戦士絶唱シンフォギアIF   作:凹凸コアラ

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 皆さん、どうもシンシンシンフォギアー!!(挨拶)

 いきなり余談のシンフォギアXDの話なのですが、竜を討つ魔剣ガチャの幻獣ギアの調ちゃんエロ過ぎませんか? 腕や足の刺々しい装甲に対する胴回りの露出度の高さが凄いですね。

 いや、知ってましたよ。調ちゃんがシンフォギアの変身及び衣装でエロ担当なのは。1番小さいのにエロ担当とは、これ如何に。

 そのせいで最近調ちゃんをそういう目線でしか見られなくなりつつあります。小さくて家事が出来て衣装がエロいなんて……最高じゃないか!(洗脳済み)

 調ちゃんをお嫁さんに欲しい人は感想欄で挙手!(`・ω・´)ノ(露骨なコメ稼ぎ)

 とまぁ、調ちゃんが可愛いという話題は置いときたくないけど置いといて、そろそろ本編に入りましょう!

 今回は新キャラ登場! 題名で察せれる人は分かってるよなぁ?(ゲス顔)

 それでは、どうぞ!


EPISODE 7 槍と剣と鎧

 響が特異災害対策機動部二課に協力するようになって、実に1ヶ月の時が経った。

 

1月(ひとつき)経っても、噛み合わんか……」

 

 弦十郎は、モニターに表示された映像を見ながら独り言ちた。

 

 1ヶ月というそこそこに長い時間が経過したのにも関わらず、響と翼の仲は未だに進展が見られずにいた。基本的に翼は響に歩み寄ろうとはせず、響が翼に話し掛けても基本的に無視するか、本当に素っ気無い返事を一言だけ返して会話が終了する。

 

 弦十郎達も、そんな2人の仲を縮めようと工作したが、全てが効果を為さなかった。翼から響に伝言を頼んでも、翼は必要以上のことは話さず、淡々とした口調で伝言を伝えたら即座にその場からいなくなるのだ。これでは会話のしようもない。

 

 ノイズ発生の際に一緒に任務に行かせても、翼は我関せず先へ先へと行ってノイズを殲滅し、その後を素人の響が一生懸命に付いて行く。

 

 先に翼が現場に到着した場合は、翼が響を待たずにノイズを全て殲滅するから響の出番は全く無い。

 

 逆に響が先に現場入りすると、戦闘の殆どを翼が1人で終わらせることによる弊害であまり経験が掴めず、ノイズに苦戦しながらの戦いになる。

 

 普通なら、先達である翼が後輩である響にノイズとの戦闘や立ち回り方を教えるというのが道理だが、翼には全くその気が無い。故にアームドギアの存在を知ろうとも、響は未だにアームドギアを出現させることが出来ずにいた。

 

「はぁ、どうしたものか……?」

 

 弦十郎は、溜め息を吐いて眉間に寄った皺を揉み解しながら、翼と響の仲が良くなる為のプランを模索し思考する。しかし、唐突に入った通信によって弦十郎の思考は中断させられた。

 

『司令、お忙しいところに失礼します』

 

「緒川か。どうかしたのか?」

 

『はい。以前、司令に調べるように言われた響君の過去の洗い出しが一先ず完了しましたので、その報告を』

 

「ッ! そうか。分かった、報告を頼む」

 

 緒川からの報告が響に関わることだと知った弦十郎は、先程までの浮かない表情を変えて気を引き締め直して緒川に報告を促す。

 

『はい。我々の調査によりますと、立花響という少年は、何処にでもいる平和な日常の中に身を置いている少年でした……2年前までは』

 

「2年前……翼と奏の最後のライブの時と合致するな……」

 

『その2年前の翼さんと奏さんのライブ後を転期にして彼の生活はガラリと変わりました。惨劇から助かった生存者達が世間に迫害されるという風潮があったことは、司令もご存知ですよね?』

 

「ああ……忘れる筈も無い。あの時程、自分の無力さを呪ったことは無い……」

 

 突然とはいえ、ノイズによる襲撃が原因で多くの命が失われてしまったことを弦十郎は自分達の落ち度だと認識している。そのことが影響して、助かった者達までもが、世間から責め立てられるのをどうすることも出来なかった弦十郎は、ただひたすらに遣る瀬無さを感じていたのだ。

