東方地恋譚   作:月の海

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√さとり

さ「今日もいらしたんですね」

 

ナ「お邪魔します」

 

初めてここに来てからというもの、僕は数日置きにここを訪れていた。

 

目的の一つはこの辺り一面を取り囲むように並べられた大量の書物。

 

蔵書の種類も歴史の資料のようなものから恋愛小説まで様々だ。

 

ヤマメさんをはじめとして僕の周りでは本を読む人がいなかったので本自体を見たのもここが初めてだった。

 

さとりさんに読ませてくれるよう頼むと快諾、持ち出さないことを条件に読ませてもらえることになった。

 

読んでいる間は特に言葉を交わすこともなく、ただ互いの読む物に集中するだけ。

 

まぁそれでも僕の心の声は漏れてしまっているらしいが。

 

自分だけ聞かれているのもなんだか恥ずかしいので読み終わったときは感想を言い合うようにしていた。

 

同じ本を読んでいても解釈の仕方が違うことがままあるので楽しい時間だった。

 

時間が経つのも忘れて議論に熱中してしまうこともありそのまま泊まりになって次の日にヤマメさんから叱られることも少なくない。

 

さ「あえて放って置いていましたがなぜ説明口調なのですか?」

 

後、さとりさんは執筆もしているようなのだが決して読ませてはくれなかった。

 

いつか読ませてほしいものだ。

 

さ「駄目ですよ」

 

(´・ω・`)

 

さ「そ、そんな顔しても駄目なものは駄目です」

 

ナ「むぅ…」

 

さ「少し休憩にしましょう」

 

さとりさんは本を閉じ、立ち上がる。

 

さ「私はお茶の用意をしてくるから、貴方はお燐達を呼んできてください」

 

ナ「わかりました」

 

さ「お燐なら中庭にいるはずですから」

 

 

 

 

 

 

 

中庭に出るとお燐ちゃんが動物達と戯れていた。

 

燐「ほら、そろそろウチに帰るよ。あ、こら、あたいのしっぽは玩具じゃないって」

 

動物達にとってゆらゆらと揺れる二本の尻尾は猫じゃらしのようなものなのだろう。

 

ナ「大変そうだね」

 

猫の一匹を抱き上げながら声をかけた。

 

目的のもう一つはこれ、動物達とのふれあいだ。

 

最初は猛獣の類は流石に怖かったがさとりさんと一緒にふれあううちに今ではじゃれあえるくらいにはなっている。

 

燐「あぁ、お兄さん」

 

ナ「さとりさんがお茶にしようってさ。僕も手伝うよ」

 

燐「お客様にあたいの仕事を手伝ってもらうわけにはいかないよ」

 

ナ「僕がやりたいんだけど…ダメ?」

 

燐「そう言われちゃあ断るわけにもいかないね。それじゃあちょいと手伝っておくれ」

 

それから全員を家へと帰し、残るはお空ちゃんを呼ぶだけになった。

 

ナ「後はお空ちゃんを呼びに行くだけなんだけど…」

 

目の前にある大穴は底が見えず、階段もついていないので僕が行くのは無理そうだ。

 

燐「あたいが行って…あ、お兄さんも行くかい?」

 

ナ「飛べないんだけど」

 

燐「あたいの猫車に乗りなよ。押して行ってあげるよ」

 

ナ「それじゃあお願いしようかな」

 

燐「お兄さんひとり、地獄までご案内~♪」

 

ナ「その言い方はやめて」

 

お燐ちゃんの押す猫車に乗り僕は初めてお空ちゃんの仕事場に突入した。

 

 

 

 

 

灼熱地獄跡と間欠泉地下センターは繋がっており、入り口の暗さに対してセンターは明るく、目が慣れるのに少しの時を要してしまう。

 

ナ「跡とはいえ流石は灼熱地獄…上に比べてかなり暑いね」

 

燐「お空が上手いこと管理してるからこれでも涼しいくらいなんだけどねぇ」

 

ナ「マジ…?」

 

燐「マジ」

 

地獄付近ではそんな会話をしていたのだがセンター内は冷房完備で下手すればどこよりもここの方がはるかに快適だ。

 

エレベーターで最下層まで降りると?マークの付いた扉が姿を現した。

 

燐「お空はここだよ」

 

そう言って慣れた様子で進んでいく。

 

燐「お空~さとり様がお茶にしようだってさ~!!」

 

空「は~い」

 

上空に向かって叫ぶお燐ちゃんの視線に従い上を見るとすごい勢いでお空ちゃんがこちらに向けて飛んできていた。

 

というか…

 

ナ「グフッ…!!」

 

空「あはっ♪お兄さんだ~♪遊びに来てくれたの?…うにゅ?」

 

燐「お空、あんた……さとり様にこっぴどく怒られてもあたいは知らないからね?」

 

空「そ、そんなぁ~…お兄さん起きて~」

 

………僕が憶えているのはここまでです。




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