司波家の長女は何をする?   作:孤独ボッチ

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 長く投稿できずに申し訳ありません。
 漸くできましたので投稿します。

 では、お願いします。


九校戦編10

               1

 

 :ほのか視点

 

 バトルボードで水面と水流を好きにされたら、どうにもならないよぉ!

 雫が結果を出したのに、私、もしかしてダメかも…。

 気分が沈んでいく。

「ほのか」

 どこまでも沈み込んでいきそうになった時、達也さんの声がして顔を上げた。

「確かに有力選手で強力な魔法を使うが、必要以上に恐れる必要はない。ほのかだって負けて

いないさ。まずは予選の通過に集中しよう。」

 達也さんの真摯な眼差しに、私の心は少し浮き上がった。

「はい」

 私は感謝を籠めて頷いた。

 私はバトルボードの特訓の時の事を思い出していた。

 

 

 私は小さい頃から本番に弱かった。

 実力を発揮すれば大丈夫と、よく励まされたけど、それもプレッシャーにしかならなかった。

 その失敗体験をずっと引き摺っていると、頭では分かっていても、どう仕様もならなかった。

 その所為で今もそれは改善できていない。

 具体的には、夜に眠れなくなったり、挙動不審になったりする(人から聞いた話だけど)。

 あれは、練習用に造られたコースで練習をしていた時だった。

 雫からは、アドバイスとして実力を磨くのが一番の勝利への早道、と聞いていたから、私は

体力トレーニングとミラージバットの練習以外は大抵コースに出ていた。

 渡辺先輩の助言もあったからだ。

『うん?どうやったら速く走れるか、か?スピードを出せばいいというものでもないしな。

強いていうなら、コースのどこで減速するか、どこまで加速するか。タイムトライアルでは

ないから、相手を如何に気分よく走らせないか…だろうな』

 バトルボードで女子高生最強から、アドバイスを貰おうと質問したら、その答えが返ってきた。

 雫のいう通りという事だろう。

 近頃では体力もようやく追い付いてきて、思う通りの走りができるようになってきている。

 みんなから筋肉が付いてきたと、揶揄われるけど…。

 私は通しでコースを走る。

 ゴールすると同時にストップウォッチを確認する。

 悪くないタイムだけど…。これでいいのかな?

 不安が頭を擡げる。

「ほのか」

 突然、声を掛けられて驚いて顔を上げると、達也さんがいた。

「済まない。驚かせる積もりはなかったんだが…」

 達也さんが申し訳なさそうにするのを、私は顔をブンブン振って、そんな事ないと告げた。

「い、いえ!ちょっと考え事してただけですから!達也さんこそ、どうしてここに?」

 達也さんは自分が担当する競技の練習には、可能な限り付き合ってくれる。

 この時間は、確かピラーズブレイクの練習があった筈…。

「いや、雫から随分煮詰まってると聞いてな。見てきてほしいと頼まれたんだ」

 雫!!ありがとう!!…じゃなくて!!担当競技じゃないのに、わざわざ抜けさせちゃ、ダメ

なんじゃないの!?

「いや、心配はいらない。今は自主練の時間だ。キチンと最後には顔を出すさ」

 達也さんが私の心を読んだみたいにいった。

 多分、また顔に出てたんだなぁ…。

 羞恥で顔が赤くなる。

「どこか問題点はあるか?」

 達也さんらしく単刀直入だった。

 確かに煮詰まっているといえるし、私は話してみる事にする。

「漠然としてて申し訳ないんですけど…。チャンとやれてるのかなって」

 私は雫と違って魔法が上手いとはいえないし、運動神経も優れているとはいえない。

 そういった事を私なりに伝えた。

 達也さんは要領を得なかったのか、少し悩ましい表情だった。

「実際に走って見せてくれないか。話はそれからだ」

 ああ!そうですよね。

 私は頷くと、スタート位置まで戻って、達也さんの合図でスタートする。

 フィニッシュ。

 達也さんはモニターを見ながら、難しい表情をしていた。

 やっぱり、何か問題かな?

