私には見える   作:shion

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お久しぶりです。
多忙によりコメントの返信は出来てませんが、励みにさせてもらっています。徐々に修正等出来たらと考えています。
次回予告については、以前の話で微量に触れていたりします(どうでもいい)
追記:誤字報告ありがとうございます!
追記の追記:評価について、低評価を付けてくださる方は是非とも気に入らない点や改善点などを書き込んでくれると嬉しいです。ただただ気に入らないでポチっ…は、主の心がブレイクしますので…。
追記の追記の追記:《キッドの父親救済描写あり》


私には見えない

手品ショー…それは老若男女問わず誰しも少しは興味があるだろう。逆に興味がないという人は少ないと思う。

 

そんな私もその大多数の一人で、友人と人生初の手品師のショーを見に行ったことがある。

 

私は今でもあの光景が忘れられない。 今思えば、それは自分のことしか考えていなかった私への天罰だったかもしれない。

 

それは脱出マジックの時に起こった。

 

普通の人の見方なら、いつ脱出するのか…脱出出来るのかを今か今かと緊張しながら待つだろう。

 

だが、私の場合は見方が違う。

 

その張本人を一度視界に捉え、反射的にステータスを開いてしまったので、水槽越しにステータスが見えてしまう。

 

察しの悪い人でも気がつくだろう。

 

リアルタイムで弱っていくのが分かるのだ。

 

しかも、不安を煽るかのように【活動限界まであと──】という表示までされるのである。

 

結果的には、私が耐えられず騒ぎ立て乱入した。勿論警備員に止められたが周りも不審に思い確認し、水槽の中で窒息しているその人が発見された。

 

その後…色々と取り調べを受けたりもしたが、友人の証言もあり無事に解放。しかしその翌日になり、その人が亡くなったとニュースで報道された。

 

私が人の目や恥を気にせず、特攻隊のように特攻し騒ぎ立てていれば恐らくその人は死ななかった可能性が高い。

 

救えたはずの人を見殺しにした。

 

その事実だけはどう足掻いても変わらず、私の記憶に残っている。

 

私の人生で最初で最後の手品ショーは、消したくても消せない…そんなものになった。

 

 

 

 

 

*********

 

 

 

平日、お昼の公園。

 

そこには大人から子供まで様々な人がおとずれ、各自自由な時間を過ごす。

 

デート、ピクニック、ボール遊び、手品まで様々…

 

そんな私は、彼氏と楽しそうに会話をする…何て事は絶対に無く、一組のリア充のステータスを見つつ、お昼ご飯をしばき今日も死んだ目になる。

 

最近の若者は本当に凄い。

 

あんな仲が良さそうなカップルだけど、ステータスがぶっ飛んでいる。男性には『三又』で、女性には『五又』と表記されている。

 

近年希に見る狐と狸の化かし合い…やっぱり人間って怖いわ…特にイケメン。この間のこともあるし、いつ豹変するか分からないし。変わらないのはご飯の味だけだ…うん、美味しい。

 

そんな呑気なことを考えながら、最後の一口を食べているといきなり視界に『DANGER』という文字が浮かんだ。

 

え、ナニコレ…

 

「お姉さんあぶない!」

 

「へ?ぐぶっ」

 

子供の声が聞こえてお弁当から顔を上げると、何かが吹っ飛んで来て顔面に命中する。

 

サッカーボールだった。

 

「っ~!」

 

避ける運動神経など無く、見事顔面で受け止め反射的に抑え悶絶する。

 

「やばっ!」

 

「逃げろー!!」

 

おいコラ、逃げんな!!

 

走って逃げていく複数の足音がする。声からして、小学生くらいだろう…追いかけたいが、激痛で悶絶しか出来ない。

 

「お姉さん…大丈夫?」

 

…踞ってからどのくらい経ったのか、人の心配する声でふと我に返る。上から「これ、よかったら使ってください」と、声の主が何かを差し出しているので、痛みは取れていないが何とか顔をあげる。

 

「…?」

 

差し出されたのは、ハンカチでもなければティッシュでもない。

 

何故か一輪のバラだった。

 

思わず「貴様…正気か?」という台詞が脳内再生されるが…

 

ポン!

