アパートから出た僕を朝日が照らした。
昨日起こった事が噓の様にいつもと変わらない朝が来たんだ。
それよりここはどこなんだろう?車に乗っているときもしがみついているのでやっとだったし車から降りた時も辺りは真っ暗で何も見えなかったし・・・
しかし歩く度胸にシャツが擦れて気持ち悪い。
そう言えば僕、今ノーブラノーパンなんだよな・・・
別にブラジャーなんか付ける気はないけどこれだけ擦れてくるなら少し位は必要だと思わない事も無い。
いや!今はこの場所の確認が先決だ。
それに今戻ったら逆に佐江さんを起こしてしまうかもしれないしこれくらい我慢だ。
ここがどこなのか分からないと真星町には帰れない。
僕は辺りを見回すと廃工場が目に留まった。
ここは真星町の外れの寂れた工業団地じゃないか。
となると僕の家の近所まで歩いて40分位の所か・・・
よしせっかくだし・・・・!
「変身ッ!」
僕は石に触れてそう叫ぶと僕の身体が変貌していく。
僕は試しに頭に手を触れるとツノが生えていた。
「はぁ・・・はぁ・・・・よし・・・!この姿なら!」
そう。この・・・その・・・えーっと・・・自分で名前言うのも恥ずかしいんだけどフジュンヒルデの姿ならきっとすぐに真星町まで行く事が出来るだろう。
試しにひょいっと軽くジャンプをしてみると自分でも驚く程に僕の身体はふわりと宙に浮いた。
すごい・・・すごいぞ・・・!
それにジャンプした場所から見える風景から視力が強化されているからかすぐに自分の家のある方向を捕らえる事が出来た。
「よし!あっちだな!!」
僕は心を躍らせて羽根に意識を集中してみると飛ぶとまでは行かなかったが少し滑空をする事が出来た。
僕はそのままジャンプを繰り返して建物の屋根なんかを何度も足場にして忍者の様に駆け抜け真星町へと向かった。
朝のまだ一通りもまばらな時間帯の町の景色を足下に眺めながら、僕は今までに感じた事が無い様な高揚感を覚えていた。
そして真星商店街に差し掛かったので、流石にこんな姿で人目に出る訳にも行かないし僕は人通りの無い路地裏の物陰に着地し、
「セーブ」
と呟く。
すると一瞬の脱力感の後、僕の顔にメガネがかかりさっきまでの状態に戻った事を確認する。
「はぁ・・・・気持ちよかった・・・・」
あんな風になったような感覚を味わえるんだからこの身体もそこまで悪い物じゃないかもしれない。
僕は帰りもああやって帰ろうと決めて、ひとまず僕はテレビに映っていた事故現場を見に行く事にした。
そこには生々しく車が建物に激突した様な痕が残されていて、花や缶ジュースなんかが幾つか手向けられていた。
「これ・・・全部僕に向けてのお供えなんだよな・・・・」
そんな供え物を見ていると少し複雑な気分になってしまう。
すると向こうの方から真星高校の制服を着た少女が小さな花束を持ってこちらに向けて歩いてきた。
あれは平井さんじゃないか!
どどどどうしよう・・・・逃げなきゃ!
僕は今の自分の変わり果てた姿を見られたくない一心でその場を離れようとしたが足が絡まってすっ転んでしまった
「わぶっ!」
最悪だ・・・
平井さんに変わり果てた僕の姿を見せてしまっただけじゃなく昨日に続いてこんなかっこ悪い所も見せちゃうなんて・・・
やっぱりトイレのスリッパで外に出るのは間違いだったかな
僕が地面に突っ伏して後悔していると
「大丈夫ですか?」
平井さんの声が頭上からするので僕は身体をゆっくりと起こした。
「だ・・・大丈夫・・・です・・・」
僕は平井さんに心配をかけまいと気丈に振る舞う。
「そうですか。それなら良かったです・・・ここで立っているって事はあなたも天村くんのお知り合いですか・・・?」
平井さんは僕にそう尋ねてきた。
僕が天村だよ!と言いたかったがそんな事を言っても信じてくれる訳が無いだろう。
「え!?ああ・・はい・・・・中学の頃の知り合いで・・・」
僕はそんな事を適当に言って誤摩化した
「そうなんですか・・・・天村くん・・・こんなに美人のお知り合いが居たんですね・・・・それじゃあ私なんか・・・」
平井さんはそう言ってため息を付いた。
美人なんてそんな・・・平井さんの方がよっぽど綺麗だよ・・・!
そうだ。折角だし平井さんに僕の事どう思ってるのか聞いてみよう。
「あの・・・すこしいいですか?」
最大限までよそ行きの能登●美子みたいな声で僕は平井さんに話しかけた。
「え・・・はい!なんですか?」
「高校の頃の天村くんってどんな子でしたか?私は中学を卒業したっきり会ってなくて・・・それからあの子どうしてたのかなーって・・・・」
よし!完璧だ・・・!折角こんな身体になったんだから有効に活用しなきゃ!
