どうにか書き上がりました。
では、お願いします。
1
通信機の向こうで、合法ロリ巨乳が息を呑む。
何故、通信程度でここまで驚くのか?
答えは、この通信ナンバーは彼女の公安としての仕事用のナンバーだからだ。
多分、達也もこのナンバーを知らない。
ミス・ファントムとしてのお仕事用なだけあって、知られると不味いのだ。
結構、厨二マインドを刺激する異名だよね。
『どこで、このナンバーを?』
警戒心剥き出しの声で合法ロリ巨乳が訊いてくる。
「緊急連絡網で調べたんですよ?」
『……』
おや?エクトプラズム出ちゃってる?
『ハッキングは犯罪よ』
「なんの事でしょうか?それは兎も角、達也からの調べもの依頼の件なんですけど…」
『なんでそんな事まで!?』
「いや、それは普通に話してましたよね?」
無言が続くけど大丈夫かな。
『で、なんの用なの?』
どうやら彼女の中では、今のはなかった事になったようだ。
実際は少し距離があったから、禁断ラバーズ的な風景しか見てないけど、
原作を知っている身としては、内容の想像なんてお茶の子さいさいですとも!
「達也から、無頭竜のアジトの場所を調べるように依頼されましたよね?」
『さあ、どうだったかしら?』
この期に及んで真面目な人だね。
「じゃあ、この際どいビキニの写真…うん?ちょっと見えてません?これ?
まあ、いいや。それをネットに…」
『よくないわよ!公安捜査員を脅迫してんじゃないわよ!!って、そもそもどこで
見付けたのよ!!そんなもの!!』
実はこの写真、交友関係洗った時に元カレを偶々見付けたんだけど、その男の秘蔵
データにあったものだ。それをコピーしたんだよね。こんなこともあろうかと!でも、
データはロリ巨乳だけだったな。
そんな感じで説明してあげた。
「依頼されましたよね?」
『で、どういう話なの?』
おっ!認めないけど、話は聞いてくれる訳だ。
「調査結果渡すの少し遅らせて下さい。それだけでこの元カレの趣味全開のビキニの
件は忘れるし、消しますし、依頼料を上乗せしますよ」
元カレも、そんな厳重にロックして保管するくらいなら、別れなきゃいいのに。
そうすれば、今も普通に見られただろう。
それにしても、ロリ巨乳は倦怠期を乗り切ろうと、涙ぐましい努力したね。
いじらしいよね。
恋人でも倦怠期でいいんだっけ?
「別に嘘を言う必要はありませんよ?」
『別に脅しに屈した訳じゃないわよ』
合法ロリ巨乳が憎々しい声で、そう吐き捨てた。
さて、達也が動く前に私がお仕置きをやる。
2
:エリカ視点
「え?深景さん、寝てるんですか?」
美月が驚いた様に言った。
いやいや、それで驚いちゃ、流石に深景が可哀想でしょ。
疲れてもおかしくないくらい忙しかったんだしさ。
でも実際、深景は具合が悪くて寝てる訳じゃないけどね。
「うん。精神的に疲れたから不貞寝するって」
「ふ、不貞寝…」
美月はコメントに困った顔で、それだけ呟いた。
流石に達也君も絶句してたな。結構貴重なものを見れたわ。
くれぐれも起こしてくれるなって、凄い形相でいってて笑った。
まあ、実際にもう深景に出番はないんだし、寝てても支障はないし、いいんじゃない
かと思うけどね。
本来はエンジニアとしての参加だったのに、選手までやらされたんだし、疲れたと
いっても罰は当たらないでしょ。
次はモノリスコード本戦。
もう、一校の優勝でほぼ決まりって状況だ。
無理して観戦する必要もないでしょ。
私はそう思った。
3
私は夜、コッソリと達也のいない隙を突いて外に出た。
警備網をすり抜けるなど簡単な話だ。私にとってだけどね。
勿論、対策はバッチリだ。
カメラはハッキング済みだし、ベットには
では宜しく影分身。
私だけあって、ベットから手を振って応えてくれた。
私なのに、羨ましい。
素早くライダースーツとフルフェイスヘルメットを着用し、完全なる不審者へ
と変身する。
今回は、タチコマを使う訳にはいかない。
お仕置きは、自分で行うのだから。軍の手は借りない。
無闇に手の内を晒すのも馬鹿らしい。
そういう訳で、
四菱ジャパンカスタム。またの名をガルム。
元ネタはブラスレイターの主人公のバイクだ。趣味です、はい。
この世界だからバイクが、ライダーなしで走ってても特別注目されない。
代車の手配などで使用される技術だからね。
事故自体滅多に起きないけど!
