僕の名前は
正確にはそうだった。
あの日までは・・・
ある日、僕はいつもと同じ様に学校へ行きいつもの様に退屈な授業を受け、ホームルームも終わりクラスメイトがぞろぞろと教室を出て行く。
そんないつもと変わらない日常に僕は少し飽き飽きとしていた。
「ふう・・・今日も一日終わったぁ・・・」
僕はそう呟きながら伸びをして鞄を背負う。
そうだ。今日はいつも読んでる月刊誌の発売日じゃないか。
帰りに少し遠回りをして商店街の本屋に寄ろう。
僕がそんな事を考えていると
「天村くん・・・ちょっといいかな?」
僕は突然声をかけられた。
「ひ・・・平井さん!?」
彼女は平井さん。
ポニーテールがトレードマークで、優しくてお菓子作りが趣味などこにでも居そうな女の子だ。
どこにでも居そうとは言った物のこんなに可愛くて家庭的な女の子はそう居ない。
僕は彼女に絶賛に片思い中だ。
そんな彼女が僕に何の用だろう?
別に今まで言葉を交わした事が無いと言う訳でもなかったが人もまばらになった夕日が照らす教室で突然声をかけられたので僕は意味もなく緊張してしまう。
「な・・・何かな平井さん・・・?」
「あ・・・・あのね・・・・?天村くんにずっと言おうと思ってた事があるの・・・」
彼女は急にそう言って僕を見つめてくる
な・・・・ずっと言おうとしてた事・・・?
これってまさか・・・その・・・・
告白!?
そんなまさか平井さんの方から来てくれるなんて!!
いやいや落ち着け僕・・・まだそう決まった訳じゃないんだから・・・
「えーっと・・・ずっと言おうとしてた事って?」
僕は平静を装い尋ねる。
すると彼女は少し恥ずかしそうな顔をして
「えっと・・・その・・・・言うね!」
「う・・・うん!」
僕の胸がどんどんと鼓動を早くする。
これ夢!?夢なら醒めないで!!
僕はそう願った。
しかし僕のそんな願いとは裏腹な言葉を彼女は発した。
「あの・・・・ズボンのチャック・・・開いてるよ?」
「えっ・・・・?あ・・・・ありがとう平井さん」
しまった!5限の体育の授業の着替えの時に閉め忘れたのか!?
最悪だ・・・まさか平井さんにそれを指摘されるなんて・・・・
僕はすかさずチャックを閉じた。
そりゃそうだよな。
こんなひょろひょろで大してかっこ良くもない僕なんかに平井さんが告白なんてしてくれる訳無いじゃないか・・・
何勝手に一人で盛り上がってるんだろ・・・バカみたいだ
「はぁ・・・」
僕の口からため息がこぼれた。
「ん?天村くんどうしたのそんながっかりした顔して?」
平井さんが尋ねてきた。
勝手に告白されると勘違いしてましたー!
なんて言えないよなぁ・・・・
それに平井さんに心配されて尚更さっきまで舞い上がってた自分が恥ずかしくなる。
「い・・・いや!なんでも無いよ!?本当になんでもないから!それじゃあ僕帰るね・・・・わぶっ!!」
僕は今すぐにでもこの場から離れたかったので急いで教室を立ち去ろうとしたのだが、机に足を引っかけて盛大に転んでしまう。
「だ・・・大丈夫天村くん!?」
最悪だ・・・平井さんに社会の窓が開いている事を指摘されただけでなくこんな盛大に転んでかっこ悪い所まで見られるなんて・・・・
もうできることならこのまま消えてなくなりたい気分だよ・・・
「う・・・うん・・・大丈夫・・・」
口ではそう言ってみたが僕の心はもうぼろぼろだ。
それに涙が出ている訳でもないのに目の前がぼやけて良く見えない。
しまった。メガネを転んだ拍子に落としてしまったらしい。
僕はド近眼でメガネがないと日常生活に支障をきたすレベルで目が悪いのだ。
「ううっ・・・メガネ・・・メガネ・・・・」
僕は手探りで床に落ちているであろうメガネを探す。
泣きっ面に蜂とはこの事だ・・・平井さんに地面に這いつくばってメガネを探してる所まで見られるなんて・・・
僕が必死でメガネを探していると
「天村くん!これ」
平井さんの声の方を振り向くと一気に視界がくっきりとする。
どうやら平井さんが僕のメガネを拾ってさらにかけてくれたらしい
「あ・・・ありがとう平井さん・・・それじゃあ僕帰るね」
一応お礼は言ってみる物のやっぱり恥ずかしいし何より平井さんにこんな情けない所を見せてしまった自分が嫌になる。
僕はそのまま黙って教室を立ち去った。
はぁ・・・今日は付いてないなぁ・・・・
あんな所を見られたんだし平井さんもきっと僕の事を情けない奴だと思ったに違いない。
もっと強くてかっこいい男になりたいなぁ・・・
例えば藤●弘、みたいな・・・・
そうなればきっと平井さんも振り向いてくれるだろうし僕自身にも自信が付いて平井さんに告白できるかもしれない
でもやっぱりそうも簡単に行かないのが現状だよなぁ・・・
今日は早く雑誌を買って帰って読んで荒んだ心を癒そう・・・
少し遠回りをして商店街にある本屋へと向かった。
この時そのまま家に帰っていればあんな事にならなかったのだろうか・・・?