そうでもしてないとやってらんないよ
「天村くんは・・・その・・・・鈍臭くて頼り無さそうでかっこ悪いんですけど・・・・」
うわぁボロクソ!!辛い・・・死んだ事にされた上に片思いしてる相手にボロクソに言われるなんて・・・
はあ・・・ついてない・・・
しかし彼女は更に続ける
「それでも・・・優しくて、なんだか一緒に居ると楽しい人でした・・・もっとお話ししたかったなぁ・・・」
平井さんは目に涙を浮かべていた。
あ・・・ありがとう平井さん!!少し生きる希望が湧いてきたよ!!
それに泣かないで平井さん!僕は今平井さんの隣に居るから!!
僕はすぐにでもそう言ってあげたかったが勇気がなくて結局言う事が出来なかった。
これもヒーローの悲しい性と諦めるしかないのか・・・
「そ・・・そうなんですか・・・・きっと天村くんもそれを聞いたら喜んでくれますよ!ごめんなさい変な事聞いてしまって・・・」
ひとまず僕は遠回しに自分が喜んでいる事を伝える。
「いえ・・・天村くん・・・中学生の頃のクラスメイトさんも献花にこられるなんて中学生の天村くんもきっと良い人だったんですね・・・」
平井さんはそう言って花を供えて手を合わせた。
はあ・・・僕は目の前に居るのに花を手向けられた上に手まで合わせられるとか・・・
でも平井さんに褒めてもらえたしそれだけで帳消しに出来るぞ!
なんとしてでも元の身体に戻らないと・・・・!
それに平井さんをバッドネス㈱の魔の手から守らなきゃと僕は決意した。
そして平井さんは黙祷をし終えると
「それでは私はこれから学校なので・・・」
「あっ・・・はい。呼び止めてごめんなさい」
平井さんは僕に軽く会釈をすると真星高校の方へ歩いていった。
僕本当に死んだ事になってるんだな・・・
高校か・・・どうしよう・・・?
いつもなら僕も登校している時間帯だ。
流石にこんな格好で学校に行く訳にも行かないしな・・・
しかし元に戻れても復学できるんだろうか?
それに復学できたとしても平井さんと同じクラスに戻れるかどうかも分からないし先が思いやられるよ・・・・
でも落ち込んでる訳にはいかない!
僕がバッドネス㈱の魔の手からこの町を・・・この世界を守らなきゃいけないんだから!!
気を取り直して家の様子を見たら帰ろう。
佐江さんが起きる前に帰らないと何をされるか分かったもんじゃないし・・・
僕は家の方へ向かった。
そして僕は慣れた足取りで家の前に辿りついた。
いつもならそのまま鍵を開けて家に入る所なんだけど鍵も無いし今の僕が家に入ればほぼ不法侵入に等しい。
なんたって今の僕を天村有希だと証明する物なんて何もない訳で・・・
そういえば鍵とか鞄に入れたままじゃん・・・僕の鞄どうなったんだろ・・・?
はぁ・・・折角帰ってきたのにどっちみち鍵は持ってないし・・・
それに一晩帰ってこなかっただけなのにもう何年も家に帰っていない様な・・・なんだか自分の家じゃない様な気分になる。
「はぁ・・・・」
僕は大きなため息をついた。
これ以上ここに居ても何もないだろうし・・・何より僕自信が辛いだけだったし早く帰ろう。
平井さんに一緒に居て楽しい人だったって言われただけでも十分に帰ってきた価値はあったと思うしか無いか・・・
それに佐江さんが起きて僕が出て行った事がバレたら何をされるか分かったもんじゃない
確かに佐江さんはバッドネス㈱の科学者だけど今は頼れるのは佐江さんだけだと言う事も事実だ。
ここで敵に回す訳にも行かないし・・・
僕はまた手頃な物陰を探してフジュンヒルデに変身する事にした。
でももう人通りも増えてきてるし・・・流石にあんな格好でまた建物の間を飛び跳ねて帰っている最中に誰かに見られたら大変だし・・・
それに変身している所を見られたらどうしようという不安感のせいで一目が気になって変身する為の手頃な物陰を探すのに手間取ってしまう。
そんな事をしているうちに結局僕は結局商店街の方まで戻ってきてしまった。
「うう・・・逆に人通りが多い所まで来ちゃったよ・・・」
僕はそんなときふと商店街の裏手にあった雑居ビルと雑居ビルの間に手頃な物陰を見つけた。
「あそこなら人目に付かなさそうだ!」
僕は急いでその物陰に向かって走る。
良かった。
向こう側は塀になっていて誰も居ないし・・・
それにゴミ箱とかが積んであるしあの影に隠れれば人目に付かずに変身できるはず・・・・!
そして辺を見回して人が居ない事を確認して僕は喉元の石に手を当て
「変s・・・・」
と言おうとしたその時
「ギャリギャリギャリ・・・!お嬢さん・・・そんな格好でこんな物陰に入ってくるなんて俺様を誘っているのかい?」
不気味な笑い声が僕の背後から聞こえた。
おかしいそっちは行き止まりのはずだしそれにさっき確認した時に人影なんかなかったのに一体どこから!?