『お待たせ』
バイクのハンドル辺りに女の子のホログラムが浮かぶ。
制御システムであり、このバイクのAIであるエレアだ。
私はバイクに乗り、走り出した。
IRシステムにも、既にリアルタイムハッキングして姿を記録させていない。
笑い男と同じ手口だ。私は通ったが、記録されない。
網を張ってあった場所に、無頭竜の幹部が集まっているのを並行して確認した。
やっぱり、原作通りに集まってたな。逆に、ここまでこないと集まらなかった
訳だから面倒臭い。
『一つ、訊いてもいいかしら?』
道路を爆走していると、角が生えているものの、美少女なホログラムのエレア
が姿を現していった。
『どうして、貴女がやるのかしら?』
「それは自分でお仕置き…」
『おふざけ抜きよ』
エレアが冷ややかに、ぴしゃりと私の言葉を遮った。
私はフルフェイスヘルメットの中で苦笑いする。
『達也は、やる気なんでしょ?放って置けば、達也がやってくれる。貴女がやる
必然性はないわ』
タチコマを使う訳にはいかないので、エレアにサポートをして貰った関係で、
彼女は事情を把握しているのだ。
性能がいいのも考えものだね。
心配して貰えるのは有難いけどさ。
「だって、狡いでしょ?」
『狡い?』
「そりゃ、さ。達也に任せれば、なんの後悔もなく、微塵の躊躇なく始末して
くれると思うよ?達也は気にしないし、気にならない。だから汚れ仕事を全部
弟に押し付けるって、どうなの?姉としてさ」
達也に全て任せるなら、私がいる必要もない。
それは、過去に私が望んでいたことだった筈だった。
『私を人といってくれるなら、約束してくれますか?二人を護って上げて下さい。
家族として』
それは過去にした大切な約束。
投げ捨てる気満々だった私に、唯一といっていい家族だった人とした約束。
自分には、なんでもできると過信していた頃の話だ。
「だから、私が罰を下す」
『そう…バレないように精々気を付けて?』
「今の私に死角はないよ」
自分にかけた誓約は、解除してあるからね。
4
『それじゃ、済んだら呼んで頂戴』
エレアは、そういうと走り去った。
横浜中華街。
今や怪しげな連中の巣窟と化しています。勿論、ご飯は食べられるけどね。
私は連中の会議室が見える高層ビルを、呼び止められることなく上っていく。
私は屋上の扉を開け放つ。
風が強く吹き込んでくる。
私は原作達也と違って、フルフェイスヘルメットのまま狙撃地点に立つ。
鷹の目で、連中を捉える。
よしよし、全員揃ってるね。じゃ、いってみよー。
なんか中の会話を聞いてると、逃げる算段してる奴やら、もうお手上げ状態
の奴やらで、場は混乱していた。
まっ、知ったことじゃないけど。
「ハロー!無頭竜!」
ヘルメットに仕込んだマイクで優しく呼び掛けてやる。
響子さんが、できることぐらい私にもできるのだよ。実は。
室内にいきなり声が流れて、硬直するお歴々。
「旅行の算段かな?優雅だね。因みに、こっちでキャンセルしといたし、貴方
達が使っている偽造パスポートね。データを警察にリークしてあるから、いかな
い方がいいよ?どうせ、使う機会ないけどね」
海外へトンズラ準備組の通信機を乗っ取って、こちらの声を流してやると、
驚いて通信機の端末を放り出してしまう。
『誰だ?君は』
比較的、冷静な声でダグラス・黄が訊いてきた。
因みに、この人はお手上げ組だ。
「色々と富士でお世話になった者だよ」
一部を除いて、出口に殺到するが開かない。
「無駄だよ。ロックしてあるからね」
『16号!』
フランケンに魔法で壊せと命じる幹部。
当然、それも対策済みだ。予想できることだしね。
フランケンが魔法を使うが、扉にも壁にも傷一つ付かない。
『なっ!?どういうことだ!?』
「悪いけどね。貴方達のいる部屋だけ
私は親切にも幹部の疑問に答えてあげる。
元ネタは、某有名ラノベ作家の作品からです。
空間凍結されると無関係の人間を選別して出すことができるし、何より物が
壊れないんだよね。それを利用して閉じ込めてる。
『なんなんだ!!お前は!?』
「だから、お世話になったから恩返ししにきた鶴って感じ?」
襖の向こう側を見てはいけません。
そして、私が知る限り一番外道な魔法を使う。
護るように立っていたフランケンが突然、
血肉を撒き散らし、フランケンの一体がこの世から消えた。
おお!怖がってる怖がってる。
って私もおえぇっ!感じだけど。自分で使っといてなんだけど。流石禁術。
私が使ったのはバスタードに出てくる魔法だ。
達也みたいに分解してもいいんだけど、それだと達也の犯行だと誤解される。
それでは意味もないので、犯人が特定できないような魔法であるべきだよ。
「化物は好物でしょ?さて、次に餌になりたい人は?」
ソーサリーブースターなんてものを造っている連中だ。
餓鬼魂とも仲良しだろう。
『17号!どこからだ!?』
『不明です』
フランケンが淡々と幹部に答える。
そこは空間凍結で隔離されているから、魔法で私を探り当てるのはフランケン
でも無理だ。
その答えに奇声を上げて、暴れ出した奴が発生する。
そんなに刺激するとさ…。
なんて考えていると、餓鬼魂に美味しく頂かれていた。
ついでに、残った17号フランケンも庇おうとした為に、頂かれていた。
結界が消えるまで、見えなくともいるからね。言動には気を付けようね。
『まっ待て!!』
ダグラス・黄が声を上げる。
「何を?」
私は白々しく訊いてやる。
『我々は、日本から撤退する。二度とこの国に手を出さない』
『いいのか!?』
ダグラス・黄の宣言に、幹部が驚愕の声を上げる。
「それが仮に本当だったとして、貴方達が帰った後に別口がやってくる
んでしょ?」
ダグラス・黄が口を再度開こうとした時、幹部の一人が懐から拳銃を抜いた。
大方、裏切り者の始末という手土産でも作ろうという魂胆だったんだろうけど、
出れないのにどうするつもりだったんだか。
かなり判断能力が低下しているようだね。
こりゃ、サッサと聞きたいこと聞いた方がいいかな。
そんなことを考えている間に、銃弾はダグラス・黄を掠めて壁に着弾し、
撃った当人はご飯と成り果てた。
かなりスプラッターな光景の連続に、遂に年季の入った悪党も腰を抜かした。
『は、話を聞いてくれ!誓う!無頭竜は日本には二度と来ないし、手も出さない!