 でも、これで直るかも。

「正直、問題らしい問題はない。寧ろ、この期間にこれだけ仕上げた事に驚くよ」

 あれ?なんか予想と違って、褒められちゃった?

「となると問題は…。担当の中条先輩には失礼な事だけど、少し作戦を考えよう」

 達也さんが、ボードを持って上がってくるように私にいう。

 私は大慌てで上がって、達也さんの隣に行く。

 達也さんは、コース横に設置されたベンチに座って待っていた。

「そんなに慌てなくて大丈夫だよ」

 達也さんが苦笑いする。

 私は赤くなりつつも、ごにょごにょと声にならない事をいって、隣に思い切って座る。

 達也さんは、既に魔法の起動式の作成に入っていた。

 凄いな。起動式をこんなに簡単に作れちゃうんだ。

 達也さんは起動式を作り終えると、私に見せてくる。

「スタートと同時にこれを使おうと思うんだ」

 覗き込むと閃光魔法の起動式みたいだった。

 妨害するって事だよね?でも、これ反則じゃ…。

「確かに、直接の干渉による妨害工作はルール違反だ。だけど、水面に干渉した結果ならルール

違反にならない」

 うっ。また、顔に出しちゃった…。

「でも、妨害魔法を使うくらいなら、実力を鍛えた方がいいって雫も、渡辺先輩もいってました

よ?」

「ほのかじゃなければ、それは正論だ。だけど、ほのかの魔法特性ならスタートダッシュの妨げ

にならずに、行使できる。これは、ほのかしかできない事だ」

 私だけの…。

「頑張ります!!」

「あとは練習して確実にものにしよう」

「はい!!」

 他にも優勝までの作戦も一緒に考えてくれた。

 

 

 担当は達也さんじゃないけど、作戦は達也さんが、CADは中条先輩が完璧に仕上げてくれた。

 中条先輩は、CADに入れる魔法に首を捻ってたけど。

 あとは、私が応えればいいだけなんだよね。

 

 いよいよ、私の出走が近付く。

 

 

               2

 

 私は達也と同じ担当だから、キッチリほのかの応援に行きますよ!

 沓子とは、友達になったけど、それはそれだからね。

 達也に沓子の事を聞かれたけど、アッサリと友達になった事を認めたら呆れられた。

 ちょっと、商売も絡んだからかな。

 いいじゃない!私はシルバーみたいな高給取りじゃないんだよ。

 給料?少し意見いったりしてるから、少し貰ってるけど、お小遣い程度だよ。身内だし。

 新人戦の妨害に関しては、未知数だ。

 このまま大勝ちすれば分からないけど、今のところは海の物とも山の物ともいえない新人。

 そこまで気張る事はないと思うけど、友達優先で監視任務も致します。

 

 ほのかは達也パワーが効いたのか、挙動不審な感じはなく、落ち着いてスタート位置にいる。

 大丈夫そうだね。

 因みに、もう例のサングラスは配られている。

 不思議なんだけど、CAD調整したのCADオタの筈なのに、なんで作戦知らないの?

 一応、担当なんだから、作戦にも興味持とうよ。

 あっ…そろそろスタートだね。

 スタートのブザーと同時に、水面に反射する光が有り得ない閃光を放つ。

 私達以外視界が利かなくなってるね。

 天空の城のあの人みたいに、目がぁ~の状態で落水する選手も出てるよ。

 お気の毒に。

 当のほのかはといえば、スタートダッシュを一人決めて単独トップに躍り出ている。

 雫と深雪はお気に召さないみたいだけど、CADオタは感心していた。

 私?いいんじゃないの、勝てれば。 

 ほのかはのびのび走ってるね。

 他の選手も慌てて追いかけているけど、今更どうにもならに距離を離されている。

「これはほのかに悪い事をしたな」

 達也が苦い表情でいった。

「どうしてですか?司波君の作戦通りですよね?」

 CADオタが不思議そうに尋ねる。

「単純にスピード勝負で勝てたようですから…」

「それは分かっていた事でしょ?問題はほのかのメンタルだったんだから、いいんじゃない?」

 今更気にしてもどうにもならないよ。

 それに、ほのかもあのリードがあるからこそ、あそこまで実力を発揮したんだから、悪い結果

じゃない。これで自信が付けば御の字じゃない?

