ドラゴンクエスト―ダイの大冒険― 冒険家の歩き方   作:amon

9 / 22
第8話『冒険再開!幻のパデキアを探せ!!!の巻』

 

 

 

「それじゃあな、皆」

 

 デルムリン島の海岸――荷物が入ったバックを下げた俺はそこで振り返り、見送りに来てくれたバランにソアラ、ソアラに抱かれたディーノ君、そして島の長老である鬼面道士ブラスさんに別れを告げる。

 

 バラン達とこの島に来てから3ヶ月が過ぎた今日、俺は再び冒険の旅に出る事にした――。

 

「本当に……行ってしまうのか?エイト……」

 

 寂しげな顔でそう尋ねてきたのはバラン。この3ヶ月、俺はバランとは確かな友情を交わす間柄になった……。

 

「ああ……。バラン達もこの島の生活に大分慣れてきたし、そろそろ俺は俺の生き方に戻ろうと思うんだ」

 

 バラン達がこの島で暮らす事に決まって、俺は彼らの生活の為の家造りや畑作りを手伝い、見返りという訳でもないがバランから剣術と闘気の扱いの手ほどきを受けた。

 

 おかげで、たった3ヶ月で俺もそこそこレベルアップした――現在の俺のステータスはこうだ。

 

 

―――――――

エイト

性別:男

レベル:42

―――――――――――

E竜神王の剣(攻+137)

E鉄の胸当て(守+23)

E鉄兜(守+16)

E布の外套(守+4)

―――――――――――

力:132

素早さ:126

身の守り:71

賢さ:175

攻撃力:294

守備力:114

最大HP:429

最大MP:198

Ex:679644

――――――――――――――――――――――――――

剣スキル:66  『ブレイドスター』(剣 攻+25)

槍スキル:18  『槍の達人』(槍 攻+10)

ブーメラン:16  『シューター』(ブーメラン 攻+5)

格闘スキル:24  『黒帯格闘家』(素手 攻+5)

冒険心:82  『英雄の心』(消費MP3/4)

――――――――――――――――――――――――――

エイト

HP:429

MP:198

Lv:42

――――――――――――

ホイミ ベホイミ

ベホマ ベホマズン

キアリー キアリク

リレミト ルーラ

トベルーラ トヘロス

ザオラル ギラ

ベギラマ ベギラゴン

マホトーン イオ

メガンテ

ドラゴン斬り 火炎斬り

メタル斬り 隼斬り

疾風突き 一閃突き

クロスカッター 大防御

石つぶて 正拳突き

闘気弾 闘気砲

――――――――――――

 

 

 新しく覚えた『闘気弾』『闘気砲』という技は、バランから習った闘気の扱いを覚える過程で習得した。『闘気弾』は闘気の塊を相手にぶつける技、『闘気砲』は高めた闘気を相手に放つ技――所謂“かめ○め波”だ。

 

 更に、実力上位のバランとの実戦稽古は俺に大きな経験値をもたらし、3ヶ月の修行でレベルが2も上がった。やっぱり俺は実戦か、実戦に近い戦いで無ければ満足な経験値を得られないらしい。

 

 だからという訳ではないが、俺は更なる冒険を求めて、また世界を巡ろうと思い立った。1度は世界中を回ったが、またどこかで新しい出会いや出来事があるかも知れない。その“かも知れない”があるだけ、この世界は俺にとって楽しい世界だ。

 

「バラン、ソアラ、ブラスさん……皆、元気で。時々、顔を見に来るからさ」

 

「……ああ。いつでも訪ねて来てくれ。エイトならば、いつでも歓迎する」

 

「ありがとう、バラン」

 

 頷き合って、別れの握手を交わす。これは、再会の約束でもある。

 

「そうよ、エイトさん。あなたは、私やバランの恩人……あなたのおかげで、ディーノにも再会できたし、こうして家族3人で平和に暮らせるんだもの」

 

「ソアラ、今更そんな水臭い事を言うなよ。俺達は友達だろう?元気でな」

 

 ソアラとも握手を交わす。

 

「だぅ、だあ」

 

「ははは、“ダイ”も元気でな。逞しく育つんだぞ?」

 

「きゃう~っ♪」

 

 ソアラの腕に抱かれたディーノの小さな手とも握手を交わす。俺が『ダイ』と呼んだのは、ソアラの提案で――折角ブラスさんが付けてくれた良い名前だから、本名は『ディーノ』で、『ダイ』は愛称にしよう――と決まったからだ。

 

 ディーノの綴りは『DINO』と書き、地球では『ダイノ』とも読めるから、俺もその提案を後押しした。ちなみに、ディーノはアルキードの古い言葉で“強き竜”という意味だそうな。

 

 で、そうと決まってからはバランやソアラはディーノと呼び、俺やブラスさんはダイと呼ぶ。ダイ本人は、どっちの名前も気に入っているのか、呼ばれると嬉しそうに手足をバタつかせてはしゃぐ。

 

「ブラスさんも元気で」

 

