「マスタアァー!!」
レイは勢いを止めずにシロ達が落ちた場所へ走り、下を覗く。
「ひゃっはははははー!!ざまぁみろ!」
パイソンはクレハを突き飛ばすと、狂ったように笑い続ける。
「そこまでよ!パイソン!」
ツェリスカがすかさずパイソンの太ももを撃ち抜く。
「ぐぅっ!」
そして逆の足もまた撃つ。
これですぐには立てなくなったパイソン。
ツェリスカはすぐにパイソンの銃を奪い、両手を拘束する。
「ツェリスカ!クレハ!」
レイが二人を呼ぶ
「早くこちらに来てください!」
「レイちゃん…」
「マスターは生きています!」
「「!」」
急いでレイに駆け寄る2人。
下を覗くとシロとイツキは手を繋いだ状態でぶら下がっていた。
シロの腕の先にあるUFGがのびて、よく見るとフィールドの地面に刺さっていた。
2人は引き上げるのを手伝ってもらい、座り込んだ。
パイソンは手を後ろで縛られた状態で座らされいる。
横にはツェリスカが見張りのために立っていた。
クレハはシロに抱き着いて泣いている。
誰もが黙っていたなか、イツキが最初に口を開いた。
「ましろ、どうしてあんな事をしたんだ。死ぬところだっだんだよ。」
「その…イツキを巻き込んだのは予想外だった…ごめん…。」
「…僕が巻き込まれた程度で怒ってると、思ってるのか?」
クレハがイツキの声に驚いて顔をあげる。
「君は自分が何をしたのか分かってるのか?あの時、本当に君が居なくなるんじゃないかと……!」
言葉に詰まってるイツキの目からは涙が流れる。
これには驚く4人。
「イツキ、そこらへんにしておきなさい。みんな無事だったんだから、続きはここを出てから2人でやりなさい」
「……!」
ツェリスカの制止に、睨みつけるイツキ。
「もちろん、その後は私とクレハちゃんのお説教タイムが待ってるからね、シロ」
「そっ、そうよ!人を散々心配させたんだから!」
「2人ともありがとう…。イツキ、ごめんなさい。2度とこんな事しない。」
「…ハァ、分かったよ。いつの間にか僕もましろには甘くなったなぁ」
「あら、やっと自覚したの?随分前からあなたはシロに甘かったわよ」
ニヤニヤするツェリスカを睨んだあと、イツキはパイソンに銃口をつきつける。
「イツキ!」
「答えるんだ、パイソン。ここからどうすれば出られる。僕は甘くないぞ。ましろを巻き込んだ時点でお前を許さない。」
「…ふふっ」
パイソンの口から漏れた笑い声。
イツキは眉をひそめて、銃口をより一層パイソンに押し当てる。
「無いさ。ここから出る方法なんてな!お前らはここで野垂れ死ね!」
イツキはハンドガンでパイソンを殴る。
パイソンは殴られても尚、ニヤついた笑みを浮かべてる。
シロがレイに聞いてみる。
「レイ、どうにかして外に繋がらないかな?」
「はい、さっきから色々試してはいるんですが…」
レイが悲しい表情で、首を横に振る。
そのとき、彼女を呼びかける声が少しずつ大きく聞こえてきた。
『…レイさん!聞こえますか!レイさん!』
どこから聞こえてくるか分からないが、レイを呼ぶ声はちゃんと耳に届いている。
「この声は…ユイちゃん?」
「ユイちゃん!聞こえるよ!」
クレハが大声で返事をする。
『…みなさん、無事ですか?…はい、パパ、繋がりました!』
『みんな…俺だ、キリトだ。』
キリトの声がすると、不思議と安心感が高まる。
「みんな無事だよ。ただ…ログアウトの方法が無くて、手詰まりの状態なの。」
『無事で良かった…。今からユイとストレアが、道を繋いでくれる。もう少しだけ、我慢してくれ。』
「ユイちゃん、ストレアーありがとう。」
ツェリスカとクレハ、レイはここからやっと出られる、と笑顔になる。
「ねぇ、イツキ。」
「なんだい、ましろ?」
「どうして、最初にパイソンと一緒にいたの?」
「あぁ…。アルファルドに戻ったその日に、パイソンくんから話があってね。」
「うん。」
「最初は僕を脅して従わせるつもりでいたらしい。『シロを殺す算段は整っている。』とね。詳しい話を聞きたかったし、仲間のフリをするのが手っ取り早い、と思ってね。…結果的に、君を危険な目に遭わせてしまったのは、本当にすまない。」
「…そんなことより、大切なこと、まだ聞いてない。」
「これより、大切なこと?」
「ほら、『展望台で話したことは、全部本心だった』って言ってたじゃない。」
イツキはきょとん、とした顔をしていたが、思い出したのか、みるみる顔が赤くなる。
「いや…あの時は…咄嗟に言葉が出て…。」
右手で顔を覆いながら、横を向くイツキ。
好機を逃すまい、とシロは笑いながら見ようとする。
「ねーねー。顔赤いよ?」
「君のせいだろう。」
ニヤニヤ笑いながら楽しんでいるシロにクレハが呼びかける。
「ちょっと、そこのお二人さーん!イチャつくのは勝手だけど、キリトさんが準備できたって!早く、こっちに来なさい!」
「はーい!行こう、イツキ。」
シロはイツキに手を差し伸べる。
「…君には本当に勝てないな。」
2人は手をつなぐと、みんなの所へ戻った。