「何はともあれ助かりましたわ」
大柄で、テンプレの様な『成金』『悪』というイメージの男、闇金王“福の神”ル・フェルド。
「あぁ、身代わり人形は役に立ったか?」
「そんなんわからん、お前の能力やろが」
泥蛙から泥が流れだし老人が現れた。
黒子のついた醜い鷲鼻。
そして欲深いその両眼。
「ドロロロロ、折角魚人島の玉手箱を貰えるチャンスだったのにまさかスティーシーちゃんがCP0だったとはな」
「それはほんまか? これから気をつけよ…………」
「ドロロロロ、まぁ一杯やろうか、福の神」
そう言って酒を注ぐ爺。
「その異名やめぇや」
「わしにとっては福の神じゃよ、ルフェルド財閥ワノ国支部の支部長はわしじゃからなぁ」
「表向きは老いぼれた車椅子爺で闇の帝王としての顔はそんなんやからのぉ、コンキアンの大将にはほんまかないませんわ」
「そうか?」
お互いワノ国の農園で造られた地酒を飲む。
「そういや農園の方もよ、お前のドロドロの実を使っとるんか?」
「当然だろう?」
「やはりお前はワノ国の要やなぁ」
「要か、権力がひっくり返るには条件が二ついる、一つは反権力者、それに取り入るわしら」
「悪いやっちゃのぉ」
「黒炭オロチが開国したがらないのはそういうわしらのようかやからを増やしたくないからや、しかしヤツの手下の中にも既にわしら側がおる」
「お前のやり方はえげつないからのぉ、借金で追い詰めるのは朝飯前、女子供を人質にとるなんざ昼飯後、暗殺を企む時は晩餐会中で、それがお前やからなぁ」
その後、怪老のおどろおどろしさが伝わる。
金の亡者、ワノ国に巣食う魔物がここにいた。
「泥沼化三段階ってわけじゃよ、追い詰めるのは簡単、屑共は簡単に落ちてくる…………誰だって巨万の富は一時的にも欲しい…………借金してでも!だが所詮一時的、金には愛されない、そんな刹那的な欲求の解放では一瞬しか満たされない、忍耐して努力した成功者こそが真の金の魅力、その真髄をとことんまで徹底的に味わえるのだ………!」
「もう耳にタコが出来ますわその話」
呆れながら酒を注ぐル・フェルド。
「何度でもしたがる! 成功者の自画自賛!」
「まぁ老人の自慢話は何度も聞かされるのは常やからなぁ、ところでまた身代わり人形作ってくれまっか?」
「大金が必要だぞ?」
「分かってるさかい一々確認しないでください」
「ドロロロロ、わしらはビジネスライクな関係じゃからな、持ちつ持たれつってヤツじゃよ」
「『闇』は様々な色が混ざりあって黒になるさかい、その様々な色が一つ欠けただけで色は薄くなるからのぉ、まぁお前の死因なんてのは老衰しかないやろ」
「ドロロ、Dr.くれはより先には死にたくないな」
あんぐりしながらおつまみを手から溢して言う。
「………………まだ生きるつもりなんですの?」