だから、もう止めてくれ!!』
「貴方にそんなこと誓われてもね。トップが否といえばそれまでじゃない?」
『いや!私にはそれだけの権限がある!ボスも私の言葉を無視できない!
大丈夫だ!』
原作でもそういってたね。
「それじゃ、トップの本名は知っているよね?いってみてよ」
そこで本命の質問だ。
魔装大隊に頼まれた訳じゃないけど、ソーサリーブースターなんて
製造元から潰しておきたいからね。本名さえ分かれば、あとは原作通りか確認
できる。
あとは壬生パパにリークしとけば、勝手にやってくれるでしょ。
私が直接、どっか~んやってもいいんだけど、流石にそこまでやると本格的
に探られるからね。面倒は避けるに限る。できる限り。
『そ、それは…』
「踊り食いされたいと…」
『まっ待ってくれ!…リチャード・孫だ』
「本名っていったけど?」
『孫公明…』
「お疲れ様。それじゃ、さようなら」
私は餓鬼魂に最後の食事を許可した。
外道の所業だ。だが、こいつら生かして帰す訳にはいかない。
私は、このことを忘れない。
だから、しっかりと彼等が怨念を吐き散らしながら、食われるのを最後まで
目に焼き付けた。
『悪…魔め!!』
ダグラス・黄の最後の言葉がこれだった。
私は、少し溜息を吐いた。
5
お仕置きが完了しても、少しもスッキリした気分にはなれない。
だけど、別にいい。
エレアを呼んで帰ろうと数歩足を進めたけど、私は止まった。
ああ。だよね。分かってた。ご無事だと思ってましたよ。
「やぁ。どうも」
そこには筋肉妖怪・戸愚呂が立っていたのだ。勿論、無傷で。
無事だとは思ってたけど、回復早くない?
暫くは動けないと高を括っていたんだけど、そうは問屋が卸さないよね。
「こんばんわ。敵討ちに馳せ参じた訳じゃないよね?」
「もしかしたら、予想がついているのかもしれないけどねぇ。依頼主は別にいる
んでね。あいつらをついでに片付けろといわれたが、面白そうなものが見れそう
だったんでね。見物させて貰ったよ」
それは余裕なことで。
顔は隠れているけど、意味なしですか。
「まだ牙を隠してそうだねぇ。挨拶がてら、見せて貰おうか」
「ご期待に沿えますかどうか」
私の返答に戸愚呂がニヤリと笑う。
「おさらいといこうか。…60%だ」
いやいや、待て待て!そんな力、体感してないから!
私の心の悲鳴を無視して筋肉を膨張させるマッチョ。
凄まじい力が圧となって襲い掛かる。
何かいっても聞いてもらえる空気じゃないよね!
私が亜空間から刀を取り出すと同時に、戸愚呂の姿が掻き消える。
あんな筋肉、絶対動きを阻害しそうなのに速いこと速いこと。
私は、当たれば死亡確定と確信できる拳の運動エネルギーを断ち切る。
拳は不自然に止まったことに、僅かに戸愚呂が片眉を器用に持ち上げるが、
それでもお構いなしに止まった拳を押し込むように伸ばした。
「っ!?」
刀で受け流そうとして、私は眼を見開き、回避に変更する。
ビルがものの見事に斜めに割れて、重力に従い地面に落下していく。
その拳には、十三束 鋼が使っているレンジゼロと拳の物理的破壊力が同居した
とんでもない一撃だった。今の私でも刀で受けていれば、刀が折れただろう。
それ程の威力と魔法粉砕が可能なものだと瞬時に理解した。
手加減していると理解していたが、ちょっと力を出すとまるで別物で、泣きそう
になる。やっぱり、あの時に死んどいてほしかった。
私は落下途中の瓦礫と化したビルを蹴り、戸愚呂に向かっていく。
戸愚呂は、試すように拳を打った姿勢のまま、落下している。
丁度、戸愚呂の元ネタでの主人公を試した時のように。
ならば、応えてやらないと女が廃る!
泣きたくなる気持ちを跳ね除けて、気合を入れてみる。
私の選択した刀は天狼。
そう、あの滅茶苦茶侍の刀です。厨二マインドを刺激しますよね。
さて、押して参る!
