第一位転生 異世界行ったら絶対能力者になる! 作:忍者狙撃手
三歳になった。
最近になって、ようやく自分の名前を知った。
俺の名前はルーデウス・グレイラット。
ちなみに、
父の名前はパウロ・グレイラット。
母の名前はゼニス・グレイラット。
兄弟はいない。
グレイラット家の長男というわけだ。
ルーデウスと名付けられたわけだが、
パウロもゼニスも俺のことをルディと略していたため、ずっと自分の名前はルディだと思っていたが、
メイドのリーリャが、俺のことをルーデウス様と呼んでいるのをみて、本当の名前を知った。
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「あらあら、ルディは本が好きなのね」
本を常に持って歩いていると、ゼニスはそう言って笑った。
彼らは俺が本を持っていることをとがめなかった。
食事中は脇に置いているし、特に魔術教本は家族の前では読まないようにしていた。
この世界で魔術がどう思われているかがわからねぇ。
もしかしたら批難されているかもしれない。
まぁ、こんな本が実用書として存在しているこの世界で、
魔術がNGということはないだろうが、あまりいい顔はされないかもしれない。
魔術は大人になってから、とか言う常識があるのかもしれない。
何せ、使いすぎると気絶する危ないものなのだ。
成長を阻害させるとか思われているかもしれない。
そう思ったので、家族の前では魔術のことは隠している。
もっとも、窓の外に向かって魔術をぶっ放したこともあるので、もうばれてるかもしれない。
しょうがないじゃねぇか、射出速度がどれだけ出るか試したかったんだから。
メイドは、たまに険しい顔で俺を見てくるが、
パウロとゼニスは相変わらずのほほんとしてるので、大丈夫だと思う。
成長期があるなら逃したくない。
今のうちに出来るだけ魔力を上げておきたいしな。
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そんな魔術の秘密特訓に終止符が打たれた。
ある日の午後だった。
そろそろ初級魔術には飽きてきたし、中級の魔術を試そうと、軽い気持ちで水砲の術を詠唱した。
いつも通り、桶に水が溜まるだけだと思っていた。
ちょっと溢れるかもな、ぐらいには考えていた。
凄まじい量の水が放射されて、壁に大穴があいた。
穴の縁から、水滴がポタポタと地面に落ちるのを、俺は唖然と見ていた。
唖然としながら、能力で戻せるか考えていた。
だが遅かった。
「何事だ!うおあっ……」
最近にパウロが飛び込んで来た。
そして、壁にあいた大穴を見て口をあんぐりと開けた。
「ちょ、おい、なんだこりゃ……ルディ、大丈夫なのか…?」
こいつは優しい。
どう見ても俺がやったようにしか見えないのに、俺の身を案じている。
今も「魔物……か?いやこの辺には……」などと呟いて注意深く周囲を警戒している。
「あらあら…」
続いてゼニスが部屋に入って来る。
こいつはパウロより冷静だった。
壊れた壁と、床の水溜まりなどを準備にみていき、
「あら……?」
目ざとく、俺の開いていた魔術教本のページに目を止めた。
そして俺と魔術教本を見比べると、俺の目の前にしゃがみこんで、優しげな顔で目線をあわせる。
怖い。
目の奥が笑ってない。
俺は目線を反らす。
学園都市にいるとき、杖のスプリングが弾けて、炊飯器を壊した事がある。
その時じゃんに怒られた。
説教されている時にじゃんの目をずっと見ていたら、
「おまえ、私を威嚇してるじゃん?」
って殴られた。
わからねぇな。
「ルディ、もしかして、この本に書いてあるのを声に出して読んじゃった?」
「ごめンなさい」
俺は一応謝罪する。
謝る機会がなかったから、謝りなれてねぇ。
しかし、この反応……
やっぱり魔術はNGだったか?
「いや、だっておまえ、これは中級の……」
「きゃー! あなた聞いた! やっぱりウチの子は天才だったんだわ!」
パウロの言葉を、ゼニスが悲鳴で遮った。
両手を握って、嬉しそうにぴょんぴょんと跳んだ。
元気だな。
俺の謝罪は無視かよ。
「いや、おまえ、あのな、だって、まだ文字を教えてな……」
「今すぐ家庭教師を雇いましょう!将来はきっとすごい魔術士になるわよ!」
パウロは戸惑い、ゼニスは歓喜している。
どうやら、ゼニスは俺が魔術を使えた事が嬉しくてしょうがないらしい。
魔術がNGというのは、俺の紀憂に終わったらしい。
メイドは平然と無言で片付けを初めている。
恐らく、こいつは俺が魔術を使えることを知っていたか、薄々感ずいていたのだろう。
別に悪いことじゃなかったから特に気にも止めなかっただけで。
あるいは、こいつらが歓喜するところを見たかったのかもしれねぇな。
「ねえあなた!明日にでもロアの町で募集を出しましょう!
才能は伸ばしてあげなくっちゃ!」
ゼニスは一人で興奮し、天才だの才能だの騒いでいる。
いきなり魔術をぶっぱなしたぐらいで天才か。
やっぱり魔術ってのは、難しいものなのか?
魔力の変換が複雑とか。
そんな魔術の中級をこの歳でぶっぱなしたのか……
うん、天才だな。
「あなた、家庭教師よ!ロアの町ならきっといい先生が見つかるわ!」
魔術の家庭教師か……他人の技術を吸収するのはいい。
俺としてもぜひとも欲しいな。
というわけでゼニスは魔術の家庭教師を付けることを提案したのだが。
これをパウロが反対した。
「いやまて、男の子だったら剣士にするという約束だっただろう」
男だったら剣を持たせ、女だったら魔術を教える。
生まれる前にそういう取り決めをしていたらしい。
「けれど、この歳で中級の魔術を発動できるのよ!鍛えればすごい術士になれるわ!」
「約束は約束だろうが!」
「なによ約束って!あなたいつも約束破るじゃない!」
「俺のことは今は関係無いだろうが!」
その場で夫婦喧嘩を初める二人。
平然と掃除をするメイド。
「午前中は魔術を学んで、午後に剣術を学べばイイじゃねェか」
やかましくて我慢出来なくなった俺がそう提案すると、二人はすごい勢いで此方を振り向いた。
「そうね、それがいいわ、そうしましょう」
「ルディ、おまえ、天才か」
いや、逆になんで思いつかなかったんだよ。
ーーー
そんなわけで、ウチは家庭教師を一人雇うことになった。