帰る場所   作:ペンギン隊長

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就任一ヶ月くらい まだ悪夢はどうにかなってない


哀惜デモクラシー1

 

 

 

「乱藤四郎だよ」

「平野藤四郎と申します」

「前田藤四郎と申します」

「…碧猫です」

「よろしくね、主さん」

「よろしくお願いします、主様」

「よろしくお願いします、主君」

「よろしく…?」

頭がうまく働かず、碧猫は小首を傾げた。乱が内心で苦笑して碧猫の手を取る。

「僕たちは主さんの守刀だから、どんなものからも主さんのことを守るから、安心してね」

「どんなものから?」

「主さんを傷つけるもの、主さんを否定するもの、主さんに害をなすもの…主さんが殺してほしいものがあったら、何でも殺しちゃうよ」

「…ん、そういうの、多分頼まないですけど、ありがとうございます」

「けど、まずは…主さんの寝不足からかな」

「…はあ」

「まだ朝ですので、うたた寝をするのに相応しい時間ではありませんが…」

「主君の顔色はあまり良くないように、お見受けします。休息が必要でしたら、床の用意をいたしますが」

「…食べてすぐ横になるのは良くないと言いますので遠慮します」

朝食を取って、書類に目を通そうかとしていた所である。

「では、何か僕たちにお手伝いできることはありますか?」

「んー…」

碧猫はあまり頭が働いていない様子である。

「主さん、頭がしゃっきりしてない時にお仕事しようとしても効率が悪いんじゃないかなあ」

 

 

 

「主の様子はどうたい?」

「完全に寝不足ってやつだね。ちゃんと眠れてなかったみたい」

「根本的なところからどうにかできたらいいんだけどなー…」

「そこはほら、三人寄れば文殊の知恵、って言うし、皆で考えたら良い方法も出てくるんじゃないかな」

「…船頭多くして船山に上る、とも言うけどな。…つぅか、何で俺も加わらなきゃいけないんだよ…」

「いいじゃん、大将の短刀同士、協力は大事でしょ」

「俺以外粟田口じゃん」

「いや、俺も粟田口じゃないからな」

「あんまり騒いではいけませんよ、皆さん。主様が起きてしまいます」

碧猫は乱に膝枕されるような形で眠っている。安らかかはともかく、少なくとも魘されている様子はない。

「だったらそもそも別室で話した方がいいんじゃないか?」

「ううん、主さんは人の気配がある場所の方が落ち着くみたいだから、これでいいと思う」

「なら、案外夜俺たちが一緒に寝るだけで睡眠不足が改善されたりして」

「それも一つの方法やね」

「…それ、倫理的にどうなんだ?」

「守刀を寝所に持ち込むことの何処に問題があるのさ」

「・・・」

不動が顔を歪める。

「かといって、皆でご一緒する事はないと思います。狭くなりますし」

「でも、今日くらいは皆一緒がいいな。大将に断られなかったらだけど」

「(他には断られない前提なのか)」

 

 

 

仮眠を取って多少顔色が良くなった碧猫に残りの短刀も自己紹介して契約を結んだ。

「…君たちを顕現した覚えがないのですが」

「でも、パスは一応繋がってたから、霊力を蓄積すれば顕現もできたんだぜ。主さんからの供給が途絶えたこともなかったし」

「うーん…そういうの、よくわからないですけど…つまり、他の刀も自分で顕現する可能性があるんですか?」

「ええ、刀身が大きいほど霊力が必要になるので、時間はかかりますが」

「・・・」

「ねえ大将、懐、入っていい?」

「ふぇ?質問の意味がわからないんですが」

「俺、大将の懐に入りたいなーって。駄目?」

「…。…まあ、いいですけど」

「やった。じゃ、お邪魔します」

信濃はそう言って、己の本体を碧猫の懐に入れた。そして、碧猫を抱えるように抱きしめる。

「…うん?」

「大将は俺たちと同じで小さいよねー」

「信濃の、お前…」

「あ、ずりぃ」

「…主はおそらく、簡単に騙される人ばい」

「…周りがどうにかすりゃあいいんじゃねぇの」

「(あうあう)」

「信濃の…」

「僕もハグとかしとけばよかったかな」

「…もしかして僕は喧嘩を売られているのだろうか」

「喧嘩なんて売ってないよ。俺が大将を抱き締めたかっただけ。後、短刀だから、誰かの懐に入ってるのが一番落ち着くんだよねー」

「…いや、個刃差あるからな、それ」

「まあ、落ち着くのは落ち着くよな」

 

 

 

「…おぬしら、呼ばれてもおらんのに何故おる」

「来ちゃ駄目とも言われてないもんね」

「こんのすけも言ってたじゃん。主さんを守る刀は多いに越した事はないって」

「主さんの安寧を守れない初期刀一振に任せられないよね」

「・・・」

小狐丸はとても嫌そうな顔をした。

「…おいおい、その戦争に俺のことを巻き込むなよ?」

「巻き込まれたくないなら、そもそも同日に顕現するべきじゃなかばってん」

「…あの空間に残りたくなかったんだから、仕方ねーだろ。こえーんだよ、お前らのにーちゃん」

「それはほら、一兄は大将のこと完全に庇護対象認定してるから…」

「それなのに自分は顕現出来ないしな」

「まあ、主さんに害はないだろうし」

他に害がないとは言ってない。

「ぬしらはたまさか、ぬしさまが手に取られただけであろう。ぬしさまが何を選ばれたわけでもない」

「うん、そうだよ。僕らは、偶々、主さんが同じ刀の中から無作為に一つ手に取っただけの一振。"僕"である必要はなかった。でもさ、わかってる?主さんは自分もそんな存在だと思ってるんだよ」