 私の語外の言葉に気付いたのか、達也もそうだねと苦笑いして頷いた。

 ほのかは最初の太陽拳でセコイと思われるかもしれないけど、かなり速い。

 二位を大きく引き離しほのかは一位で予選を通過した。

 

 予選終了後、達也は盛大にほのかに抱き着かれていた。

 男なら、少し反応して上げなさい。困ってないで。

 そして、深雪。殺気を少し抑えなさい。少しくらいなら可愛いもんだからさ。 

 

 ほのかはそれから幼稚園まで遡って失敗譚は語り、今回の勝利の意味の大きさを語っていた。

 

  

               3

 

 新人戦一日目が終了し、一度天幕に戻る。

 ほのかの勝利でいい気分だったのが、一校天幕に戻って台無しになった。

 最近、戻るとあまりよくない話をされるね。

 原作で知っていたけど、男子の件だ。

 達也と私に対抗意識を燃やし、ヤル気を空回りさせて負けて更に空回りという悪循環。

「森崎君が準優勝したけど…」

 あとは軒並み予選落ち。

 因みに競技はスピードシューティングです。

 閣下も失望を隠せない様子。

 まあ、ここに空回り男子連はいないからいいけどね。

「女子の貯金がまだ効いています。そこまで悲観的になる必要もないと思いますが」

 市原さんは冷静に指摘する。

「そうだな…。女子ができ過ぎだったんだ。今のところ新人戦はウチが有利という事で、よしと

しないとな」

 渡辺お姉様が自分に言い聞かせるように、市原さんの意見に頷いた。

 だが、ここで空気を読まない漢が一人。

「だが、男子の不振は早撃ちのみではない。他の競技もだ。このまま不振が続くようなら、今年は

よくとも来年に差し障りが出るかもしれん。どこかで梃入れが必要だな」

 嫌な現実に直面して、閣下とお姉様が顔を顰める。

「しかし、今更どうする?」

 お姉様が十文字さんに疑問点を問い質すが、明確な返事が返ってこなかった。

 梃入れも結構なんですが、私を使わない梃入れでお願いしますね。

 女子の私に、男子の梃入れなんてできませんがね!

 それと毎度の事ですが、私と達也がここにいる意味が分かりませんが?

 

 この時、私は重要な事をど忘れしていた。

 

 

               4

 

 :愛梨視点

 

