戦士絶唱シンフォギアIF   作:凹凸コアラ

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 皆さん、どうもシンシンシンフォギアー!!(挨拶)

 今回は1週間で投稿出来ました! 暑さも少し落ち着き、執筆速度が少しだけですが上がった恩恵です。

 XDの方では遂にNINJAまでも実装された訳ですが、本音を言うとNINJAよりも先にXVで再誕したキャロルの方を実装してほしいですね。

 まぁ、翼のデュオレリックが出たのは良いのですが、何か最近OTONAとフィーネとウェルがいる世界にばかり行ってる気がする。クリスちゃんの時もそうでしたし。

 アニメの方は、何というか……タイトルに付いてる『戦姫』って何だって言いたくなる話でしたね。

 アニメでは全然見なくなった女性言葉の口調で話す翼も見れて個人的には嬉しかったのですが、何かXVって全体的に翼を苛め過ぎですよ。

 まだ見てない人がいると思うので必要以上のネタバレは言えません。ですから、こんな僕とアニメのことで雑談したい方は個人でメッセージを送ってくれると嬉しいです。

 もし、こんな僕の戯言を真に受けてメッセージを送って下さった場合は、必ず返信することを約束します。

 では、そろそろ世間話も終了して本編の方に入っていきましょうか!

 それでは、どうぞ!


EPISODE 32 日常の影に潜むもの

 その施設は、本島との間に海を挟んで1本の鉄橋で繋がれた人工の島にあった。

 

 施設の外壁や周りの設備の老朽化から鑑みるに、その施設が人が寄り付くことが無い廃棄されて久しい施設であるとういことは容易に理解出来るものである。

 

 そんな廃棄された施設の中には、施設の外観からは想像もつかないような最新鋭の設備が完備されており、その設備の一部であるキーボードを操作している人物がいた。

 

 その人物とは、先日の“QUEENS of MUSIC”で姿を現したフィーネなる組織に所属していると思われるマリア、調、切歌の3人の装者を影からサポートし、マリアからマムと呼ばれていた老齢の女性であった。

 

 老齢の女性は、手元にあるキーボードに情報を打ち込みながら目の前にあるモニターに映る映像を眺めていた。

 

『スパーブソングッ!』

 

『コンビネーションアーツッ!』

 

『セット! ハーモニクスッ!!』

 

 老齢の女性が見ていたのは、二課に所属する響達3人の装者が同時に絶唱を歌い、増殖分裂型ノイズを木っ端微塵に吹き飛ばすまでの一部始終の映像であった。

 

(他者の絶唱と響き合うことで、その威力を増幅するばかりか生体と聖遺物の狭間に生じる負荷をも低減せしめる……)

 

 老齢の女性は、その時の映像の中でも特に響のことを注視しながら内心で己が考えられる仮説を並べていた。

 

(櫻井理論によると、手にしたアームドギアの延長に絶唱の特性があるというが……。誰かと手を繋ぐことに特化した性質こそ正しく立花響の絶唱)

 

 何も闇雲に仮説を並べている訳ではなく、開示された櫻井理論を読み込んだいち科学者としての意見を老齢の女性は述べているのである。

 

(降下する月の欠片を砕くために絶唱を口にしてもなお装者たちが無事に帰還出来た最大の理由)

 

 ルナアタックの際に響達3人の装者が落ちてくる月の欠片を砕いたという情報を入手していた老齢の女性は、月を砕いても尚響達が無事に帰還出来た理由にいち科学者としてそう結論付けた。

 

(絶唱の三重唱。なればこそ計測される爆発的なフォニックゲイン)

 

 老齢の女性は、響達の姿映っている映像を閉じて先の戦闘の際にも映し出されていた謎の白い物質の画像を映した。

 

(それを持ってしてネフィリムを……。天より落ちたる巨人を目覚めさせた)

 

 次いで映し出されたのは、牢の中に囚われた化け物と呼ぶに相応しい容姿をしたノイズとは違う謎の生物であった。

 

(覚醒の鼓動)

 

 映像に映るネフィリムという名の化け物を見ていた老齢の女性──ナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤは、内心でそう呟きながらネフィリムを見るその目を細めた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 ライブ会場での宣戦布告から1週間が経ったが、その後にマリア達フィーネが何か行動を起こした気配は無く、何も起きないまま静かに時だけが過ぎていっていた。

 

 そんなマリア達と直接対峙した装者の1人である響は、動きがあったら何時でも動けるよう備えながら平穏の日々を送っていた。

 

「良いぞ、ミライ! もっと俺に付いてこい!」

 

「わふっ!」

 

 太陽が昇り始めた早朝の時間帯で、響は飼い犬のミライと共にまだ早朝故に人が少ない街中を駆け抜けていた。

 