「だ・・・・誰だ!?」
僕はまた辺りを見回すがやはり誰も居ない。
「ギャリギャリギャリギャリ・・・!一般人に俺様の姿を捉える事等不可能だ!ギャリィ!!!」
謎の声がそう叫び声を上げると僕は見えない何か生暖かくて湿った物に縛り上げられてしまう
「うぁっ・・・!なんだ!?動けな・・・・い」
「ギャリギャリギャリ!どうだい俺様の舌に縛られた心地は・・・?」
「し・・・舌!?」
しかし僕の目にはただただ何かに縛り上げられてギチギチと締め付けられる胸くらいしか映らない
「ギャリギャリ・・・!良い舌触りだぜぇ・・・それにお嬢さんノーブラなのかよぉ!?ギャリギャリ・・・こりゃ大当たりだぜぇ・・・もうお嬢さんは俺様の餌食だ!見るが良い!これが俺様の姿だ・・・!」
するとさっきまで誰も居なかったはずの塀の前に緑色で目が飛び出してイボイボの肌のバケモノが姿を現す。
そのバケモノの口からはピンク色の何かが伸びていて僕の身体に巻き付いていた。
僕が今縛られているのはそのバケモノの舌だと言う事を理解する。
「ひっ・・・!」
目の前に現れた異形に僕は恐怖で顔を歪めてしまう。
「良いぞ・・・!恐怖に歪む美少女の顔を拝めるなんて・・・やはりこの身体は最高だぁ!」
僕の知りうる限りこんな芸当が出来るのはバッドネス㈱しかいない。
と言う事はまさか・・・これが・・・・!
「お・・・お前は・・・もしかしてバッドネス㈱の怪人・・・!?」
「ああ?知ってくれてるとは嬉しいなぁ。俺様はバッドネス㈱の最強怪人
「最強怪人・・・・?」
自分でそう言う怪人に限ってそうでもない奴ばっかりなんだよなぁ
そんな事を思ったが現に僕は大ピンチだ。
くそっ・・・全く気付かなかったし縛り付けられていて手の自由が利かない・・・!
これじゃあ変身することも出来ないじゃないか・・・
なんで最強の女幹部だってあんなに自慢げに言ってたのに手が動かせないだけで変身できないんだよ
僕は佐江さんに文句を垂れた。
「くっ・・・・離・・・・せ・・・ぐぁぁぁっ・・・ぐ・・・苦し・・・」
僕は怪人を睨みつけると更に舌は僕の身体を締め付けてきた。
「フフフ・・・・強気なお嬢さんだ・・・!その表情が苦悶で歪む様をこれから見られるなんてそれだけで興奮しちまうぜ・・・!ギャァリギャリギャリギャリ!!その強気がいつまで持つかなぁ!?それにお嬢さんの舌触り・・・柔らかくて最高だぜ・・・これからどうやって味わってやろうかなぁ・・・・このまま更に縛り上げて悲鳴を聞くも良し、このまま丸呑みにしてやるも良し・・・どう遊んでも遊び甲斐がありそうだぜぇ!ギャリギャリギャリ・・・!!」
怪人の目がぎょろりと僕を見つめてくる。
ダメだ・・・僕このままじゃ・・・・
「ギャリギャリ・・・良いぞ・・・もっと俺様を興奮させてくれ!そうだなぁ・・・こんな所じゃ俺様も気分が乗らない。場所を変えるぜぇ」
怪人はそう言うと舌を縮めて僕を引き寄せ抱きかかえた。
「うわぁっ!!やめろ・・・・!!離せっ・・・!」
僕は舌を振りほどこうと暴れるも舌はびくとも動かない。
やっぱりこの姿じゃ怪人に太刀打ちする事なんてできないのか・・・・
僕は無力感から下唇を噛んだ
「ふん!強情なお嬢さんだ。でも残念ながらもうお嬢さんは俺のモンなんだよ諦めなぁ!それに近くで見たらすっげぇ可愛いじゃねぇか・・・」
怪人はそう言うと僕を縛り上げている舌の先端で僕の頬をなめた。
「うぁっ・・・・!」
僕の背筋に悪寒が走る。
嫌だ・・・・早速こんな怪人に手も足もでないままやられるなんて・・・
「それじゃあお嬢さん・・・向こうで俺と楽しい事しようぜぇ・・・ギャァリギャリギャリギャリ!!ギャリィ!!」
怪人はそう言うと思いっきり飛び上がった。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
僕も一緒に宙へ浮く
そのまま怪人はビルとビル、屋根と屋根の間を飛び移り近所の河川敷の誰も居ない橋の下にたどり着いた。
「ギャリギャリギャリ・・・・!ここなら誰も邪魔せずにお嬢さんで遊べるぜ・・・」
そう言うと怪人はまた僕の頬をべろりと舐める。
「や・・・・やめ・・・」
僕はただただ恐怖で震えることしか出来なかった。
このままじゃ本当に僕この怪人に・・・・
「お?震えてんのかいお嬢さん?俺様の舌を通してあんたの震えや心臓の鼓動、それに唾を飲み込む感覚まで全て伝わってくるぜぇ?試しに壊れない程度まで締め上げてやろうかぁ?ギャリギャリギャリ!!!」
怪人は高笑いを浮かべて更にきりきりと僕の事を締め付けてきた
「ぐっ・・・・あぁぁぁぁぁぁ!!!」
「良い声で泣くじゃねぇか・・・それじゃあこのまま俺様の口の中で十分に味わってから犯してやろう・・・ギャァリギャリギャリギャリ」
そう言うと怪人は舌で僕を持ち上げ僕の真下では怪人が口を大きく開いている
「い・・・・いや・・・だ・・・・」
「ギャリィ!もっと・・・もっとだ・・・強気なオンナを恐怖で屈服させてから犯すのはたまらねぇぜ!ギャァリギャリギャリギャリ!!!!お嬢さんの物語にR-18タグを付けさせてやるぜギャリリリリリィ!!!!」
怪人は今までで一番の高笑いを浮かべる
本当に僕・・・このままじゃ怪人に犯されちゃう・・・
せめて・・・せめて変身さえできれば・・・・!
