東方地恋譚   作:月の海

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第8話

気がつけば河原に立っていた。

 

ナ「あれ?確か…」

 

お空ちゃん迎えに行ったんじゃなかったっけ?

 

?「ひと~つ……ふた~つ……」

 

いつからいたのかさとりさんが隣でこいしを積んでいた。

 

ただなんか色が違う。

 

補色とか言ったっけ?

 

簡単に言うと2Pカラー。

 

ナ「なにしてるんですか?」

 

さ?「…………」

 

何も答えず数を数えながらただ石を拾っては積むばかりだった。

 

ナ「う~ん」

 

どうしたものか。

 

ジャリ…ジャリ…ジャリ…

 

真正面から聞こえてくる音に顔を上げるとこれまた見知った顔だった。

 

ナ「勇儀さん?」

 

勇儀さんがこちらに向けて歩いてきていた。

 

すっごい笑顔で。

 

普段から勇儀さんは笑いっぱなしに近いのだが今目の前にいる勇儀さんの笑みは狂気じみたものを感じさせる。

 

勇?「アハハハハハハハ」

 

首を傾けながらひたひたとこちらに向かってくる。

 

鉈でも持ってたら完全にトラウマになっていただろう。

 

勇?「…………」

 

目の前まで来ると笑うのを止め、こちらをじっくり見る。

 

ナ「な、なんですか?」

 

勇?「帰れ」

 

たった一言だけ言うとさとりさんの積んでいた石の塔を蹴り飛ばした。

 

さて、ここで僕の立ち位置の確認。

 

勇儀さんの真正面。

 

直撃です、はい。

 

石つぶてを見事に頭にもらい、僕は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

ナ「…………」

 

ぼんやりとながら見知らぬ天井が見える。

 

燐「あ、お兄さん、気がついたかい?」

 

横を向くとすぐそばにお燐ちゃんの顔があった。

 

ナ「…なんか変な夢見た気がする」

 

燐「惜しいねぇ、あのまま逝ったら死体をあたいが回収してあげたのに」

 

ナ「……せめて殺さないでよ。死んだら持ってってもいいからさ」

 

燐「もちろんあたいから率先して殺しゃしないよ。死体は綺麗な方がいいし、生きてるお兄さんの方もお気に入りだからねぇ」

 

ナ「それは光栄だね」

 

燐「言質ももらったし、あたいにとってはいい日だよ」

 

まぁ死んだら僕はどうこうできるわけでもないし燐ちゃんが喜んでくれるならいいだろう。

 

ナ「そういやお空ちゃんは?ここ、地霊殿だよね?」

 

燐「あ~…お空ならさとり様のお部屋でお説教受けてるよ。お兄さんさえ許してくれるならそろそろ助け舟を出してやってほしいんだけど…」

 

ナ「じゃあゆっくり行こうか」

 

燐「あはは、そうだね、の~んびり行こうか」

 

ベットから起き上がり、お空ちゃんの救出にむかった。

 

 

 

 

さ「だいたいあなたはいつもいつも―」

 

廊下にもさとりさんの声が漏れていた。

 

燐「あはは……このくだり、既に何回目なんだろうね」

 

ナ「何回目?」

 

燐「一度じゃ何言っても無駄だからねぇ、何度も繰り返してすり込むのさ」

 

ナ「それって、効果は?」

 

燐「正直薄いねぇ」

 

お燐ちゃんは笑って言うが結構大変なんじゃなかろうか?

 

燐「ん?あぁ、さとり様世話好きだからそういうのは大丈夫だと思うよ」

 

ナ「あれ?」

 

燐「お兄さん顔に出やすいからねぇ、さとり様じゃなくてもわかっちまうよ」

 

ナ「むぅ…」

 

さ「わかりましたか?」

 

空「ごめんなさ~い…」

 

終わりそうかな?

 

燐「どうやら助け舟を出す必要もなかったみたいだね」

 

さ「あなたも彼は好きでしょう?」

 

空「うん!!お兄さん大好き!!とってもあったかいの!!」

 

さ「だったらくっつくなとは言いませんから加減は覚えなさい。その温かさを失うことになる前にね」

 

空「はい、さとり様」

 

さ「いい子ね。それじゃあ様子を見に行きましょうか」

 

空「ねぇねぇさとり様」

 

さ「なに?」

 

空「さとり様もお兄さんのこと好き?」

 

さ「えぇ、好きですよ」

 

空「そっかぁ~」

 

さ「たぶんあなた達のとは少し違うモノだと思いますが」

 

空「うにゅ?」

 

さ「さぁ行きますよ……あ……」

 

聞き入ってしまっていたため、とっさに反応が出来なかった。

 

結果として扉の前で鉢合わせしてしまった。

 

ナ「ど、どうも」

 

さ「…………」

 

ナ「…………」

 

燐「…………」

 

空「お兄さん、ごめんなさい!!」

 

沈黙の空気を見事にぶち壊してくれた。

 

ナ「怒ってないから大丈夫だよ」

 

空「本当?」

 

ナ「うん、だけど次はもう少しゆっくり突っ込んできてもらえると助かるよ」

 

空「うん!!」

 

頭を撫でてあげると気持ちよさそうに目を細めた。

 

空「うにゅ~…」

 

妹ってこんな感じなんだろうか?

 

さ「はぁ……とりあえず当初の予定通りお茶にしましょう」

 

『話はその後で』と目が語っていた。

 

ナ(お、お手柔らかに)

 

さ「なんのことやら」

 

歯牙にもかけずさとりさんは奥に入っていった。

 

燐「嵐の前の静けさってやつかねぇ」

 

空「?」

 

状況を分かっていないお空ちゃんの頭を撫でながら僕達もさとりさんの後を追い中に入っていた。

 

 

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