司波家の長女は何をする?   作:孤独ボッチ

1 / 39
 星を呼ぶ少女で、ほのか達のあられもない姿を見て
 発作的に気分転換がてら書いたものです。
 
 メインでないので、連載間隔は遅いと思います。


入学編1

               1

 

「納得できません!どうして()()()やお兄様が補欠なのですか!」

 達也に深雪が詰め寄っていた。

 試験結果は、まあ深雪が1位だったよ。

 深雪が負けるとすれば、私みたいなチート転生者ぐらいなものだろう。

 

 そう、私は転生者である。

 適当に特典をお願いしたんだけど。まさかこんな事になるとはね。

 私は司波家の長女として転生したのだ。

 因みに、達也と深雪が双子として生まれている。

 

 司波深景。それが今の私の名前です。

 男に生まれるっていうのも興味あったんだけど、言い忘れたんだよね。

 別に、百合な訳じゃないけど、ほのかとにゃんにゃんしたり、雫をモフモフしたかった。

 ま、そんな事したら嫌われるかと、前向き?に考えている。

 容姿の方は、深雪と比べれば地味だけど、よく見れば整っている。

 だけど、幼い時に()の制御ができなかった関係で、眼鏡を着用していた。

 それが、今ではライナスの毛布みたいになって、手放せない。

 野暮ったい黒縁眼鏡です。

 

「深雪。俺は試験結果に納得している。我ながらよく合格できたと思うよ」

 達也が宥めるように深雪にいう。

「そんな覇気のない事で、どうするのです!?」

 達也がチラチラこっちを見てくる。

 私に振るな、私に。

「実技は兎も角、筆記はお兄様とお姉さまがトップではありませんか!?」

「深雪が、どうして姉さんや俺の成績を知っているかは、敢えて訊かないが、魔法科高校なのだ

から、実技が優先されるのは仕方ない事だ。分かるだろ?」

 相変わらず、この二人兄妹に見えんわ。

 私は少し、距離をおいて見物中だ。他人のフリ他人のフリ。

「お姉様もです!今からでも抗議に参りましょう!」

 だからさ。抗議の余地ないから。全く完全無欠にないよ。

「深雪!」

 達也が少し強い調子で窘める。

 深雪がビクッと体を震わせると、ようやく口を閉じた。

「どうしようもない事なんだよ」

 一転して、優しい声音でいう。

 流石、ジゴロ。お姉さん君の将来が心配だよ。

「でも!お兄様は本来なら!…」

「深雪」

 静かだが、それ以上の発言は許さない厳しさを含んだ声に、深雪が再び口を閉ざした。

「それこそ、いってもどうにもならないんだ」

 

「すいませんでした。お兄様」

 

 もう、私、講堂の方に先行っていいかな?私、完璧に空気じゃん。

「と、いっても姉さんに関しては、姉さんが手を抜いたと思っているけどね」

 あれ?矛先がこっちに向いたぞ?

「ですよね!?」

 折角、落ち着いた深雪が再びヒートアップし出す。勘弁してくれ。

()()()()を誤魔化せるとでも?」

 私は大した事がないように見える筈だ。達也の目でも。

 

 私の特典は以下の通り。

 ①世界の根源にノーリスクでアクセスできる目。以下天眼。

 (幼い頃これが制御できなかった)

 ②アクセスした技術・魔法をそれ以上のレベルで使いこなす才。

 ③魔法特性として、概念レベルでエネルギー操作・遮断・切断ができる。

 (分かり易くいえば、一方通行(アクセラレータ)の能力に操作・遮断・切断ができると思って)

 以上だ。

 

 神様が私に三つだけ、魔法のランプに因んで叶えてやるといわれて頼んだもの。

 まあ、三つっていっても、これはズルだわな。

 他の人間には使えないからね。

 因みに、私の四葉での地位はない。表向き達也のような特殊な魔法特性もないしね。

 ショボい奴はいらないという訳だ。公式には達也の補佐…かな?