もうだめだ・・・僕・・・結局何も出来なかった・・・
それにあの町にこんなバケモノが居たなんて・・・もしかしたら僕の次に平井さんが狙われるかもしれない
ごめん・・・平井さん・・・君の事、守って上げられそうにないや・・・・
僕の目からは涙がこぼれ落ちた。
僕が諦めかけたその時
「だから勝手に出歩くなと言ったんだバカが・・・まあいい。おかげで早速怪人を一匹潰せる訳だ。正に鴨がネギを背負って現れたと言う奴だな」
そんな声がどこからか聞こえた。
「ギャリィ?誰だぁ?これからお楽しみって時に俺様の邪魔をしようって奴は」
怪人は飛び出した目玉をぎょろぎょろとさせて辺りを見回している。
そんな時、僕の方に向かって何かが凄まじい勢いで回転して飛んできて、それは怪人の舌に命中していとも簡単に舌を切断した。
「ギャ・・・ギャリィ・・・!!俺様の舌が・・・舌がぁ!!!!」
舌が切断されたおかげで舌の締め付けは緩み僕はそのまま地面に落下して舌から解放された。
目の前では切断された舌の根元を抑えて怪人は地面に倒れ込んでじたばたといたそうな声を上げながらもがいている。
そして回転して飛んできた物体は少し離れた先の地面にざくりと突き刺さった。
なんだあれ・・・?ピンク色のバール・・・の様な物・・・?
僕が地面に突き刺さったバールの様な物を眺めていると
「大袈裟だなキミは・・・」
そんな声がした。僕の背の方からした。
この声・・・もしかして・・・!
「ギャリィ!誰だ!!くっそぉ・・・よくも俺様の舌をぉ!!」
怪人は苦しそうに声を上げもがいている。
そして声のした方を眺めると
に白衣を着た瓶底メガネの少女がこちらに向かって歩いてきていた。
「そんなに痛がる事も無いだろう?私が本来のカメレオンの何倍も器用な舌にしてやった上に再生能力もオマケで付けてやったんだからな。あっ、器用な舌にしてしまったせいで痛覚まで過敏になってしまったかな?流石私だ」
彼女はにやりと笑みを浮かべる。
「さ・・・・佐江さん・・・・!」
僕は佐江さんの方へ駆け寄った。
「はぁ・・・こんな事もあろうかとキミのTシャツに発信器を付けていて正解だったよ。それにしても私の天才的投擲センスにコントロールは最高だろ・・・?我ながら惚れ惚れする投擲だった」
佐江さんは胸を張る。
そんな彼女に僕は凄く安心感を覚えた。
「佐江さん・・・勝手に出て行ってごめんなさい!それに・・・助けてくれてありがとう・・・うわぁぁぁぁん怖かったよぉぉぉおぉぉ」
僕は思わず佐江さんに抱きついた。
「ああもう離せっ!その脂肪のかたまりを私になすり付けるんじゃない!それにヤツの唾液で湿っててマジで気持ち悪いから離せ!!まずはあの気色悪いのを倒すのが先だろうが」
そうだった・・・
もう身体の自由は利く!あの姿になればあんな怪人なんて敵じゃないはずだ!
そう思ったその時
「ギャリィ・・・急に出てきて俺の女といちゃいちゃしやがって・・・・」
怪人がよろよろと立ち上がった。
誰もお前みたいな奴の女になった気はない!それに僕は男だ!
