司波家の長女は何をする?   作:孤独ボッチ

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 結構、世間は深刻な状況になってきましたね。
 健康に気を付けて過ごしていきましょう!

 今回は短編です。

 ではお願いします。





夏といえば、恋!?

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 いやぁ~。嫌な日々が続きましたね。

 危うく殺されそうになったり、努力をドブに投げ込まれたりさ。

 おまけに、ぬりかべに、親戚のおばちゃんよろしくお相手斡旋されたりとかね!

 余計なお世話ですよ!

 えっ!?化物に目を付けられたのはって?思い出させないで貰いたいな…。

 そんな私に癒しの時が!

 

 夏休みがやっときましたよ!

 

「海に行かない?」

 雫が、そんな提案をしてきたのがキッカケだ。

 勿論、深雪経由でのお誘いだ。

 ああ!そういえば、そんなイベントありましたね!

 セレブのプライベートビーチ!

 前世じゃ、縁なんかありませんでしたよ。そんな言葉!

 おお!心の友よ!

 何せ、ウチ絡みで行くところは大抵ロクでもない事が起きるからさ。

 一応、ウチもセレブの端くれの筈なのに。

 なんて、愚痴っても仕様がない。

 小笠原の無人島丸々一つご購入とか。

 今年は、雫のお父さんが、友達も呼んでいいのだぜ!といった事が発端らしい。

 予定は、一番忙しい達也に合わせるといってくれている。

 私も、この機会に打っておかないといけない刀があるし、有難い。

 私の場合、長期の休みでもないと、仕事が捗らないからね。

 

 そんなこんなで私達は、海水浴へ行くことになった。

 

 

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 達也も私も既に職を持っている為に、お互いに調整して時間を抉じ開けた。

 そして、達也がお馴染みのメンバーに声を掛け、全員が参加と相成った。

 達也は、誰も都合が悪くない点を訝しんでいたが、そんなの全員が予定をズラす

とかして調整したに決まっている。

 美月とレオ君くらいじゃないかな。調整が楽だったのって。

 決して馬鹿にする訳じゃないけど、他のメンバー多かれ少なかれ面倒な柵がある

からね。厳密には、レオ君も持っているけど、今は放置されているから除外だ。

 レオ君の問題が表面化するのは、まだ先だろう。

 脱線したね。

 その日までに、他の女の子達は水着を新調しに走り、達也は付き添いとして苦労

したらしい。心なしか帰ってきた達也は、オドロ線を背負っていたように見えた。

 詳しくは、誰も黙して語らないから分からないけどね。

 私は、日程調整の為、別日に一人で買いに行ったよ。

 姉らしく、弟に苦労を掛けなかったさ!

 

 そして、()()()()()()()()当日を迎えたのです。

 

 別荘までは北山家のクルーザーで行くのが、恒例らしくて私達も乗せて貰うことに

なっている。

 葉山のマリーナに現地集合ということで、私達三人は少し早めに到着したが、よく

いる楽しみなことには早く到着してしまう人達はいるもので、私達がラストだった。

「済まない。待たせてしまったか?」

 達也が開口一番に謝るが、皆、笑顔で気にしていないと笑顔で告げた。

 そりゃ、遅刻してないから怒られても困るけどさ。

 皆、テンション高かった。

 達也がクルーザーの観察をしたり、エリカが千葉家のクルーザーについて愚痴った

りしていると、船長コスを身に纏ったコスプレオヤジが現れた。

 雫のお父さんこと、北山 潮さんだ。

 この人、実はただのコスプレオヤジじゃない。

 ビジネス界だけでなく魔法業界でも、かなりの有名人なのだ。

 この人は非魔法師なのだが、奥さんは若い女優さんというだけでなく、腕のいい

魔法師だったのだ。その恋愛模様は、かなり話題になった。軽くドラマにできると

思う。すったもんだでゴールインしたそうな。チッ!爆発しろ!

 新たな雫の友人として、二科生組はコスプレオヤジに紹介されて、挨拶した。

 達也を見て、娘は友達を見る目があると評したコスプレオヤジは、大物だと思う。

 深雪は、美しさを賛美されていたが、私は普通に挨拶されただけだった。

 一番、詰まらない反応です。有難うございました。

 そして、コスプレオヤジは、実の娘と娘のように可愛がっている子に追い立てられ

るように、仕事へ向かった。

 高校生にもなると、父親は鬱陶しく思うようになるものだ。

 私にも覚えがあるもの。

 私は、去って行くコスプレオヤジに心の中で、ドンマイ!と声を掛けた。

 

 だが、そんな声が届く筈もなく、その背は哀愁が漂っていた。

 

 

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 ウチと違って向かった先で戦争が起こったり、賊に襲撃されることもなく、無事に

別荘へ到着。普通って、なんて素晴らしいんだろうか。

 別荘に荷物を置いて、早速水着に着替えてビーチに出る。

 いやいや、一部の方は気合が入ってますね。

 ワンピースタイプが多い中、ほのかと美月はセパレートタイプでも上下に分かれて

るビキニっぽいデザインだった。美月なんて高校生とは思えない胸を強調したもので、

胸元が大きく開いていた。

 自分の魅力をアピールすることに躊躇はないとは、美月、恐ろしい子!