 拾った当時から時間も経ち、その分だけ成長したミライは無事に室外での散歩が出来るようになったということで、響は自分の日課であるランニングの序でにミライの散歩も行っていた。

 

「はっ、はっ、はっ」

 

「よしよし! 少し休憩するか」

 

 走ることが大好きなミライは、響の朝のランニングにも全速力で付いてくるが、まだ生後5ヶ月ほどの幼犬であるミライに無理をさせる訳にもいかず、響はミライの様子を見て適度に休憩を挟むことにしていた。

 

 休憩の為に響は丁度都合良く近くにあった公園に立ち寄り、公園の設備として設置されている手洗い場兼水飲み場で水分補給をし始める。

 

「んぐ……ぷはぁ〜! やっぱもう秋だから水も良い温度してるな」

 

「わふっ!」

 

「ん? 何だ、お前も欲しいのか? よし、ちょっと待ってろよ」

 

 響は水を欲しがるミライの要望に応える為に、身に付けたショルダーバッグの中に入れておいたプラスチック製の器を取り出し、そこに水飲み場の水を汲んで下に置いた。

 

「水は幾らでもあるから、好きなだけ飲むんだぞ。でも、急に飲み過ぎるのは体に悪いからゆっくり飲めよ?」

 

「わん!」

 

 響の言葉に返答するようにミライは一鳴きした後に下に置かれた器の水を自分のペースでゆっくりと飲み始めた。

 

「よしよし。偉いぞ、ミライ。飼い主である俺みたいにお利口に育ってくれて俺は嬉しいぞ」

 

 響は自身の言うことをちゃんと聞いてくれるように育ったミライを撫でながら褒めるが、先の発言をもしクリスが隣で聞いていたら、きっと凄まじい切れ味のある鋭いツッコミが返ってきたことだろう。

 

「やっぱりここにいたか」

 

 すると、響にとって聞き慣れた声が響の背後から聞こえてきたことで響は勢いよく背後に振り返った。

 

「兄貴!? 兄貴じゃねーか!」

 

 聞こえてきた声の主は、響の兄貴分でクリスの書類上の保護者に当たる名瀬黎人であった。

 

 聞こえてきた声が予想通りの人物のものであったことが分かった響は、水を飲むのに夢中になっているミライをそのままにして黎人の下へ歩み寄る。

 

「日本に来てたんなら連絡くれても良いじゃん」

 

「これでも昨日の夜に日本入りしたばかりなんだよ。英国での仕事に一先ずの区切りが付いて、私用の案件まで済ませてきたんだ。昨日ぐらいはゆっくりさせてくれよ」

 

「私用の案件?」

 

 黎人の言う私用の案件で響が思い付くのは、今はもう解決されて久しいクリス捜索の案件ぐらいである。故に響は、自身の兄貴分がプライベートを削ってまで何に首を突っ込んでいるのかが気になり、反射的に聞き返していた。

 

「おいおい。関わってる当の本人がそんなんで大丈夫か?」

 

「えっ? それって俺も関わってんの?」

 

「関わってるも何も当事者だろうだが、お前さんは。ほら、例の1週間前のアイドル大統領の案件だよ」

 

「アイドル大統領……あっ! マリアさんのことか!?」

 

 アイドル大統領と言われて響が思い当たるのは唯1人だけであり、その人物こそ1週間前にあった“QUEENS of MUSIC”の会場にて世界に向けて宣戦布告を行ったマリア・カデンツァヴナ・イヴのことである。

 

「俺も英国にいる時は仕事の合間に妻の一人とライブの中継を眺めてたんだが、流石の俺もアレには度肝を抜かれたさ。お前だってそうだろ?」

 

「そりゃそうだろ、兄貴。兄貴は俺がマリアさんのファンだってことは知ってるだろ?」

 

「勿論ご存知だとも。お前の頼みで態々英国で発売され立てのマリアのCDの初回限定版と通常版の両方を買って送ってたんだからな」

 

 実はネットでマリアさんの歌を世界の誰よりも逸早く知った響は、渡ってくるのにも少々の時間が掛かる英国の歌姫の歌を聞く為に、態々兄貴分に頼んでCDの初回限定版と通常版の両方を送ってもらっていたのである。

 

 データをダウンロードすれば良いだけの話かもしれぬが、そこは響のいちファンとしてのスタンスと拘り、後は男にありがちなコレクター精神というものが働いた結果である。

 

「案の定あの件にはお前らが関わってたか。なら、それ以上に驚いてることだってあるだろ?」

 

「……やっぱり兄貴にはお見通しか」

 

「2年もお前の兄貴分やってて分からない訳が無いだろ? それに、お前さんは俺が縁を繋いだ人間の中で一番に分かり易い人間だからな」

 

 兄貴分である黎人にそう言われた響は苦笑を浮かべ、2年前の際に負った傷跡が残る胸に手を置いた。

 

