私には見える 作:shion
色々許せる心の広い方向け
~追記~
誤字報告をくださった方々ありがとうございます!!
~追記の追記~
《萩原・松田さん救済済みで登場します》
後悔先に立たず。
服に付いていたアレを、ハンマーで原型が無くなるまで叩き潰した。叩き潰すだけなら良かったのに、トイレに流してしまった。…あの日以降、よくその言葉が頭を過る。
あの時の自分を殴りたい。
目に入れたくない一心でトイレに流してしまったが、当然翌日に頭を抱えた。あのガムを警察に届ければ、恐らく付けた犯人を特定出来た筈…そうすれば引っ越しをする事もなかった。
住み始めてまだそこまで経っていないのに引っ越し。正直金銭面的にかなり厳しかった。それに追い討ちをかけるように、米花町以外の物件を探してもなかなか良い場所は見つからず。
結局米花町内での引っ越しになり、オートロックのマンションに住むことに。…一見オートロックと聞くと高いと思うが、同じ条件で他の町と比べると何故だが此方の方が断然安い。
一応事故物件かとも思い聞いてみたが、そういうのではなく女性の1人暮らしを応援~とかと言うことでお値段が他より安いらしい。
…取り敢えず、『女に生まれて、よかった~』とあの芸人の声が脳内再生されたのは悪くないと思う。
**********
休日の昼間、荷ほどきはまだ全然終わっていないがお隣に人の気配がするので引っ越しの挨拶に向かう。
ピンポーン
『はー…い"!?』
「あっ、隣に引っ越して来た者ですが…大丈夫ですか?」
蛙を踏み潰したような声がインターホン越しから聞こえてくる。…恐らく男の人のだろう。私の問いかけに一拍置いて「大丈夫」と言いプツリと音を立てて聞こえなくなる。思ったよりお隣はフランクな人なのかな?
ガチャリと音をたててドアが開く。
出てきたのはイケメンの若い男の人だった。
…いや、それだけならよかった。
「ご丁寧にどうも…」
「いえこちらこそ挨拶に遅れてすみま」
男の人の頭上に浮かぶ其を見て言葉に詰まった。
【緑川唯】【翡色光】【スコッチ】
ばんなそかな…。
最近色んな事に遭遇して慣れてきたと思ったが、不覚にも動揺してしまう。『GPS』のせいですっかり頭から抜けてたけど、引っ越し先にこんな伏兵が居るなんて考えてなかった…
「…大丈夫ですか?」
「あ、いえ、すみません…」
そんな挙動不審な私の様子を見て、イケメンは心配そうな顔をしてこちらを見てくる。普通に返答したつもりだが、ちゃんと出来てるだろうか?
…つうか【スコッチ】って確かお酒の名前だよね?
何でお酒の名前が…昔付けられた悪いあだ名とか?
「これ、宜しければどうぞ」
「あっ、どうも…」
とにかく、長居は無用。
頭の中でサイレンが鳴り響いているので、渡すもの渡してとっととトンズラしないとヤバい。今までの経験上、名前の複数持ちは高確率で面倒事を運んでくる。
「これから宜しくお願いします…では」
「っ…あの!」
退散しようとしたら、手を掴まれ引き留められた。
オイ、止めろ。勝手に触るな。
「何処かで会ったこと…ないですか?」
「はい…?」
思わず笑顔がひきつる。
イキナリナニイッテルノコノヒト…
「あ、いえ、ナンパとかじゃなくて…」
恥ずかしいのか頬を薄く赤らめるお隣さん。
そこ気にするのはいいけど、正直手を離して欲しい。
目でうったえてみるが、そんな事には気がつかず「覚えてませんか?」と、さながらゲームのNPCの様に似たような質問をしてくる。
何この人…怖いんだけど。
「すみません…恐らく初対面かと…」
「そう…ですか…」
ちょ、手に力入って、ギリギリ言ってる。
痛い!!折れる折れる!!