 ほのかはそこまで大胆じゃないものの、スタイルのよさが際立っていた。

 他の子達は、私も含めてワンピースタイプです。

 だってビキニタイプなんて、ポロリし易いでしょ?

 私とエリカはワンピースでも、スポーツタイプだし。

 雫と深雪は、女の子らしい花柄やらフリルが付いた可愛いやつだ。

 因みに可愛らしい花柄が深雪。フリルが使われている方は雫ね。

 男性陣?ブーメランじゃなきゃOKですよ。

 男性水着って競技用じゃなきゃ、どれも変わらないしさ。

 TPO弁えてれば、いいです。

 因みに、弁えてない人は、ここにはいないといっておこう。

 

 レオ君、幹比古君は、ただひたすらに泳いでいる。

 レオ君は純粋に楽しんでいるみたいだけど、幹比古君は自棄になってるっぽい。

「エリカ。幹比古君、大丈夫なの?あれ」

 泳ぎ方が荒いし、かなりキてると思うけどさ。

「ああ。大丈夫でしょ。達也君のお陰でかなり事情は改善したしさ」

 流石、幼馴染。把握してますな。

 じゃ、いいか。

 アッサリと、幹比古君のことは気にしないことにする。

「ねえ!あのビーチバレーってやつやろうよ!この前、アーカイブで観たけど、意外に

面白そうだったし、家にあったから持ってきたよ!」

 てっきり空気で膨らませるやつかと思ったら、本格的な競技用だった。

 どうして千葉家にあるんだろうか…。剣術の名門だよね?

 男性陣は達也を除き、遠泳中で帰って来なかった為、女性陣でやることになった。

 ビーチでやるバレー擬きになるのかな?これ。

 私、ほのか、深雪チーム。相手はエリカ、美月、雫チームとなった。

「それじゃ、いくよ~」

 まずは私からのサーブで。

 ジャンプサーブを打ち込む。

 バシィィィィーーーーン。

 砂地なのにそんな音と共に、ボールが回転しながら砂に埋もれた。

 衝撃を逃がさずに打ち込んだだけのことはあるな!

 上手くスピンも掛かったし、完璧…。

「「「「止めましょう」」」」

 エリカ以外のメンバーから、サーブ一発で止める発言されたよ。

「普通に怪我するよ。あの威力」

 雫が淡々と告げる。

 結局、エリカと普通にバレー擬きをやった。

 だが、他の女性陣は全員海に避難していた。解せぬ。

 確かに、私達の周りだけ、砂がもうもうと立ち上り、ウエスタンな感じになってた

けど、設定した場所からボールは出さなかったんだけどな。

 

 達也は、疲れている訳じゃないだろうけど、水平線をボンヤリと見詰めていた。

 途中、女の子の水着に目がいっていたのは、ご愛嬌ということにしておこう。

 達也にそういう感情は薄いしね。

 達也だけは私達のバレー擬きに退避せずに、ボウっとしていた。

 私達のバレー擬きが終了したタイミングで、女の子達が達也のところに集まって

くる。そういえば、達也のハーレムっぽい姿って、原作じゃ、これ以降見掛けなく

なったよね。弟のモテ期を、しっかり目に焼き付けておこう。

 そうこうするうちに、そういう感情が薄い筈の達也が水着女子に囲まれたからか、

珍しくポカをやらかした。

 羽織っていたヨットパーカーを脱いでしまったのだ。

 ヤクザ系のチャララ~ンって感じの音楽が聞こえてきそうだ。

 達也の身体は筋肉美で終わる身体じゃない。

 身体中が傷だらけなのだ。それは洒落にならないレベルで。

 再成も完璧じゃない。

 命の危機や戦闘に支障が生じない傷は、そのままなのだ。

 ()()()()