「確かガングニールつったか? お前が天羽奏から受け継いだシンフォギアは」

 

「あぁ。そして、あの時マリアさんが纏ってたのも……俺と同じガングニールだ」

 

 響にとって自身が応援していた歌姫であるマリアが自分や恩人である天羽奏と同じガングニールを身に纏ったことが、マリアがノイズを操って会場を襲撃及び占拠したことよりも驚きが大きかった。

 

「恩人と応援してた歌姫が同じギアを纏った。その心境は、たぶんお前にしか分からないんだろうな」

 

「兄貴……」

 

「どうだったんだ? 否が応でも戦うことになっちまったんだろ?」

 

(ハハッ。やっぱ兄貴にはお見通しか……)

 

 察しが良過ぎる兄貴分を見て、響はやっぱり兄貴には敵わないと思いながら当時に思っていたことを正直に話すことにした。

 

「説得してみたけどダメだった。偽善者だとか綺麗事だとかって言葉で片付けられちまった」

 

「そうか。まぁ、相手が聞こえの良い言葉ばかり並べてきたらそうなるわな。昔の何処かの誰かさんもそうだったしな」

 

「ぐふっ!」

 

 過去の黒歴史の傷跡を抉る黎人の的確な言葉が言葉の矢となって見事に響の胸を射抜き、響は精神的ダメージを負って苦悶の声を漏らした。

 

「で? 諦めるのか、(きょうだい)?」

 

「まさか。冗談は子供の数だけにしてくれよ、兄貴」

 

 諦めるのかと問われた響の顔に陰りは無く、これっぽっちも諦めてなどいないことがその表情から容易に読み取ることが出来た。

 

「我慢比べは得意な方だからな。こっからは持久戦だ。話を聞いてくれるまで粘り続けてみせるさ」

 

「おいおい、可哀想じゃねぇか。我慢比べなんざ完璧にお前の土俵だろ?」

 

 黎人は若干巫山戯気味に響に言葉を返すが、これは巫山戯ているのではなく、立花響という人間は洒落にならないレベルで我慢比べが得意分野なのだ。それこそ黎人が先に白旗を上げる程に。

 

 虚仮の一念で己が限界まで逃亡生活を見事に続けてみせ、フィーネとの戦いでは生身であってもその肉体が限界に至るまで戦い続けた響にとって、我慢比べは正に得意分野と言っても過言ではないのだ。

 

「他にはどうだった? 例えば実際に会ってみた歌姫マリアについてとか」

 

「マリアさんか……正直、羨ましかったかな」

 

「羨ましい?」

 

「あぁ。マリアさんさ、槍のアームドギアを使ってたんだ。そのことを俺は羨ましく思ったよ」

 

 嘗て響が心の底から欲した、ノイズを屠り、人々の命と未来、希望と笑顔を守り抜くガングニールのシンフォギアの象徴にして無双の一振り。

 

 今は踏ん切りが付き、奏とは違う自分なりのスタイルで人々を守ることを確立した響であるが、それでも過去にその力を欲した残り火とも言える思いは未だに心の底で燻っている。

 

 何故なら、どれだけ時間が経ち、何処に行き、どのような生き方をしようとも天羽奏という人間は立花響にとって恩人であり、憧れであり、覆しようが無い特別の中の特別な人なのだから。

 

 そんな憧れの人と同じ武器を使いたいという思いは、何かしらの人物に憧れを抱く人間なら誰しも共感出来ることだろう。

 

「けど、それだけさ。相手が同じガングニールでも、俺は俺のやり方で戦って、マリアさん達と分かりあうだけだ!」

 

「……そうか」

 

(見てない間にまた成長しやがって……)

 

 決して悲観すること無く何処までも晴れ晴れとした表情で言葉を口にする響を見て、黎人は自分の知らない間に響がまた1つ成長していることを実感し、そのことを嬉しく思った。

 

「わん!」

 

 すると、先程まで水を飲んでいたミライが響の足下にやって来て、その前足で自分を構えと言わんばかりに響の膝から脛にかけての部分を軽く引っ搔き始めた。

 

「おっと、悪い悪い! ほっといて悪かったな! そろそろ帰るか、ミライ!」

 

「わふっ」

 

 自分の足下まで寄ってきたミライに視線を合わせた響はミライのことを激しく撫で回し、ミライは響の言葉を理解しているように一鳴きした。

 

「兄貴はこの後どうするんだ? 良かったら飯でも食ってくか? 今日はクリスの分の飯も作るから、兄貴一人分くらいなら序でで作れるけど」

 

「いや、今日のところは遠慮させてもらう。今日は先約が入っててな。この後直ぐに弦十郎の所に行って改めて情報の共有をしなきゃならねぇんだ」

 

「そっか。そいつは残念だ」

 