「貴様・・・どこかで見覚えがあると思ったらバッドネス㈱の尼尽博士じゃねぇか・・・」
怪人はぎょろりとした目で佐江さんを見つめた。
「ほう・・・私の事を覚えていてくれるとは光栄だな。私は貴様の様な気色の悪い怪人の事等すぐにでも忘れてしまいたいんだがね」
「ギャリィ・・・・貴様が俺様を改造してくれたおかげで・・・・改造してくれたおかげでぇ・・・!!」
あの怪人も佐江さんに改造されたのか?それにあの言い方・・・改造された事を恨んでるのかな・・・・
しかし次の瞬間怪人は全く予想外の事を言い始める。
「えっちな事し放題じゃねぇか!!!」
は?
「ふん・・・下劣な・・・」
「この能力のおかげで金を盗もうが女風呂を覗こうが誰も俺様に気付きもしねぇ!あんたにはこの身体にしてくれた事感謝してるぜ博士よぉ!ギャリギャリギャリギャリ!!」
最低だ・・・!
今すぐにでもぶっ倒してやらなきゃいけない!
僕は怪人を睨みつけた。
「フン・・・だから爬虫類は嫌いなんだ。無駄に能力があるからどうしても怪人が付け上がる・・・」
「ギャリィ!なんとでも言え!こんな身体になった上正社員として雇用までしてもらえるバッドネス㈱に忠誠を誓った甲斐があったぜぇ!博士!貴様には恨みは無い!しかし貴様はドン・ザイーグ様から脱走したと聞いている。殺さずに連れて帰ってこいとのご命令だ!ついてるぜ俺様・・・!こんな可愛らしいお嬢さんまで捕まえられた上に手柄まで上げられるなんてよぉ・・・!」
怪人は不気味な笑みを浮かべた。
「佐江さん下がってて!」
僕は佐江さんの前に立つ
せめて今は佐江さんだけも守らなきゃ・・・!
「ギャリィ!博士は後だ!別にそんな幼児体型の女に興味は無いからなぁ!ギャァリギャリギャリギャリ!!」
「おいお前・・・今言ってはならん事を言ったな・・・?」
折角僕が佐江さんの前に立ちふさがったのに佐江さんはそんな僕を払いのけて怪人に単価を切った。
「お・・・?どうした博士さんよぉ?博士と言っても所詮はただの人間!そんな貴様がこの俺様に勝てるとでも?」
「ああ。勝てるさ。改造係数45%の雑魚が・・・貴様等所詮私が嫌々作った凡作の一つでしかない。完膚なきまでに叩き潰して地べたに這いつくばらせて生きている事を後悔させてやろう」
こ・・・怖いよ佐江さん・・・
「こいつがな」
そう言うと佐江さんは素早く僕の後ろに隠れて僕のお尻を蹴った
「うわぁっ!」
急に蹴られたので僕はそのまま転んでしまう。
「ほら・・・さっさといけ君の記念すべき初めての敵怪人だぞ」
「いててててて・・・そ・・・そんなぁ・・・」
僕はすかさず立ち上がる。
「ギャリリィ・・・!結局はそのお嬢さんを盾にして逃げようってか・・・それならお言葉に甘えてそのお嬢さんから美味しく頂いてやるぜぇ!ギャリリリリリリリリリィ!」
怪人は奇声を上げて僕目がけて突進してきた。
そっちがその気なら・・・こっちだって!
あの格好で戦うのは恥ずかしいけどあの姿でならこんなヤツ一捻りだ!
僕はチョーカーに手を当てて
「変s・・・・」
と言おうとするが
「待て!」
佐江さんは僕を制止する
「こんな時なんですか!?もう敵は目前まで迫ってきてるんですよ!?」
「キミが発する音声コードは変身じゃない・・・魔ジカライズと叫ぶんだ!」
魔ジカライズ・・・?
なんだそれ・・・・
いや考えてる暇は無い!
僕は深く息を吸い、石に手を当てて
「魔ジカライズ!!!」
と叫んだ
すると石があたたかな光りを放ち僕をつつんだ。
なんだろう・・・これ・・・フジュンヒルデに変身した時みたいにちくちくしたり苦しかったりしない・・・
逆に凄く温かくて気持ちいい・・・・
「ギャリっ!?なんだ!?」
怪人は石から放たれたまばゆい光に目を塞いだ。
そして光がどんどんと薄れて行き、僕の服装が変わっている事に気付いた。
フジュンヒルデの服装ではなくなんだかもっとファンシーで可愛らしい服装だ。
な・・・・なんだこれ・・・・僕・・・一体今どんな格好をしているんだ!?
僕は自分の手や胸元、それにさっきまで履いていたズボンがスカートになっている事を確認する。
「ギャリィ・・・・!この感じ・・・・お嬢さん・・・あんたも俺様と同じバッドネスの改造人間だったのか・・・いいや・・その姿は改造人間と言うより・・・魔法少女!」
「なっ・・・・!」
言われてみればなんだか胸にハートの飾りが付いていたりしているしつまりそういう・・・・
フジュンヒルデとはまた別ベクトルで恥ずかしい格好な気もするけど今はそんな事気にしている場合じゃない!