気配を遮断し、瓦礫の陰から躍り出る。
そして、目が合う。やっぱり、誘ってたな。
「無明神風流。玄武」
厨二ワードはいわないですよ。
瓦礫ごと戸愚呂を神風が押し包み、動きを封じた上で神風が戸愚呂に襲い掛かる。
戸愚呂が、神風を信じられないことに思いっ切り吸い込んだ。
普通なら、内側からズタズタになりそうなものだが、戸愚呂は平然と吸い込んで
いる。
アンタ、どっかの麦わら帽子なの!?
「かあぁぁーー!!!」
神風を半分程吸い込み、裂帛の気合と共に放出する。
たったそれだけで、玄武が無効化される。
滅茶苦茶の上をいくんですか。
まあ、瓦礫を大地に見立てたのは無理があったけどね。
それでもあんまりでしょ!
瓦礫が消えた代わりに、身を隠す場所がない。
戸愚呂は、そのまま着地(派手に)。
私は魔法で穏やかに着地して、再び対峙する。
「それじゃ、締めといこうかね?」
戸愚呂はニヤリと笑う。
「そうだね」
私も天狼を構える。
お互いの集中力が高まり、時が制止したみたいに感じる。
お互い同時に動いた。
「キュクロプス」
「無明神風流。朱雀」
戸愚呂の身体が得体の知れない力で黒く変色し、炎を纏う。
恐らく、人間の時の家か何かの代名詞というべき魔法。
一方、私の方は、浄化の炎で形成された巨大な朱雀を放つ。
絶対回避不能の攻撃技。
60%で受けてみろ!
今度は何をやっても向かってくる朱雀に、戸愚呂は不敵な笑みを浮かべ、
破壊を選択する。
黒い拳と炎の朱雀が真正面から激突する。
両者の技の激突で生じた衝撃波が荒れ狂う中、私は踏み込む。
なんのチートも含まない純然たる剣技のみで、刀を振るう。
衝撃波を割って拳が飛んでくる。
そして、衝撃波自体が吹き飛び、静寂が訪れる。
私の顔の横には黒い拳が。
戸愚呂の頸には私の刀が当てあれている。
そう、これは挨拶だ。
次の為の。
「私達はね。次に最後の騒ぎを起こすつもりでね。次、今度こそ本気で殺り合おう」
戸愚呂は楽し気にそういうと拳を下した。
私は苦々しい顔で刀を鞘に納める。
「止めてくれない?面倒ごとは嫌いだよ」
「それは無理だねぇ。別に止めなくてもいいけどねぇ。世界が裏返ってもいいなら
ね」
そういうと背を向けて悠々と去って行った。
ここで本気で殺り合うと、とんでもないことになるとお互いに分かっていた。
本気を出して片を付けるには、向こうもまだ目的を投げ出す時じゃないし、
私もバレてもいいやって時じゃない。
だから、追わなかった。
向こうも承知の上で背を向けたんだ。
多分、騒ぎって元ネタ原作でやろうとしてた魔界に帰ろうとするやつだよね?
それに該当しそうな騒ぎありますわ。
魔法科高校の劣等生にも。
今までの経験から、防げる気がしない…。
それでも探り入れなきゃな。ああ…鬱だな。
あっ!警察と軍向かってるわ。
逃げなきゃ。
私は一つ問題を片付けて、一つまた厄介な問題を抱え込んだ。
6
結構本気で逃げて、エレアに拾って貰ったんだけどね。
『貴女、何やってるのかしら?』
呆れられました。
あの麦わらキンニクンに文句いってくれるかな?って思ったけどね。
未だに謎の事件として報道されています。
そして、今現在、分かってるのか疑われているのか、私だけ天狗さんに呼び出し
受けてます。
内心で白目を剥いていると、天狗さんが話し始めた。
「横浜の無頭竜の幹部が殺害された件と、付近に発生したビル爆破事件に関してだ」
わぉ!テロリスト扱いされてます!
主にあの麦わらキンニクンがやったことだぁ!
因みに、お馴染みのメンバーも部屋の中に既にいらっしゃった。
そして、発覚と調査内容が語られる。
一同に沈黙が流れる。
「あの…なんで私だけ呼ばれたんですかね?」
この部隊じゃ、私、完全に達也のおまけなんですが。
本気で疑われてます?掴まれてます?
いや、まさか!はっはっは!
白々しく訊いてみる。
「ということは、ソーサリーブースターの手掛かりは途切れた。
ということですか?」
真田さんが私の質問を無視していった。
「いや、
いたから、そこは問題あるまい」
天狗さんが、素っ気なく答えた。
「しかし…」
真田さんが何かいい募ろうとしたのを、天狗さんが止める。
「無頭竜のボスの名も、ご丁寧に伝えてもらっている。あとは壬生の仕事だ」
真田さんは納得したのか、口を閉じた。
他の面々は渋い顔で黙っている。
「あの!」
無視決め込んでんじゃないよ!