「エイト君も達者でな。バラン殿も言ったが、気が向いたらいつでもこの島に来ておくれ。わしも“島の者達”も、歓迎するからのう」

 

「ああ、ありがとう。皆にもよろしく」

 

 ブラスさんが言った“島の者達”というのは、この島に暮らすモンスター達の事だ。この島のモンスター達は、ブラスさんを初め、全員例外なく温厚で友好的だ。他の土地では、暴れてこそいないがモンスターによる怪我人が出る事は少なからずある――要は、地球の野生動物と同じはずなんだが……この島ではそんな傾向は皆無……。不思議な島だ、ここは……。

 

「じゃあ、そろそろ行くよ。バイバイ、皆!」

 

 俺は『トベルーラ』で空に上がり、デルムリン島を後にした――。

 

 

 

「さて、どこに行こうかなぁ……」

 

 10分程の飛行でラインリバー大陸の南端に1度降り立った俺は、腕組みをして考える。実は島を出たは良いが、どこに行くかは全然考えていなかったのだ。

 

「う~ん……」

 

 地べたに座り込んで、世界地図を広げてみる。

 

 今、俺がいるのはラインリバー大陸――ロモス王国が治める大陸だ。ここにあるものと言ったら……。

 

「……あ、そうだ!ネイル村があったな」

 

 あそこには、アバンさんの仲間のロカさんとレイラさんが暮らしていたはず……久しぶりに会いに行ってみるのも悪くない。

 

「よし!行くか!」

 

 とりあえず目的地が決まり、俺は地図をしまって歩き出した。

 

 

 ネイル村には1度行った事があるし、何となく方角は分かるから歩いても楽勝で着けるだろう――その時はそう思っていた。

 

 だが……

 

 

「う~ん、迷った……」

 

 旅慣れて森を侮った俺は、ものの見事に道に迷った……方角は分かっても、どちらに行けばネイル村なのかが分からなくなってしまったのだ。

 

「はぁ、仕方ない……『トベルーラ』で飛んで行こう」

 

 『ルーラ』で一気に行かないのは、我ながら詰まらない意地だ……。

 

 

 結局、ネイル村に着いたのはその日の夕方だった――。

 

 

 

 

「ごめんくださーい!」

 

 以前訪ねたロカさんとレイラさんの家――そのドアをノックをする。

 

『はーい!どなたですかぁ?』

 

 家の中から女性の声が返ってきた。

 

 この声はよく覚えている――レイラさんの声だ。

 

「その声はレイラさんですねっ。俺です、エイトです」

 

『まあ、エイト君っ!?』

 

 声の後にすぐドアが開き、中からレイラさんが顔を出す。

 

「まあまあ!本当にエイト君だわ!よく来てくれたわね!」

 

「ご無沙汰してます、レイラさん。お元気そうで何より……ん?」

 

 そこで俺はふと違和感を覚えた。何だかレイラさん、前に会った時より痩せた様な……。

 

「レイラさん、失礼かも知れませんが……痩せました?」

 

「あ……ええ、そうかも知れないわね」

 

 そう言って影のある笑みを浮かべるレイラさん。何かあったんだろうか?

 

「あれ?ロカさんは……?」

 

 前に来た時は、家の奥から走って来たのに、今日は全くその気配がない。

 

「……実は、主人は今、病気で寝込んでいるの」

 

「ええっ!?あのロカさんが病気ッ!?」

 

 信じられん……あの殺しても死ななそうなぐらい元気だったロカさんが、病の床に伏せっているなんて……。

 

 いや、そのロカさんが寝込む程の病気だ……それだけ重いのかも知れない。

 

「……それで、具合は?一体、何て言う病気なんですかっ?」

 

「……分からないの。最初は発熱と咳があったから、ただの風邪だと思ったのだけど、薬は効かないし、いつまで経っても良くならなくて……もう3ヶ月も寝込んでいるわ」

 

「3ヶ月も……!?」

 

 いよいよ只事じゃないな。幾らなんでも3ヶ月も長引く風邪なんてある訳が無い。

 

「あ、ごめんなさい!折角、訪ねて来てくれたのに立たせっぱなしで……ちょうど夕食にするところだったの。エイト君も良ければ一緒にいかが?」

 

「えっ?あ、いや、そんな!悪いですよ!腹だってそんなに減ってませんし――」

 

グウゥ~~……

 

「…………」

 

「うふふ、遠慮しないで。さあ、どうぞ」

 

「は、はい、お邪魔します……」

 

 く、クソォ!なんで狙った様なタイミングで鳴るんだ!?俺の腹は!!しかもこんな時に!!