「全くだ。弟分と義娘の長女と一緒に飯を食うという魅力的なお誘いなんだがな。私用とはいえ、お仕事を蔑ろには出来ないってな」

 

 黎人は公園の出口に向かって歩き出し始め、響も器や荷物を回収してからミライを伴って黎人の後を追う。

 

 公園の出口から直ぐの車道の端には黒塗りのスポーツカーが停められていて、黎人は少しカッコつけながらそのスポーツカーに飛び乗った。

 

「今日の案件が片付いたら、俺はまた英国の方に飛ばなきゃならない。だから、クリスのことは呉々も頼んだぞ? 戦いのことだけじゃなくて、生活面のこともな」

 

「あぁ、任せてくれ。近々リディアンで文化祭があるみたいだから、兄貴の分も俺がクリスと一緒に楽しんでくるさ」

 

「ふっ。頼んだぜ、(きょうだい)

 

 黎人は響に向けて握り拳を作った左手を差し出し、黎人の意図を理解した響はそんな黎人に合わせるように右手で握り拳を作ってから黎人の拳に軽くぶつけた。

 

 響の対応を見て満足そうな笑みを浮かべた黎人は、拳を引っ込めると直ぐに車を発車させて二課の本部がある方へ消えていった。

 

 その後、黎人を見送った響は散歩を再開させて再びミライと共に街の中を駆け巡り、ミライが満足したところで自分の家のあるマンションへと帰宅した。

 

「よく運動した後は、よく飯食うに限る。俺はクリスのところに行ってくるから、ちゃんと飯食うんだぞ?」

 

「わふん」

 

 やはり響の言葉を理解しているのか響が言葉を述べた直後にミライは一鳴きし、それを見た響もいつも通りなやり取りに満足してお隣さんであるクリスの部屋へ向かった。

 

 以前に貰ったクリスの部屋の合い鍵を使って部屋へと入り、朝食を作る為の材料を台所に置いてからクリスが寝ているであろう寝室へと足を運ぶ。

 

「おーい、起きてるかークリスー? 開けるぞー?」

 

「はぁ!? ま、待てバカ!? まだ──」

 

 前以(まえもっ)て今日に朝食を作りに来ることを伝えていた響は、寝室にいるクリスに一声掛けた直後に中から聞こえて来るクリスの言葉を聞き流しながら寝室のドアを開けた。

 

 ドアを開けた響の視界に映ったのは、シャワーを浴びたのか髪がまだ少ししっとりしていて、上下白色の下着の上に学校の制服であるカッターシャツを着ている途中のクリスの姿だった。

 

「……」

 

 シャワーを浴びた影響でクリスの母親譲りな色白の肌は薄らと赤らんでいて、着ているカッターシャツのボタンが未だに全開である故に腹部も露出しており、着ている衣服やクリスの肌や髪の状態も相まって今のクリスはとても扇情的に響の目に映っていた。

 

「何見てんだバカッ!? さっさと出てけッ!!」

 

 クリスの姿に見惚れて固まったまま思わず響が生唾を飲み込んでいると、逸早く停止状態から復帰したクリスが声を荒げながらベッドの近くにある目覚まし時計を響の顔面目掛けて投擲した。

 

 流石はイチイバルの装者と言うべきか投擲された目覚まし時計は寸分も狂うこと無く吸い込まれるように響の顔面に的中する。

 

「ふごぉ!?」

 

 普段の響であればクリスの投擲も躱すなり受け止めるなり出来たであろうが、クリスに見惚れてしまっていた響に回避行動を取ることは出来なかった。

 

 これも女の子に興味が尽きない思春期真っ盛りな男の子の(さが)である。

 

 それはさておき、クリスの羞恥と怒りの反撃を諸に食らった響はそのままクリスの寝室から締め出され、脳裏に焼き付いたクリスの姿に悶々としながら朝食を作り始めた。

 

 暫くしてしっかりと制服に着替えたクリスが寝室から出てきたが、クリスは頬を赤らめたまま響と全く目を合わせないで朝食が並べられ始めているキッチンと繋がっているカウンターテーブルの椅子に腰掛けた。

 

 しかし、キッチンとカウンターテーブルは構造上向かい合う形になっているせいで響とクリスは自然と正面から向き合うことになる。

 

「……」

 

 響の正面に座ったクリスは、顔を赤らめた仏頂面で外方を向いていた。そんなツンケンしたクリスの態度に響もじわじわとであるが罪悪感のようなものが込み上げてくる。

 

 少し気不味い空気の中、響は内から湧き出る罪悪感を払拭する為に朝食を作る手を止めることはせずに正面にいるクリスに話し掛ける。

 

「……なぁ、クリス」

 

「……」

 

 響が話し掛けてもクリスは依然としてツンとした態度を貫き通しており、自身の自業自得である故に響はクリスのその態度も割り切ってクリスに話し掛け続ける。

 

