鳥太刀と安定堀川貞ちゃん以外そろった
逆に言うと、現在町にいる人の何割かは本来存在しない人という事でもあって
この光忠は政府の人と一対一で契約してる三日月の元同僚
碧猫、平野、三日月の三名は軍本部に来ていた。碧猫への出頭命令が出たからである。護衛として三日月を付けるようにとの要請もあった。
出頭の理由…いや、目的と言うべきか。それは、彼女の巻き込まれた改変の源の特定である。彼女を通して虚数領域にアクセスし、本来の時空座標を特定し、差異の発生したポイントをと規定してどうのこうの、と説明されたが碧猫にはよくわからなかった。一度のアクセスで特定し切れる規模ではないので、今回のみでなく、また何度か向かわねばならないという事はわかったのだが。
「…三日月様の前の主も、このような要請を受けたことは?」
「…いや、なかったように思う。主は天涯孤独ということはなかったが、徴兵で家族と縁遠くなっていてな」
二振りは控室に通された。調査の術式にノイズを入れないためだそうだ。
二刻程して、碧猫は二振りのところへ戻ってきた。眠そうにしている。
「主様、お加減はいかがですか?」
「んー…少し、疲れました…」
「ふむ。爺が抱えてやろうか?」
「いえ、そういうのはいいです」
碧猫はふぁ、と欠伸をする。
「僕、霊力のコントロールが出来ていないらしくて…術式に影響を及ぼさないレベルまで抑えるのに時間がかかってしまって…」
「君、俺をもらってくれないか」
碧猫の手を取って、白い太刀が金色の瞳を怪しく輝かせる。三日月は突然の事に目を丸くしている。碧猫はきょとんとした後、少し考えて言う。
「どなたか知りませんが、お断りします。そうする必要性を感じません」
「君が良いんだ…君ならきっと、俺を…」
白は碧猫の辞退にますます笑みを深めて迫る。
「他と比べて僕を選ぶような方はお断りです。…何がお気に召したかは知りませんが、より条件の良い方が現れればそちらを選ぶということでしょう?」
にこりともせず碧猫は返す。
「だが君は他の俺と契約も縁も結んでいないだろう?だったら、"俺"だっていいはずだ」
碧猫は顔を歪める。面倒くさいから関わりたくない、と書いてある。
「主様から離れていただけますか、鶴丸国永様」
飲み物を買ってきた平野が、白の手をはたき落とす。そして、鋭く睨みつけた。
「契約を結んでもいない余所ものが、主様に馴れ馴れしいんですよ」
「その契約を結んでもらうために口説いていたところだろう。しかし、平野にそのような反応をされるとはな。驚いた」
「…?平野君ってこういう子じゃないんです?」
「…言いにくいことだがな、主。主の刀剣でしいて言えば標準的な性格をしているのは獅子王くらいのものだと思うぞ」
「そうなんですか」
その獅子王も一般的なものより保護者的な性格が強めである。
「主様以上に優先するべきものがありますか?」
「主より優先しろとは言わないが、知らない仲じゃないんだ、そんな冷たいこと言わなくてもいいだろう」
「主を同じくする方ならそうしますが、異なる主を戴く方と旧交を温める必要は感じません」
「そうきたか…」
鶴丸は眉を寄せる。平野はにこりともせず、眉をしかめている。
「喧嘩はそれぐらいにしておかぬか?平野、鶴丸。主が面くらっている」
「…ああ、主様はこの方を御存知ないですよね。彼は鶴丸国永、僕と同じく、皇室に献上された刀です」
「そうなんですか」
「はい。要注意刃物ですので、不用意に近付かないでください」
「おいおい、要注意って、君は俺を何だと思っているんだ」
「…まあ、鶴丸国永という刀は、驚きを求めるが故に審神者にも悪戯をしかけたりもするからなあ」
「初対面の主様をいきなり口説きにかかる時点で不審者ですので」
「そういえば、こうして顕現している以上、他に主がいるのではないんですか?」
「いや、俺は」
鶴丸が何か言おうとした時、黒い手袋に包まれた手がその頭を下げさせる。
「――ご迷惑をおかけしてしません。ほら、鶴さんも謝って」
「いっ、おい光坊、自分の打撃を考えろ」
「鶴さんが突然姿を消して幼気な少女に迫ったりしてるからいけないんでしょ。…って、三日月さん?…ってことは」
「うん?…ああ、その反応はもしや、同じ主に仕えた光忠か?誰ぞと再契約を結んで留まる事にしたとは聞いたが」
「まあ色々縁もあってね…。三日月さんこそ、面倒事に巻き込まれたって聞いた時は心配したんですよ。…まあ、解決したって話もすぐ聞きましたけど…」
「まあ、巡り合わせというやつだなあ」
仕切り直し。
「この鶴さんは特殊な事情持ちで、現在は審神者と契約が切れているんだ」
「特殊な事情、か」
「信頼のおけるベテラン審神者のところに引き取ってもらおうってことになっているよ」