 

 結局、俺はレイラさんに誘われるまま、家にお邪魔する事になった……。

 

 

「おぉ、エイト……よく来たなぁ……ゴホッ!ゴホッ!」

 

「ロカさん!無理に喋らないで下さい!」

 

 夕メシをご馳走になる前に、ロカさんに挨拶とお見舞いをと思って、レイラさんに部屋に案内してもらったんだが……咳込むロカさんを押し止めながら、俺は内心動揺していた。

 

 以前会った時は元気溌剌・筋骨隆々としていたロカさんが、すっかり痩せこけ、目の下には隈が浮き、顔色は真っ青……少し小突いただけで死んでしまいそうな程、弱々しい姿になってしまっている……。

 

「ゴホッ!ゲホッ!はぁ、はぁ……す、すまねぇな、みっともないトコ……見せちまって……」

 

「だから無理に喋らないでくださいって!!頼みますからッ!!」

 

「……すまねぇ」

 

 ロカさんはぽつりと呟くと、布団を被って黙り込んだ。

 

 これ以上、ここにいてもロカさんの身体に障る。俺はレイラさんと一緒に部屋を出た……。

 

 

「母さん、お皿はこび終わったよ!」

 

「あら、ありがとう。マァム」

 

 居間に行くと、ピンクの髪をした小さな女の子がいた。

 

「……そのお兄さん、誰?」

 

 女の子は俺を見とめると、首を傾げる。

 

 マァム……そうか、思い出した。前に訪ねた時に会わせてもらったあの赤ん坊だ。大きくなったなぁ……。

 

「初めまして、マァム。俺はエイト、君のお母さんとお父さんの……まあ、お友達かな?」

 

「そうなんだ!はじめまして!あたし、マァムです!」

 

 元気に挨拶と自己紹介を返してくるマァム。うんうん、元気で礼儀正しくて何より結構。

 

「さあさあ、マァムもエイト君も座って。お食事にしましょう」

 

「は~い!」

 

「すいません、ご馳走になります……」

 

 

 

 気持ちに遠慮があったが、俺は夕メシをご馳走になった。勧められるままに、シチューを2杯もおかわりしてしまった……。

 

 

 

「レイラさん……何か、ロカさんを治す手立てはないんですか?」

 

 夕メシの後片付けをするレイラさんに向かって、俺は質問を投げかける。ちなみに、マァムは夜遅いのでもう部屋に引っ込んだ。

 

「……私も、僧侶として培った知識から様々な薬草を調合してみたのだけれど……どれも効果はなかったわ」

 

「そこらにある様な薬草じゃ駄目って事か……」

 

 勇者(アバンさん)のパーティーにいたぐらいだ。レイラさんはそんじょそこらの僧侶とは色んな意味でレベルが違うはず……。

 

 そんな卓越した僧侶だったレイラさんの手に余る病気となると、俺にはどうする事も……。

 

 いや、諦めるのはまだ早い。考えるんだ。

 

 何か、何かないのか……。

 

「……そうだ!レイラさん、『パデキア』の根っこは試しましたか?」

 

 ドラクエ4で、旅の途中に難病に掛かった神官クリフトを治療した万病に効くというパデキア――確か、この世界にもあったはずだ。

 

「それは、私も考えたわ……。確かにパデキアの根は万病に効くとされているけれど、それはあくまでパデキアの“原種”の話……今のパデキアにそこまでの効能は望めないわ」

 

「原種?」

 

「今、世界の市場に出回っているパデキアは、大昔のカール王国に仕えていた薬学士様が品種改良して誕生した品種なの。栽培のしやすさと、成長の早さを高める事で、一般の人々にも手に入りやすくなる様にと……」

 

「へえ~」

 

 それは知らなかった。俺がパデキアの存在を知ったのは、パプニカ王国で読んだ一般的な薬草とその効能についての本で、品種云々までは書かれていなかったからな。

 

「だが……その原種なら、ロカさんの病気も治るんでしょう?」

 

「確証はないけど……可能性は高いと思うわ。でも……」

 

「……でも?」

 

「パデキアの原種は、もう何年も前に絶滅したと言われているの……。例え残っているとしても、どこにあるのか見当も付かないわ」

 

「……むぅ」

 

 そうだったのか……いや、考えてみれば当たり前か。

 

 レイラさんは元とはいえ本職の僧侶……この世界における医療のプロだ。俺なんかより、薬草や薬については遥かに精通している。パデキアの事を考えないはずがない。

 

 僅かな可能性に懸けようにも、幼いマァムと病床のロカさんを置いて旅立つ訳にもいかない……。

 

 だが、俺なら……。

 

「……よし、決めた」

 

「え……?」

 

「レイラさん、俺がその原種のパデキアを探して来ます!」

 

「え、エイト君!?」

 

 戸惑うレイラさん。だが、俺は決意を持ってレイラさんと向き合う。

 

「もうパデキア以外にロカさんの病気を治せる可能性はない。だったら、レイラさんの代わりに俺が探しますよ!」

 

 もうロカさんを救うにはそれしか方法がない。可能性がどれだけ0に近くても、0じゃない限り懸けてみる価値はある。

 

「で、でも、さっきも言ったけれど、全くアテはないのよ!?」

 

「大丈夫!俺に考えがあります!任せて下さい!」

 

 善は急げ――俺は立ち上がり、外に出る。

 

「あっ!エイト君!待ってっ!!」

 

「『ルーラ』!!」

 

 レイラさんの引き止める声を無視して、俺は『ルーラ』で飛び立った。

 

 

 先ず目指すは、テラン王国だ――。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。