 私の場合は違うが、迂闊に私のバージョンを達也に施せない。

 そんなものをポンと渡したら、四葉の連中がどんな反応するか考えたくない。

 だからこそ、再築でお茶を濁している訳だからね。

 そのヤバい身体を見て、私達家族を除いた女性陣が息を呑んだ。

 そりゃ、どうしたって思うよね。

「済まない。あまり気分のいいものじゃなかったな」

 達也は、すぐにヨットパーカーを羽織り直そうとしたが、それより速く深雪が動い

た。達也からヨットパーカーを取り上げたのだ。

 そう、恥じる必要なない。それは…。

「私達は知っています。お兄様がどれ程、ご自分に厳しい鍛錬を科しているのかを。

 私達を護ろうとした努力を、見苦しいなどと思いませんよ」

 深雪が穏やかな表情でそういった。

「私も思いません!!」

 ほのかがすかさず賛同する。

 流石は恋する乙女!立ち直りが早いね。

 しかも、ほのかにしては頑張って達也の手を握っている。

「大胆ですね…」

 美月が思わずといった感じでポツリと呟く。

「し~っ!いいところなんだから!」

 エリカがワザとらしく口に指を当てていったが、色々と台無しな感じだよ。

 達也と深雪のジト目がエリカに突き刺さる。

 エリカは、ナハハハなんて誤魔化し笑いで反省の色を見せない。

「いや~。ごめんね!達也君。変なリアクションしちゃって」

「その点は気にしなくていいよ。俺も少し配慮が足りなかった」

 達也は、その点はといったことから、茶化されたのは気にしろといっている

が、エリカは案の定黙殺した。

「まあまあ、お詫びに私も少し見せて上げるからさ!」

 エリカは水着の肩紐に手を掛けて、少し上げて見せた。

 美月が大慌てで止めに入ったが、勿論、本人は冗談で本気で見せる気はな

かっただろう。なのに、深雪は達也に冷たい笑顔で牽制し、ほのかは意味不明

な叫び声を上げて、達也の目を手で隠していた。

 

 いやいや。過剰反応だから。

 

 

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 そんなドタバタを経て、達也も泳いでいた。

 そんな嵐が去ったタイミングで、二人の男が帰還する。

 レオ君はいい笑顔だったが、幹比古君は何やら燃え尽きていた。

 そんな様子に美月が心配して声を掛ける。

「吉田君。大丈夫ですか!?」

 顔を伏せ気味に歩いていた為に、モロに美月の胸をガン見することになり、

幹比古君は慌てて顔を上げた。

 幸い、美月はその変化に心配そうにしただけで、胸をガン見されたことに

気付かなかったようだ。

「だ、大丈夫!ちょっと疲れただけだし!」

 胸をガン見したことを誤魔化すように、上擦った声で答える幹比古君。

「それなら、少し休憩したらどうですか?」

「う、うん!そうだね!」

 だが、ここで美月にとって悲劇が起こる。

 幹比古君が疲れていたのは、事実だったのだ。

 何しろ、体力お化けのレオ君に付き合ったんだから。

 少しふらつくくらい許される。

 そこで美月の水着を掴まなければ。

 芸術的な力加減で美月の胸がポロリする。

 幹比古君が天国を目撃するより早く反応したのは、私とエリカ。

 エリカはビーチバレーボールを蹴り、レオ君の顔面にクリーンヒット。

 私は幹比古君に物理的な蹴りを叩き込み、意識を刈り取る。

 そして、上がる美月の悲鳴。

 北山家のメイドである黒沢さんが、慌てずにどこから取り出したのかバス

タオルで美月の身体を素早く覆った。

 美月に大丈夫だからと、私とエリカの二人掛かりで宥めて、漸く落ち着か

せたのだった。

 

 それにしても、主人公でもないのにラッキースケベを発動とは。

 幹比古!恐ろしい子!

 

 そして、時を同じくして、達也と一緒に泳いでいたほのかが溺れかけ、

達也が救出したのだが、その際にどういう具合かほのかがポロリしてしまい、

救出の際に達也はバッチリ見たことは、報告しておこう。

 

 こっちは、雫がセコンドのようにほのかにアドバイスを送ることで鎮静化

した。

 

 

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 ほのかは、セコンド・雫によってチャンス!と思い直し、二人でボートに