 

「!?」

 

いきなりバラが小さな音と、煙を立ててハンカチに変わった。

 

「へへっ、驚きました?」

 

「……」

 

驚いて目が点になっているだろう私に、上から愉快そうな声が降ってくる。……有り難いけど、絶対反応を楽しんでるでしょ。

 

何ともまあ…手間の掛かることを。

 

「…あ"り"がどう"ござい"ま"ず」

 

とりあえず、差し出された行為は素直に受け取る。押さえていた手を離すと、幸いにも鼻血は出ていない…が、口が少し切れたのかヒリヒリとする。

 

「うわっ、ゴムボールだったのに…思ったより酷いですね」

 

あれゴムボールだったのか…つか、あの威力でゴムボールって本物なら頭吹っ飛んでたんじゃ…

 

「口が切れただけですから…骨が折れなくてよかったです」

 

口を拭きつつ辺りを見回すと、足元にバックドロップした弁当と少し離れた所に吹っ飛んできたであろうボールが転がっていた。

 

「あいつら…許さん」

 

とりあえずお弁当箱を回収、飛び散った箸とお弁当カップを回収するべくしゃがみこむ。…これ、もし食べ終えてなかったらいろいろ飛び散って大変なことになってたわ。

 

回収している最中にチラリと青年を見る。

 

また手品を見ようと、青年の回りに子どもが集まっていた…が、子供たちの残念そうな声が聞こえる。すると興味を失ったのか、子供たちは蜘蛛の子を散らすように居なくなってしまった。

 

「手品……」

 

手品には良い思い出がない。

 

いや…正確には一度しか見てないが、その一度でトラウマになってしまった。それ以降はトラウマが蘇るので、成るべく手品を見ないようにしている。

 

一通り拾った後、辺りを見渡し拾い残しが無いと確認して青年を見る。何故か青年に見られていたらしく、少しビビる。

 

「はい、お姉さんこれ」

 

「えっ?」

 

手渡されたのはイヤリングだった。

 

おまっ…いつの間に…

 

思わず自分の耳を触ると、先程ので吹っ飛んだのか片耳だけ外れていた。

 

「落ちてたから、お姉さんのかなって…」

 

顔面にボールが直撃したのに、イヤリングってそこまで弾き飛ぶ物なのか…?

 

「あ、ありがとうございます」

 

とりあえず、私の着けていた物に変わり無いので差し出されたイヤリングを素直に受け取る。友人からの貰い物で年期が入っているが、見た感じは変形や破損は無い。

 

片方だけだと不格好なので、次いでとばかりにもう片方も外してポケットに突っ込み顔を上げる。

 

──すると今度はバチリと目とあった。

 

ひっ…

 

え、なに、怖い。 何かそんな凝視するような要素あった?

 

「お姉さんもしかして…」

 

何故か強い眼力でこちらを見てくる。 それ以上見られると穴が空くからやめてくれ…胃にも顔にも。

 

「手品見たかった?」

 

どうしてそういう結論に至った。

 

私見たいとか一ミリも思ってないわ。 つか、それと正反対の事しか考えてなかったわ。

 

やっぱりイケメンの思考回路は理解出来ん。

 

「さっきこっち見てたから」

 

「…いえ、ただ私のせいで空気を壊したなら申し訳ないと思って」

 

「やりたかったからやっただけ」

 

「それにそろそろ止めようと思ってたし」と付け加える青年…基イケメンはニヒルな笑みを浮かべる。

 

普通ならその笑みを見て、年頃の子は顔を赤らめるなど可愛い反応をするんだろう。

 

私知ってる…こういうのを無自覚タラシっていうのを。

 

最近〈イケメン=厄介事〉という方程式が確立しつつあるので、私の中の何か大切な物がすり減っていくのを感じる。

 

「もしかして…お姉さんって手品嫌い?」

 

「えっ…」

 