「ああ。驚いたか?これがキミの改造係数55%の姿だ!」
佐江さんは得意気に言った
「えっ・・・!?それってあの姿よりも弱いって事じゃ・・・」
「当たり前だ。あんな強過ぎる状態では最悪相手を殺しかねないからな・・・それにあの姿は怪人と戦闘する事を念頭に置いていない。その姿は対怪人戦用に私が今さっきまで片手間で作った新しいフォームだ!さあ!早く石に触って魔じかる☆すまっしゃーと言え!それが今のキミの低い改造係数を十二分にカバーしてくれるはずだ」
「え・・・はい・・!魔じかる☆すまっしゃー!!」
僕はまた石に手を触れてそう叫ぶとさっき怪人の舌を切断して地面に刺さっていたバールがこちらに向かって飛んできた。
「うわぁぁぁ!!」
ヤバい・・・このままいけば顔面直撃コースだ。
しかし僕の動体視力はしっかりと飛んでくるバールを捕らえ、いとも簡単にキャッチする事が出来た。
「それがキミの武器、魔じかる☆すまっしゃーだ!」
え・・・・そんなファンシーな名前なのにこんな物騒なの・・・
それにバールのようなものがメインウェポンな魔法少女ってどうなんだろう・・・?
「大丈夫だ安心しろ。その姿ならどれだけ魔じかる☆スマッシャーで殴りつけようが相手は死ぬ事は無い!キミに人殺しをさせる訳にはいかんからな・・・!」
「さ・・・佐江さん・・・・」
そんなに僕の事を考えて・・・・
よし!それなら心置きなく相手をやっつけられる。
「何俺様を置いてぺちゃくちゃ喋ってんだ!しょせんは魔法少女!舌も回復した俺様には勝てん!!お嬢さんの作品にR-18タグと陵辱タグを俺様が付けてやろう!!!ギャリリィ!!!!!」
勇ましく怪人がまたこちらに向かって突進してくる
タグってなんだよ!!
いやそれより攻撃しなきゃ・・・!
僕は突進してきた怪人を綺麗に回避し軽く回し蹴りをくらわせた。
「ギャリィ!?」
怪人はそんな声を上げて吹き飛びうつぶせで倒れる。
うん・・・フジュンヒルデの時ほどのパワーはないけど十分いける!
「ギャリィ・・・!お前ぇ・・・・俺様をコケにしやがって!もう一度縛り上げていい声で鳴かせてやるぅ!!」
そう言うと怪人は吹き飛んだ先から舌を僕に向けて伸ばしてきた。
「バカが・・・攻撃する前から手の打を晒すヤツがあるか」
そう呟く佐江さんの声が聞こえた。
全くその通りだ。
僕はその舌の軌道を完全に見切っていた。
動体視力はあの時と大差無い!
「ちょっと気持ち悪いけど・・・っ!」
僕は飛んでくる舌を手で掴んだ
「ギャ・・・ギャリっ・・・・!?俺の攻撃が見切られただと!?」
「よし!次はこっちの番だ!」
僕は掴んだ舌を思いっきりぐるぐると振り回した
「ギャリィィィィィィィィ!!!」
怪人は情けない声を出しながら僕の周りをぐるぐると回っている
「そりゃぁ!」
僕はそのまま怪人を地面に叩き付けた
「ギャリっ・・・!少しなめてかかりすぎたか・・・しかしこの攻撃は見切れるかな・・・?」
怪人は立ち上がると姿を消した。
「また透明化した!?ど・・・どこだ・・・!!」
僕は当たりを見回すが怪人の姿は無い。
怪人はきっとどこかで次の攻撃のチャンスを伺っているはずだ・・・
でもアテもなく不用意に攻撃すれば隙を与えてしまう事になる。
一体どうすれば・・・・
僕が考えていると
「今のキミの感覚ならそんな保護色に毛が生えた程度の透明化など見破れるはずだ!しっぽに意識を集中しろ」
いつの間にか遠巻きに避難していた佐江さんがそう呼びかけてきた。
「は・・・はいっ!」
僕は佐江さんに言われた通りしっぽに意識を集中すると急に尾てい骨に電気が走った様な感覚が襲ってきた。
「んっ・・・・うぁっ・・・♡」
なんだかしっぽに当る風の感触やそれに橋を渡る車の音なんかがしっぽにぴりぴりと刺激を与え、僕は変な声を漏らしてしまう。
なんだ・・・これ・・・しっぽが敏感になってる?!
しかしその中でなにかざくざくという音がしっぽにちくちくと響いてきた。
何だこの音・・・?
そのざくざくという小さな音はどんどん位置を変えて行く。
そして佐江さん後ろでその音は止まった。
この音・・・もしかして・・・!
僕は咄嗟に持っていたバール・・・じゃなかった魔じかる☆すまっしゃーを佐江さんの方に投げつけた。
僕の手から離れた魔じかる☆スマッシャーは佐江さんの頭上を霞めるとゴンという何かにぶつかった様な鈍い音がして地面に落ちた。
そしてその近くに頭を抑えた怪人が姿を現す。
やっぱり!さっきのしっぽで感じたざくざくって音は怪人の足音だったんだ!