乗っている。

 残された人達はといえば、顔面に氷嚢を乗せたレオ君。

 頬に氷嚢を当てた幹比古君。

 どんよりとした美月。

 不気味な笑顔の深雪。

 いや~。軽く惨事ですね!え?私の所為でもあるって?気にするな。

 流石のエリカも、隣の深雪に若干引き気味だよ。

 何しろ、不気味な笑みと共に、手近な場所にあるフルーツを手に取って、

シャーベットに変えまくっているしね。そして、表情を変えずに皆にそれを配って

いる始末。本当は文句をいいたいレオ君も、黙って顔を冷やしている。

「雫。悪いけど、少し疲れてしまったわ。お部屋で休ませて貰っていいかしら?」

「いいよ。気にしないで。黒沢さん」

 平常運転の雫は、黒沢さんに深雪の案内を任せる。

 そういえば、黒沢さんも私と雫を除けば平常運転だわ。

 穏やかな笑みを湛えて、平然と不気味な笑みを浮かべる深雪を案内するんだもの。

 そして、深雪と黒沢さんの背が見えなくなった瞬間、私と雫以外のメンバーが

大きく気の抜けた声を上げた。

 

 プレッシャーが半端なかったから仕様がないけど。

 

 

               6

 

 さて、一気に夜になり、夕食ですよ!

 夕食は浜辺でバーベキューです。

 いいよね!月夜の下、海辺で小波を聞きながら食べるって!

 風情があるっていうか、なんというか!

 流石は北山家だよね!いい肉だよ!

 香ばしい匂いが食欲をそそりますな!

 勿論、野菜もブランドだし!

 

 見ない振りをしても、皆の空気はどことなくぎこちない。

 その理由としては。

 

「達也さん!こっちのお肉が焼けてますよ!」

「あ、ああ」

 ほのかが攻めまくっているからだ。

 達也もその勢いに押され気味である。

 もう少し、普段のジェントルマンオーラを維持しなさいな。

 情けないな。

 

 さあ!皆も楽しもうじゃないか!

 折角の高級な食材バーベキューなんだからさ!

 

 

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 そして、定番のカードゲームが始まった頃には、どうにか雰囲気も落ち着いて

きて、皆、平常運転に戻っていった。

 私はカードゲームに参戦!していた。

 美月が弱いこと弱いこと。

 だって、もろに表情に出るんだもの。

 こうして美月最下位が何回目かの時に、雫から声が掛けられた。

「深景さん。ちょっと散歩に出ない?」

 え?私?

 正直、ビックリしたといっていい。

 九校戦でエンジニアを限定で引き受けたとはいえ、基本的にそれだけの関係で

しかなかったからだ。

 そりゃ、多少は仲良くなったとは思う。

 だけど、二人で散歩する程じゃない。

「…まあ、うん、いいよ」

 雫の目が真剣だった所為だろう。頷いたのは。

 

 どんな話されるのかね。

 

 別荘を出て、海辺を雫の後から歩く。

 星がよく見える。

「ごめん。付き合わせちゃって」

「いや、いいよ。何か話があるんでしょ?」

 雫の足が止まる。

 こちらにゆっくりと振り返り、これまたゆっくりと頷いた。

 私もゆったりと雫の言葉を待つ。

「意見を聞きたくて」

「何を?」

「深雪って、やっぱり達也さんのこと好きなの?一人の男として」

 意見というには直球な質問だね。

 そういえば、原作で直に本人に訊いてたっけ。

 で、なんで私に訊く。

「それって、本人いるんだから本人に確認したらいいんじゃない?」

 常識的には訊き辛い話なのは確かだけどさ。

「私もそれを考えた。けど、多分、深雪は本心をいわないでしょ?だから、傍で見て

きた深景さんに訊こうと思って」

 原作よりは、深雪はマシになった。

 でも、今日の反応からすると、完璧に納得はしていないのは明らかだと思う。

 そう簡単に治らないのは、心の問題なのだから、時間を掛けていくしかない。

「愛してると思うよ。家族としてね。ちょっといき過ぎてるのは確かだけど」

「本当にそう?」

 いやいや、雫の中で答えが出てるなら、私の話要らなくない?