 

『……報告を続けます。その迫害には、当事者であった響君も含まれていました。しかし、その中でも響君は、他の生存者よりも更に酷い迫害を受けていました』

 

「……それはどういうことだ?」

 

『はい。調査によりますと、彼はほんの数度だけある言葉を漏らしたことがありました。その言葉は、「自分は“ツヴァイウィング”の天羽奏に命を助けられた」というものでした」

 

「何だと!?」

 

 緒川からの報告を聞いて、弦十郎は驚愕を露わにする。その報告が確かなら、響は奏がシンフォギアを纏う姿を見ていたということに繋がる。しかし、そのような報告を当時の弦十郎は聞いていなかった。

 

『このことは政府の方にも届いていましたが、この情報が本当か嘘か判別出来なかった上に、それに信憑性を持たせるような情報が新たに齎されることも無かった為、我々まで渡ること無くお蔵入りしてしまったのです。お蔵入りした結果、政府からは何の対応も無く、リークで齎されたこの情報は人と人を渡る間に形を変え、“天羽奏が立花響の命を助けた”という形から、“立花響が天羽奏を盾にして生き残った”という歪められた形に収まったらしいです……』

 

「何ということだ……!?」

 

『結果、響君は世間から“歌姫殺し”の異名で呼ばれることになりました。“歌姫殺し”の異名のせいで、世間からの響君への風当たりは更に苛烈さを増したようです。仲良くしていた友達、クラスメイト、学校関係者、近所の人達までもが完全に敵に回り、家の壁には様々な罵詈雑言の張り紙が貼られ、家の窓には外から石を放り投げられ、外を歩いていれば唐突に暴力を振るわれることは日常茶飯事だったようです』

 

「くそっ!? 俺達大人の勝手な判断が、そこまで彼を追い詰めることになったというのか……!!」

 

 弦十郎は、子供の為だけに純粋に動くことが出来る誠実な人間だ。そんな彼だからこそ、彼が置かれてしまった状況を憂いて悔やんだ。

 

『響君は、彼に巻き込まれて迫害を受ける家族を救う為に自ら家を出て行ったようです。彼の捜索は当時も行われましたが、響君の目撃情報は何処にも無く、響君が当時置かれていた状況もあって誰も搜索には協力的にはならず、捜索は難航して、響君の捜索の件は迷宮入りになったようです』

 

「そのようなことが……」

 

『しかし、彼は我々の前に突然姿を現しました。それも身形がちゃんと整い、健康状態も良好なままで、です。これは……』

 

「ああ。何者かが響君を保護し、この2年間ずっと響君の世話を見続けていたことに他ならない。一体、誰が……」

 

『それは我々にも分かりません。彼がいなくなってから我々の前に現れるまでの間の空白の2年間は、どの方向から洗おうと、情報を手に入れることは叶いませんでした。完璧な隠蔽工作です。記録も残っていませんでした』

 

 緒川や二課のエージェントは情報収集のエキスパートである。そんな彼らが一切の詳細も掴めなかったのだ。響を保護した人物が、相当な遣り手であることは明白だった。

 

「そうか。……これ以上は、本人から直接話を聞いた方が早いだろうな。ご苦労だった、緒川。ここから先は、俺がこの件を預かろう」

 

『どうなさるおつもりなのですか?』

 

「何、落ち着ける時間にでも聞いてみるだけさ。1対1で正面から堂々とな」

 

『ふふ、そうですか。了解しました、司令』

 

 そこで言葉を締め括って緒川からの通信が切れる。

 

「……響君を救った人物。一体、何者なのだ……?」

 

 弦十郎以外誰もいない1室の中で、響を救った謎の人物のことを思考しながら、弦十郎は独り言ちたのだった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「待たせてすみません!」

 

 響は、弦十郎達からの呼び出しに応じて司令室まで駆け足でやって来た。響の服装はタンクトップとジーンズとスニーカーで、手には灰色のパーカーを持っている。そんな響の髪は水で湿っていて、体には幾つか水滴が滴っている。