 

「いや。俺の勘だけどね」

 アッサリと達也は、そういって引き下がる。

「まあ、深雪はそろそろ打ち合わせに行っといでよ。あれが私の妹だって自慢させて?」

 深雪が頬を赤くして俯いてしまった。

 そういう反応は、達也だけでいいよ。まあ、嬉しくない訳じゃないけどさ。

「そうだね。ダメ兄貴にも深雪の立派な姿を見せてくれ」

 達也は私の方を苦笑いで見てから、深雪にとろけるような笑みを向ける。

「い、いやだ。御二人共、私しか見えないなんて…!!」

「「……」」

 出たよ。セリフ脳内改変。

 達也は内心の不可解をスルーして、私はそっとしておこうの精神でスルーした。

 

 深雪がテレテレでくねくねしていたが、私達のプッシュでようやく打ち合わせに行った。

 

 深雪が身を翻して講堂へ入って行く。

 その制服には、校章が入っていたが、私と達也の制服には校章が入っていなかった。

 

 お決まりだから、いっとくか。

 

 国立魔法大学付属第一高校。ここに入学を許された時点で魔法という才能を、認められた

エリートである。だが、この学校には入学した時から、優等生と劣等生が存在する。

 

 

 

 えっ?本来なら追憶編辺りから始めるべきじゃないのかって?

 小さい頃なんて、私にとっても黒歴史なんだよ。

 必要が出たら、語る事にするよ。

 それこそ、追憶編とかに。

 

 深雪をどうにか、打ち合わせに送り出し、私と達也は2人で並んで歩いていた。

「一緒で大丈夫かな?」

 達也が私を見ながら、そんな事をいった。

「何?達也も女の子と一緒に歩いているのが恥ずかしい?深雪とほぼ一緒にいるクセに変な

事、気にするね」

 私は揶揄うように達也を見た。

「いや…。そうじゃなくて…」

 視線を逸らした。ん?何?

「深雪に文句を言われそうだな…」

 は?私がいわれるなら分かるけど、達也が文句いわれる?何それ?

 まっいいか!

「恥ずかしくないなら、エスコートして下さる?」

 ニッコリといってやる。

 達也が苦笑いしつつ、片腕を開けてくれる。

 私はそっと腕を組んだ。

 二人で笑顔で歩いていく。

 

「ぷっ!何アレ!才能ない者同士、お付き合いってわけ?ダッサ!」

「聞こえるよ?ぷっ!」

 向こうから来た上級生の女の嘲笑が聞こえてくる。

 

 悪いね。実はアンタ等より実力上だわ。全然、気にならんわ。

 だが、意外な事に達也が不快げにしていた。

「達也。いいから」

「俺だけならいい。でも、姉さんが馬鹿にされるのは耐えられない」

 そう、原作では深雪だけに向けられていた愛情の残りは、私にも振り分けられている。

 私に使わせてしまって申し訳ない。

 叶うなら、ほのかにでも分けてあげたい。

 今は妹だから、深雪を可愛がっているが、私はほのかと達也がくっついてくれればと

思っている。恋じゃ、足りないから愛になった時、私はほのかに協力する。

 どう転んだとしても、あの天パにほのかを渡すのは御免だぞ。

 

 仕様がないので、人目に付かない場所に座って時間を待つ事にする。

 お互いに読書。

 会話はない。

 いいけどね。

 私の方はメールチェックもする。

 いくつか、私宛に依頼が来てるな。

 実は私は根源からの知識を漁って、漫画・アニメの知識も動員して刀匠をやっている。

 ええ、趣味です。でもプロです。

 因みに、工房は家の最下層で構えている。

 今では、九字光虎の銘で仕事をしている。実はこっちで有名人です。

 達也同様本名は隠しているが、どうしても隠匿しないといけない訳じゃないので、達也の

シルバーほどブロックしている訳じゃないけどね。

 錬金の方にも手を出していて、実は凄い金属を再現したのだが、達也に見せたら外に出せ

ないといわれた。仕舞には軍事物資扱いになった。おい!

 

 ただ、ちょっとヒヒイロカネを再現しただけじゃないか!

 

 お陰で私まで、魔装大隊に所属させられることになった。

 迷惑を掛けてすまん。弟よ。

 

「あら?」

 何やら聞き覚えのある声に、私は顔を上げると、そこには何故か七草真由美が立っていた。

 

 

               2

 

 人目に付かない場所というだけあって、ここは偶々入り込んでくる場所じゃない。

 何故に?アンタ打ち合わせは?

