は思った。
(5)古傷が痛む響
──余りにもダブって見えるその光景を見て、思わず胸の傷跡の疼きを感じた今作ビッキー。
(6)響を心配するクリスちゃん
──日頃はツンツンしてるけど、やはりその根っこにある優しさを隠し切れないクリス。優しい子ッ!
(7)ノイズ>完全聖遺物な今作ビッキー
──生身で完全聖遺物と殴り合った今作ビッキーだからこそ実感の込もっている言動。尚、OTONAは逆。
今回で僕が挙げるのは以上です。他に気になる点がありましたら感想に書いて下さい。今後の展開に差し支えない範囲でお答えしていきます。
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翼の過去の回想ですが、こちらはしないシンフォギアを参考にさせて頂きました。
しないシンフォギアのマリアさんの衣装って明らかに“不死鳥のフランメ”の時の物だったけど、色々と可笑しい点が多いんですよね。
間の時間はそんなに多くなかったのに、衣装を着替えてからケータリングコーナーで料理を確保した後に翼のところに行って挨拶するなんて、明らかに時間が足りませんよ。
ステージ裏で待機してた翼も態々また自分の控え室に戻るなんて無駄の多い行動ですし。
まぁ、お笑い要素強めのおまけ映像を指摘するなんてのは野暮なことでしょうけど。
ですので、今回はライブが始まる前に挨拶をしていたという形に落ち着けました。
後、ライブの表現の仕方が下手糞で申し訳ありません。
出来る限りライブの光景を表現出来るよう拙い語彙力と文章力で頑張ったのですが、どうしても不出来なものとなってしまいました。
今後はもっと上手く書けるよう精進致しますので、今回は目を瞑って頂けると嬉しい限りです。
次回も出来るだけ早く投稿出来るようベストを尽くしますので応援宜しくお願いします。
それでは、次回もお楽しみに!