目が覚めたら死神だった件について   作:六月ロック

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二話

 で、なんかイベントが始まりました(笑) なんか大勢の人間が平伏してるところに白い布に包まれた赤ん坊を抱えた、頭に変な管みたいなの付けてるオッサンがやってきて、偉そうに一瞥した後、なんか言い始めた。でもさ、その声、ここまで届いてないんだけども。俺ら末席過ぎでしょ。でもさしょうがないのだってさ俺らの居る場所、完全に端っこなんだもん。数百人クラスが集まる屋敷の中で隅っこにいて声が届くわけがない。声張り上げるわけでも、マイクなんて小じゃれたモンがあるわけでもないし、聞こえるわけがねえっスわ。まあ校長先生のありがたいお話しみたいなもんで、聞こえなくてもなんの問題もないんだろうけどね。

 

お話しが終わっても、そこからがまた長い。中々朽木家の面々には近づけない。和っちんは滅茶苦茶機会を伺ってウロチョロしてんだけど、一向に朽木家の面々の周りが開く気配がない。それに割って入るでもなく、周りをウロチョロ………。

 

なんか見てて悲しいんですけど………。

 

 これ本当にライバル関係だったんですかね? 疑わしいっすわ。俺はそれ以上みていられなくて親父をほっぽって、屋敷の外に出ることにした。屋敷の外でも忙しそうに使用人が辺りを行き交っていて、その他には屋敷にすら入れてもらえなかったような参列客がたむろって会話している。一応立ち食い用の飯が並んでいるので、もてなしてはいるみたいだけど……。こういうちょっとしたところでも差別が見え隠れするんだよなあ階級社会は。

 

 貴族ってやっぱり糞だな。あ、俺も貴族だったわ(笑)。フヒヒ、サーセン。

 

 俺も適当にバイキングで飯をつまみ食いしつつ、周囲を伺う。暇つぶしになりそうななにかを求めるのもそうだけど、あんまり他の死神とやらを見る機会もないからねー。やっぱみんな日本刀差してんのか。太刀一本だけみたいだけど。差してる刀の数そのものは地位に関係してないんだな。朽木の当主のオッサンも差してるのは一本だけだったもんな。

 

 などと脳内で考えていると、ふと俺よりも更に一回り小さい背丈の子供を見つけた。晴れ着なのか青い色を基調に黒い変なグルグルの模様の入った振袖を着ている。え? 振袖ってどんな見た目だっけって? 袖が長い着物。以上、俺の振袖知識の全て。

 

 変な模様とはいったもののそれが浮いているでもなく、しっかりと柄として調和しているので変な見た目というわけではないのであしからず。

 

 ただ、俺のアンテナにビビッと来たのはそこではなく、その少女の顔だ。

 こいつァ、美少女じゃねえか……。

 垂れ目気味の短い黒髪の少女、ではなく幼女……童女? まあなんでもいいや! とにかく将来有望そうな気配のする子が何をするでもなく、木に寄りかかってボンヤリしているのが見えた。手には毬を持っている。

 

 なんか、うーん、もしかして周りに撮影スタッフとかいます? 大丈夫? 決めポーズ取ってるわけじゃないよね? 

 

大丈夫そうだったのでもちろん接近。あわよくばフラグを立てておくぜ! 的な気持ちで。

 

 こんにちわー。と爽やか(自己評価)に挨拶してみる。視線がこちらに向いた。気の強そうな、垂れ目だが、勝気な目だ。あと睫毛長い。誰アンタ、とつっけんどんな返事が返ってきました。取りあえず自己紹介をする。俺、豊樹一花。

「おれ、志波空鶴(しば・くうかく)」

 少女はそう名乗った。しばくうかく? 志波が苗字でくうかくが名前? なんか強そうな名前だ(笑)。

 思わず、ゴツイ名前だねと呟くと毬を投げつけられた。痛い。口が滑った。昔から嘘が付けない純粋な子なんです許してあげて(笑)。

 眉は釣り上がっていたけども、少女は笑っていた。

「ゴツイけどカッコいい名前だろ?」

 有無を言わせない雰囲気あるわこの子………。

 はいそう思います。毬投げないで。あ痛いっ。

 

 子供ってすごい。なんか直ぐに打ち解けた。自己紹介からほぼシームレスに友達になって一緒に毬で遊ぶことになった。子供ってすごい。

途中から空ちゃんの兄もやってきた。

 

「志波海燕(しば・かいえん)ってんだよろしくな!」

 

 見るからにイケメン。くうちゃんと同じくやや垂れ目の、しかし強い意志を宿した―――、って目から意志なんて読み取れるかwww。適当こきました(笑)。ようするに陽キャっぽい的サムシングで。 

 名前もカッコいいっすねえ。一花と交換しない?