天狗さんが漸くこっちを向いた。
「達也のことだったな。達也なら中華街の調査をしてくれている。尤も、あまり
時間が取れないがな」
今朝から姿を見ないと思ったら、中華街行ってたのか。
それにしてもさ。答えられることなら、サッサと答えて貰いたかったよね。
調査ね。
まっ、痕跡はキレイに消してあるから、大丈夫でしょ。
合法ロリ巨乳が、達也にチクらなければ大丈夫だと思う。
当人も、ギリギリアウトな水着姿をバラされたくないだろうから、必死にやって
くれると思う。
7
:達也視点
今は中華街にまで来ている。
エンジニアとしての責任は、もう果たしているので少しくらい姿を消しても平気
だろう。
小野先生に無頭竜のアジトに関する情報を貰う筈だったが、その前にこの有様だ。
辺りは封鎖され、軍が警備している。
使用された魔法は、おそらく戦術級であると判明した瞬間から、軍に主導権が
移った。こっちとしては有難いことだ。調査がやり易くなる。といっても機器を
使った調査は軍がやっているから、俺の方は
だが、不自然なまでに痕跡は消されている。
どんな魔法を使用したかも分からない。
威力から戦術級だろうと推測しているだけだ。
新たな魔法が開発されたのなら問題だが、俺はあまり深刻には考えていなかった。
犯人として、疑っている人物がいるからだ。
尤も、その人物はアリバイもあるのだが、その人物なら突破しそうだと俺は思って
いる。
その人物とは、他ならぬ俺の姉だからだ。
姉さんは、魔法師として凡庸以下だ。
試験で二科生に割り振られたことからも分かることだ。
だが、それは俺も含めて既存の評価項目では、評価されない部分が優れているから
だ。
姉さんは古式魔法や技術を得意としている。
俺の知らない古式の技や技術を、密かに習得していたりする。
師匠との鍛錬で俺の異能も完璧なものではないのは、嫌という程に理解している。
そして、古式は限られた人間しか使えないが、効果は絶大なものが多々ある。
姉さんが、それを行使したなら、俺の眼も軍の調査も潜り抜けるのも不可能では
ない。
問題は相手だが、こっちは犯人は判明している。
新人戦モノリスコードで、戦ったあのパラサイトだ。
あの攻撃を受けて生きているとはな。
流石に、追跡を許す程迂闊ではないようで、足取りは追えなかった。
こっちは報告すべきだろう。
姉さんの件は報告しないが、少佐達も疑いは持っている様子だろう。
だが、証拠がない以上、追及はできないだろう。
姉さんは迂闊なところもあるが、ギリギリのところで尻尾を掴ませないという点
では周到だからな。
姉さんを疑う点は、もう一つ。
小野先生だ。
俺は無頭竜のアジトを探してもらっていたが、約束の日時に間に合わなかった。
そして、この事件だ。
何かあると感じて、小野先生に連絡したところ、何故か情報が掴み難くなったと、
歯切れ悪く語った。
カマをかけたり、色々と揺さぶったが、小野先生は頑なに当初の発言を貫いた。
逆にそれが、姉さんの関与を疑わせたんだが。
姉さんが、まだ俺達に話すべきでないと思ったのなら、待つのも信頼だろう。
少なくともそうだと知っている。
俺は少佐に報告すべく富士へと戻った。
富士へと戻ると、呼ばれていた姉さんの姿はなかった。
視線をチラッと動かしただけだが、少佐にはそれだけで分かったようで、姉さん
が聞きたいことを聞いて退室したことを知った。
俺で調べた内容を伝えると、少佐は珍しく渋面で頷いたのみだった。
そして、俺にも姉さんと同じ内容の話が説明される。
「無頭竜のボスの情報ですか…」
語外にそんなもの価値があるのか?といったニュアンスが伝わったのか、真田大尉
が苦笑いする。
「君のお姉さんは、不思議に思わないみたいだけどね。あの組織は普通の犯罪シンジ
ケートじゃないんだよ。ソーサリーブースター。知っているよね?」
やはり姉さんは疑われているな。
ここでも決定的な証拠は掴ませていないだろうが。
それにしても、ソーサリーブースターか。
「画期的な魔法増幅装置でしたか。眉に唾して聞いていましたが」
魔法の増幅など、易々とできるとは思えない。
「正確には増幅ではなく、増設、とでもいった方が適切かもね」
真田大尉の眼に物騒な光が宿る。
増設ということは、魔法師の使用できるキャパシティを増設するという意味だろう。
そんなことが可能だとすれば…。
「まさか、人間の脳そのものを?」
「正解。より正しくいえば、魔法師の大脳だね」
成程。だが、他人の脳では残留サイオンがあるので、他人が使用できる筈はない。
「呪術の理論応用。こういえば君なら想像が付くんじゃないかな?」
「成程。恐怖や苦痛といった感情を与えて、脳を摘出する訳ですか」
「これまた、その通り」
俺の納得の表情を確認して、少佐が纏める。
「倫理的な問題もあるが、ブースターの存在は純粋に脅威でもあったという訳だ。
今回で元を叩ける」
いいことのように聞こえるが、実際には軍は関与していないという事実が、ここに