僕が商店街に差し掛かった時、急に男の人から声をかけられた。
「すみませ〜ん。アンケートを取っているのでご協力お願い致しま〜す!匿名で大丈夫でーす!」
声をかけてきた男の人は張り付いたような笑顔でそう言って僕にアンケート用紙を挟んだバインダーを押し付けてくる。
こんなめんどくさい事断ってやろうと思ったが、男の人の押しが余りにも強かったので僕はしぶしぶそのアンケートに答える事にした。
そのアンケートには
真星町民への意識調査
1.今の自分を変えたいと思っていますか? はい.いいえ
2.今の自分に満足していますか? はい.いいえ
3.やりがいのある仕事がしたいですか? はい.いいえ
4.世界を変えたいと思いませんか? はい.いいえ
5.変身願望はありますか? はい.いいえ
といったような事が書かれている。
なんだこれ・・・・?
こんな物を集計して何の意味があるのか分からなかったしめんどくさかったのでとりあえずすべてにはいと答え用紙を男の人に突き返し僕は本屋へと急いだ。
そして僕は本屋で目当ての雑誌を買ってさあ早く家に帰って読もうと思い店を軽やかな足取りで出たその時の事だ
僕は突然黒ずくめの男・・・いうなればショッ○ーの戦闘員のような2人組に取り押さえられてしまった。
「うわっ!?なんなんですかあなた達は!?離してください!!」
僕は必死で抵抗したが腕っ節は強い方ではないので全くと言って良い程に黒ずくめの男達を振り払う事ができなかった。
次の瞬間、男の一人が僕の顔に何やらガスの様な物を吹きかけて来て、それを吸った僕は意識を失ってしまう。
僕は一体どうなってしまうんだろう・・・?
あれ・・・・僕・・・どうなって・・・・たしか本屋で本を買った帰りにショッ○ーの戦闘員みたいな奴らに襲われて・・・・
「う・・・うーん・・・・・・な・・・なんだここ・・・・」
重い瞼を開けると何やら物々しい機械やらよくわからない装飾がなされた部屋に四肢を鎖でつながれた状態で台か何かの上に寝かされていた。
「僕をいったいどうするつもりなんだ!!早く解放しろ!!」
僕はそう叫ぶと
「手荒な真似をしてしまってすまない。天村有希くん」
どこからか威厳のありそうな男の声がした。
「だ・・・誰だ!?」
僕は声の方向に首を向けると壁にかけられていたレリーフが光ってそこから声が出ている事に気付く。
なんかこういうの仮●ライダー見た事あるぞ・・・・?
って事はもしかして僕・・・・悪の秘密結社的な何かに捕まったのか!?
「私はバッドネス㈱首領のドン・ザイーグだ。君には我々秘密結社バッドネス㈱の一員になってもらおうと思ってね。」
やっぱり・・・・!
というか秘密結社なのに㈱?株式会社なの!?
いや・・・多分これ突っ込んだら負けな奴だ。
それよりこのままいけば僕は改造人間にされてしまうって事?
いや・・今自分の置かれた状況にもこんな絵に描いたような悪の秘密結社もにわかには信じられない。
タチの悪いドッキリなら今すぐにでもやめて欲しいところだ。
「僕を改造人間にするつもりだな!?」
ひとまずそう尋ねてみると
「おお!説明せずとも分かってくれるとはもしかして君はニュータイプか何かなのかね?」
その声は心底驚いた様にそう言った。
何だこの首領・・・声はいかついのに結構アホなのか?
「い・・・いやこんな状況で秘密結社とかいわれてしかもこんな台みたいなのに縛り上げられてたらそれ以外に何も無いと思うんですけど!?」
「そうか・・・・察しが良いな君は。その通り君には我々バッドネス㈱の怪人になってもらう!研究員ども!入ってこい」
「キョー!!!」
その声と同時に全身白ずくめの人々が部屋にわらわらと入ってきた。
さっきまで信じられなかったが入ってきた全身白ずくめの研究員が手に持っているメスやよくわからない薬品によくわからない機械なんかを見て僕が今置かれている状況はドッキリやらではなく本当なのだと悟った。
マジで僕改造人間にされちゃうんだ・・・!
もちろん改造人間されて悪事を働くなんてことしたくないが正に自分にヒーローになれる様なチャンスが転がってきたと思うとそんな場合じゃないことは分かっているのに不思議とわくわくしてしまっている自分が居た。
「せ・・・せめて改造するならバッタ怪人にしてください!!」
僕はレリーフに向けてそう叫んだ。
そうだ!バッタ・・・バッタ怪人ならワンチャン抜け出せる!
しかし
「もっと嫌がると思っていたんだが案外素直だな君は・・・だがバッタはダメだ」
彼は即答した。
「な・・・なんでですか!?」
「この業界でバッタ怪人を作ると組織が壊滅するジンクスがあるんだよ。悪の秘密結社業界では常識だぞ?」
悪の秘密結社業界って何だよオイ!!
そんなの業界にしちゃダメでしょ!
そう突っ込みたかったがここで首領の機嫌を損ねたら改造人間にされるどころか殺されてしまうかもしれない。
なので僕は突っ込みたい気持ちを押し殺し
「じゃ・・・じゃあ何怪人にされるんですか?カブトムシとかクワガタとか?それとも鷹?虎?」
「いや君は虫とか動物とかそう言う感じのじゃないんだ」
「え・・・じゃあ一体なんなんですか!?もしかしてただの戦闘員!?戦闘員ひとり作るのにこんなに労力かかるの!?やだ!!僕ただの戦闘員にはなりたくないです!!!」
僕はじたばたと暴れたがやはり手足のチェーンが引っかかって身動きが取れない。
「い・・・いや・・・戦闘員でもない・・・戦闘員は皆バイトだし・・・君には正社員になってもらおうと思っている」
バイト!?というか秘密結社ってそういう雇用形態で動いてたの!?
