「はぁっ…はぁっ…」
フィールドの転送ポートへたどり着いたエリオスはすぐに転送装置を起動した
行き先はもちろんSBCグロッケン。
ここへ戻る道中に地雷ガジェットをいくつも置いて来たのが功を奏したのか、最初の数回撃たれてから敵プレイヤー達がエリオスに追いつく事は無かった。
(他にもトラップをしかけてると警戒してくれたかな…)
SBCグロッケンに転送された瞬間、体が重くなるのを感じ、周りの目など気にせず座り込んだ。
仮想世界では疲労感なんてないのに、息切れもしないはずなのに。
死を感じない仮想空間でこう思うのも不思議だが、生きた心地がしなかったーーー
呼吸が整うのに時間はさほどかからなかった。
あまり長い時間座っていると人の目もひくし、何より邪魔である。
(アイテムを整理したらログアウトして寝よう…)
ホームへ戻ろうと立ち上がった瞬間、背後からおっとりとした口調が聞こえた。
「そんなに息を切らしてどうしたの?もしかして、こわーいエネミーと遭遇でもしたのかしら」
声がした方を振り向くと、思わず見入ってしまいそうな巨乳のお姉さんが立っていた。
髪のサイドを三つ編みにして、とても大人の魅力を感じる女性だ。
たぶんエリオスよりも年上だと予想出来る。
「えっと…俺…ですか?」
「私とあなた以外に他にいるかしら。」
「ですよね…」
「ずいぶん疲れた様子で転送ポートから出て来たから気になったの」
「まぁ色々あってですね」
「面白いクエストでもあったの?」
「いえ、砂漠フィールドの真ん中でプレイヤーに襲われたんです。」
エリオスはついさっきまでの体験を巨乳の…銀髪の女性に説明した。
「それなら聞いた事あるわ…あなたが言ってた4人組に昨日から襲われたっていうプレイヤーは他にもいたらしいわ。」
「そうなんですね。まぁPVPもこのゲームの特徴ですからね」
PVPとは、対人戦闘のことでGGOの楽しみのひとつである。
「確かにシステム的には何も問題はないわ。ただ…」
「ただ?」
「まぁ…個人的にと言うべきかしら。GGOが始まってすぐだし、みんなには楽しくフィールドに出てもらいたいと思ってるの。それで、あなたさえ良ければお姉さんが手を貸してあげましょうか?」
「と言いますと?」
そこで女性はまるで楽しい事を思いついた子どものように、無邪気な笑顔で言い放った。
「《プレイヤー狩り》を狩るのよ」
そこでエリオスは自分が寝れるようになるのは当分先だなと確信したのであった。