いるメンバーの顔を暗くしているのだろう。
まあ、走り出した姉さんを止めるのは困難だ。
この機に、少佐達には記憶に刻んで貰おう。
8
私は取り敢えず、クラスメイトからは不貞寝から起きてきた風を装って現れた。
不貞寝している私のところには、エリカが冷やかしに来たり、響子さんが訪ねて
きたり、忙しなかった。
響子さんのあの段階での訪問は偶然だろうか。
どうでもいいか。問題ないし。
奇しくもアリバイは完璧になったしね。
達也も調査と報告が終了したのか、後から合流して会場に向かう。
どこのって?本戦・モノリスコードに決まってるよ。
原作と違い、残念王子が大活躍したことになっているから、ぬりかべが俺TUEEEE
をやる必要はないし、穏やかなものだ。
「俺達とは安心感が違うな」
「全くだね」
達也のセリフに私は全面的に賛同した。
だってね。
メンバーが。
十文字ぬりかべ。
服部カンゾー君。
辰巳親分。
七草閣下。
反則級のメンバーで固まってるんだもの。
まさに無双ですよ、これ。
他のチームはモブのようになって、すっ飛んでいる。哀れな。
哀れ他の高校。
カンゾー君と閣下に撃ち放題撃たれて、ぬりかべの魔法と辰巳親分の魔法でぶっ飛
ばされていた。
原作では深雪が、達也達だって負けてないよ!みたいな発言してたけど、今回は
流石に苦笑いしてるもの。十師族直系二人だもの。いえやしないよ。
結局、あの三校でさえ、一蹴して試合は終了となり、我等一校が優勝を飾ることと
なった。
9
表彰式が終わり、あっという間に夜となりダンスパーティーに突入した。
妹は男女問わずに人に群がられ、達也はおっさんから大人気である。
勿論、腐女子的な意味の人気じゃないよ?技術者としての腕を青田買いしようと
いう魂胆を持った連中だ。
私のところ?来ないよ。特殊だし。
ぼんやりと壁の花となって、渡辺お姉さまにつつかれている弟を眺めていると、
肩をつつかれた。今度は私がつつかれたよ。
見れば、深雪に喧嘩を売っていた命知らずズだった。
「ぼんやりしとるのぉ~」
沓子が、相変わらずのテンションと口調で話し掛けてくる。
「まあ、お仕事終わったからね」
残り二人は、どことなくムスッとしている。当然か。
「今回は優勝を持っていかれたけれど、今度は勝つわ」
「エンジニアとしても選手としてもね」
二人がそれだけいうと、沓子がまだいるのに去って行った。
「全く、素直じゃないのぉ。まあ、二人共お前さんを認めたということをいいたかった
のよ」
「は?」
深雪は兎も角、私何か認めて貰うようなことしたっけ?
「色々といってくれたじゃろ?」
呆れたように苦笑いして沓子がいった。
ああ。黒歴史のやつか。思い出しちゃったじゃないか…。
思わず遠い目で明後日の方を見てしまった。
「おお!深景よ!CADのデータを送るぞ!」
その声で我に返り、データを受け取る。
沓子が実家からのCADのデータを送って貰ったそうだ。
早いな。本気で造らせるのか。
まあ、データがあれば造る気ではあったけど、社交辞令だと思ってたよ。
鉄扇のような形がいいのだそうだ。
沓子と別れてから、ダンスが始まった。
社交ダンスを当然の如く修めている高校生。凄い。
私は男性のステップも女性のステップも、どんとこいだけどね!
深雪の練習相手として。達也が忙しい時の代理だったけど、思えばどうして私だった
んだ。わざわざ女の私が覚える必要あっただろうか?…考えないことにしよう。
だが、それが役に立つ時が!
いらん展開ですよ。
「深景さん!踊ってくれない?」
閣下が満面の笑みで手を差し出していた。
私も笑顔で答える。
「私、実は踊れないんで!」
「深雪さんが踊れるっていってたわ!」
「「……」」
無言の笑顔で向かい合ってしまった。
ブルータァァァス!!
結局は踊ることになった。
会場からは、何やら溜息が漏れていたが、気にしたら負けだと思ってる。
勿論、私が男性ステップ担当です。
それから面白がったエイミィがダンスを申し込んできて、相手したりした。
そして、何故か沓子も申し込んできた。
勿論、深雪も申し込んできましたよ!
私、なんで同性ばっかりと踊ってるんだろうか?
そして、唯一例外が…。
「姉さん。踊ってくれるかい?」
弟です。
因みに、弟は女性メンバーと一通り踊ってました。原作通りに。
唯一、例外は閣下とは踊ってないくらいかな。謎だ。
こっちも男性ステップでやってろうか!?
マイブラザー!貴様は女性ステップだよ!
勿論、普通に踊りましたけどね。
一通り踊り終えて、何故か精神的に疲れた。理由は明白か…。
壁に寄り掛かると、目の前にグラスが差し出された。
持ってきたのは、達也と深雪だった。
私はお礼をいって遠慮なく受け取ると、飲み干した。
喉乾いてたんだよ。
「お疲れ様です。お姉さま」
「お疲れ様」
「はい。疲れました」
三人で笑ってしまった。
きっと笑ったのは深夜のアレと同じ現象だ。
目立たない高校生活するんじゃなかったっけ?