なんだか僕の中で悪の組織のイメージが崩れて行く
「じゃ・・・じゃあなんなんですか・・・!?」
僕は少々切れ気味に尋ねた。
すると
「フハハハハ!よくぞ聞いてくれたな!!」
その声は凄く嬉しそうな声で高笑いをした。
なんだろう・・・この首領めちゃくちゃ人間味あるな・・・・
「知りたくば教えてあげよう。君は・・・・」
彼は勿体を付ける
「僕は・・・・?」
僕も鼓動が高まって行く。
一体僕は何怪人にされてしまうんだ・・・!?
馬・・・?
あっ、狼も良いなぁ・・・・
って何考えてるんだ僕!?
どれも嫌だよ!!
そんな事を考えていると次の瞬間その声は耳を疑うような言葉を発した。
「君は我々バッドネス㈱の最強女幹部、フジュンヒルデになるのだ!だーっはっはっは!!あっ、フジュンヒルデって言うのは北欧神話の戦乙女のブリュンヒルデと不純を掛け合わせて私が考えたのだ!最高に悪そうだろう?我ながら自分のセンスが天才的すぎて恐ろしいよ・・・!クハハハハハハ!!!!」
その声はまた高笑いを浮かべる。
・・・・・・・・・・・・・・は?
いやいやいやいや全てにおいておかしいでしょ
なんだよフジュンヒルデって!!
ネーミングセンスが絶望的じゃないか!!
ほぼダジャレな上に全部説明しやがったなコイツ!めちゃくちゃ寒いぞ!?
悪そうなのは名前じゃなくてそんな名前を考えつくあんたの頭だよ!
と言ってやりたい所だったがそれ以前に僕は男なんだぞ?
なんでそんな僕が女幹部にならなきゃいけないんだ?
「ま、待ってください!!僕は男ですよ!?女幹部なんておかしいでしょ!?」
僕はレリーフを睨みつけると
「おお・・・・そこに気付くとは流石私が見込んだ男だ」
その声は感嘆の声を漏らした。
いやいや普通に考えれば分かるだろ・・・
「それに第一なんで僕なんですか!?もっと女幹部にするなら僕なんかよりずっと向いてそうな綺麗な女の人だっていっぱい居るじゃないですか!」
「ふむ・・・・そうだな。君には特別に教えてあげよう。何故君をここに連れてきたのか・・・?何故男を女幹部にする必要があるのか・・・?何故それが君なのかぁ・・・?その答えはただ一つ・・・!」
その声はどこぞの神みたいに無駄にテンションを上げて抑揚を付けてそう言った。
「ただ一つ・・・・?」
ただ一つの理由ってなんなんだ・・・?もしかして僕にはまだ気付いていない凄い力があるとかそう言う奴!?
僕がそんな淡い期待を抱いたがそれは一瞬で打ち砕かれた。
「女性社員に断られたからだ」
「は?」
予想外の答えに僕はあぜんとした。
断られたから・・・?それだけ!?
「うちには女幹部が居なくてね。社員から士気向上に繋がるとか踏まれたいとか罵られたいとかお仕置きされたいとかその他たくさんの女幹部を熱望する声が届いたんだ。それで女性社員に女幹部に昇進させてやると声をかけたんだがあんな下品な服着て仕事なんかしたくありません!セクハラとかで権利団体とかに訴えますよ!と言われてしまってな・・・」
なんて世知辛い世の中なんだ・・・
それにしても女幹部が欲しい理由に真っ当な物がほぼ無いじゃないか!なんだよ踏まれたいって!!
しかしなんで僕が女幹部にされるのかの答えにはなっていない。
「で、何で僕なんですか!?答えになって無いじゃないですか!!」
「え、ああ・・・それじゃあ外部から女幹部になれそうな女性をさらってきて改造するわって言ったら女性の権利軽視だなんだと騒ぎ立てられてしまってね・・・これで女性社員に辞められるのも無駄に変な団体を敵に回すのも避けたいと思った私はそれじゃあ男なら問題無いんだな?って半ば逆切れ気味に言ったら通ってしまったんだよ。それで女幹部になれそうな男性を捜して町でアンケートを取ったりしていたのだがそこで君がアンケートに答えてくれたからさっそく連れてきた訳だが・・・」
ええ・・・・!?首領の逆切れのせいで僕女幹部にされるの!?
しかもそれで黙るのもどうなんだよ!男に人権は無いのか!?
それに十分あなた方も変な団体だと思いますけどね!!
・・・・って言うかあのアンケートってそんな事の為に集めててたの!?
もっと真面目に答えとけば良かった・・・というか答えなきゃ良かったと僕は死ぬ程後悔した。
「えーっと・・・・あのアンケート適当に答えたんですけど・・・」
僕がそう言うと辺は騒然とする。
「え・・・そうなの・・・?」
「は・・・はい・・・急いでたし内容も意味不明だったからテキトーに答えました」
もしかしたらこれで僕を改造するのを諦めてくれるかもしれない・・・!
頼む・・諦めてくれ!!
「ま・・・まあいい・・・連れてきちゃった物はしょうがない。それに我々組織の存在を知ってしまった以上タダで返す訳にはいかないのだ!君には女幹部になってもらうぞ!!」
突然悪の秘密結社じみた事言い出したよこの人!
