十師族の子供ともなれば中学生になったのならパーティーに出席し出すのが当たり前。
それは、輝夜も例外ではない。
水色のドレスに頭につけたピンクの小さなリボン。
髪型はいつも通り。
慣れないドレスに初めてのパーティーに緊張を隠せない輝夜は、中高生からすれば欲望をそそる対象となった。
次々に声を掛けてくる年上の男性、それは輝夜にとって警戒する対象であり、利用できる対象でもあった。
男性が多く話しかけてくる中で珍しく年上の女性が声を掛けて来た。
「始めまして、私は七草真由美よ 貴方の名前は?」
「はい、四葉輝夜です!」
ニコリ、と可愛らしく自己紹介をした少女の口から出たのは、あの”四葉”の名前だった。
輝夜の言葉は聞いた人間は一瞬、時間が止まった。
あ、あれ。私何か変なこと言ったけ?
四葉の名前を聞いて、固まったままの真由美さんにあの~、と恐る恐る声をかける。
「四葉って、あの四葉よね!?」
あの、とはどのだ?
「四葉真夜が当主の四葉を指しているのであれば合ってますよ」
改めて四葉の名前を出したと同時に周りを囲っていた男性たちは速足で離れていき、残ったのは十師族の真由美だけとなった。
「え~と、輝夜ちゃんって呼んでいいかな」
はい、と元気に声を返す。
「七草、今四葉と聞こえたが俺の聞き間違いではないな」
真由美さんに声を掛けてきた背の高いガタイの良い男性、恐らく親しい感じからして歳が近い方かな、と心の中で静かに分析をしていく。
「聞き間違いじゃないわよ。この子四葉当主の娘なんですって!」
両肩に置かれた真由美さんの手に誘導にしたがって、十文字さんの前に立つ。
自分より10センチは確実に高い背丈から降り注ぐ視線はなんか……威圧感を感じる。
「……ご当主とは似てないな」
「やっぱり……そう…よね」
頭をゆっくりと撫でる真由美さんの手はお母様の愛情の籠った手と違い、可愛いものを愛でる撫で方。
伯母様にも同じく、似てないわね、と言われたっけ。そんなに似てないかな
「…あの~真由美さん、私はぬいぐるみじゃないのでそろそろ離して欲しいのですが」
肩に置かれた手は前で組まれ抱きしめる状態のままで、真由美さんは十文字さんと会話を続けていた。
「あら、いいじゃない!こんなに抱き心地がいんだもの」
むぎゅ~、とより一層強く抱きしめられ頬ずりしてくる真由美さん。
「四葉は、高校は何処に入学するつもりなんだ」
「お母様は許嫁と一緒に国立魔法大学付属第一高校に入学させるつもりのようですよ。実家からは通えないので一人暮らしするかもしれないですけど」
「そうか、なら俺たちの後輩になるのか」
後輩ですか?と返す。
「ああ、俺も七草も一高の生徒だ」
「じゃあ、十文字先輩になりますね」
十文字さんと話していると、会話に参加していなかった真由美さんが、
「二人だけで話してないで、お姉さんも入れて欲しいわ。輝夜ちゃんの許嫁ってどんな子なの?」
眼を閉じて達也の事を考える。
命を賭けて家族を守る。魔法を補う体術、知識。周りから何を言われようがめげずに努力を続けている。
「一緒に居ると胸が温かくなって、いつでも私のことを見てくれてたから、私も守ってあげたく
なるの」
「ぞっこんね。お幸せに!」
その後は、学校の話しを色々聞いた。
真由美さんのクラスメイトの摩利さんがいい友達だとか、同じクラスのはんぞーくんがからかい甲斐があるとか、他にも色々聞けた、お母様や伯母様、達也や深雪に話したらきっと喜ぶはず。
初めてのパーティーはこうして幕を下ろした。
ちなみに、パーティー後に四葉家に婚約の話しがいくつか届いたが、全て輝夜の耳に届くことなく真夜の手で無かったことになった。
次回は入学編に入ります。
女の子のキャラは口調が難しいですね。なにかコツあったら教えてください!