そして、人混みから残念王子が姿を現した。
一直線に私達へと向かってくる。
後ろを伺いつつ、少し戸惑い気味な顔だ。
後方を見ると、女生徒と男子生徒数人が何やら指示出ししているのを、残念王子
が気にしているようだ。
達也と深雪の顔が一瞬、険しくなった。
残念王子が私達の前に到達した。
周りの女子が、ヒソヒソと何やら話しているのが聞こえる。
「深景さん。お久しぶりです」
「そうですね。二日ぶりですね。制服、大丈夫でした?」
繕って上げたからね。
それくらいしか訊くこと思い付かん。
傷のことに関しては、私等の方が酷かったしね!
主にウチの男子二人。
「はい!全然目立たないですし、助かりました!」
まるで子犬のような顔ですね。
う~む。趣味人ならばコロリといきそうだ。
「それはよかった」
私も微笑ましい顔に笑顔で答える。
だが、和やかな雰囲気に水を差す失笑。
発生源を見ると、深雪でした。どしたの?
「失礼。随分活動的な方なのですね。一条さんは」
意訳すると、制服破くなんて、子供みたいな方ですねってところですか。
私には副音声みたいに聞こえたよ。
「ええ。男には色々と力仕事もありますから。そこら辺の女性とは比べ物にならない
仕上がりで、驚きましたよ」
破れたのは、仕事してるからですよ。針仕事を見事に熟すなんて、貴女にはできない
でしょう。
そんな副音声が聞こえた。
胸の大きさを除けば、勝っている点の一つではあるね。
「はっはっはっ」
「フフフフフフ」
そして、発生するインフェルノ。
「それでプリンス。何しにきたんだ」
流石のマイブラザーも、インフェルノを浴び続けたくないようで、用件を促した。
促された残念王子は、途端に固まる。
そして、ジェスチャーゲームを開始する三校一年生男子達。
それが目の端に見えているのか、口元が引き攣る残念王子。
身体の向きを変えて、三校応援団に背を向ける。
そして、咳払いすると、私の方を真っ直ぐ見詰める。
「俺と踊って頂けませんか」
後ろのヒソヒソ女子が悲鳴を上げる。
まあ、残念王子ゲットできれば、玉の輿だものね。
でも、目立ちたくない身としては、この状況をどう乗り切るか。それが問題だ。
断っても、受けても、目立つのは最早避けられない。
ジッと考えたのが不味かったのか、残念王子の顔が捨てられた子犬のようになって
しまっていた。
私の顔も引き攣りますよ。
これ、断ったら鬼ですよね。
「私で…宜しければ」
不機嫌なオーラが二つ立ち昇るが、発生源を確かめるのは止めておこう。
「どうしてあんな地味な女が…」
そんな声が小さく聞こえた。ごめんね。私も辛いんだよ。
だが、そんな不満の声も二方向からの殺気に黙り込んだ。
そして、大会にでも出るつもりかといいたくなるくらい私達は一生懸命踊って
しまった。
だって、話が弾まないんだもの。
10
残念王子は結局、深雪とは踊らなかった。
原作と違って、仲がいいんだか悪いんだか分からない感じだから、仕様がないん
だけど。
去って行く直前、連絡先を交換しましょうといってきたが、深雪に阻止されていた。
いやいや。深雪、過保護過ぎやしませんかね。
そんなことを考えていると野太い声が掛かった。
「司波。疲れたか?」
ぬりかべである。
そして、達也を連れていた。
珍しい面子だね。
「そうですね。色々とありましたし」
ぬりかべは重々しく頷く。
「そうか。済まないが、付き合ってくれ」
そういうと人の返事も聞かないで、クルリと方向転換してズンズン歩いていく。
達也と顔を見合わせて苦笑いしてしまった。
ぬりかべが案内したのは庭だ。
まあ、誰もいないし、いいんだけどね。
「そろそろ祝賀会が始まりますが?」
達也が控え目に声を掛けると、ぬりかべが振り返る。
「すぐに済む」
さいですか。
「司波。お前達は十師族の一員だな」
断定口調でぬりかべがいう。
思わず反応しそうになっている達也の手を、私はチョンとつつくと、達也はいわん
とすることが分かったのか、自然体に瞬時に戻った。
「「違います」」
そして、図らずもハモってしまった。
実はこれは嘘ではない。
正確にいえば、私達は十師族ではない。
四葉は特殊な家で、分家であっても四葉の姓を名乗ることが許されなければ、
子飼いの魔法師と扱いは変わらないのだ。
つまり、この先、十師族となる可能性があるのは、後継ぎ候補の深雪のみなのだ。
原作では深雪は、四葉を名乗るけど、この世界では分からない。
まあ、他の候補者は顔触れは変わらないから間違いないだろうけどね。
「そうか…」
大した追及もなくぬりかべが頷く。
「ならば、師族会議・十文字家代表補佐として助言しよう。お前達は十師族になるべき
だ」
なんで?
この発言は、達也が残念王子を倒したことからきていた筈だ。
なのに、何故そう思う?