「うわあぁぁぁぁぁ!嫌だぁ!!そんな軽い理由で改造されたくないいいい!!それもかっこいい怪人じゃなくて女にされるなんて!!せめて男の怪人にしてぇぇぇぇ!!」
僕はじたばたと暴れていると
「あっ、性転換とかはしないから安心してくれ」
「えっ・・・それはどういう・・・?」
「いや・・・性別まで女にしてまた女性社員とか女性団体から抗議されたりするの嫌じゃん?だから見た目だけ超絶美女の女幹部にするけど性別は・・・その・・厳密に言うと君の股間部だけは未改造で残してあげようかな・・・と。まあでも見た目は完全に女の子にするから社員の士気も上がるかなーって・・・」
はぁ?なんだそれ!?
「いやいやいやおかしいでしょ!?むしろそこまでやるなら一思いにやってくれた方が良いよ!それに身体の99%を改造されたけど残り1%だけ未改造とかどこの全身武器サイボーグ忍者ライダーですか!?全1話の10号ですか!?」
「うーむ・・・私にその例えはよくわからんが気を取り直して・・・・グゥワハハハハハ!!君は今日から我々秘密結社バッドネス㈱の最強女幹部、フジュンヒルデになるのだ!研究員ども!改造手術を始めろ!」
彼がそう言うと白ずくめの男達は一斉に
「キョー!」
と声を上げ、僕を取り押さえ始めた
「うわぁ!!離せ!離せぇぇ!!!」
僕はもうどうしようもないが無駄な抵抗を必死に続けた。
すると
「あっ、ちょっと待って研究員、ちょっとストップ」
声は突然そう言うと白ずくめの男達は一斉に声を上げて動きを止める。
一体何が起きるんだ・・・?
「流石に一方的に改造するだけなのは可哀想だから君に情けをかけて選択権をあげよう」
「選択権・・・・?」
なんの選択権なんだ・・・・?
もしかすると選択肢さえ誤らなければ僕にもまだ活路は残されているのでは!?
僕はごくりと唾を飲んだ。
「改造後の声がどんな感じになるかを堀江●衣、田●ゆかり、能登●美子の3人から選ばせてあげよう。君にそれ以外の選択肢は無い!」
「は!?」
えっ・・・選択権ってそう言う事?
どれ選んでも改造される事自体はさして変わらないじゃないか!
というかなんで声優のチョイスが一昔前のなんだよ!!
「さあ!早く選びたまえ。選ばなかったらマツ●・デラックスみたいな声にするぞ・・・!!出来れば私もそんな事しなくないから頼むから選んでくれ・・・この通りだ・・・」
それは嫌だ!流石にそんな声で女幹部はやりたくない!!
いや女幹部もやりたくないけど・・・
それにどの通りなんだよ!?
こっちには声しか聞こえてないんだよ!?
しかしどうする・・・・どうするんだ僕・・・
でも答えるだけなら・・・・
「そ・・・それじゃあ能登●美子で」
僕は渋々能登●美子をセレクトした。
できればあや●るとかがよかったんだけどなぁ・・・・
ってどれも嫌だよ!僕の声が僕の声じゃなくなっちゃうんだぞ!?
「よしわかった。ちゃんと選んでくれてありがとう!ではもう一度気を取り直して・・・・グゥワハハハハハ!!君は今日から我々秘密結社バッドネス㈱の最強女幹部、フジュンヒルデになるのだ!研究員ども!次こそ改造手術を始めろ!彼を従順な悪の手先として生まれ変わらせるのだ!ぐわっはっはっは!!!!」
その声が高笑いを浮かべると
「キョー!」
白ずくめの男達がまた一斉に僕を取り押さえた。
「うわぁ!!やめろ!!!やめてくれ!!」
「お、おい君あんまり暴れると注射が変な所にさっさっちゃうだろ!本当に危ないから大人しくした方が良いよ・・・?」
その声は心配そうにそう言った。
「うわぁぁぁぁん!そんな心配いらんわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
僕が喚いていると白ずくめの男の一人が思いっきり僕の腕を押さえつけて注射針を射ってきた。
「っつ・・・!」
チクリと僕の腕に痛みが走り、何かの薬品が僕に注入されていき意識がどんどん遠のいていく
「はぁ・・・・よかった。なんとか注射は成功したみたいだな」
薄れゆく意識の中その声は安堵の息を漏らしていた。
それから先の事はよく覚えていない。
あれからどの位経ったのか闇の中だった僕の意識が徐々にはっきりとしてきた。
麻酔が切れてきたのかな・・・?