「たまたま、丁度いい所にいたとか、偶々縁があったとか、そういう偶然で審神者になって、あなたが初期刀になったって思ってる。…自分を喚んだ人だから、愛しいんだって言えば良かったのに」

「私は嘘はつけん。私がぬしさまを慕うのは、ぬしさまの魂を気に入ったからに他ならん」

「"だから、喚んだものよりも、気に入りの魂の相手がいれば、そちらへゆく"」

「――」

「そう取られても、仕方ないってことだよ?主さん以外に絶対上回れない、主さんにも納得できる価値は"一番最初に僕らを顕現させたこと"なのにさ」

「…私は、ぬしさま以外の人間に興味はないのじゃがな」

「他者に比べられる価値で論じる時点で問題外だよ。そもそも主さんに自分が価値ある存在だって自負がないのに、そういうこと言っても逆効果だから」

無条件に認める位の事を言わなければ、碧猫は信じない。価値ある存在だから認めるというのは、価値のない存在なら認めないということだし、より価値のある存在があればそちらの方がいいということだ。裏切りを恐れるものが、何故裏切りの可能性のあるものを信じられるだろう。

「ある意味、どう珍しくもない俺らだから安心させられる、って点もあると思うぜ?だって、態々余所から取らなくても手に入るんだから、狙われる事もないだろ」

「・・・」

「小狐丸様には、何処か自分が選んだのだという傲慢さがあるように思います。実際そうなのかもしれませんが…主様にはそのようなつもりはないのではないでしょうか」

 

 

 

「…あおねこさまはみょうれいのじょせいのはずですが」

「精神年齢は精々十を越えて幾らか、程度って感じもするけどな。大体、俺みたいな駄目刀に何が出来るってんだよ」

碧猫は不動に抱えられてぐっすり眠っている。不動は若干やさぐれている様子でもある。

「主君は休息を必要としていらっしゃるんです。人の子は心臓の音で安心するとも言いますし」

「…鼓動の音で安心するというのは、僕もわかるよ」

小夜は碧猫を見る。

「人に抱えられて落ち着くのは短刀としての習性かもしれないけれど」

「ひとのこがしんぞうのおとでおちつくのは、ははおやのたいないにいたころの、ぜったいてきなあんしんかんをおもいださせるからだそうですよ」

今剣は碧猫の前にしゃがみこみ、頭を撫でる。

「…いっそ、さっさとけいやくしてしまうべきですかねぇ」

「それはそれで、一つの手だよね」

 

 

「ところで、こぎつねまるがすねていたのですが、なにかしましたか」

「…あー」

「主君を心身ともに支えられないようでは初期刀失格だ(意訳)と兄弟が」

「…。…まあ、もっともあるじをささえてしかるべきなのはしょきとうですからね」

「…信用してたまるか、と言われてはいるけれど、嫌われているわけでもないと思ったけど」

「この本丸に来た時点で、主君が頼れるのは初期刀だけだったのですよ。それなのに、信頼を得られないのでは、主君は誰を頼れるというのです」

「ぼくにいわれてもこまります。…しかし…はあ、みかづきのあれもそのあたりがげんいんでしたか」

みかづきは、さにわをこりつさせたかったわけではないはずですし。

「その辺りは僕たちは管轄外です」

「…けど正直、普通にすんなり再契約してたらこんなややこしい事にはなってなかったと思うぜ?こいつが寝不足になるのは止められなかったかもしれないけど」

「どっちですか」

「寝不足と不仲に直接の因果はないだろ。支えてくれるやつがいたら少しはマシになるかも、ってだけで」

「ぼくたちがいうのはどうかというはなしではありますが…あおねこさまがこのほんまるにやってきたひからやりなおしたいきぶんです」

「時間遡行は御法度だけどな」

「色々、巡り合わせが悪かったよね…」

そんな話をしていると、猫がやってきて、今剣を見上げてにゃあと鳴いた。

「おや、あおねこさまの…たしか、くるみでしたか」

「…随分人懐こい猫だよね」

猫はごろごろと喉を鳴らしている。

「どちらかというと、世渡り上手という感じがするのですが」

媚を売るのが上手いとも言う。

「ところで、あなたたちはどこまでみたんです?」

「そうですね…主君にどう接するべきかわかるくらい、ですかね」

 

 

 

 

 




自分で霊力取り込んで顕現してきた短刀’s(モンペ)積極的に知識を得ようとした結果、通常より共有知識が多い だから粟田口は油断ならないって今剣に言われる感じの
レア4で元からいるのは江雪と膝丸くらい。イベント配布枠 折れてるのは切国、加州、獅子王、鳴狐、骨喰、太郎 元からいないのは御手杵、明石、次郎 今いるのが折れた経験ないとは言ってない
碧未接触:歌仙、安定、長谷部、陸奥、山伏、堀川、鯰尾、江雪、青江、石切丸、蜻蛉切、岩融、物吉、膝丸、浦島
物吉、膝丸、蜻蛉切、江雪、浦島は玉集めイベ報酬で一振りのみ 膝丸は特二
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