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「ようこそ。ここが僕のホームさ。」
イツキがそう言いながら、中を案内してくれた。
イツキに向かって、モヒカンやガスマスクを装着してるプレイヤー達が口々におかえりなさい。と挨拶を送っていた。
「お客さんですか、イツキさん。お茶用意しましょうか。」
「ありがとう。僕の友達だからもてなしは自分でやるよ。」
奥のテーブルへ案内され、クレハとシロは少し緊張気味に座った。
レイだけは何も考えてないのか、とても楽しそうにしている。
残った空席にイツキは座った。
「荒っぽい連中ばかりで驚いたかい?」
「GGOらしい人たちですね。」
「キミの言う通りだよ。腕はかなりいいけど、性格は難アリなのが多いかな。」
「あんたはまだ知らないだろうけど、イツキさんのスコードロン《アルファルド》は有名なんだよ。」
クレハの説明にへーそうなんだ、と頷くシロ。
「集団戦ならGGOでもベスト5に入る強さで、トッププレイヤーでなければ加入出来ない、って話もあるくらいよ。」
「はは、我々のスコードロンにそういったルールはありませんよ。全てはリーダーのイツキさん次第ですから。」
そう説明を足してくれたのは、イツキの後ろに控えている白いコスチュームの男性。
「申し遅れました、私はパイソンと申します。以後お見知りおきを。」
「彼はアルファルドの実質的なまとめ役さ。僕はたいていフラフラ遊んでいるからね。」
「ご冗談を。みんなイツキさんを慕ってきた者ばかりです。」
「イツキさんって、強いし、頭もいいし。人望があるのも納得ですね。」
クレハがイツキを褒めちぎる。
(違うよー、クレハ。最後に「腹黒い」が抜けてるよ。)
心の中でツッコミを入れるシロ。
「人望ねえ。なんかうさんくさいなあ。僕はみんなの夢や話を聞いてあげただけなんだけど。」
(イツキが人のこと言えるのかああっ)
心のうちを言いたいけど、こんなにイツキを慕ってる人達の前では言い出せない。
「みんなに認められたい、かっこよくなりたい、銃を撃ちたい、戦場を味わってみたい。
ーー何より、強くなりたい。強者として頂点に立ちたい…とかね。
はは。不思議だね。仮想空間だから実現できると思っているのかな?」
「お、おかしいですか?こういうのって普通だと思いますけど。」
「クレハ、イツキさんの言うことを真に受けたらダメ。」
明らかに動揺しているクレハを心配するシロ。
「普通か…その定義がなんなのかによるけど、VRMMORPGのプレイヤーの多くがそうなのだからーー。うん。GGOにおいて、それらの願望は普通と言えるだろうね。」
「そ、そうですよ。他にも…銃を使ってみたかったり、友達欲しいとか理由はいろいろでしょうけど。」
「なるほどね。つまり、誰もが何かしら求めるものがあって来ているという訳だ。
この広大で無限の可能性を秘めたGGOへ!…なんてね。
はは。我ながらかなり青臭いな。」
(はい、ドン引きなくらい臭いです。)
「ちなみに、君たちがGGOに来た理由は?」
この問いにクレハはガンゲーに興味があったからと答える。
「イツキさんはなんでGGOに?」
「たいした理由は無い。退屈を紛らわせる為さ。シロ、きみはどうなんだい?」
どうもこうもなぁ…とシロが答えようとすると、
「シロはあたしが誘ったから来たんだものね。特に理由はないんじゃない?」
クレハが代わりに答えてくれた。
「へえ、君たちはリアルでの知り合いなのか。じゃあGGOを続けているのはただの付き合い?」
「そういうわけでもないですよ。」
「じゃあ、キミがGGOを続ける理由が見つかったら教えて欲しいな。キミはもしかすると普通ではない答えを見出すかもしれない。」
そこから、イツキは楽しそうな顔をしながら提案した。
「そうだ、キミが答えを出す過程も見てみたいなぁ。よかったら、うちのスコードロンに入らないかい?これは僕のカンだけど、キミは将来、何かとんでもないことを成し遂げそうな予感がするんだよね。ま、あくまでカンなんだけど。だから、どうかな?」
そこでやっと、パイソンが止めに入る。
「イツキさん。初心者のスコードロン入りというのはいかがでしょう。他のメンバーの士気にかかわります。」
「高レベルプレイヤーしか加入できない…なんて規則を僕は作った覚えは無いんだけど。」
作った覚えはないだろうが、どうせ「強いメンバーを集めておいてくれ」など適当なことを言ってる姿をシロには予想がつく。
「スコードロンに入るつもりはないです。」
「了解。無理強いをする気はないよ。けどさ、キミの友達になるのは構わないだろ」
「イツキさん!」
イツキの気まぐれに焦るパイソン。
「なら決まりだ。僕がキミのパーティーに入るよ。」
「「!?」」
さらに驚くパイソンとクレハ。
イツキは笑顔で歩み寄ると、
「そうと決まれば、早速フレンド登録しよう。」
シロに、拒否権は、なさそうだ。