「さっきは俺が悪かった。勝手に入ったことは謝るから機嫌直してくれよ。頼む、この通り!」

 

 響は料理に使っていた菜箸を脇に置き、両手を合わせて合掌しながら瞑目してクリスに頭をさげることで自身に出来る精一杯の謝罪の意思を態度で表す。

 

「……」

 

「……」

 

 瞑目している上に頭まで下げている響には今のクリスの状態は全く分からない。故に響は、クリスが何らかの返答をくれるまで頭を下げ続ける。

 

「……頭上げろよ」

 

 10秒程してクリスからの返答が届き、響はクリスに言われるまま頭を上げる。

 

 頭を上げた先にいるクリスは、まだ顔は赤らんでいるが首と体の方向は響の方へ向いていて、視線は基本的に横にズラしながらも時折チラチラと響に視線を向けている状態であった。

 

「……さっきのことは誰にも言うな。勿論、お前の大好きな幼馴染みとあの防人女にもだ」

 

「分かった。誰にも言わない」

 

「それと今度からはちゃんとあたしの許可が出るまでドアは開けるな。声を掛ける前にドアをノックしろ。それを約束するなら……許してやる」

 

「……そんなことで許してくれるのか?」

 

「何だよ、キッツいお仕置きでもして欲しいのか? それともまた裁判にでもかけられるか?」

 

「それだけはご勘弁をぉぉぉぉぉッ!!」

 

 持ち上げられた裁判の話題を響は即座にお断りする。基本的に怖いもの知らずの響であるが、未来主体で行われた当時の裁判はすっかり響のトラウマとして脳裏に焼き付いていた。

 

「なら素直に受け入れれば良いんだよ」

 

 咽び泣くような響の情けない姿を目にしながら自分の言葉を素直に飲み込むよう促した後、クリスは不満を吐き出すように小さく溜め息を吐いた。

 

「……ったく、普通ああいうことは恋人とか……そういう関係になってからするもんだろ……」

 

「何か言ったか、クリス?」

 

「ッ!? 何でもねぇよ! それよりさっさと飯作りやがれ! ニートなバカと違ってあたしは学校行かなきゃなんないだからな!!」

 

「バカって言うな! せめて筋肉付けろや!」

 

 ぼそり呟いた言葉を耳聡く拾って訊ねてくる響に対し、クリスは慌てふためきながら無理矢理話題を切り替え、あるワードが出たことによる条件反射で響が決まり文句を返す頃には先のクリスの呟きのことなど頭からすっぽ抜けていた。

 

 すっかりいつも通りの言葉の応酬が出来る程に仲直りした響とクリスは、響が朝食を作り終えるまでの間の時間を談笑しながら過ごした。

 

 響が朝食を作り終え、自身の前に並べられた朝食のメニューを見てクリスが感想を漏らす。

 

「へぇ。今日は和食オンリーなのか」

 

「偶にはこういうのも良いかなってな。前の飯はかなり不評だったし」

 

「ったりめーだろ!! お前が食卓にわんさかと虫料理なんてもんを並べやがったのをあたしは未だに許してねぇからな!!」

 

 実は響、兄貴分である黎人と共に諸国を回っていた際に黎人の嫁の1人から出された虫料理を食した経験があり、何かと癖になってしまったその味を時折食べたくなるということもあって、偶にネットで虫料理の材料を買ったりしている。

 

 ありとあらゆる虫の幼虫や成虫を食べられる響は、その癖になる味を周りにも共有したくなって一度周りの人間に虫料理を披露したことがあるのだ。

 

 弦十郎は映画の影響もあってか興味深そうに虫料理を食べ、緒川も修行時代を思い出すと言いながら同様に食し、藤尭は最初はビビりながら目を閉じて一口食べていたが案外イケるその味の虜となった。

 

 男性からは好評であった虫料理だが、クリスの反応からわかると思うが女性陣からはとてつもなく拒絶されたのだ。

 

 未来は初めて響の料理を拒絶し、翼は仕事が入っていないのに仕事と言って逃げ、クリスは捕虜生活でももう少しマシな物を食べてたと言って響をぶん殴った。

 

 友里を始めとした他の女性陣にも響は当然勧めたが、好奇心旺盛な一部を除いた殆どが虫を食べることを拒絶して逃げた。

 

 そもそも虫を食べる文化があまり浸透していない日本では、いきなり初見で虫料理を食えと言われて普通に食べられることの方が可笑しいのである。彼女達の反応こそが、日本では一般的な反応と言える。

 

 それ以来響は理解を得られなかった人の前には絶対に虫料理は出しておらず、何かの間違いで再び自分達の前に虫料理が出てこないようクリスは目を光らせているのだ。

 

「分かってるって。ほら、さっさと食べないと遅刻するぞ」

 