「ギャリィ!!!何故だ・・・何故俺がコイツを人質にしようとした事が分かったんだ!?」
「いくら姿を消せたって足音は消せなかったみたいだね!」
「ギャリッ・・!?お前・・・俺様の足音で場所を割り出したってのか!?」
「ほう・・・なかなかやるじゃないか」
佐江さんはそう言って怪人から走って離れ僕の方に駆け寄ってきた。
「ギャリィ・・・・こしゃくなぁ・・・・」
怪人はふらふらと立ち上がったが最早満身創痍と言った感じだ。
「よし!今ならやれる・・・!必殺技だ!」
「ひ・・・必殺技!?」
この三文字熟語にときめかない男なんて居ない
「まずは魔じかる☆すまっしゃーを呼び戻せ!」
「は・・・はい!魔じかる☆すまっしゃー!!」
僕はさっきの手順でそう呼ぶと怪人の近くに落ちていたそれが僕の方へ飛んでくるのでさっきの要領で華麗にキャッチをしてみせた。
「よし。次だ!それを思いっきりヤツの頭に叩き込め!」
「え・・・ええ・・・・!?」
魔法少女の必殺技ってビームが出るとかそう言うのじゃないの・・・?
それにそんな事して本当に大丈夫なんだろうか?
死なないとは言っていたけどこんなのを頭にフルスイングしたら流石に怪人でも死んじゃうんじゃ・・・・
「良いから早くやれ!勝手な事ばかり言ってすまないが私を信じろ!」
佐江さんはそう言うとずっとかけていた瓶底メガネを外して僕を見つめてきた。
その瞳はとても綺麗だった。
僕はその瞳を信じることにした。
「う・・・うん!わかったよ佐江さん!その必殺技の名前は?」
「そこはなんでも良い!とりあえず魔じかる☆すまっしゃーをヤツの頭部に振り下ろせ!」
「わ・・・わかった!」
僕はまじかる☆すまっしゃーを振り上げて怪人の方へ向かって行く
「ギャ・・・ギャリっ・・・や・・・やめろ・・・・」
「いくぞ!魔じかる☆だいなみっく!!!!」
僕はそう叫んで怪人に飛びかかり魔じかる☆スマッシャーを思いっきり振り下ろした。
すると
ぐちゃ・・・と聞こえては行けない様な鈍い音と頭部にヒットした手応えを感じる。
「ギャ・・・ギャリィ・・・見えた・・・・見えたぞ・・・・お嬢さんの・・・リアル魔法少女パン・・・チラ・・・・魔法少女のパンチラ・・・・ばんざーい!!!!!!!」
怪人はそう言って後ろに倒れ込んだ。
「はあ・・・・はあ・・・・倒した・・・?」
それを見た佐江さんがこちらに駆け寄ってくる。
「ふう・・・終わったか。最初から最後まで気色の悪いヤツだったな・・・」
「う・・・うん・・・」
僕は目の前で伸びている怪人を見つめた。
「キミ・・・初めての戦いにしてはなかなか筋が良いじゃないか。これからもこの調子で私に協力してくれよ?」
佐江さんはにっこりと笑う。
今までは瓶底メガネをかけていてよくわからなかったがこんなに可愛く笑える人だったんだ・・・
「は・・・はいっ・・・!」
僕はひとまずは彼女を信じて協力する事を心に決めた。
しかし目の前に倒れている怪人はびくともしない。
佐江さんはしな無いって言ってたけどマジで殺しちゃったんじゃ・・・
「あ・・あの・・・本当に怪人は大丈夫なの?」
「ああ。ほら見てみろ。そろそろ変化が起こる頃だ」
佐江さんは怪人を指差すと怪人の身体が見る見るうちに変わっていき、冴えない中年男性へと姿を変えた。
「これが改造前の彼、
佐江さんはそう言って僕のスカートを引っ張ってくる
「え・・・わっ・・ちょっと・・・!引っ張らないで!見えちゃうから!!僕・・・スカートの中は男のままだから!!それにこんな格好で歩いて帰るのは嫌だ!!」
「バカかキミは解除と言えば良いだろうが・・・それに私はここまで車で来ているからそう取り乱すな」
「あっ・・・そうだった・・・解除・・・・」
僕が喉元の石に触りそう言うと軽い虚脱感を覚えた後、さっきまで着ていたTシャツに半ズボンを履いていて、メガネの感触はなかったので改造された時の姿に戻った事が分かった。
そして彼女に手を引かれ、彼女が河川敷に停めていた車に僕は乗り込むと佐江さんは昨日の様な乱暴な運転をせずに車は緩やかに動き出した。
それからしばらくお互いに黙りこくっていたが
「・・・それで・・・・帰ってみてどうだったんだ・・・?」
遠慮がちに佐江さんが尋ねてきた
「あ・・・えーっと・・・本当に死んだ事にされてたんだって実感したよ・・・でもあんな怪人が居る事も分かったし僕はあの町の人を守りたい」