さっきの無意識に声に出ていたのだろうか…思わず口を手で塞ぐが、その動作がその問を肯定していることに遅れて気がつく。

 

間抜けか私。

 

「ははっ、やっぱり」

 

いたずらが成功したように喜ぶ青年…私は全くもって解せない…そういうのは彼女にでもしてあげ差し上げろ。

 

「…どうして分かったんですか?」

 

とりあえずその喜び様が解せないと、自分が声に出していたのかを確認するために聞いてみる。

 

もし声に出ていたのであれば、最悪ガムテを貼ってマスクで隠す事も考えなければ…

 

「あー…手品って言ったとき、顔色が突然悪くなったから」

 

まさかのガムテ以前の問題だった。

 

私よ、いつからそんなに表情筋が緩くなった…ここに来たばかりの頃は、逆に表情が硬いとか言われてただろ。

 

そんな私の思考とは裏腹に、歯切れの悪い青年は「手品で何かあったの?」と小首をかしげこちらを見てきた。

 

「いえ、特には…」

 

思わず反射的に即答する。

 

この流れ私知ってる…内容の薄っぺらい乙女ゲームとかによくあるやつだわ。自分の過去を何故か、そこまで面識の無い人に赤裸々に騙っていくイベントみたいなの。

 

というか、顔色悪くなったって思うなら掘り下げないで放置していた方がいいのでは??

 

あれ?これって私がおかしいの? 頭の中で思考がぐるぐるしているせいなのか、視界が歪んで見える…それに併発して頭痛が痛く感じる。

 

「……本当に顔色悪いけど大丈夫?」

 

心配そうな表情を浮かべる青年に「お前のせいだわっ!」…なんて声を荒上げる勇気など無い。いや、端から見たらただのヒス女にしか見えないだろう。

 

「大丈夫です…ありがとうございます」

 

ですから、お帰りください。

 

それでも何故か食い下がってくる青年に、SAN値をゴリゴリと削られていると電子音が鳴った。

 

「あっ」

 

何処からなってるのかと辺りを見渡すと、置いておいたスマホが鳴っていた。思わずかけよって画面を見ると、休憩時間終了間近のアラームであった。

 

「やばっ!」

 

まだ片付けも終わっていない事に気がつき、急に現実に戻される。青年は突然慌てだした私を見て、口をあんぐりとさせて呆気に取られている。

 

「すみません!仕事ですので失礼します!」

 

「えっ、あ、ちょ」

 

状況が状況だか、都合がいいのでそんな青年に畳み掛けるように挨拶をして走り出す。青年が何か言っていたような気がするが、それよりも今は仕事の方が大切だ。

 

青年から逃げるように街中を慌ただしく走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──唐突に違和感を感じた。

 

それが何かは分からない…けれど、何かに対して確かに違和感を感じる。

 

まるで今まであった何かが突然無くなった何かが突然無くなったような(・・・・・・・・・・・・・)…そんな疑問を走りながら感じる。

 

しかし、その違和感が何なのか…走っているせいか考えが纏まらず今の私には見当もつかない 。

 

ふと付けていたイヤリングを思い出す。 今はポケットに入っており、それを主張するように少しだか確かに重みを感じる。

 

時間に追われていた私は、違和感の正体を考えながら会社へと走り続けた。

 

 




見えちゃう人

最近離婚した先輩が祟り神と化してるので、今回は公園へ足を運ぶ。結果サッカーボールが命中、無自覚タラシに絡まれてまたもやSAN値が持ってかれる。ハンカチの借りパクには気がついていない。とあるショーを見て以来、手品に対して抵抗があり自ら見ようとは思わない。イヤリングはその後、友人に貰った物でもある。

違和感の正体…とは…

地味にパクられた人

私用があり米花町までやってきた…が、都合が会わなくて近場の公園で時間を潰してた人。派手な音が聞こえて見てみると女の人が蹲っているので、持ち前のスキルで駆け寄ってハンカチを差し出す。 因みにお父さんは健在…だが、死亡報道でトラウマを受けた人がいるとは毛頭思っていない。













次回:乗ったバスがバスジャックされる
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