 新人戦一日目が終了した。してしまった。

 明日にも栞の出番がある。

 今日のように試合を棄権するのは、流石にさせられないし、できない。

 あの滅茶苦茶な女の所為で、栞とは碌に話もできずに別れる羽目になった。

 全く。沓子も何を考えているのか、あんな女といつの間にか仲良くなったらしい。

 あの女と戦う機会があれば、完膚なきまでに打ちのめしてやる。

 私は栞の部屋の前に立って、修理された扉をノックする。

 今、話してダメなら栞のいう通り、代役を立てるしかない。

 その時は私も覚悟決めなければならない。

 だが、私の気負いは肩透かしを食った。

 アッサリと扉が開いたからだ。

「……」

 まだ、顔色がよくないけど、生気は戻ってきているようだった。

「栞?」

「明日のピラーズブレイクの件でしょ?みんなが許してくれるなら、出場させて貰うわ」

 私は驚くよりも安堵の方が勝った。

このまま立ち直れないかと心配したから。

「ホッとしたわ。栞。このままだったら代役を立てるしかないと思っていたから…」

「でしょうね。それが常識的な判断よね」

 栞が苦笑いして私の言葉に頷く。

 彼女も自分でそれを望んでいたものね。

 立ち直ってくれたのは嬉しいのだけど…。

「引き籠っているのが、バカバカしくなったからっていうのもあるわ。引き籠っても扉がこの通り

の有様になるしね」

 私の疑問が顔に出ていたのか、栞が訊くよりも早く答えを返す。

 二人で真新しい扉に視線を向ける。

 だけど、扉を見た時の感情は別だった。

 栞は苦笑いで私は怒りだ。

「それにナンバーズを踏み台扱いするなんてね。あそこまでいわれたら、見返してやろうって気

になってきたのよ」

 栞が立ち直ってくれたのは嬉しい。

 だけど、理由が納得いかないのだけど!

 栞にとっては、自分の価値観を破壊されるような発言だった筈だ。

 

 もしかしたら、逆なのかしら?

 

 彼女の実家は、数字落ち(エクストラナンバーズ)になってしまった家だ。

 原因は父親の不手際だったと聞くけど、詳細は流石に知らない。

 それが原因で、彼女の両親の仲は急激に悪化した。

 そのとばっちりは、彼女にも及んでいたそうだ。

 だが、捨てる神あれば拾う神ありで、彼女の才能を十七夜家が目を付けて引き上げたのだ。

 彼女は常々いわれている。

 負ける事は許されないと。

 故に、彼女は負けるのを恐れていた。

 折角這い上がった場所から落とされるのを恐れた。

 しかし、あの女はそんな想いも無視していった。

 勝者を素直に称えろと。

 そして、それを糧に更なる研鑽をしろと。

 一度負けたくらいで、潰れるような者に未来などない。

 何度失敗しようと、諦めずに研鑽し続けろという意味の言葉に救いを感じたのかもしれない。

「光に向かって一歩でも前に踏み出そうとする限り、人間の魂に真の敗北はない…ね」

 思わず、あの女のいった事を口にしてしまう。

「ふざけてるわね」

「ええ。ふざけてるわね」

 私達は笑い合う。苦笑いではあるけど。

 随分、久しぶりのような気がする。

 実際は、それ程、時間は経っていない筈なのに。

 

「「叩き潰してやりましょう」」

 私達は、あの失礼な女に借りを返してやる事を誓った。

 

 

 

               5

 

 私と達也は参加意義不明の会議を終えた後、部屋に帰る途中だ。

 柄にもない事やっちゃうわで、疲れたよ。精神的に。

 二人で部屋の前に立ち、ドアノブを握ろうとして止まる。

 横にいる達也に視線を送る。

 達也も当然気付いている。

 部屋の中に人の気配がする。

 動いていないし、感じからするとベットか何かに座ってる?

 達也が、私に割り込むようにして身体を滑り込ませると、ドアノブを私の代わりに握った。

 全く、強引だな。

 私は押されるような形で場所を譲る。

 達也が躊躇なくドアを開けると、侵入者の姿がすぐに確認できた。

 それは、マイシスター深雪だった。

 達也はもう部屋にいる深雪の存在が分かってたか…。

 まあ、繋がっている訳だから当然だったよね。

 警戒した私に気を遣って、代わりに開けてくれたんだろう。

 すまん、弟よ。

 深雪は私の予想通りベットに座って、私達を待っていたようだ。

 ああ…そういえば、そんな出来事あったよね!今、思い出したよ!

「こら!何時だと思ってるんだ」

 達也が厳しい声で深雪を叱り付ける。

「睡眠をキチンと取っておかないと、実力を出し切れない事もあるよ?それに美容にもよくない」

 私も達也の援護に回る。

 深雪は、私達の言葉にいちいち反応して肩が揺れる。

「申し訳ありません!」

 勢いよく立ち上がって頭を下げるマイシスター。

「分かればいいんだ。姉さん。深雪を送っていくから…」

「待って下さい!少し、ほんの少しだけ、お時間を頂けませんか!?」

 深雪が、達也の言葉を遮るとは珍しい。

 ええっと、どういう用件だったけ?