「その言い方からして、そなたの主ではないのだな」
「僕の今の
「ああ、その件だがな、光坊。先程気が変わった。俺の主はこの子がいい。他の審神者は嫌だ」
「えっ」
「お断りします」
「えっえっ」
「主様が拒否されている以上、平野も拒否いたします」
「…こちらも少々特殊な事情持ちなのだがなあ」
「突然そんな事言われても僕も困るんだけど。それに、その子ってまだ新人だよね?」
「ええと…審神者歴三ヶ月程度ですね」
「ひよっこじゃないか」
「そんな事はどうでもいい。俺はこの子がいいんだ」
「後ろから刺される趣味はないのでお断りします」
「後ろから刺すなんて、そんなつまらない事をするわけがないだろう。刺すなら正面から刺す」
「比喩的な意味もあったんですが、どちらにせよ、刺してくる方はちょっと…」
「俺だって主を刺す趣味があるわけじゃあないぜ。なあ、何がいけないって言うんだ。そいつは君が自分で降ろした刀じゃないんだろう?だったら俺だって受け入れてくれてもいいはずじゃないが」
「…。僕、好んで面倒事に関わる趣味はありませんので」
「つれないねえ」
「…。…成程、なんとなく事情を把握したよ。要するに、こっぴどく振られたから余計に気にいっちゃったんだね」
「なんて不毛な…」
「…こういうのをどえむ、というのだったか」
「いや、鶴さんは別に被虐趣味がある訳じゃないと思うよ?」
鶴丸は金色の瞳を光らせ碧猫の瞳を覗き込む。
「なあ、ただ、俺と契約して主になってくれればいいんだ。今はそれ以上は望まない。だから、いいだろう?」
鶴丸は微笑するが、その顔は獲物を前にした肉食獣じみている。
「鶴さん!」
「嫌です。そうする事に利点を感じません」
「いい加減しつこいですよ、鶴丸国永様。主様の意思は変わりませんので諦めてください」
「・・・」
三日月は僅かに眉をしかめている。
「俺も諦める気は毛頭ない」
光忠が鶴丸に後頭部からアイアンクローをかける。
「鶴さん、断られたんだからそれくらいにしておこうね?」
「光坊、頭が砕ける、砕ける!」
「鶴さんはそんなに軟じゃないでしょ。まったく、新人さんを困らせたら駄目だろう」
最終的に、鶴丸は光忠に有無を言わさず連行されていった。
「…三日月さん、なんだか難しい顔をしていましたけど、どうかしましたか?」
「…いや。流石にしつこすぎてはしたないと思っていただけだ。特に何というわけではないよ」
三日月はそう言って微笑してみせる。
「…。そうですか」
「しかし、本日の事で一つ、僕自身の課題がわかりました」
碧猫は自分の手を見ながら言う。
「霊力制御の精度を上げなくては。毎度このように手間と時間をかけていてはコストがかかりすぎです」
そして、肩をすくめる。
「…問題は、制御以前に僕が自分自身の霊力を認識できていない、ということですね。事実としてあることは聞いて知ってはいますが」
「審神者だからといって、見鬼とは限らぬからなあ。…だが、そなた程の霊力を備えていれば、見鬼か、でなくても何か霊感のようなものはあってしかるべきだと思うが」
「でも僕、そういうオカルトに遭遇したことないですよ。幽霊とかも見たことないですし」
「そもそも、低級霊はそなたには近づけなさそうだが。その浄化の霊力が垂れ流しになっていれば、弱い霊など浄化されよう」
「そうなんですか?」
「主様が自覚していないだけで、主様の勘の良さも霊感に由来しているのではないかと」
「そういうのって関係するもんなんですか?」
「全くの無関係ということもないのではないでしょうか。主様は武道の心得はないのですし」
「・・・」
確かに、無意識が捉え処理している何かが勘なのだとすれば、そこに霊感が含まれてもおかしくないのだろう。
「まあ、それはともかく、そろそろ帰ろう。一期たちが首を長くして待っているのではないか?」
「それもそうですね。霊力については帰ってから改めて考えてみることにします」
「そうですか…では、また妙なものに目を付けられる前に鶴丸殿と鶯丸殿を喚ばねばなりませんね」
この本丸では、鍛刀を日課の三振りのみしかおこなっていない。日に何度も行うことに固執する必要もないのである。そもそも現在確認されていて本丸にいない刀自体五振りしかない。
欲されブラック巡りをする羽目になった鶴丸、二つ名「誘惑」手に入らないものが欲しい系なのですごい不毛
二つ名持ち:性格上の差異に留まらない亜種 というか、性能上の亜種 性格も違うかは場合による
実は三日月も二つ名持ち 元の二つ名は「狂(わせ)惑(わす)」だったが、前の主の言霊で「導(く)明(かり)」に変えられた 前主のところに引き取られるまでブラックたらい回し状態だった