そういえばあの自称首領は僕を声が能登●美子似の女幹部にするとか言ってたけどどうなっちゃったんだろ・・・
僕は恐る恐る声を出そうと試みると
「・・・・・う・・・あー・・・・えっ!?僕の声・・・・じゃない!?」
自分で発した声に耳を疑う
明らかに自分の物と違う物になっている事が一瞬で理解できた。
それに僕の目に何やら肌色の膨らみが2つ見えている。
「目が覚めたかねフジュンヒルデ」
またレリーフが光り、そこから首領の声がした。
「ぼ・・・・僕に何をしたんだ!?それに僕はそんな名前じゃない!!」
やっぱり自分の喉から発した声は今までの僕の物ではない。
その・・・能登●美子に似てる様な・・・・
でもちょっと違う様な・・・
「ぐわはははは!声までしっかり変わっているな。今の君の姿を見てみると良い!研究員!鏡をもってこい」
彼がそう命令すると白ずくめの男達は大きな鏡をどこからか担いできて台の上で縛られている僕の上に持ってきた。
「うそ・・・」
そこには巨乳でウエーブのかかった紫髪の女性が裸で四肢を縛られている姿が映っていて、彼女は鏡の先から驚いた顔で僕を見つめ返して来ている。
そんな彼女の股間には男性器が生えていてその形や色は見慣れた自分自身の物だった。
これが今の僕なんだ・・・僕・・・本当に改造されて女幹部にされちゃったんだ・・・・
それにさっきまでかけていたメガネが無くなってる。
ド近眼でメガネが無いと何も見えないはずなのに裸眼でこんなにくっきり見えるなんて改造されて身体能力が上がってるのかな・・・
そんな身近な事で僕は改造されたと言う事を感じていた。
しかしそんな鏡に映った素っ裸の僕・・・?だったが何故か首には不自然にひし形で紫色の石がついたチョーカーが付けられていた。
なんだこれ・・・?
僕が戸惑っていると
「よしこのくらいで良いだろう。研究員!鏡を降ろして良いぞ!どうだ!生まれ変わった姿は?君の身体の改造は終わった。次は脳の手術だ!君を完璧な女幹部に洗脳してやろう!うわははははははは!!!!」
そんな・・・・姿だけじゃなくて洗脳まで!?
それじゃあ僕が完全に僕じゃなくなる・・・!?
この人たち・・・ふざけてるけど本物の悪の秘密結社だったんだ・・・
ここに来てようやく僕はバッドネス㈱の恐ろしさを身をもって味わっていた。
すると
「キョー!洗脳担当の社員が定時退社したため本日は洗脳手術を行えません!それと私もそろそろ定時退社します!」
白ずくめの男の一人が言った。
「あ・・・そうか・・・もうそんな時間か・・・まあ寝てる時に洗脳しても効果は無いし彼・・・いいや彼女が起きるのを待ってたわけだし仕方ないか。フジュンヒルデ脳改造手術は明日に延期だ。それじゃあみんなお疲れさま。今日はもう帰っていいぞ!」
首領がそう言うと白ずくめの男達はぞろぞろと部屋を出て行ってしまう。
そして部屋は縛り付けられている僕一人になってしまった。
「ふう・・・みんな帰ったな・・・それじゃあ私もそろそろ退社だ。君は申し訳ないが明日までそのままで居てもらおうか。君が今の君で居られる最後の時間をそこで楽しむが良い!ではさらばだ!!ぬわっはっはっは!!」
彼が高笑いを浮かべるとレリーフの光が消えた。
なんてホワイトな秘密結社なんだ!残業0で作業を切り上げるなんて・・・って感心してる場合じゃない!
「おい・・・!ちょっと待て・・・!明日までこのままって・・・せめて鎖を外してぇぇぇぇぇ!!!いや・・・鎖は外さなくてもいいからせめて服・・・・服を着せてください!お願いします!!!!」
僕の能登●美子似の声が空しく部屋に響く
しかしそれっきりレリーフから返事は帰ってこなかった。
それから何時間も僕は台の上で身動きが取れずに居た。
「うう・・・改造されてるんだからこのくらいの鎖引きちぎれても良いだろ・・・・ままじゃ僕・・・明日には本当に心まで女幹部になっちゃうよ・・・」
思えば17年の短い人生だったな・・・・いや死ぬ訳じゃないけどもう僕の記憶は明日でなくなってしまう訳だし・・・
そう考えると一気に感傷的になったし何よりこんな部屋で四肢を鎖でつながれた状態で一人きりでなんだか心細くなって僕の目からは涙があふれていた。
「やだよぉ!家に帰りたい!ゲームしたい!ニチアサ見たい!うぁぁぁぁぁぁん!!!」
僕は誰も居ない部屋でひとり泣き叫んでいると
「ああもうさっきからやかましいぞ」
という声がどこからとも無く聞こえた。
さっきまでの首領の声でも白ずくめの男の声でもない少女の声だ。
「だ・・・誰だ?」
僕は声のした方に顔を向けるとその先にあった扉が開き、白衣を着た瓶底メガネの髪を後ろで束ねたな少女が部屋に入ってきた
「だ・・・誰・・・?」
もう皆定時退社で居なくなったはずじゃ・・・
「やあ。はじめまして。私はバッドネス㈱の怪人改造部所属の
彼女は気だるそうに言った。
「そ・・・そうなんだ・・・」
寝るつもりだったとか当直する気ゼロじゃん・・・・
でも誰も居ない部屋で孤独だった僕は人と会話ができてなんだか安心感を覚えていた。
で・・・・でも改造部って事は僕をこんな身体にした事にこの少女も関わっていたと言う事なんじゃ・・・
「ふぅん・・・・私の計画書通りに技術派遣のスタッフがよくやってくれたみたいだな・・・それにしても何だこの脂肪の塊は・・・全く男と言うのは・・・」
あの白ずくめのひとたち派遣社員だったの!?
その少女は僕の身体をじろじろと眺め、僕の胸をつついてきた
今まで僕についていなかったはずの物から僕の脳に触れられた感触が伝わってきた。
「あうっ・・・!」
僕の口から甘い声が洩れる。
今の声僕が出したのか・・・!?
それになんだこの感覚・・・
僕の身体・・・もしかして敏感になってるのか!?