「んなことは分かってんだよ。そんじゃ、いただきます」

 

「いただきます」

 

 響が朝食を食べるよう促し、クリスは横の椅子に響が座ったタイミングで一緒に合掌してから朝食を食べ始める。

 

「もぐもぐ……」

 

(……今日は被害は少なそうだな)

 

 響は静かに白米を咀嚼しているクリスを横目で見ながら、皿の上やテーブルの周りに時折視線を向けていた。

 

 響がクリスの食べ方に気を配っているのは、偏にクリスのテーブルマナーが壊滅的であるが故だ。

 

 クリスはその悲惨な生い立ちの影響でテーブルマナーが非常に悪く、レストランなどの場所で食事をすると料理を食い散らかしてしまい、皿や皿周りのテーブルの上が汚くなりがちなのだ。

 

「……ッ?」

 

 すると、お椀に注がれていた豆腐と若布(わかめ)のシンプルな味噌汁を飲んでいたクリスが唐突に眉を顰めた。

 

 顰めっ面になったクリスは、口を離していたお椀に再び口を付けて中身の味噌汁を啜るが、今度は首を傾げて横に座っている響を見遣った。

 

 クリスが見遣った先にいる響は変わらず朝食を食べ続けており、気のせいかと思ったクリスは塩で味付けされた卵焼きを口にした後に再び眉を顰めた。

 

「……なぁ」

 

「ん? どうした?」

 

「何か、今日の味付け全般的に濃くないか?」

 

 クリスが感じた違和感はそれであった。折角作ってもらったのに苦言を漏らすのは失礼であることをクリスは重々承知しているが、それでも自分が憶えた違和感を口にせずにはいられなかった。

 

「そうか?」

 

「何か前より全体的に味付けが濃いんだよ」

 

 最初に食べた白米は兎も角として、次に食べた味噌汁や次いで食べた卵焼きの味付けが以前のものより濃くなっていることにクリスは違和感を憶えた。

 

 味噌汁の味付けが濃いのを気のせいかと思ったクリスだが、再び飲んでもやはり味噌が濃く感じ、塩で味付けされた卵焼きの方も塩の味を何時もより濃く感じた。

 

 自分の味覚が可笑しいのかと思って響を見遣れば当の響は気にせずに食べ続けていて、そんな自分との差異をクリスは気にせずにはいられなかった。

 

「俺はそうは思わないけどな。寧ろいつも通りって感じだけど」

 

「何だ、頭の次は舌までバカになったのか? それとも舌が味に慣れ過ぎて分からなくなったか?」

 

(そんなに濃いか? 俺からすれば普通ぐらい……いや、もう少し濃くても良いくらいなんだけどな……)

 

 クリスに言われたことを気にしつつも、響はいつも通りだと思っている自分の料理を残すこと無く完食したのであった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 時と場所は変わり、夜の帳に覆われた人工島の廃棄施設の内部で調と切歌は、仲良く並んで熱いシャワーを浴びていた。

 

「──でね、信じられないのは、それをご飯にザバーっと掛けちゃった訳デスよ!」

 

「……」

 

「絶対に可笑しいじゃないデスか! そしたらデスよ!」

 

「……」

 

「ぁ……」

 

 切歌は隣にいる調に楽しく話し掛けながらシャワーで各部を洗い流していたが、何時ものように言葉を返してくれない調を見遣った直後に黙り込んでしまった。

 

 調は切歌のように各部をシャワーで洗うようなことはせず、ただ頭からシャワーのお湯を被ったままた呆然と立ち尽くしている。

 

「……」

 

「……まだ、あいつのことを、デスか?」

 

 現実に見えるものとは違う何かを見据えているような調を見た切歌は、ここ1週間の間で時折見られるその状態の原因であろう1週間前に出会った響の話題を口に出した。

 

「……」

 

──相手のことも全く知らないのに、争う理由が何処にあ──

 

──そんなの当たり前だ! 人の気持ちになんてなれる訳がない!

 

──けど、思い遣ることなら何とか出来る。

 

「……ッ」

 

 調の脳裏で響の言葉が次々と木霊し、調の感情を掻き乱す。同時に、心に芽生えた小さな芽も比例するように大きくなっていく。

 

「人類の英雄だなんて持て囃されてるあいつを、痛みも何も背負ってない人間だと思ってた。けど……」

 

──人の感じたものに大も小も無ければ、貴賎なんてものもない。全員自分が昔に感じたことを物差しにして物事を見て感じ取る。俺はそう教えてもらった。

 

 調は偽善者が嫌いだ。何も知らず、何も背負っていない偽善者の吐く言葉ほど人の持つ熱も思いも籠っていないからだ。

 

 しかし、そんな偽善者達と所詮同じであると断じていた響の言葉には、実際に触れれば火傷じゃ済まないくらいの熱と実感の込められた思いが宿っていたと調は感じた。

 

──俺はお前の過去に何があったか知らない。お前の感じる痛みを俺は本当の意味では分かってやれない。けど、そんなお前を思い遣ることは俺にだって出来る!