「…本当に少しだよ?」

 深雪に甘い達也が折れる。まあ、私も甘いけどね。

「雫に聞きました。お姉様、インデックスに登録される名誉を、お兄様の分も含めてお断りに

なったそうですね」

 ああ、その件だったか…。

「深雪は抗議に来たのかな?」

 達也の意志も確認しなかったからね。

 深雪は俯いたが、表情が暗く沈んでいる事は隠し切れない。

「いいえ。雫から聞きました。叔母上の御意向を汲んだ結果だと…」

「より正確にいえば、危ないからだけどね」

 それでも深雪の表情は、明るくはならなかった。

「俺も断る気でいたよ。姉さんがいい出さなくてもね。魔法大学の調査力は侮れない。シルバー

は兎も角、司波達也・司波深景では四葉との繋がりを暴かれる可能性は、否定できない」

 深雪が、耐え切れずに泣きそうな顔をする。

 深雪はその理由に関して何もいわない。

「九校戦出場だけなら、どうにかなるだろう。しかし、インデックスに登録となると脚光を

浴びる事になる。そんな事を、あの叔母上が笑って認めると思うかい?」

 尤もな話だ。

 嫌になる程の完璧な理由だ。

 だからこそ、深雪は何もいえない。

「今はまだ力が足りない。叔母上を倒したとしても、別の厄介な存在が出てくるだけだ。暴力

だけでは、屈服させる事はできない。今は従うより他ない。俺も姉さんも」

 だからこそ、達也は常駐型熱核融合炉を造ろうとしている。

 それは魔法師全体の為になる事だが、造る大部分の理由は私達の為だ。

 達也だって、こんな遠回りは望んでいない筈だ。

 ただ、これが最善だと、自分に言い聞かせているだけだ。

 深雪が私達に抱き着いてくる。

 三人でくっ付いている感じだ。

「味方ですから…いつまでも御二人の味方ですから…」

 深雪が囁くように私達にいった。

 私と達也は、それぞれ深雪の背を片手で抱き締めてやる。

 

 ありがとうね。深雪。

 

               6

 

 :真由美視点

 

 新人戦二日目で午前はクラウドボールだけど、大丈夫かしら?

 正直、少し不安だったりする。

 深景さんや達也君が付いている訳でも、有力選手という程の人材もいない競技になっちゃった

からねぇ。

 特に男子は、気合が空回りしたままのようだし…。

 十文字君は、どう梃入れする気なのかしら?

 取り敢えず、私は女子を見に来ている。

 男子の方はハンゾー君に任せてある。

 何かあれば連絡を貰えるようにしてあるし、応援に徹しましょう。

 隣には摩利も腕組して見ている。

 視線を感じるわね…。

 まあ、私達二人が揃っていれば仕方ないかしらね…。

 結果は予想よりよかった。

 クラウドボール出場者は、春日さんと里見さんの二人。

 春日さんは相手が悪くて、入賞止まりだったけど、よくがんばったわ。

 里見さんの方は更に勝ち進み、準優勝を捥ぎ取った。

 うん!十分快挙といっていいわ!

 私も思わず摩利と手を叩いて喜んでしまった。

 それにしても、二人を破った三校の一色さんは流石というしかないわね。

 圧倒的なスピードで二人を寄せ付けなかった。

 里見さんは少し粘ったんだけど…。

 

「流石、()()の異名を取るだけはあるわね」

 因みに、男子はハンゾー君が不甲斐なさに怒っていた。

 この事から、結果は分かるわよね?