「そうか・・・しかし自惚れるなよ?行き過ぎた自己犠牲の先に待つのは破滅だけだ。キミはただ元に戻る事だけ考えていれば良い」
佐江さんはそう言った。
なんだかんだ言って僕の事心配してくれてるんだな・・・
「ありがとう・・・佐江さん」
「な・・・急に何言い出すんだ気持ち悪い!!」
「いや・・・佐江さんってもっとマッドサイエンティストみたいな人かと思ってたんだけど結構優しい人なんだなって・・・」
「よ・・・よせよ・・・私は優しくなんか無い・・・勘違いしないでくれ」
「えっ・・・でもなんだかんだで僕の事気にかけてくれて・・・それに怪人だって殺さなかったし・・・」
「勘違いするな。あいつが変死体で発見されて事がおおっぴらになるのを避けたかっただけだ。それにキミだって自称魔法少女の男性、殺人の疑いで逮捕なんて見出しで新聞記事に載りたくはないだろう?」
「う・・うん・・・・それはもちろん・・・でも佐江さんはそうやって僕の事を心配してくれてるんでしょ?」
「自惚れるなと言っただろバカ。私がキミを気にかけるのはあくまで私の計画の貴重なただ一つの手駒だからに過ぎないからだ。それに怪人を倒さなかった理由はもう一つある」
「もう一つって?」
「ああ。キミのセーブモードがあるだろう?改造係数が0%になるあの姿・・・キミもあの姿で出歩いてみて分かったと思うがあの状態だとほぼ何の変哲も無い人間と変わらない」
「う・・うん・・・凄く痛感したよ・・・でもそれと何の関係が?」
「あの魔じかる☆スマッシャーは相手の改造係数に直接ダメージを与えられる武器なんだ。そして最後にはそれを完全に破壊する。つまり相手を強制的にキミのセーブモードと同じ状態にして・・・そのままその状態で永遠に固定するんだ」
「それってつまり元の人間に戻るって事?」
「いいや・・・ただ能力が使えない改造人間になるだけで元の人間には戻らない。ヤツは人間でも怪人でも無くなった状態で死ぬまで生きていく事になるのさ」
「で・・・でもそれって人間として生活できるって事なんじゃ・・・」
「ああ。しかしそれは改造人間にとっては苦痛だろうな。ヒトは一度チカラを手に入れててしまえばそれに依存する。改造人間は皆特殊な能力を持っているしヤツはその能力を最大限に活用して不埒な事を平然と行っていた。つまりそれが急にできなくなると言う事は手足をもがれた状態で生きて行く事となんら変わりのないことなんだよ。私は興味本位でそうやって苦しむ改造人間の姿が見たくなっただけのマッドサイエンティストさ」
そう言った佐江さんの横顔はどこか悲しそうだった。
でも僕はそうは思わない。
佐江さんは何かを隠しているような気がした
今の僕にそれを尋ねる勇気はなかったのでただそんな佐江さんの悲しそうな横顔を見つめている事しか出来なかった。
でも僕の戦いはまだ始まったばかりだ!
頑張れ僕・・・負けるな僕!
僕の元の身体と町の平和を取り戻すまで
僕は自分自身にそう言い聞かせた。
有希が怪人を倒してから数時間後・・・
とある誰も居ない部屋に大慌てで黒ずくめの男が入ってくる
「キョー!首領!報告します!××レオンが倒されました」
そんな男の声に反応したのかその部屋に飾られていたレリーフの中心に埋め込まれた石が光り出し
「な・・・なんだって!?」
レリーフから声がした。
「キョー!今朝河川敷で倒れている所を発見しました」
「そ・・・それで・・・ヤツはどうなったんだ・・・!?」
「命に別状はありませんが・・・・変身能力を完全に破壊されていました。もうヤツは××レオンですらありません。それに何があったか尋ねても覚えていないの一点張りで・・・変身能力を失った事に相当ショックを受けています」
「そう・・・か・・・とにかく無事で何よりだ・・・良かった・・・しかしもう彼は怪人にはなれないと言う事なんだな・・・」
「はい・・・残念ですが・・・・」
「そう・・・かそんなヤツはクビだ・・・・しかししっかりと失業保険と同じ位の金を出してやる様に経理担当に伝えろ。そしてアフターケアも怠るなよ」
「キョー!かしこまりました首領!」
黒尽くめの男はそう言うと走って部屋から出ていった。
「しかし我らの怪人を倒すとはいったい何者だ・・・?それに尼尽博士もフジュンヒルデも居なくなってしまったし・・・・まさか・・・な・・・・面白い・・・これは新たな作戦を練る必要がありそうだな・・・腕が鳴るわ!ぐわっはっはっは!!」
誰も居ない部屋に男の高笑いが響いていた。
(序章.完)