レイと出会ったイベント大会から1週間ーーー
シロはレベル上げに専念していた。
武器と防具をそろえるお金と経験値がとにかく不足していたので、暇があればログインしてフィールドへ出ていた。
この1週間の間にさまざまなイベントがシロとレイに起こった。
まず、ツェリスカの出会い。
シロとして、初めて彼女と話した。
迷子になったレイを彼女と彼女のアファシス「デイジー」が保護してくれていた。
今もソロで活躍しているらしく、アファシスについて色々アドバイスをしてくれた。
次に、バザルト・ジョー。
古風な性格で暑苦しい所はあるが、悪い人ではないらしい。
そんな彼が、レイを気に入ったから譲れ。と交渉して来た。
初めシロは冗談で「いくらまで?」と言ってレイを驚かせていたが、最終的には断った。
すると彼は、フィールドに出たシロを待ち伏せて勝負をしかけてきた。
シロはジョーには勝ったが、彼はランク上位に入るくらいだから、それなりに強い。
ニュービーのシロにハンデをくれていたのかどうかは、彼にしか分からない。
ーーーそして、今日。
いや、今日も。
フィールドに1人出たシロに背後から熱い視線を送る、バザルト・ジョーの姿があった。
好意的な視線ではない。隙あらば、シロに攻撃を仕掛ける気でいる。
それでも彼は背中から撃つような不意打ちだけはしない男だ。
だからこそ、ここ数日シロに熱い視線を送っている。
「…もう隠れる気すらないなぁ。」
シロは探索スキルなど高くない。
それでも発見出来るという事は、相手に隠れる気がないのだろう。
うっとおしいが正直、彼に構ってる余裕はない。
なぜなら、シロにはレベル上げと同時に大切な事があるからだ。
レイのアファシスパーツの収集。
どうやらSBCフリューゲルへ行く為には彼女のパーツを集めて、完璧なアファシスにしておく必要があるらしい。
《らしい》というのは確実な情報はなく、大体がレイの証言だからだ。
情報が少ないなか、アファシスである彼女の言うことは参考にしてよいだろう。
そんなわけでクレハがログインしていない時はフィールドへ出ている。
そんなとき、
シロにメッセージが届いた。
送り主は、クレハ。
『シロさん、シロさん。ログインしたからホームで待ってるね。』
メールウィンドウを閉じたシロは、バザルト・ジョーの方を向いて叫んだ。
「クレハ来たからグロッケンに戻ろうかなー。」
もちろん、返事などない。
まぁ彼に届いていれば、良いか。と転送ポートからホームへ戻って行った。