 

 あれ程の熱が込められた言葉を正面からぶつけられた調は、それらをただの綺麗事として切り捨てることなど出来なかった。

 

「……うん。本当に調子が狂っちゃうデスよね」

 

 そんな調と同じように、切歌も心に小さな疑問の芽が芽生えてしまっていた。

 

──なぁ、暁。お前達の目的を俺達は知らない。けど、お前達がしようとしてることは本当にこんなやり方でしか出来ないものなのか?

 

──それだとやったらやり返されるかもしれないんだぞ。そしたら、またやってやり返されて、次もやられたからやり返しての繰り返しだ。

 

──あぁ、その通りだ。でも、だからこそ現実にしたいだろ?

 

 調に掛けられた言葉は響の内にある煌めく月のような優しさを感じさせる言葉であったが、切歌に掛けられた言葉は響の内にある燃える太陽のような強さを感じさせる言葉であった。

 

──どんなに御託を並べても、結局のところは綺麗事が一番良いんだ。(これ)でしか遣り取り出来ないなんて、そんなの悲し過ぎるだろ?

 

「……世の中は綺麗事だけじゃ片付けられないデス。だから、本当にやらなければいけないことは悪だと分かってても背負わなきゃデスよ」

 

 真っ直ぐ過ぎて眩しいくらいの響の強さは、正義では解決出来ないこともあると言う切歌を余計に惨めな気持ちにさせ、切歌はそんな自分を鼓舞するように言葉を口にする。

 

──……それに出来ればお前とは戦いたくない。

 

 それでも切歌の頭を過るのは、人の強さに満ちた言葉とは裏腹に悲しみに染まっていた人としての弱さを感じさせる響の顔だった。

 

(……矛盾してるデスよ。言葉と顔が余りにもちぐはぐ過ぎるなんて)

 

 一見人としての強さを感じさせながら、直後に垣間見た弱々しい表情の謎に切歌は疑問を抱いて困惑するばかりであった。

 

「私達のやろうとしてることは、誰かがやらなきゃいけないことなんだよね、切ちゃん……?」

 

「……そうデスよ」

 

 不安そうに自身の掌を見詰める調の手を切歌は握り、2人はお互いの手を包み込むように両手で握り合った。

 

 すると、2人しかいなかったシャワールームに何時もは猫耳のような形にアップにしていた髪を解いたマリアがやって来た。

 

 マリアは途中から一つのシャワーを一緒に浴びていた2人の傍まで歩み寄り、自身に一番近いところにあるシャワーの蛇口を捻ってシャワーを浴び始めた。

 

「それでも私達は、私達の正義と宜しくやっていくしかない」

 

──なぁ、マリアさん。本当のあんたは戦いなんて望まない優しい人の筈だ!

 

 出会って間も無い間に自身の本音を見破られ、調と切歌の反応を見ていたマリアは、立花響という人間がどうしようもない程に誠実で真っ直ぐな少年であることを理解した。

 

(……本当に風鳴翼やあの子ような人が多ければ、世界はもっとマシなものになっていたかもしれない)

 

 そうすれば、まだ歳も低い調と切歌(ふたり)を戦場に駆り出すような真似をしなくても良かったかもしれないとマリアは常々思う。

 

「迷って振り返ってる時間なんてもう、残されていないのだから」

 

 しかし、世界はマリアの望むように優しくはない。マリア自身よりも小さな命でさえもチップにしなければならない程に、既に世界は切羽詰っているのだから。

 

「……マリア」

 

 マリアの名を呟く調が見たのは、神秘的に見えると同時に何処か儚げで悲しそうな表情を浮かべるマリアだった。

 

 すると、突如として非常事態を告げる警告音が施設全域に鳴り渡り、漏れ無くシャワールームにも鳴り響いたその音に釣られて3人は警告音が聞こえる施設上部のスピーカーに目を向けた。

 

 警告音が施設全域に鳴り響く中、施設の通路を遮るようにして無数の隔壁が展開されていき、念入りと言わんばかりに鉄格子までもが隔壁の直ぐ後ろに立ち並んだ。

 

 隔壁と鉄格子を展開した張本人であるナスターシャは、安心するように溜め息を吐いてからモニターに映るネフィリムを睨み付けるように見遣った。

 

 モニターに映るネフィリムは、まるで腹ペコの獣のように目に映る物質全てを一心不乱に咀嚼して飲み込んでいた。

 

(あれこそが伝承にも描かれし、共食いすら厭わぬ飢餓衝動。やはりネフィリムとは、人の身に過ぎた──)

 