「いたっ」
「…!すみません!!」
手を握っていた事を忘れていたらしく、慌てて手を離し謝罪するお隣さん。うわっ、手首赤くなって痕が…ヤバいこの人本気にヤバい。
「冷すもの持ってくるので待っててください!!」
「え、あのっ!?」
赤くなった私の手首を見て青ざめたお隣さんは、慌てて家の中に入って行く。あの慌てる様子からして、多分私の制止は聞こえていないだろう…でもさ、
私の家、隣なんだけど。
怖いから、このまま帰っちゃ駄目かな?…いや、でもお隣さんだから、今勝手に帰って後から家に押し掛けパターンとかになったら怖いし。…それに引っ越したばかりなのにトラブルに発展したら色々住みづらくなるからな…
そんな事を考えながら、玄関前で棒立ちしていると横から男の人達の声が聞こえてくる。その声は段々と近づいて来るので、チラリと声の聞こえる方を見た。
「「あ」」
目があって互いに声が出た。
【萩原研二】
その頭上に標示される名前には見覚えがある。
「あの時の「あの時服着てなかった人っ!!」」
「ブフッ!!」
「は!?」
まさかそう言われると思っていなかったのか、驚きフリーズする【萩原研二】。けれど、直ぐに腹抱えて笑っている連れのグラサンの頭を叩き再び此方を見る。
「俺が露出狂みたいな言い方やめろっ!!」
「だって、本当に着てこなかったじゃないですか…」
爆弾処理には欠かせない防護服を着てこなかったこの人。あの時はちょうど爆弾マニアの友人宅だったから、遠隔操作可能って事をいち早く察知できたけど、もし居なかったら爆発してた可能性もあったぞ。
「だからって!!」
「…?なあ、あんた」
「はい?」
「それ、どうしたんだ?」
あれだけ腹を抱え大笑いしていたグラサンが、突然真顔になり指を指してくる。不思議に思いそれを辿ると赤くなっている手首にたどり着き納得する。
…そういえば忘れてた。
「実は「おまたせっ!!」…どうも」
ちょうど良く出てくるお隣さん。
手に持っているのは、氷の入ったビニール袋。
笑いながら私に渡してくるけど、それ用意するだけでこんなに時間掛かる?もしかして狙った?余計なこと言うなみたいな?
「…?萩原に松田こんな時間にどうしたんだ?」
「こっちに用があったからついでに遊びにきた」
oh…知り合いでしたか。
それに何か滅茶苦茶親しそう…って、あれ?
来たこと認知してないってことは、どうやって入ったの?…まさか入る人に紛れて一緒に入ってきたのか?え…そうだとしたら、警察平然とそういう事していいの?
…何か知らない間に三人で盛り上がり始めたので、このままだと邪魔になるだろうし帰ろう。いや、帰らせてください。
「では、私はこれで」
「あ、ちょ!」
盛り上がっている三人に小さく呟いた筈なのに聞こえていて、呼び止められるという現象。
さっきは聞こえてなかったくせに…
「あの、何かあったら相談してくださいね…」
「…ええ、どうも」
心配そうな顔から嬉しそうな顔をするお隣さんに対し、引きつるであろう私の顔。そしてそんなやり取りを見た後、私を見て何故かニヤニヤする萩原さん。
おい、何処にニヤニヤする要素があった。
それともあれか?
さっき私が言った事への当てつけか?
色々と言い返したいが、如何せんこの場から立ち去りたい方が勝ってしまい、結局その場から逃げる様に背を向け家に入る。
折角引っ越しをしたのに、その隣がヤバい人とか…本当にないわ。つうか、引っ越しして逆に状況悪化してない?
あのまま引っ越さない方が良かっ…いや、住所特定されてるからそれは無いか…何かもうどうすれば良いか訳が分からなくなってきた…
とりあえず、あの隣人からは距離を置いておこう。
其だけは確か…な筈。
見えちゃう人
引っ越ししたからって油断していた人。奇跡的に再開を果たすが、本人は酒で記憶が殆ど飛んでいる為気がつかず。初対面の筈なのに、グイグイ来るお隣さんに色々と恐怖心を覚える。地味に心の闇を抱えた人と勘違いされてる。
お隣さん
インターホン越しに移る姿を見て驚いた人。自分を見て動揺したので、もしやと思い聞いてみるが玉砕。手を掴んだのは無意識との事。過去に自殺を図ろうとした事も考慮して「何かあったら相談してください」と言うが、言動のせいで逆に距離を置かれる。何故だ…。
萩原研二
危うく露出狂という汚名を着せられそうになった人。
友人と引っ越してきた人とのやり取りを見て、おや…?って思う。後で友人に色々聞いて、見かけたら話しかける様になる。
グラサン
手の痕の事を聞いてとりあえず友人を軽く絞める。
ステータス先輩
通常運転
~解説的な何か~
今回は主人公が引っ越しの挨拶でお隣の家に行く。
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お隣さんの名前が複数ということで、何かを察知…逃げようとする。
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けれど、腕を捕まれて質問をされる。←ここで腕を負傷
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冷やすものを持ってくるということで、家に引っ込むお隣さん。待っていると近づいてくる男性の声が聞こえそっちを向く。
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【萩原研二】とグラサンこと【松田陣平】(初対面)とだったらしく、前に爆弾処理時に防護服を着てなかったことを露出狂の様に指摘。
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その指摘に驚く【萩原研二】に対し、ただただ腹を抱えて笑う【松田陣平】に腹を立てて【萩原研二】が【松田陣平】を叩く。
↓
【松田陣平】が主人公の手に気がつき指摘。説明しようとするとお隣さんが"タイミング良く"出てくる。
↓
【萩原健一】【松田陣平】お隣さんで話が盛り上がっているので逃げようとする。
※主人公は基本松田さんの名前は見えていますが、知り合いでもなければ危なそうな人でもないので名前で呼びません。
ごちゃごちゃしてて見にくくて申し訳ありませんでした。