「一条の御曹司が実戦経験済みの魔法師であることは知っているが、それでもあの
消耗具合は有り得ない。軽過ぎる。何しろ、離れた場所からでも、あれだけの力を
放つ相手だ。一条がメインで戦ったのならば、もっと疲弊していなければおかしい」
おやおや。鋭いね。
「気付く者は、気付くぞ。その前に縁を結んだ方がいいだろう。
司波。お前は一条に気に入られたようだし、彼奴はどうだ?」
結婚ですか?いや、まだ早いから!
「司波達也。お前は七草なんてどうだ。あれで中々可愛いぞ」
閣下に対する評価、なんか雑じゃありません?
グイグイくるぬりかべに、私達はタジタジである。
流石に押し過ぎたと気付いたのか、ぬりかべが攻勢を弱める。
「時間はあまりないぞ?早く決めることを勧める。それでは戻るか」
ぬりかべは、一方的に攻めまくるとアッサリと背を向けて、こっちを待つでもなく
歩み去って行った。
後には、精神的に疲れ切った私達が残されたのだった。
こんなグダグダ感で、私達の九校戦は終わった。
11
:風間視点
私は今、厄介な人物の訪問を受けていた。
「十師族嫌いは相変わらずのようだね?」
その人物は穏やかな声でそう宣った。
その人物は、老師こと九島 烈だ。
「それは誤解だと、お話しした筈ですが?」
「別に気にしないとも伝えたと思うが?」
相変わらず平行線になるのも厄介な点だ。
私に気に入らない点があるとすれば、子供に自分達が兵器であるかのように吹き
込む輩だ。
「それで、どういったご用向きでしょうか?」
サッサと本題に入って貰うことにした。
老師は苦笑いを浮かべる。
「深夜の子供達。見せて貰ったよ」
話の先が予想できた為に、内心でムッとする。
反応をする程、未熟ではないが、この男には気付かれているだろう。
「私はあの子達の師であったからね。知っていてもおかしくないだろう?まさかあれ
程のものだとはね。それで惜しいと思ってしまった訳だよ」
「惜しい?」
「そうではないかね?あの姉弟は一条の御曹司と並んで、我が国の魔法戦力の中軸と
なるだろう。私的なボディーガードに据えるなど勿体ない話だろう」
試合内容だけで、それだけ評価するような内容は見せていないだろうに、堂々と
一件に関わっているといったようなものだ。
「閣下は四葉の弱体化をお望みですか」
「十師族には互いに牽制し合うことで、暴走を抑える役割がある。だが、このままで
は、四葉は強くなり過ぎて、牽制の役割を果たせなくなる。この上、あの姉弟が四葉
の当主の爪牙となったら、手に負えん」
引き剥がせると思っているならば、それは甘い考えだ。
私は冷ややかそう思った。
それに当主は司波深雪以外有り得ない。
「閣下。お伝えしておきましょう」
「何かね?」
「達也のことは兎も角、深景の方は閣下の予想を大きく上回る存在です。あまり
ちょっかいを掛けないことを勧めて置きましょう」
あの師匠が戦いたくないとまでいった相手だ。
例え老師であろうと、おそらく変わらない。
これは勘だが、自信がある。
おそらく無頭竜の一件も、彼女が関わっているだろう。
どうやったかは分からないが。
分からないからこそ、恐ろしいのだ。
彼女の逆鱗に触れるのが。
老師は、まさか私からそんなことをいわれるとは思わなかったのか驚きのあまり、
言葉を失っていた。
12
:戸愚呂視点
挨拶を済ませて、本来の依頼主の元へ戻る。
「帰ったか。始末は任せてきたのか?」
左京さんが軽い調子で開口一番そういった。
「まあ、そうですね。面白いものが見れたし、本当に楽しみですよ」
帰る前に、いい土産話になりそうな相手だ。
いや、生きるか死ぬかの戦いを、また味わうことができるかもしれない。
私も悪びれもなくそう返したが、左京さんはそれに目を閉じてフッと笑うのみだ。
このくらいで怒る依頼主じゃないからねぇ。
「そうか。楽しいならいいな。アッサリと成功しては面白くない。だが、暫くは大人
しくして貰うことになるだろう。USNAに行って貰う訳にもいかないしな」
「目立って仕様がありませんしねぇ」
「そういうことだ」
笑いを含んだ声で左京さんがいった。
しかし、どうやってるのかねぇ。他国の軍施設に細工なんて。
ま、いいんだけどね。細かいことは。
重要なのは結果だしねぇ。
私はニヤリと笑って左京さんの仕事部屋を出て行った。
やっとこさ。九校戦が終わりました。
深景は勿論もっと凄い威力の魔法を使えます。
使いどころが難しいですけど…。
ちょっとマニアックなネタが多数使われて
いますが、そういうもんだと思って下さい。
小野先生の彼氏に関しては、いうまでもなく
捏造です。公安に前からスカウトされており、
その為に別れさせられたという設定です。
次回から横浜騒乱編に入ってしまうか、短編
にするかどうしようか考えています。
よかったら、どっちがいいか意見を頂ければ。
相変わらず、状況が変わらない為、投稿
ペースは上がりません。
気長にお待ち頂ければ幸いです。