 

「筋トレとかの自己鍛錬をしてたんですけど、待たせるのも悪いと思ってシャワーを浴びた後に乾かさずにそのまま来ました……」

 

「あら、そうなの? ごめんなさいねぇ。こっちも急に呼び出しなんてして。風邪とかには、注意しないとダメよ?」

 

「大丈夫です。俺って免疫力高いですし、バカは風邪を引きませんから!」

 

「それでも、よ。では、全員揃ったところで仲良しミーティングを始めましょ!」

 

 了子がそう言う通り、既に呼び出されたメンバーは全員その場に揃っていて、その中には勿論翼の姿もあり、最後に来たのが響だったようである。

 

「……」

 

(やっぱ、目も合わせてくれないのか……)

 

 響が来たというのに、翼は未だに目を閉じたまま飲み物を口にしている。この1ヶ月で、響は無い頭を使って必死に翼との関係を良くしようとしたが、ちっとも効果は無かった。

 

 怒られるのは響も嫌だが、何の反応も無い無関心というのはもっと嫌である。今の翼は、好きの反対は嫌いではなく無関心、という言葉を正に体現しているようだった。

 

 すると、中央のモニターに二課の本部を中心とした町の地図が表示され、その周辺を囲むようにノイズが発生した箇所が映し出される。

 

「どう思う?」

 

「あー……一杯っすね!」

 

 表示されたモニターへの意見を弦十郎が響に訊ね、響はモニターを少し眺めてから実にシンプルな返答をした。その答えに、弦十郎は声を出して笑う。

 

「ハッハッハ! 全くその通りだ」

 

 響の返答を聞いて上機嫌になる弦十郎に対し、翼は紙コップから口を離して誰にも気付かれない規模で軽く溜め息を吐く。

 

「これは、ここ1ヶ月に渡るノイズの発生地点だ。ノイズについて、響君が知っていることは?」

 

「えーっと、無感情で機械的に人間だけを襲うこと。襲われた人間が炭化してしまうこと。時と場所を選ばずに唐突に出て来て周囲に被害を及ぼす特異災害として認定されていること。現存の兵器では効果が微々たるものしかないこと。意思疎通のしようが無いこと。一般的な物理効果を減衰するか無効化すること。これくらいですかね?」

 

「意外と詳しいなぁ」

 

「まぁ、こういうことを知れる環境に身を置いてたんで」

 

 響が意外にノイズについて詳しいことに弦十郎は感心し、響は軽く笑って後頭部を軽く掻きながら謙遜する。

 

「そうねぇ。ノイズの発生が国連での議題に挙がったのは13年前だけど、観測そのものはもーっと前からあったわ。それこそ、世界中に太古の昔から」

 

「世界の各地に残る神話や伝承に登場する数々の異形は、ノイズ由来のものが多いだろうな」

 

 続けられた了子によるノイズの解説に、弦十郎が細かな補足を入れる。

 

「ノイズの発生率は決して高くないの。この発生件数は、誰の目から見ても明らかに異常事態。だとすると……そこに何らかの作為が働いていると考えるべきでしょうねぇ」

 

「作為? ……それじゃあ、ここまでのノイズの被害は、全部その何処かの誰かさんが引き起こした事態だって言うのか!? しかもノイズを操って!?」

 

 了子の言葉に驚愕を露わにする響。それも当然だ。先に響が言った通り、ノイズは意思の疎通が出来ない存在である。それなのに、ノイズと意思疎通するどころか支配下に置くなど、普通ではありえないからだ。

 

「中心点はここ。私立リディアン音楽院高等科。我々の真上です。サクリストD、デュランダルを狙って、何らかの意思がこの地に向けられている証左となります」

 

 今まで沈黙を貫いていた翼が、唐突に口を開いて自分が思ったであろうことを周りに聞こえるように述べていく。しかし、翼の口から出た聞き覚えの無い単語に響は疑問を抱く。

 

「デュランダル?」

 

「ここよりも更に下層、アビスと呼ばれる最深部に保管され、日本政府の管理下にて我々が研究している、ほぼ完全状態の聖遺物。それがデュランダルよ」

 