「ほう・・・感度も良好だな。さっきまで冴えない少年だったとは思えないよ。流石私だ」
流石私・・・?さっき計画書とかいってたしもしかして・・・
「お・・・おい!君が僕をこんな身体にしたのか!?」
僕は少女を睨みつけた
「え、ああそうだが?まあ私は計画書を作って指示しただけで実際に君に手を下した訳ではないがね」
こんな少女が僕の身体をここまで作り替えたって言うのか!?
「ぼ・・・・僕を元に戻せ!僕をこんな姿に出来るのなら元に戻す事だって出来るはずだろ!?」
そんな事出来ない・・・いや。仮に可能だとしても絶対にそんな事をしてくれないことは分かっていたが僕は行き場の無い憤りを少女にぶつけた。
「はぁ・・・そんな声で言われても全く怖くないし何より耳に来るからやめろ。それに私が暇つぶしの為に君に良い話を持ちかけてやろうとしているのにそんな態度を取っていいのか?」
「良い話・・・?」
どうせまた声がどうこうみたいな感じでどうでも良い様な事を聞いてくるだけだろうと半ば諦めていると
「私と取引をしないか?」
突然彼女はそう切り出す
「取引・・・?」
「そうだ。キミが私の要求を飲めば君をここから解放してやる」
「え・・・本当!?」
予想外の言葉に僕は喜びを隠せない。
でもこんな格好で解放された所で・・・それに要求っていったいなんなんだ!?
この組織に忠誠を誓えとかそんな事なら僕は飲まないからな!
「ああ本当だとも」
「でも僕・・・こんな身体じゃ解放されても元の生活になんか戻れないよ・・・」
そうだ。いくら解放されたと言ってもこの身体じゃ誰も僕の事を僕だと気付いてくれないだろうし・・・その・・・色々生活に支障が出そうだし・・・・
「最後まで話を聞け。私の要求を果たせば君を元の身体に戻してやる」
解放した上に元に戻してくれるだって!?
一体何を要求されるんだろう・・・?
それに僕を逃がすなんて事をしたらそれはまぎれもなく裏切り行為だ。
そんな事をすればこの子もただでは済まないはずだ。
「要求?それにそんな事したら君も無事では居られないんじゃ・・・?」
「そうだろうね。だから私もバッドネス㈱を抜ける」
「抜ける・・・!?なんで!?」
「給料も待遇もいいんだが好きな事をやらせてもらえなくてね。全く・・・・いつも虫やら甲殻類やらの改造人間を作らせやがって・・・私そういうの苦手なんだっての。だからそんな事で私の才能を浪費するクソ組織なんか潰してやろうって思っていたんだ」
彼女は急に愚痴り始めた
「え・・・それじゃあ・・・」
「ああ・・・お察しの通りキミにはこのバッドネス㈱をぶっ潰すために協力して欲しいんだ」
よくある展開キター!!
でも僕に秘密結社と戦う力なんて・・・・
「協力って・・・一体何をすればいいのかな?」
「決まってるだろう?潰す為にやる事なんか怪人をやっつけて最後には首領を倒す。それだけだよ」
「僕が・・・?そんな・・・僕はただの高校生で・・・」
「いやいや。もう改造手術を受けた瞬間からキミは最早人間じゃない。それに首領も言っていただろう?“最強”の女幹部だとキミはバッドネス㈱の改造技術の・・・特にこの私の天才的な技術を最大限に活用して最強の女幹部になったんだ。そんちょそこらの有象無象の怪人なんかには負けないさ」
「そ・・・そうなんだ・・・・」
人間じゃない・・・その言葉に引っかかったが確かにその通りなのかもしれない。
こういうシチュエーションに憧れてはいたが今の僕は股間以外は完全に改造されてしまった女幹部な訳で・・・
なによりどう戦えば良いのかも聞かされていないし本当に僕に務まるのだろうか?
「それでどうなんだ?この取引、乗るのか?」
彼女は尋ねてくる。
不安や懸念は大量にあったがこの組織を壊滅させれば本当に僕を元の身体に戻してくれると言うのなら答えは決まっているしこのまま頭まで弄られて悪の女幹部になって生活を送るなんてまっぴらごめんだ。
それに裸でこのまま明日まで縛り付けられているのも嫌だし・・・
急に出てきた悪の秘密結社の科学者を信用するのも怪しい気がするけれど、このまま朝まで放置されるよりはこの子を信じた方がまだ希望が持てそうだ。
「うんわかったよ。君に協力する」
僕は彼女との取引に乗った
「よーしわかった。交渉成立だ。それじゃあ今から君の拘束を解こう」
彼女はそう言うと何やらスマートフォンを操作すると四肢の拘束が綺麗に外れたので僕は即座に起き上がって縛り付けられていた台から降りた。
「やったぁ!動ける!!ありがとう」
僕は自由に動ける喜びからその場でぴょんぴょんととびはねると僕の胸に付いている肉の塊もぶるんぶるんと上下に揺れる。
それにしてもこれが僕のおっぱい・・・・いくらなんでも大きすぎない?