「深雪って、深景さんのことが大好きだけど、達也さんのことは、少し深景さんと

違うように思えるよ」

「まあ、いいたいことは分かるよ。それよりもさ。気にしなきゃいけないことある

よね?」

 私の言葉に、雫が首を傾げる。可愛いな、全く。

「深雪がどう思うかなんて、関係ないってこと。本当に好きなら、愛してるなら、

そんな障害飛び越えて見せてよってこと。察するに、ほのかは今、達也に告白の最中

なんじゃない?」

 雫の目が泳ぐ。まあ、原作思い出したから、カンニングに等しいけどね。

「多分、達也は断るよ。それは、ほのかが悪い訳じゃない。ウチが面倒なドロドロを

抱え込んだ家だってことだから。寧ろ、ほのかが義妹ならいいなって思うよ。気が

早いけどさ。でも、好きじゃ、恋だけじゃ、ウチの事情の前に押し潰されるよ。

 それじゃ、弱いんだ。悪いけど、ほのかには恋がしたいなら、別の相手を探すこと

をお勧めするよ。どんなものが立ち塞がろうが、突破してやる!ってくらいじゃない

と」

 雫が目を見開いて、私を凝視している。

 まさか、私がここまで真剣に意見するとは思わなかったみたいだ。

 雫にしてみれば、軽く私に探りを入れるのが目的だったんだろうけど、それより

ヘビィな返答が返ってきてしまったという訳だ。

 個人的には、ほのかには頑張って貰いたい。

 でも、ほのかは優し過ぎる。

 押すことはできても、障害物を破壊する思い切りはない。

 それじゃ、ほのかの青春は浪費されてしまう。

 私もいくら弟の為でも、それは推奨しない。

 雫は驚きから立ち直ったようだが、今度は考え込んでしまった。

 そして、徐に顔を上げる。

「もしかして、本当の兄妹じゃない?」

 いきなりな発言に、私は思わず苦笑いしてしまった。

「いや、キチンと私達は血縁のある家族だよ。ただね。本物の家族になり損ねたんだ

と思う」

「深景さん…」

 私のしんみりとした言葉に、雫が言葉を失う。

 

 私達は仲良くなったが、どうしようもなく捩じれてしまった。

 

「まあ、ほのかにその覚悟があるなら、私は応援するし、援護もするよ?」

 私は、自分で撒いた暗い空気を吹き飛ばすつもりで、ウインクして明るくいった。

 ほのかは勿論、私は何より深雪にも楽しい人生を歩んで欲しいと思っているから。

 だから、応援するし、援護する。

 不健全な関係は、更なる捩じれを引き起こすに決まっているから。

 

 結局、話はそれ以上続かず、別荘に二人で引き返すことになった。

 

 

               8

 

 翌日です。

 あれから雫のアドバイスが再びあったのかは、私は知らない。

 だが、案の定、ほのかからの告白はあったらしい。

 わざわざ夜に報告してくれたよ。

「ある程度、俺の心の話もしたよ」

 達也は、そう平然といった。

 だから、私も持論を話した。

「達也。消されても感情っていうのは、生まれると思うよ」

 こればかりは、平行線を辿ったが、仕様がないんだろうね。

 感情を失っても、取り戻した例はある。

 少しでもほのかに対する好意があるなら、ほのかに覚悟があるなら、上手くいく

んじゃないかと私は思っている。

 魔法の枷なんて対処法なんて、いくらでもあるのは達也だって知っていることの

筈だし。最悪、力技も研究中であったりするし。

 それが主な使い道じゃないけど…。

 

 そしてビーチでは。

「達也さん!今日もボートに乗りましょう!!」

 ほのかは、いつになく気合十分な様子である。

 いつもは少女漫画風に花でも背負ってるほのかの背に、少年漫画のような炎が

見えるよ。

 もしかして…。雫、昨日の話、したのかね。やっぱり。

 雫の方を見ると、満足気だった。

 昨日の話で、更に押すとか。雫!恐ろしい子!

「ほのか。そんなにお兄様を連れ回すのもどうかと思うわよ?」

 そこでラスボスマイシスターが登場。

 若干の冷気が漏れてるよ?妹よ。

 普段なら、ここで腰砕け状態の筈なんだけど…。

「深雪!私!昨日裸見られちゃったんだよ!乙女の裸だよ!?このご時世にだよ!?

やっぱり、責任取って貰わないと!借りを返すと思って!深雪もそう思うよね!?」

 冷気もなんのそのズイズイ深雪に詰め寄る。

 ほのかの態度に驚いたのか、深雪の冷気が弱まる。

 珍しくマイシスターが勢いに押されてますな。

 そして、遂に…。

 そうたった一歩、だが一歩深雪の足は後退した。

 その隙に、ほのかが達也の腕を掴んで爆走した。

 速い…。

 他の面々が呆然とする程の速度だった。

 達也、引き摺られてたよ。身体強化、覚えたのかな?

 エリカですら茶化す暇がない程だよ。

 

「うん。恋は戦争」

 

 雫の呟きが矢鱈大きく聞こえた。

 

 

 

 

 

 




 達也の精神問題。
 というと別の話に聞こえてしまいますが、本当に
 戻らないの?と私は思っています。
 それを深景にいわせたかったというだけの回。

 そして、幹比古と美月は、この頃から接近します。

 あと二話位、短編書く予定です。

 気長にお待ち頂ければ幸いです。
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