SAO フェイタルバレット   作:玄神

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25.5話 いたずらごころ

キリト達がSBCフリューゲル攻略の話で盛り上がっている中、シロは市街地へ行こうと外へ出る。

「シロ、ちょっといいかな。」

 

シロを呼び止めたのはイツキだった。

「あれ、みんなと話さなくていいの?」

「僕は賑やかなのは苦手でね。…それより、ちょっと気になる事があって。」

 

 

2人はシロのホームへと移動して、イスに座った。

「おめでとう。やっとフリューゲルの攻略が始まるね。」

イツキの言葉に、シロは嬉しそうに頷く。

 

「呼び止めた理由が…このアイテムなんだ。」

イツキがアイテムメニューの画面をシロに見せる。

そこには《???》と書かれたものが1つ。

 

「これってエギルさんがよく鑑定してくれるアイテム?」

「いいや、それとは違うらしい。彼には前に一度、鑑定してもらった。」

「でもアイテムが何なのか分からなかった。」

「その通り。」

「うーん。未確認アイテムじゃないとすれば、考えられるのは…」

「クエストのキーアイテム、それか使用方法が決められてる特殊なアイテム…」

「その可能性は高いね。どこのフィールドで拾ったの?」

「…。これは、君がくれた物だよ。」

 

シロがイツキに渡したものといえば、エリオス時に手渡した《赤い鉱石》。

「あー、あれか。」

「そう、あの赤い鉱石だ。それをちょっと手を加えてね。そうしたら、名前が今の状態に変化したんだ。」

「へー。加工できたんだね。ちょっと調べてみても良いかな?」

「構わないさ。その為に君に話した訳だし。」

イツキは《???》をシロのアイテム欄へうつす。

シロは移動したのを確認して、《???》をタップしてみた。

 

すると、《???》の表示が、《紅の薔薇》に変化した。

 

「えっ!?アイテム名が変わった!」

「アイテムを出してごらん。」

驚くシロとイツキ。

シロは言われた通り、《紅の薔薇》を選択する。

 

シロの目の前で装飾された箱が、光って姿を現した。

手に取ると、意外に重みを感じる。

「開けてみるね。」

イツキに確認を取り、蓋を開ける。

「「これは…」」

 

薔薇の形をした、赤いカフスが、2つ入っていた。

 

「アイテム欄に説明やステータス値はのってるかい?」

「ちょっと待って…。」

 

シロはアイテム欄を目で追う。

「…。」

「…。」

「…シロ?」

「…。」

イツキも気になって、シロの方へ体を寄せてアイテム欄を見る。

 

『《紅の薔薇》:大切な人へ贈ることで、初めて姿を現す貴重なもの。』

 

大切な方と、1個ずつ身につけることで良いことが起きるかもしれません。

 

と最後に、文章が続いていた。

 

「と、取り敢えず、エギルやリズベットにこのアイテムを見せてみようか!」

「僕も一緒に行くよ」

 

2人は再びキリトのホームへーーーー

 

リズベットにカフスを見せて、何か聞いた事無いかと、尋ねた。

リズベットが知っていたのは、噂に聞くクエストの内容だった。

 

「恋愛成就のクエスト!?」

「何だいそれは?」

「たまにあるじゃない。カップルが一緒に何かをしたり、同じ物を身につけたり…。すると、その二人は永遠に結ばれるっていうイベントよ。」

「…。」

 

リズベットが言うには、赤い鉱石を手に入れた時から、このクエストは始まっていたのかもしれない。

エリオスがイツキに譲ったこと、イツキが鉱石に手を加えたこと、それらが偶然重なって、発見出来たクエストだ。

 

「それで?シロはそれを誰に渡すつもりなのかしら?」

リズベットはニヤニヤ笑いながら、カフスを返す。

 

「ははは…。教えてくれて、ありがとう。」

「ちょっと、シロ!」

受け取ったあと、シロはごまかしながらホームを出て行った。

イツキもリズベットにお礼を言って、シロの後を追う。

シロはホームを出て、すぐの通路のすみに立っていた。

 

「シロ?」

「…イツキか。これ返すね。」

カフスの入っている箱を渡そうとする。

「君が大切と思う人に渡せばいいよ。」

「元々、イツキにあげた物だし。」

「…そこまで言うなら、持っておこう。」

 

イツキは箱を開けて、カフスをひとつ、取り出す。

「それで、シロ。」

「なに?」

「僕は、君に、ひとつ持っていて欲しいと思ってるんだ」

 

イツキはそう言いながら、シロの右手にカフスを乗せる。

「!」

「貰ってはくれないかな。」

「…。」

「もちろん、嫌なら断って欲しい。」

「嫌、では、ないよ…」

「ありがとう。」

イツキの笑顔が、いつもの含み笑いではなく、自然な笑顔に見えた。

 

「こっちへ、おいで。」

「自分で、つけれるよ。」

「今までカフスをつけたことあるのかい?」

確かに、つけたことないし、つけ方もピンと来ない。

 

イツキはシロの手首を軽く引っ張り、自分の体へ寄せる。

シロの襟に、カフスを付けてあげる。

「…近い。」

「シロが遠いんだよ。」

イツキがいつもより近くにいるので、シロは目線をそらす。

「……。」

シロは自分の顔に熱を帯びてるのを感じ取る。

 

 

 

カフスを付け終わったのか、イツキがシロの顔を見つめる。

「イツキ?」

一瞬だった。 

シロは反射的に目を瞑ると、額に何かが軽く触れる。

少し経ってから、イツキの声が聞こえた。

 

「そんな表情をしてると、もっとイタズラしたくなるな…なーんてね。」

「!」

 

シロは気付いたらメニュー画面を開いて『ハラスメント禁止!』と書かれた警告文をイツキの顔めがけて投げつけていた。

 

この警告文は運営が用意しているもので、プレイヤーから過度な接触などされた場合、用いる事ができる代物。

プレイヤーに投げつけると、地味に痛い。そして、貼り付く。

最悪、運営からアカウントを消されるので、それなりに効果はあるみたいだ。

 

イツキは顔に貼られた警告文を、シールをはがすかのように、取る。

「いたた…。すまない、シロが可愛かったから、つい…」

イツキの言葉が最後まで、続く事はなかった。

 

赤い顔で怒っているシロの後ろに、

キリト、アスナ、クレハ、ツェリスカ、デイジー、そしてレイのメンバーが驚いた顔をして、少し離れた所から見ていたからだった。

 

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