「御免なさい。先客がいるとは思わなくて…」

「いえ。こちらこそ失礼しました。すぐに退きます」

 先輩のようだし、座ったままは不味いと思った達也が、すぐに反応する。

 七草先輩は慌てたように、手を振って退かなくていいと告げている。

「いえいえ、いいのよ」

 さて、どうするか。私は達也と顔を見合わせる。

「ここ、エアポケットみたいに人が来ないものだから、驚いてしまったのよ」

 七草先輩が苦笑いしつつ、そんな事をいった。

「貴方達は新入生ね。私は七草真由美といいます。数字の七に草で七草(サエグサ)といいます」

 達也は表情を変えない。

「自分は司波達也といいます」

「司波深景といいます」

 七草先輩が、ああっという感じで納得したような顔をした。

「筆記試験でトップだった御二人ですね?」

 原作でも思ったけど、よく覚える気になるね。

 

「会長ぉぉぉ~。どこ行っちゃったんですか~」

 気の抜けた声が響く。

 小っちゃい子供みたいな声だよね。

「ね?分からないでしょ?それでは」

 そういって七草先輩が来た道を戻って行った。

 

「七草。十師族だね」

「そうだね。一度も十師族から落ちた事がない名門だ」

 

 この時、私は気付いていなかった。あのお姉さまが、私の人生に執拗に絡んでくるとは。

 

               3 

 

 入学式まで、まだ少し時間があるけど、私達は講堂に入った。

 前半の席が優等生(ブルーム)、後半の席が劣等生(ウィード)という具合に、原作通りに分かれている。

 お見事な分かれ方で。

「空いている席は、後ろだね」

「そうだね」

 私達は揃って腰を下ろす。

 通路側が達也で私は内側だ。

 

 少しして、目の前に二つの脂肪がブルンと視界を塞ぐ。

「あの、お隣。いいですか?」

 そこにいたのは、柴田美月さんその人だった。

 スゲェ。ついこの間まで、中学生ってボリュームじゃないよ。

 私も深雪に勝ってるのは、表向き胸の大きさだけだから、大きい方だけど。

 これは破格だわ。

 肩凝り凄いだろうな。お気の毒に。

 可愛いから男のエロ視線も浴びただろうし。

 

 私は隣の達也を見て、訊いてみる。

「どう?」

「構わないよ」

 達也はあっさり頷いてくれた。

 それを確認した美月の後ろにいた女の子達が、座り出す。

 当然のように、そこには千葉エリカも混じっていた。というか美月の隣だ。

 座り終えた面々は、そのまま自己紹介の流れへ。

「私は柴田美月といいます」

「私は千葉エリカね」

 他の女の子三人も自己紹介した。

「私は司波深景」

「自分は司波達也だ」

 最後に私達が名乗る。

「もしかして、姉弟?」

 エリカが興味深そうに訊いてくる。

「うん。まあね」

 もう1人いるけど。妹が。

 頻りと感心してから、エリカが例の発言をした。

「でも、これは大した偶然だね。司波に柴田に千葉だよ!語呂合わせみたい!」

 女の子達も凄~いと喜んでいる。

 これ、そんなに面白いか?

 

 それから、入学式は恙なく終わった。

 深雪の発言はかなり際どかったけど、良かったと思う。思いっきり拍手したよ。

 深雪も気付いたみたいで嬉しそうだった。

 

 姉バカだよ!文句あるか!

 

 

              4

 

 今日は、このまま終了だ。

 エリカ達に校内を見て回らないか誘われたけど、今日は帰宅致します。

 二人だけで行ってくればいいのに、二人も今日は一緒に帰るというので、一緒に待つ。

 待つのは勿論、我が妹・深雪である。

「お待たせ致しました。お姉様、お兄様」

 私もいるので、辛うじて深雪はデート云々はいわなかった。

 しかし、名立たる生徒会長と副会長を引き連れている。

「深雪。生徒会の方々の用事は済んでいるのかい?」

 達也が訊くと、深雪は思い出したようにハッとした。オイ!

