私には見える 作:shion
入る店を間違えたと。
※後書きに人物紹介を入れ忘れていたので、付け足しました。
私には見える
私には現実では見えないものが見える。
こういう言い回しをすると、お化けや未来等を連想する人が多いだろう。だけどそんな非日常的なものではなく、一部の子供や大人が空想上で1度は見たことがあるものが私には見える。
そう、私にはステータスなるものが見えるのだ。
「どうしたの?お姉さん?」
「…ううん、何でもない」
例えるならばこの子。
偶然立ち寄ったカフェのカウンターでくつろいでいると、席がいっぱい空いているのに関わらず何故か隣に座って来た子で、名前を江戸川コナンと言う。
何故名前を知っているかって?…それは彼の頭上に名前が出ているからだ。
分かりやすく例えるならば、オンラインゲームの中でアバターの頭上に名前がふよふよと浮いて表示される感じだ。
因みに一度ターゲットを絞ると、目標物を視界に捉えていなくても一定の距離にいる限り情報を確認出来る。
そして今回、それを使ってこの不可解な行動をする子供を調べていたのだが…今まで見たことない現象が起こっている。
【江戸川コナン】という名前の後ろに【工藤新一】という名前が表示されているのだ。
これには驚いた…。
どれくらい驚いたかと言うと…コーヒーを飲む手が止まってしまい、【江戸川コナン】と表示される少年に先程の様に心配される程だ。
【工藤新一】…この名前は誰もが一度は聞いたことがある名前だ。
【工藤新一】とは、高校生という年齢で数々の難事件を解決していき、自らを平成のシャーロックホームズと自負する者で、ある日を境にテレビからぱったりと見なくなった人物である。
思わず【工藤新一】と表示される名前を選び情報を見てみる。
けれど、ステータスは現在機能していない事を示す「灰色」になっている。それでもステータスを見ていくと欄に気になる文字を発見する。
「幼児化…?」
「!?」
これは【江戸川コナン】のステータスにも共通して表示されていて、よほど重要なのか目立つように赤文字で表示されている。その他に共通する物を探していると『名探偵』だの『死神』だのいろいろと出てくる。
『名探偵』はいいけど『死神』ってなんだよ…。
『死神』という不思議な文字列に何となく嫌な予感を感じ、残ったコーヒーを飲みほし席を立ちレジへと向かう。
「お姉さん!これ落としたよっ!」
「えっ…」
後ろから呼ばれ、振り返ると【江戸川コナン】が白いハンカチを持っている。どうやら私はハンカチを落としたようだが、如何せん私は汚れが目立つ白地のハンカチは基本使わない。
おそらく先客が落としたハンカチだろう。違うという旨を伝えようとして、ハンカチを見て目を見開き固まった。
ハンカチのステータス欄に『GPS』という文字が表示されていた。
「…多分それは私の前に来ていた人のじゃないかな?」
「えー、でも僕お姉さんが落としたように見えたけど…」
何が起きているか状況が掴めないけど、とにかくあれを受け取ったらアウトだ。
「私、白いハンカチは基本使わないんだ」
汚れが目立つから。そう付け足してまだ何か言いたそうな【江戸川コナン】を置いてレジへ向かい店員を呼ぶ。「はーい」と言う若い男性の声が奥から聞こえる。どうやら入るときに対応してくれた女の人は休憩中なようだ。
「お待たせしました!」
そう良いながら、小麦色の肌をしたイケメンな男性が営業スマイルを振りまきながらレジにやって来るのに対し、私は驚き思わず店員の顔を二度見してしまった。
「…?僕の顔に何かついていますか?」
「…いえ、…別に…」
面食らった私は、店員の問いかけにたどたどしく返すことしか出来ず、店員に怪訝そうな目で此方を見られながら会計をする。
どうなってんだこの人…。
先程のGPSの事などとうに忘れて、その人の頭上に表示される文字列について考える。
【安室透】【バーボン】【降谷零】
この人たちに一体何が起こってるんだ?
私は死んだ目をしながら会計を終えるとポアロを後にした。
見えちゃう人
偶然訪れたカフェで名探偵に出くわす。口から溢れた『幼児化』と言う言葉には気がついていない。
死神な名探偵
実は前に事件の時に会っており、その時に少し違和感を覚え隣に座る。『幼児化』という言葉を聞いてドキリとし思わずハンカチとGPSを取り出す。
イケメンな店員
会計の際に二度みをされ何だこの人…って思う。自分の顔に自信があるためそこまで疑問に思わない。後にコナンから話を聞いて身辺調査を始める。