僕はふと我に返って自分の胸元をまじまじと見つめた。
「礼を言うにはまだ早いぞ。それに自分の胸に見とれてる場合じゃないぞ気付かれないうちにここから脱出しよう!私のラボに案内する」
「え!?べ・・・別に胸なんか見て無いよ!!それに脱出するって言ったって・・・僕こんな身体で・・・それに裸で・・・」
ここから急いで出なければ行けないと言う事は頭では分かって入るけれど流石にこんな身体で素っ裸のまま外に出るのは恥ずかしかった。
「しょうがないなぁ・・・私の白衣を貸してやる。逃げきるまでそれで我慢しろ」
彼女はそう言うと白衣を脱いで僕に渡してくれたのだが元々サイズが小さい上に僕の胸が大き過ぎるせいか全く服として意味をなしていなかった。
「う・・・これ結局何も隠せて無いじゃないかぁ・・・」
「いいから!文句言ってないで早く出るぞ」
彼女はそう言って僕の手を引っ張り走り出す。
「ま・・・待って・・・!そんな引っ張らないでよ!」
「キミがチンタラしてるのが悪いんだ!さっさと逃げないと警備に見つかるだろうが!」
彼女がそう言うので僕も仕方なく走ったが、走る度に僕の胸がぶらんぶらんと揺れる
おっぱいって走るときこんなに邪魔になるのか・・・!?それにしても大き過ぎるだろ・・・・
僕がそんな事を考えながら彼女に手を引かれ長い廊下を進んで行くと突然彼女が足を止めた
「クソッ!もう気付かれたか」
彼女が苦虫を噛み潰した様な顔で見据える視線の先にはロボットが3機僕らの行く手を阻んでいた。
「キョニュウ ナノニ アレガ ハエテル ロシュツキョウノ フシンシャ ハッケン ハイジョシマス」
ロボットは平坦な声でそう言うと何やら銃の様な物をこちらに向けてきた。
巨乳なのにアレが生えてる露出狂の不審者って僕の事!?
僕だって好きでこんな恰好してるんじゃないよ!!
「ど・・・どうすれば!?」
僕は彼女に助言を求めたが
「ほら。さっそくキミの初仕事だ。あいつらを倒して外に出るぞ。と言う訳で私は物陰から見守っているからせいぜい死なない程度に頑張ってくれよ」
彼女はそそくさと僕を置いて走って物陰に隠れた。
「えっ!?ちょっとまって!」
僕は丸腰だし何をすれば良いのかわからず狼狽えていると
「フシンシャ ハイジョ」
ロボットはそう発すると突然僕に向けて弾丸を発砲してきたので咄嗟に避けた。
「あれ・・・避けれた・・・?」
鈍臭い事を自負していた僕だったがまるで弾丸の起動が手に取ったように分かる程ゆっくりと捉えられたので簡単によける事ができたのだ。
これが・・・改造された僕の力なのか?
って感心してる場合じゃない!
いくら避け続けてもいずれは消耗してしまうのがオチだ!どうすれば・・・・
僕が考え込んでいると
「おいーなにやってるんだよーそんな雑魚さっさと倒せ〜」
物陰から彼女のやる気の無い声がする。
好き勝手言いやがって・・・僕にどうしろって言うんだよ!!
しかしそんな事を考えている間にも警備ロボットは僕に向けて発砲を行ってくる。
僕はすかさず避け続けるが避けているだけでは埒が明かない。
「あーもうじれったいなぁ!キミの喉に巻かれているチョーカーに石が付いてるだろう?それに手を当てろ!」
物陰から彼女が叫んだ。
石・・・?
そう言えば僕の首に巻かれたチョーカーにひし形の石が付いていたけど・・・
「今の君にはリミッターがかけてある!誰もいないあの部屋で暴れられて逃げられては困るからな。だからそのリミッターを外せ!石に手を触れて変身と発言するんだ!そうすれば君は力を解放した真の姿になれる!」
石に手を当てて変身・・・?
よし!よくわからないけど変身なんてもうずっと憧れていた言葉だ!
きっとそう叫ぶと戦闘形態か何かになれるはずだ。
「うん!わかった」
僕は藁をもすがる用に一度深呼吸をして首に付いていた石に手を触れ
「変ッ・・・・身ッ!」
と叫んだ。
すると石が妖しく輝き、その光はロボットから放たれる弾丸を弾き、身体には電流が走るような衝撃と身体の根本から何かが変わる様なそんな痛みにも似た感覚が身体を蝕んだ。
「うっ・・・・うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!ぐっ・・・・うぁ・・・・うぐぅっっ!!!」
僕は余りの衝撃に叫んで身悶えする。
そんな衝撃はしばらくすると薄れ、光もどんどんと収まってきた。
「はぁ・・・・はぁ・・・なんだったんだ今の・・・・」
なんだろう・・・?僕の身体にいったい何が起こったんだ?
ふと手を見ると僕は手袋をしていた。
「あれ・・・?僕・・・どうなって?」
手袋だけじゃない。
さっきまで白衣を羽織っている以外はほぼ全裸だったはずなのに僕は今服を着ていた。
いや・・・これ服って言えるのか?
自分自身が今どんな服を着ているのか完全に理解する事は難しかったが胸がぱっくりと割れたなんだかエロいコスチュームを着ている事だけはわかった。
「ななな・・・・・・なんだこれぇ!!!!!」
僕は思わず手で胸を隠す。
「おいおい!恥ずかしがってないで戦え!それがキミの真の姿、バッドクイーン・フジュンヒルデだ!」
彼女はテンションを上げてそう言った。
「今の僕が・・・・真の姿・・・?今はそんな事よりアレを倒さなきゃ!武器は無いの?」
彼女に尋ねる
「武器なんか無くなって力を解放したキミなら素手で十分だ!そんな雑魚さっさと片付けろ!!」
素手で十分・・・?
確かになんだか身体の奥から力が溢れ出してくるような気がするし不思議と負ける気がしなかった。
よし!もうこうなったらやるしか無い!