「翼さんの天羽々斬や、響君の胸のガングニールのような欠片は、装者が歌ってシンフォギアとして再構築させないとその力を発揮出来ないけれど、完全状態の聖遺物は1度起動した後は100%の力を常時発揮し、更には装者以外の人間でも使用出来るであろうと研究の結果が出ているんだ」

 

「それが、私の提唱した櫻井理論! だけど、完全聖遺物の起動には、相応のフォニックゲイン値が必要なのよねぇ」

 

「あー……」

 

 疑問を抱く響に、友里、藤尭、了子の順に説明を引き継ぐ形で説明するが、話が続く中でごちゃごちゃとした内容が重なったせいで、響は余計にピンと来ずに頭を悩ませていた。

 

「あれから2年。今の翼の歌であれば、(ある)いは」

 

 弦十郎の呟きを聞いて翼の表情が強張ったものに変わり、翼は中に入っていた飲み物を一気に飲み干す。その姿を、響は心配そうに横目で見ていた。

 

(翼さん……)

 

「そもそも、起動実験に必要な日本政府からの許可って降りるんですか?」

 

「いや、それ以前の話だよ。安保を盾に、アメリカが再三のデュランダル引き渡しを要求してきているらしいじゃないか。起動実験どころか、扱いには関しては慎重にならざるおえまい。下手を打てば、国際問題だ」

 

「まさかこの件、米国政府が糸を引いてるなんてことは?」

 

「調査部からの報告によると、ここ数ヶ月の間に数万回に及ぶ本部コンピュータへのハッキングを試みた痕跡が認められているそうだ。流石に、アクセスの出所は不明。それらを、短絡的に米国政府の仕業とは断定出来ないんだ。勿論、痕跡は辿らせている。本来こういうのこそ、俺達の本領だからな」

 

 弦十郎達が話す中で、翼は苛立ちを我慢するように空になった紙コップを静かに握り潰した。その様を見ていた響は、余計に翼のことが心配になった。

 

「風鳴司令」

 

 話が一段落したところで、響達の後ろに控えていた緒川が弦十郎に話し掛けた。

 

「おっ、そうか。そろそろか?」

 

「今晩は、これからアルバムの打ち合わせが入っています」

 

「ウェ?」

 

 緒川の言わんとしていることを知っていた弦十郎はそれだけで察するが、緒川が唐突に口にした内容の意味が分からない響は、呆然として間抜けな声を漏らした。

 

「表の顔では、アーティスト風鳴翼のマネージャーをやっております」

 

 緒川は、懐に忍ばせていた伊達メガネを掛けながら何も知らない響に事情説明をして、取り出した表の身分としての名刺を響に差し出した。

 

「あっ、これはどうもご丁寧に」

 

 差し出された名刺を響が受け取り、翼は間を置かずに緒川を伴って司令室から出て行った。

 

「俺達を取り囲む面倒事ってノイズばっかじゃねえんだな」

 

 響の心底面倒臭そうな発言に、弦十郎は無言で頷いて答える。

 

「どっかの誰かさんがここを狙ってるなんて、そんなのあまり考えたくねえんだけどなぁ……」

 

「大丈夫よ」

 

「え?」

 

「何てったってここは、テレビや雑誌で有名な天才考古学者、櫻井了子が設計した人類守護の砦よ。先端にして異端なテクノロジーが、悪い奴等なんか寄せ付けないんだから」

 

「ハハッ、そいつは心強いや」

 

 少し不安そうにする響を、了子は大きく胸を張りながら自信満々に懸念を消し去るよう元気付け、響は笑顔を浮かべる了子のお陰で暗い気持ちから脱却するのだった。

 

 それから少ししてミーティングは終了し、一同は司令室から出て飲み物を飲みながら休憩を取っていた。

 

「どうして、俺達は……」

 

「ん?」

 

「ノイズだけじゃなく、人間同士でも争うんだ? あちこち行ったけど、どうして人間は争うことを止められないんだ……?」

 

 響は、先程に弦十郎が話していた内容を聞いて思ったことを何と無しに呟いた。

 

「それはきっと、人類は呪われているからではないかしら?」

 