 ホントに男子には、梃入れしたいわね、できるならだけど。

 

  

               7

 

 新人戦二日目。

 アイスピラーズブレイクとクラウドボールの予選が午後にある。

 必然的に私の出番であります。

 エンジニアとしてだけどね。

 もう、これだけでお願いしたいよ。ホント。贅沢いわないからさ。

 第一試合でエイミィが出る。

 控室でCADの最終確認を行う。

 妙な細工はなし。

 確認が終わると同時に扉が開き、エイミィが入ってきた。

「深景!おはよう!」

 原作と違って、寝不足なんて結果になってないね。よかったよかった。

「おはよう。早速で悪いけど、確認してくれる?」

 私は挨拶を返し、エイミィに最終確認の済んだCADを渡す。

 使うのはエイミィだからね。キチンとエイミィの使い心地も確認しないといけない。

 因みに、エイミィの格好は原作通り、乗馬服スタイルだ。

 CADもショットガンみたいな形だし。

 まあ、第一試合の相手は遠目で見た限りじゃ、エイミィの敵じゃなさそう。

「うん!いいね!問題な~し!!」

 エイミィが、ショットガン型のCADをクルクル回していった。

 ホント、イングランド系に見えない子だ。

「だから、イングランド系だから!」

「何もいってないよ」

「いってたよ!目が!」

 さーせんでした。

 勘のいい子だね。

 私はいってないいってないとばかりに手振ってやった。

 エイミィは疑わしそうに見ていたが、試合の開始時間が近い為、控室を出て行った。

 私は技術者の専用スペースに移動だ。

 

 移動すると、もう相手選手も準備万端といった感じで、エイミィを睨み付けていた。

 アグレッシブな子だね。

 エイミィは悠然と視線を受け止めている。

 因みに二校の子で、格好は我が校に比べれば普通で、カジュアル系の格好だった。

 程なくして、開始のブザーが鳴り響く。

 相手の魔法発動より先に、エイミィが先制攻撃を加える。

 ショットガン型から魔法が放たれる。

 同時に先頭の縦列二つのピラーが、撃ち抜かれ崩れ去る。

 会場がどよめく。

 相手選手も驚きで、一瞬CADの操作を忘れた。

 その隙を見逃すエイミィじゃない。

 更に二つを射抜く。

 そりゃ、驚くだろうね。

 ピラーの強化も防御もしてたのに、まるで意味を成してないんだから。

 さて、私がエイミィにどんな魔法を用意したかっていうと、オリジナル魔法です。

 といっても、似たのはどっかの作品にあるだろうけど。

 まず、杭の形に障壁を形成し、領域干渉を内部に注入。極小の針の先から対象に接触

したら、領域干渉を一点集中で注入する、注射器のイメージ。更に杭をピラーに叩き付け、

そのままピラーを食い破る。魔法名はそのままパイルバンカーにしといた。

 硬いなら対象の強度を下げて、硬い杭で叩けばいいでしょ?の精神で作りました。

 エイミィの力なら、結構派手に撃ち抜ける。

 例によって本人のご希望です。

 まあ、防御の方も考えた魔法だけど、これは使う時にでも説明するよ。

 ただし、欠点は物凄く燃費が悪い魔法だって事だ。

 効率よく使ってね。

 

 結局、エイミィは対戦相手に圧勝した。  

 

 

 

               8

 

 :達也視点

 

 俺と雫も、姉さんの試合を控室で見ていた。

「エイミィのは、こうなってるんだ…」

 雫が、振袖の裾を襷で邪魔にならないようにしながら見ていた。

 姉さんの魔法を見て、雫の格好に突っ込むどころではない。

 俺もピラーズブレイクに関しては、姉さんのセレクトを知らない。

 随分なモノを渡したものだな。

 ピラーズブレイクは、個人戦だ。

 同じ学校の生徒も戦うので、練習は個別でお互いに手の内を見せないようにしている。

 相変わらず、姉さんの発想は変わっている。

「あれも砲弾か何かかな?」

 雫が訊いてくる。

「いや、どちらかというと杭だろう。障壁展開の技術で杭の形に成形して、叩いて砕いる

のだろう」

 姉さんの事だから、まだ仕掛けがありそうではあるけど。

 魔法式はコンパクトだが、それでも規模は大きい。

 エイミィの魔法力で扱えるギリギリの線だ。

 よく分からない記号がところどころに散見していて、正確には内容が読み取れない。

 しかし、こんな内容の魔法式を提出したら軍が騒ぐ。

 騒がないという事は、何か偽装しているのかもしれない。

 姉さんの事だから、風間少佐に何か捻じ込んだ事も考えられるな。

 勿論、その場合は取引になるだろうが。

「さて、今度は俺達の番だ」

「うん。行ってくる」

 

