オルタナティブガールズの広瀬こはるちゃんの二次創作です。

こはるんの行動をキャプテンが深読みしちゃう感じの話になってます。

ぜひ読んでみてください〜

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こはるんは策士!?

俺は自室で机に向かい、パソコンに表示された地図に黙々とピンを打っていた。

打っているのは夜獣の出現した場所と、その時間についてだ。

最近、またやけに夜獣の出現頻度が高まってきている。

キャプテンとして、オルタナたちの力になりたい俺は次に夜獣が出てくる場所をどうにか割り出せないかと頭を捻っていた。

 

マップへのピン打ちを終えたところで、俺は一度大きく伸びをする。時刻は11時。

今日が終わるまでの1時間、続きを頑張ろうと気合を入れ直したところで、誰かが部屋の扉をノックした。

 

こんな時間に誰だ?

扉を開けるとそこにはパジャマ姿のこはるがそこにはいた。

普段見られない彼女の無防備な姿に、俺は一歩後ずさる。

 

「キャプテーン、何をしてるんですか〜? これは……地図?」

「え、えっと、夜獣の出現場所について調べてたんだ。大したことはしてないよ」

「そうだったんですか〜。だったら少しお疲れですよね……? パンケーキを焼いたので、丁度キャプテンと一緒に食べたいな〜って思ってたところなんです〜」

「この時間からパンケーキ!? そんなことしたら……」

 

また、体重が増えるとか言おうと思ったが、それはやめた。

そんなこと言うのは失礼だし、何より……彼女の善意を無駄にする様なことだけはしたくない。

 

「いいね。俺も丁度お腹が空いてたんだ!」

「それは良かったです〜! キャプテンはメープルシロップどれくらいかけますか……?」

「メープルか……俺ははちみつ派なんだよな…………」

「そんな〜! 絶対メープルの方が良いですよ〜」

「良いってどう言う意味……いや待てよ」

 

俺は彼女の言葉を思い出す。

確か、こはるは俺に『お疲れですよね』と確認をしていた。

これはつまり、俺が疲れているのを分かってパンケーキを持ってきたということなのではないか!?

そう考えたら何故はちみつではなく、メープルシロップなのかの答えが自ずと浮かんできた。

メープルシロップは、はちみつに比べ、カルシウムやマグネシウムの含有量が多いとどこかの記事で読んだ覚えがある。

そして、それらの栄養素は…………疲労回復によく効く……!

また、甘いものは脳の栄養になるため、今の俺にぴったりだった。

広瀬こはる……まさか今の俺に必要な栄養素を的確に把握し、それをスイーツの形でさり気なく提供してくるとは……なんて計算高い女の子なんだ……!

 

俺はそう感心しながら、彼女の作ったパンケーキをいただく。甘くて美味しい。

その後、1時間程、たわいもない会話を繰り広げる俺たちであったが、彼女がお喋りによるストレス軽減を狙っていたこと、また、糖分の吸収速度を考慮しての1時間という会話時間であったことは言うまでもない。

彼女が去った後、黙々と作業を続ける途中で、再び俺は彼女の計算高さを思い知らされたのだった。

 

 

次の日の放課後。

俺は今日の特訓で使うものが入っているらしいダンボールを永遠と運ばされていた。

頼んできたのはメロ。

「こんなに重いもの、運べるわけないメロ」とかほざいた我らがマスコットは運搬作業を全て俺に押し付けると一人でどこかに行ってしまった。

全く迷惑な話だ。

 

秋の肌寒い気温の中、およそ1時間半訓練場と倉庫を行き来したところで、やっと倉庫に積まれていたダンボールの山を全てを運び終えた。

運び終えた時には俺は肩で息をするほどに疲弊していた。

身体中が既に筋肉痛になっているのが自分でもよく分かる。

 

明日に響かない様にするためにも俺は訓練場の前でストレッチをしていると、一番乗りで特訓場に着いたこはるが俺を見つけ、近付いてくる。

 

「キャプテーン。どうしたんですか? ストレッチ?」

「あ、ああ。少し疲れてね。足がもうパンパンでさ。筋肉痛にならない様に事前に手を打ってるんだ」

「そうだったんですか〜。キャプテンはしっかりしてますね〜そうだ! キャプテン、お菓子食べませんか〜? はい、どうぞ」

「ありがとう。これは…………何だ?」

「マロンブッセですよ〜今朝作ったのを残していたんです〜」

「マロン…………ブッセ…………ッ!!!」

 

マロン、つまり栗には果物の中でもある栄養素がふんだんに含まれていることで有名だ。

それはビタミンB1……筋肉の疲労を回復を助ける栄養素に他ならない。

つまり、1時間半の荷物運びで筋肉が悲鳴を上げている今の俺が最も欲している食べ物が、マロンブッセであることは間違いない。

俺のことをしっかりしているというが、俺から言わせてみればこはるの方がしっかりしている。むしろしっかりし過ぎている!

朝の段階で俺が肉体的疲労に陥ることを予知しているのだからな!

事前に手を打っておくとかのレベルを超えているぞ!

恐ろしい……末恐ろしい……なんて計算高い女の子なんだ……!

 

「丁度、栗は美味しい季節なので作っちゃいました〜キャプテンどうですか? 美味しいですか……?」

 

上目遣いで首を傾げて聞いてくるが、これは演技だ。間違いない。

『栗が美味しい季節なので』なんてわざとらしい理由をつけてる時点で、もう自分は全て分かっててこのスイーツを作りましたと言っているようなものじゃあないか。

 

「美味しいよ。こはるはお菓子作りが本当に上手だな」

「えへへ〜そんなぁ。照れちゃいますよ〜」

 

照れながら、まるで天使の様な笑顔を向けるこはる。

この笑顔だけで俺の今日の疲れが吹っ飛びそうだ。

トワクロこはるんがハイキュアを持ってる理由が分かった気がする。

 

日の落ちかけた秋の空を見上げる。

今夜もきっと夜獣は俺たちの街を襲撃するのだろう。

しかし、問題ない。

俺の目の前には、これほどまでに聡明で可愛らしいオルタナがいるのだから。

彼女の笑顔に、この街の平和が守られることを確信するのだった。

 

 

「なんだか今日のキャプテンちょっと変だったな〜」

 

「変なものでもお菓子に入れちゃったのかな……?」

 

「それはないよね。普通に私が食べたいお菓子を作ってるだけだもんね」

 



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