僕はロボット達から放たれる銃弾をかわしつつ距離をどんどんと詰めて行った。
さっき彼女に手を引かれて走って居た時とは比べ物にならない程軽やかに足が動く。それに服のおかげか胸の事等さっきの事を考えたら全く気にならないので僕は凄まじいスピードでロボットへと接近できた。
「おりゃぁ!!!」
まずは一機、とりあえず思いっきり拳を握りしめてロボットにぶつけるとロボットは凄まじい勢いで変形し吹き飛んだ。
「す・・すごい・・・!」
僕はすかさず残りの2機のうちの1機に狙いを定めて軽くジャンプをすると身体がふわりと宙に浮く。
「少しジャンプしただけなのに・・・床があんなに遠い!これならっ・・・!」
僕はそのまま体制を整えてドロップキックをくらわせてやると床はべこりと凹み、その中心でロボットがぐちゃぐちゃに砕け散っていた。
「あと一機!」
僕は発砲し続けているのこりの一機に接近し上から力一杯抑え込んでみると紙袋でも潰しているかの様に最後の1機もぺしゃんこになってしまった。
「はあ・・・・はあ・・・・・やった・・・・」
辺を見回すとさっきまでロボットだったものが辺一面に転がっている。
これ・・・・僕がやったんだよね・・・?
そうだ。まぎれもなく僕がやったんだ!
すごいぞ!
今の僕はテレビのヒーローさながらに動ける・・・!
これならバッドネス㈱打倒だって・・・
それに世界征服だって夢じゃないかもしれない!
僕はそんな全能感にも似た感覚に酔いしれていた。
なんだろうこの胸の高鳴りは・・・・
なんだか凄く・・・
気持ちいい・・・・?
「はぁっ・・・・・♡」
僕の口からため息が一つ洩れる。
「おい!何ぼーっとしてるんだ!他のが来る前に早く行くぞ!」
物陰から彼女が出てきて僕を急かした。
「う・・うん!」
僕はそんな彼女の声ではっとなって後を追った。
しかし走ると彼女よりもスピードが出てしまい彼女を追い抜いてしまうので僕は自分の走るスピ−ドを調整するのに手こずりながらも彼女の案内のもと、出口らしき階段の前に差しかかった。
なんで出口か分かったかって?
階段の先にあった扉に非常口って書いてあったからさ。
「ここを出れば出口だ!」
彼女はそう言って階段を駆け上がる。
よかった・・・これでやっと出れるんだ・・・!
僕は彼女を追い越して階段を上りきりその先にあった扉を蹴破った。
するとその先にあった物は誰も居ない静まり返った雑居ビルのエントランスだった。
蹴破った扉を見てみると壁にカモフラージュしてある作りだったようだ。
こんなところにアジトがあったなんて・・・・
僕は既にバッドネス㈱が社会で暗躍をしている事実をひしひしと感じた。
「ふう・・・乱暴だなキミは・・・・ま、もうでれたからどーでもいいがな。それじゃあ後は私のラボに行くだけだ。駐車場に車を停めてある。それに乗るぞ」
彼女は僕を雑居ビルの駐車場に連れていき、赤いミニバンの前で立ち止まった。
「これが私の車だ・・・ところでキミ、いつまでそんな格好をしているんだ?恥ずかしくないのか?」
彼女がそう尋ねてきた。
彼女に言われて今僕の身につけている服が相当恥ずかしい物だと言う事を思い出してしまい赤面してしまう。
「ぼ・・・僕だって恥ずかしいよ!でも変身解除の仕方なんてしらないし・・・・」
「はぁ・・・しょうがないなぁキミは・・・もう一回さっきの要領で解除って言ってみてくれ」
「う・・・うん・・・解除」
言われた通りに石に手を当てそう発するとまた石が妖しく光り、また身体に電流が走る。
さっき程ではなかったが少しくすぐったい様な感覚を一瞬だけ感じたと思ったらさっきまで着ていた服が全て消し飛んでいた。
「うっ・・・うわぁぁぁぁぁぁ!裸ぁ!!?」
僕は思わず両手で胸と股間を隠してその場にしゃがみ込んだ。
「はぁ・・・そんなことしてないでさっさと乗ってくれよ」
そんな僕を冷めた目で見つめた彼女は車のドアを開けた。
「えっ・・・乗るって誰が運転するの?」
「そりゃ私に決まっているだろう?」
「えっ・・・君、免許持ってるの?」
「当たり前だろう?天才の私にかかれば免許を取る事等容易い」
「いや・・・その・・・年齢的な意味で・・・」
「はぁ?私はこう見えて25だぞ」
「えええええええ!?年上!?」
どう見ても10代前半にしか見えないんですけど
「ほら、つべこべ言わずにとっとと乗れ」
彼女は僕を無理矢理後部座席に押し入れた。
「いだっ!急にそんなことする事ないじゃないか!」
「うるさい。私の事をバカにした罰だ」
彼女はそう言うと凄まじい勢いでアクセルを踏み、車は急発進して僕は後部座席から転げ落ちた。
「うわぁっ!ちょっと!!いくらなんでも運転荒すぎだよ!」
「ふんっ!私の天才的ドライビングテクニックを荒いだと?キミには身を以て分からせなければいけない様だな」
そう言うや否や更に車はスピードを上げて凄まじいスピードで走り出した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
僕の能登●美子似になった声が車内に響き渡る。
ラボって一体どこなんだ・・・・?
それにこれから僕どうなっちゃうんだろう?
様々な不安が僕の中に渦巻いていた。