「申し訳ありません!」

 深雪は慌てて頭を下げる。

「いえいえ。いいんですよ。今日は挨拶に伺っただけですから」

「会長!」

 七草先輩の言葉に、範蔵君は慌てる。

 七草先輩は、範蔵君をガン無視し、また後日といって去って行った。

 何故か、達也だけでなく私までガン飛ばされたけど。

 達也は例によって、不愉快そうな顔をしていた。

 私は宥めるように、達也の腕をポンポン叩いてやった。

 

 エリカ達と深雪は友達になったよ。

 

 

              5

 

 クラス分けの発表。

 女の子達とは原作通り別クラス。

 だが、私というイレギュラーを含み、主要キャラ全員E組となった。

 吉田幹比古君ボッチ。

 私と達也は高速でタイピング中。

 カリキュラムを検索中。

 完了。嘘です。

 因みに席は私の後ろに達也がいる感じだ。

 この時代。姉弟は別クラスとか席が離れるとか、配慮はないらしい。

 

「スゲェな」

 感心したようにガタイのデカい男の子が、私達の前に立っていた。

 西城レオンハルト君である。

「キーボードだけで入力なんて、初めて見たぜ。しかもスゲェスピード」

 まあ、今はちょっと考えるだけで、PC操作出来る世の中だからね。

 技術革新は凄い。

「俺は西城レオンハルト。レオって呼んでくれ!」

 気さくな人ですな。初対面の達也と握手。

 私には片手を上げて、ご挨拶。

 オッス!

 私達も自己紹介して、名前で呼んでいいといっておいた。

 

 エリカとレオ君は痴話喧嘩していた。あの二人将来、絶対付き合うね。

 原作じゃ、そこまでいってなかったから勘だけど。

 

 

              6

 

 昼食を食べていた時の事。

「ご一緒していいですか?」

 深雪がやってきたけど、一科生に邪魔される。

 レオ君に、深雪を紹介出来た。

 

 事あるごとに、一科生に邪魔される。

 

 イラッ。ストーカーか、アンタ等は。

 

 そして、遂に爆発。美月が。

「いい加減にして下さい!」

「俺達は司波さんに相談があるんだ!」

 そういうのは、先生にしろや。

 エリカとレオ君からの援護射撃で、一科生ヒートアップ。

「深雪さんは、お姉さん達と一緒に帰るっていってるんです!何の権利があって邪魔する

んですか!」

 一科生も切れ気味。

「邪魔はお前達だろ!ウィードの分際で!!」

 エリカ・レオコンビの表情が変わる。

 だが、ここに先手を打つ強者が一人。

「…同じ新入生じゃないですか…現時点でブルームの貴方達がどれだけ優れてるっていうん

ですか!」

 ああ、いっちゃったよ。

「…どれだけ優れてるって?知りたいか?」

 因みに、この子森崎君だね。アニメでは可哀想な顔改変をされた人物。

 こっちでは二枚目(死語)だよ。

「じゃあ、教えてやるよ!」

 他の一科生が後退る。

「お兄様!」

「ああ。不味いな」

 

「面白れぇ。教えて貰おうじゃねぇか」

 レオ君がいつでも突っ込めるように、構える。

「これが、才能の差だ!!」

 素早く抜き撃ちしようとしたが、CADが反応しなかった。

 

 突っ込もうとしたレオ君が、思わずつんのめる。

 エリカは伸ばした警棒を所在なさげに、下ろした。

 

「!!」

 森崎君は、慌ててCADを弄っているが、無駄だ。

 私がCADにサイオンがいかないようにしてるからね。

 

 ここで失敗!?

 

 一科生もドン引きである。

 

「え~と。CADぐらいちゃんと整備した方がいいよ?」

 エリカが呆れたようにいった。

 

 森崎君、顔が真っ赤である。

 

「何を騒いでいるのです」

 七草先輩が、渡辺お姉様を連れて来たみたいだ。

 魔法は不発だったし問題ないでしょ。

 感謝したまえよ。森崎君。

 

 上級生による指導後、白けたのか一科生の連中も去って行った。

 ほのかと雫は、居残ってるけど。

 森崎君はお友達に慰められている。友達に恵まれたね。

 

 視線を感じたので、見ると視線の主は、達也と七草先輩だった。何?

 

 こうして私達の最初のトラブルは、微妙な感じで幕を下ろした。

 

 

 

 




 気分転換に書いたものなんで、すいませんね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。