 あ、ダメですか。

 海っちともすぐに仲良くなった。イケメンだが中々感じのいいイケメンなので将来、女の子紹介してもらえるように仲良くしておいてやろう。などという打算もあったけど。いや性格いいイケメンって友達になっておいて損はないからね。

この体はどうやら割とハイスペックっぽくて同世代の子供相手だとイマイチ遊んでも物足りなかったが、海っちは俺と同じかそれ以上に運動能力が高いみたいだ。

 

 久々に全力で遊んだ。毬蹴りだとぉ? 部活で鍛えたリフティングが火を噴くZE!

 空ちゃんのキラキラした目が眩しい……。

 海っちとは夕日をバックにへへっと笑い合う。友情! うぇーいwwwww。

 気が付いたら日が暮れていたし、和っちんも戻ってきたので解散。また遊ぶ約束をした。

 

和っちん曰く、志波家はかつて五大貴族の一つに数えられていたほどの名家らしい。今はそれほどではないらしいが仲良くしていて損はない的なことを言われた。

妙なところがリアルで嫌だ………。

現実社会のこと思い出したわ。コネとか縁故とかの楽しい話題。しかもこの世界って生活水準江戸時代だからなあ、多分、俺のいた現代よりもダイレクトにそういう権力が力持ってるんだろうなあ。

 

 よっしゃゴマすりまくっときますか!

 

 

 

 

 10歳ぐらいになりました(笑)。

 なんで笑ってるのかって? 俺、今日から成人なんです(笑)。笑うしかねえ。

 元服っていってそういう慣習らしいです。

 るろうに剣心じゃあ15歳だったのに、何故、とパニくりましたが、どうやら元服っていつやるかって決まってないらしい。わりと家ごとにそれぞれやってるみたいでいわゆる『よそはよそ! うちはうち!』ってヤツ。

 豊樹家では始祖が十歳に元服を行ったので、俺もそれにあやかって今日から成人。身内でささやかにお祝いして、刀を一本もらいました。え? 10ぐらいってなにって? 細けえこたぁいいんだよ。

 

それ以外? 特にイベントなし!w

 

普通異世界転生系主人公ってもっと幼いころのイベント盛ってないスかね。可愛い幼馴染を撫でポしたり、奴隷少女を依存させたり、なんかの伝説級達人の師匠に師事したりさ。でもさ、なんもないの。ホントにマジでなんの謙遜もなくイベントがないの。

 

あれれぇ、おかしーぞ? マジで。

 

たまに海っちと空ちゃんと遊ぶぐらいで、あと稀に和っちん(親父)が剣の稽古付けてくれるけど、そもそも親父が結構な割合で家に居ないからほとんど放置気味。個人的に大きな出来事っていえば空ちゃんに気に入られたのかよく一緒に遊ぶんだけど、なんか年下の幼女に命令されることが微妙に気持ちよくなってきたことぐらいかな。

 

 そんな感じで自分の人生について思い悩んでいると、和っちんに呼び出された。

 妙に張り切った顔をしているので嫌な予感しかしなかったが当主の命令は絶対なので、親父の部屋に行く。

 何故か華ちゃん(母親)も居て、かしこまった風に正座している。

 俺も正座。慣れたもんである。

 話を聞くに、どうもこれから立派な死神になれるように、修行を積むらしい。

 真央霊術院っていうものがあって、権威がどうとか伝統がどうとか言ってるけど要するに死神の職業訓練校みたいなところがあってそれに入る前段階として親父から色々学ぶらしい。

 

 そういやさ、と俺は思った。死神って、基本的になにやってんの?  

 

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