「人の身に過ぎた先史文明器の遺産、とかなんとか思わないで下さいよ?」

 

 モニターに映るネフィリムの習性からその危険性を危ぶむナスターシャであったが、その後ろの暗がりから唐突に男の声が聞こえてきたことで背後を振り返った。

 

「ドクター・ウェル……」

 

 暗がりの中から出てきたのは、響達が武装列車の護送任務の際に岩国の米軍基地まで行動を共にし、その任務終了直後に起こったノイズの襲撃によって帰らぬ人になったと思われていたウェルであった。

 

「例え人の身に過ぎていても、英雄たる者の身の丈に合っていれば、それで良いじゃないですか」

 

 穏やかな声色でナスターシャに話し掛けているウェルを見るに、2人の関係が良好かどうかは定かではなくとも協力関係に落ち着いているであろうことは明白である。

 

「マム! さっきの警報は!?」

 

 先程シャワールームにて警報を聞き付けたマリア、調、切歌の3人は、割と軽装な格好でナスターシャとウェルがいる施設の制御室に踏み入ってきた。

 

「次の花は未だ(つぼみ)ゆえ、大切に扱いたいものです」

 

「心配してくれたのね。でも大丈夫。ネフィリムが少し暴れただけ。隔壁を下ろして食事を与えているから、時期に治まるはず」

 

 ナスターシャがそう言った直後、ネフィリムが暴れているのであろう騒音と共に施設内が強く揺れる。

 

「ッ!? マム!」

 

「対応措置は済んでいるので大丈夫です」

 

「それよりも、そろそろ視察の時間では?」

 

「フロンティアは計画遂行のもう1つの要。起動に先立って、その視察を怠る訳にはいきませんが……」

 

 ネフィリムとは別にマリア達の計画に関わる重要なワードであろう“フロンティア”という謎深き言葉がナスターシャの口から語られ、ナスターシャは行動の重要性に理解を示しつつも、訝し気な視線で隣にいるウェルを見遣った。

 

「こちらの心配は無用。留守番がてらにネフィリムの食料調達の算段でもしておきますよ」

 

「では、調と切歌を護衛につけましょう」

 

「こちらに荒事の予定はないから平気です。寧ろそちらに戦力を集中させるべきでは?」

 

 ナスターシャからの護衛の申し出をウェルは敢えて断り、まるで独りでいることを望むかのようなウェルの言葉に、ナスターシャは先程よりも目付きを鋭くしながら進言を聞き入れる。

 

「分かりました。予定時刻には帰還します。後はお願いします」

 

 ナスターシャはそれだけ言うと話し合いを切り上げ、背後にマリア達を引き連れて制御室を後にした。

 

「……さて、撒いた餌に獲物は掛かってくれるでしょうか?」

 

 制御室から去っていくナスターシャ達を見送ったウェルは、先程までの穏やかな表情とは打って変わった表情を浮かべながらぼそりと呟いた。




・原作と今作の相違点コーナー

(1)早朝からミライと散歩する響
──原作にあった本部での会話はあまり変更点が無いのでカットし、オリジナル展開を設けました。

(2)響と黎人の会話
──以前に書いたと思いますが、今の黎人は未来と同じ民間協力者という形で響や弦十郎達に力を貸しています。

(3)マリアを羨む響
──今作ビッキーは男の子ということもあり、憧れの恩人とその武装への憧れが原作ビッキーよりも強いです。

(4)着替え中のクリスと対面する響
──お隣さん故のハプニング。クリスちゃんとこういうイベントって個人的に凄い絡ませやすい。

(5)過去に虫料理を出していた響
──今作ビッキーの大好きな虫食材は蜂の子。

(6)味が濃くなった今作ビッキーの料理
──これは響が意図したものではなく、響が味見の際に何時もと同じ味にしようとした結果である。

(7)怒りよりも迷いが先立つ調
──響から月のような優しさを感じた調。芯の通った優しさは、調の中に芽生えた思いを日に日に大きくしていく。

(8)困惑している切歌
──響から太陽のような強さを感じた切歌。それと同時に響の中の弱さも垣間見た。

(9)響に思いを馳せるマリア
──本当の自分を瞬時に見抜いてくれた響に少し興味がある。

 今回で僕が挙げるのは以上です。他に気になる点がありましたら感想に書いて下さい。今後の展開に差し支えない範囲でお答えしていきます。

 誤字脱字等ございましたら、誤字報告機能を使ってご報告宜しくお願いします!

 ここで読者の諸君に問題です。兵器に味覚は必要ですか?(暗黒微笑)

 この問題の意味が理解出来た方は、きっとこの話のタイトルの歌の意味にも気付けると思います。

 次回も出来るだけ早く投稿する所存ですので、次回の話をワクワクしながらお待ち下さい。

 それでは、次回もお楽しみに!

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