 そんな響の呟きに、隣に座っていた了子が響の耳元まで顔を近付けて答え、その直後に響の耳を甘噛みした。

 

「うわっへぇぇぇぇぇえええぇぇぇぇぇぇいっっっ!?!!?」

 

 唐突に了子によって耳を甘噛みされた響は、妙な奇声を発しながら物凄い勢いで立ち上がって良子から慌てて距離を取った。

 

「あ〜ら、おぼこいわねぇ。誰かの物になる前に私の物にしちゃいたいかも」

 

 そんな響の反応を面白がった了子は、妖しい笑みを浮かべながら目を細めて響を見詰め、それを見ていた友里と藤尭は苦笑していた。

 

「……勘弁してくれよ」

 

 甘噛みをされた当の本人である響は、顔を少し赤くしながらどっと疲れたように言葉を吐き出すのだった。

 

 立花響、童貞。童貞の彼には、先程の行為の相手が例え好意を抱いていない女性であったとしても、少々刺激が強過ぎたようだ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「へぇ、今日って流れ星が見れるのか。空は晴れてて邪魔な雲も少ない。良い天体観測日和だな。偶には、天体観測に洒落込むのも悪くないかもな」

 

 ミーティングがあった翌日の夕方、響は1人で地下へ入ることが出来る入り口の前で携帯を見ながら独り言ちていた。

 

 外で独り言なんて呟けば、周りから奇怪な視線を注がれることになるが今はその心配は無い。何故なら、現在の響の周辺には響以外に人っ子一人いないのだから。

 

「……という訳でだ。予定が入ったから即行で終わらせる!」

 

 響はポケットにスマフォを仕舞いながら、振り向き樣に視線を下にやって呟く。響の視線の先には、地下に続く階段を敷き詰めるように占拠しているノイズが映っている。

 

 響は、弦十郎の指示に従ってノイズが発生した場所に急遽駆け付けたのだ。響の周囲に人がいなかったのは、ノイズが発生したからであり、既に民間人は避難警報に従ってシェルターまで避難完了済みである。

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

 響は聖詠を歌ってシンフォギアを纏い、歌を歌いながらその場から飛び出してノイズに殴り掛かった。

 

『小型の中に一回り大きな反応が見られる! 間も無く翼も到着するから、それまで持ち堪えるんだ。呉々(くれぐれ)も無茶はするな』

 

「分かってる! 俺は、俺に出来ることを精一杯するだけだ!」

 

 司令室から飛んできた弦十郎の指示に、響は周囲に群がるノイズを討滅する為に拳を振るいながら答える。すると、地下に向かって進んでいた響の視界に、他のノイズとはまるで姿が違うノイズの姿が入った。

 

(あれが、一回り大きい反応のノイズか。……まるで葡萄(ぶどう)だな)

 

 全体に紫色の配色で、頭部に(へた)のような触角のようなものが生えて頭部から背部全体に掛けて球状の部位をぶら下げている周りのノイズよりも少し大きいノイズ。それは、紛うこと無き葡萄だった。

 

 響は目の前の改札口を跳び越え、目の前にいたノイズにタックルを仕掛ける。続け様に蹴りを入れ、跳び掛かってくるノイズを倒す響。

 

 すると、葡萄のようなノイズ──セルノイズが葡萄の果実のような部位を周囲にばら撒く。ばら撒かれた部位は、爆発を起こして周囲を倒壊させる。

 

「うわっ!?」

 

 響は、諸に爆炎の中に飲まれて落ちてきた瓦礫の中に生き埋めにされる。爆発を引き起こしたセルノイズは、軽快に飛び跳ねながら響から離れていく。

 

「……あっぶねえ、なあっ!!」

 

 瓦礫の中に埋められていた響は、軽い咆哮を上げて瓦礫から飛び出し、周囲に群がっていたノイズを勢いで全滅させてから逃げたノイズの後を追う。

 

(見付けた!)

 

 逃げたノイズを駅のホームで捉えた響だったが、ホームに潜んでいたノイズ達が響の前に立ち塞がって行方を阻む。

 

(邪魔だ!)