 結局、雫は努力の甲斐あって、よく仕上げてあった為、スムーズに勝利を捥ぎ取った。 

 

 

 

 

               9

 

 私達は、雫の応援よりも予選通過後に当たる相手の偵察を、優先させて貰った。

 薄情というなかれ。

 雫が初戦で負けるなんて有り得ない、そう信じるからだ!

 さて、あの引き籠りは出てくるのかな?

 そう、予選が終わって

 おお!出て来たよ。ダメだと思ったよ。

 こっちはその方が楽だったんだけどね。

 格好はスピードシューティングとあまり変わらない。

 あれが好みなの?

 相手は四校の子みたいだね。

 チャイナドレス…モドキのセクシーな格好だね。

 お臍出してるよ!この時代じゃ十分セクシーですぜ、男子諸君。

 

 試合開始のブザーが鳴る。

 と同時に四校の子のピラーが一つ砕ける。

 四校の子は情報強化を選択したみたいだけど、ピラーは次々と砕かれていく。

「何!?」

 エイミィが声を上げる。

「波の合成だよ」

 達也もよくやってるから、分かりますとも。

「ええ!?でも…」

「起点が空中に設定されてるんだよ。ピラーの強度を上げても、合成される波の威力

に耐えるものには届かない」

「うわっ!私のも大概だけど、あっちも容赦ないわね!」

 四校の子も気付いたね。

 ピラーを移動させるという荒業に出た。

 けど、結果として読まれていた上に、悪手だったみたいね。

 移動させるのに、情報強化を解除しちゃったか。

 そりゃ…。

『十七夜選手!自陣のピラーを無傷で完勝です!!』

 こうなるよね。

 

 引き籠り完全復活の狼煙って訳ですか。 

 

 

               10

 

 会場を出ようとした時、バッタリ会うとか。

「扉を破壊して出ていた人ね。丁度よかったわ」

 気の所為ですね。

 エイミィが頭に?を大量に浮かべて、私と引き籠りを交互に見ている。

 私は構わずスタスタ去ろう。

「ちょっと待ちなさい!!貴女の事よ!!」

 深景は逃げ出した。だが、回り込まれてしまった。どうする?

「ああ…引き籠り…」

「引き籠りじゃないわよ!!十七夜栞よ!!」

 ああ、じゃあ、そっちで呼ばないといけないのかな?

「じゃあ、私も扉から離れてくれる?司波深景だから」

「じゃあ…って、そうじゃないわ!あろう事かナンバーズを踏み台扱いした事を後悔

させて上げるわ!そっちも勝ち上がってきなさいよ!」

「だって、エイミィ」

 やるの私じゃないしね。

「ええ!?私!?」

「貴女にもいってるのよ!!」

 ちょっと、貴女さ。キャラ変わり過ぎじゃない?

「うん。エンジニアとしては全力を尽くすよ」

「叩き潰して上げるから、覚悟しておいてね」

 漸く最後に気を取り直してようで、キャラが戻った。

 それだけいって去って行った。

 慌ただしい人だね。

 

 たださ。残念参謀が置いて行かれてますよ?

 

 

 

 

 

 




 まだ、指摘された修正ができません。
 忘れた訳ではありませんが、できれば九校戦編を終わらせて
 からにしようと思います。
 キリよくしたいですし。

 だがしかし、全く進んでいない。
 大丈夫なのか!?

 すいませんが、次回も気長にお待ち頂ければ幸いです。
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