 

 拳を振るいノイズの体を貫き、蹴りを入れてノイズを踏み付ける響。

 

 響は体を鍛えてはいるが、技術面ではまだまだであったりする。響は、黎人から必要最低限の武術しか教えられておらず、それの殆どが柔術の中でも身を守る為の受けの姿勢のものばかりである。よって、攻めの武術をあまり知ら無い響の攻撃は、少し無駄の多い我流のものである。

 

 周りのノイズを殲滅し終えた響は、改めて先程のノイズを追い掛けようとする。しかし、そこに先程のノイズの部位が転がってくる。

 

「うっ!?」

 

 響は咄嗟に両腕を顔を覆い、襲い掛かる爆風と爆炎に耐える姿勢をってノイズの攻撃を遣り過ごす。

 

 先程のノイズは、駅のホームから降りて線路へ逃げ、後を思う響も線路に飛び降りる。すると今度は、地下の天井に向かって部位を飛ばして天井を爆破した。

 

「くそっ!?」

 

 響はノイズが起こした爆風で足を止められ、その隙にノイズは自身で天井に開けた穴を伝って外に逃げ出してしまう。響は急いでノイズの後を追おうとしたが、突如足を止めた。

 

「あれって、流れ星か?」

 

 ノイズが開けた穴から見える青く光る流れ星のようなものが見えたのだ。その青い閃光の正体は、後から急いでやって来た翼であり、翼は剣を大剣に変化させて振り下ろす。

 

【蒼ノ一閃】

 

 翼の蒼ノ一閃が逃げていたノイズを斬り裂き、穴から登り出た響の前に翼が着地する。

 

「翼さん、俺には守りたいものがあるんです! だから!」

 

 響は、自身の胸の内にある想いを翼に訴え掛ける。しかし、依然として翼は沈黙したままであり、何も言わずにただ剣だけを構える。

 

(戦うしかねえのか……!)

 

 言葉だけでは、翼に何も伝えられない。後に残るのは行動で示すことだけであるが、響が幾ら動いても翼は何も変わらなかった。

 

 あらん限りの言葉も出来る行動も出し尽くし、まだやっていないのが翼と戦うことだけであることが、響をその考えに至らせる。

 

「だから、んでどうすんだよ?」

 

「「ッ!」」

 

 突如として響き渡った第三者の声。その聞き覚えの無い新たな声に、響だけじゃなく翼も確かな反応を示し、2人して声が聞こえてきた方向へ視線を向ける。

 

 その方向には、響達に歩み寄ってくる謎の影があり、雲に隠れていた月が出てきたことでその影の正体が月光の下に晒し出される。

 

「ッ!」

 

 影の正体を知り、翼は絶句した。その影の正体、正確には影の正体たる人物が纏っていたものは、翼にとって切っても切れない深い因縁があるものだからだ。

 

「ネフシュタンの鎧……?」

 

 銀色に輝くネフシュタンの鎧なるものを纏った謎の銀髪の少女が、そこには立っていた。




・原作ビッキーと今作ビッキーとの相違点コーナー

(1)響、ここ2年間の詳細が不明
──今作ビッキーの足取りは家を出てからのその後を追うことが出来ません。それだけ黎人の隠蔽工作が完璧なのです。

(2)響、童貞である
──女を沢山侍らす兄貴分と一緒にいたが、今作ビッキーは未だに童貞である。原作ビッキーも彼氏いない歴が年齢と一緒だから処女だけど、処女と童貞とでは違うのだ。処女は高潔で、童貞は恥なの。Do you understand?

(3)響、暴走(弱)をしない
──今作ビッキーは、393と流れ星を見に行く約束をしていない。よって、精神的には安定しているから暴走の心配は無い。

 今回で僕が挙げるのは以上です。他に気になる点がありましたら感想に書いて下さい。今後の展開に差し支えない範囲でお答えしていきます。

 やっとクリスちゃん出せたよー! クリスちゃんが今作で出るのをどれ程の人が待ち遠しく思っていたことか……。

 次回は、大きくて小さい青VS小さくて大きい銀になります。

 ある意味シンフォギアって言えば、これでしょって回になりますね。最近はあそこまでエグいものは無いけど、最初にあれを見た時の衝撃は凄かったなぁ……(白目)

 それでは、次回もお楽しみに!

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