SAO フェイタルバレット   作:玄神

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※今回長いです


7話 魔王降臨

現実世界はGWをもうすぐ迎えようとしていた。

ましろの制服は冬服から合服へと変わった。

 

その本人は雑誌のGGO特集ページを読んでいる。

タイトルには大きく「イベント大会!」の文字が見える。

今度GGOにおいて希望参加者のみにおこなわれるイベント企画らしい。

 

無論、ましろは参加する予定である。

「ツェリスカも一緒に参加出来たら良かったのになー」

そう呟くましろ。

あれからツェリスカとはクエストを誘ったり、お茶に誘われる関係である。

今度のイベントも、一緒に参加しないか誘ってみた。

 

が、返って来た答えはNOだった。

「その日は友人の結婚式があるの。素敵な優勝賞品を期待してるわよー…って優勝しか許さないって意味だよねー」

ソロでやっていけるくらい、それなりに強いと自負している。

しかしツェリスカのあの笑顔からプレッシャーを感じるとまた別の問題である。

 

「途中で負けようものなら、また揶揄われるよなぁ…」

それだけは避けたい。

 

なので、事前の情報収集はかかさずおこなってきた。

このイベントをきっかけに、魔王と親しくなるとは誰も予想しなかったが。

 

 

***********

イベント大会当日。

 

総督府のロビーは参加する人、応援する人、珍しさに来た見物人…

色んな理由で集まった人々でそれなりにごった返していた。

 

イベントは申込制で、参加者の枠があらかじめ決められていた。

事前情報ではイベント大会の間だけ解放されるダンジョンを進んでいき、最上階のボスエネミーを倒す事がクリア条件らしい。

一番先にエネミーを倒せれば、もちろん優勝というわけだ。

 

ログインしたエリオスはギリギリまでマントを羽織り、集まってる参加者を見て回ることにした。

ソロで参加しているものはいるが、やはりPTの参加が大部分を占める。

なるべく残るプレイヤーは絞って対策を考えておきたい所だ。

 

ロビーをゆっくり歩いていると、ひときわ女性の黄色い声援が聞こえて来た。

声が聞こえて来た方に視線をうつすと、ハーレムがそこにはあった。

 

「イツキさーん、今日は頑張って下さいね!」

「イツキさんなら優勝確実ですよ」

「そんなの当たり前でしょ!ね、イツキさん」

 

次から次へとよく褒め言葉が出てくるな、とツッコミたくなる声援。

イツキと呼ばれてる主は中心に立っているのが少しだけ見えた。

(絶対に敵に回したくない派閥だ…!)

エリオスは何も見なかった事にして、また情報収集を再会したのであった。

 

**********

イベント開催10分前

 

転送ポートで待機エリアへ移動出来るのでエリオスはそこで装備を整える事にしている。

開催時刻になった瞬間に待機エリアからダンジョンの内部へランダムに転送される仕組みだ。

 

運が良ければ上の階へあがる転送ポートの近くへ出る事もある。

(マントはもう必要ないからアイテム欄へ戻して…後は大丈夫かな)

 

それでもまだ時間に余裕があったので、座って待つ事にした。

ようやく目の前の時計がカウントダウンを始める。

 

5、4、3、2、1…

START!

 

エリオスの体が光り始めて転送が始まった。

 

 

転送されてすぐに部屋の出入り口を確認する。

スタートしてすぐに参加者と鉢合わせはごめんだ。

安全を確保してから先へ進んでいった。

 

 

**********

ダンジョンの中を雑魚エネミーを倒しながら上階へ進んでいき、プレイヤーと戦闘になったのは2回。

たぶん今回は奇跡的に少ない方である。

(このまま行けば優勝狙えるかも…)

 

次の上階へいく転送ポートをまた発見して、そんな事を考え始めた。

が、簡単にうまく行くはずがなかった。

 

転送された瞬間、3人PTと鉢合わせしてしまったのである。

 

 

両手に花、という言葉がそのまま当てはまる状況である。

世間で言うイケメンに部類される男性アバターの両脇に女性プレイヤーが寄り添っていた。

「こわーい、あの人すごい私の事睨んでくるー」

「イツキさんかっこいいーキャー」

 

(あれだ、一種の宗教か何かだ。今すぐ滅んでしまえ)

 

殺意をイケメンの後ろ姿に向けると、イケメンがこちらを向いた。

「やぁ、初対面でごめんね。気を悪くしないで欲しい。」

爽やかな笑顔でイケメンは言った。

 

「これっぽちも気にしてないさ。で、あんたたちは戦うの?戦わないの?」

本音を言えば戦闘は避けたい所。向こうもそれは分かっているだろう。

 

「そうだね…なるべく弾は無駄にしたくないし、先に行かせてもらうよ」

「はいはい、どうぞどうぞ」

 

女性2人からは愛想悪いだの、邪魔だの色んな言葉が聞こえて来たがスルーを決め込む。

 

数メートル先をイケメン一行が歩いていると、左側の女性が何かに気付いた。

「…あっイツキさん、ここ隠し扉」

「本当だ。普通だと逃してしまう所だよ、ありがとう」

イケメンがお礼を言うと、女性は顔を赤くした。

発見出来たのはおそらく探索スキルなどを高めているからだろう。

 

あっけなく隠し扉を開けると、中には宝箱がひとつだけ置かれた広い部屋だ。

(待つ義理もないし、私は先に行くか)

女性組は宝箱へ一直線に走っていった。そこでイケメンが何か考えてるのか部屋の前で立ち止まった。

 

構わずエリオスはイケメンの後ろを通った瞬間…

「「!?」」

エリオスが横から何かに勢いよく押され、エリオスがイケメンを背中から押す形で隠し部屋へ一緒に入ってしまった。

 

次の瞬間、隠し扉は閉まり部屋は冷たく重苦しい空気に変わった。

鳴り響くサイレン。

「トラップだ!気をつけて!」

そうは言ったが、閉じ込められたからどうしようもない。

一瞬間を置いて、エネミーが召還された。

 

ロボット型のエネミー。よく見かけるタイプだが、Lvが雑魚エネミーより20より上である。

巨大な体で4人を見下ろしていた。

エリオスはすぐにアサルトライフルを構える。

女性2人組もそこで冷静になったが一瞬遅かった。

 

ロボットエネミーが左足でサッカーボールを蹴るかのように、2人を蹴り上げた。

体が宙を舞い、消えた。

HPが一気に0になって「death」の文字だけが残る。

 

(間に合わなかった…!)

エネミーは巨体ゆえに次のモーションまでに数秒かかる。

「そこのイケメン!」

「…イツキだ。」

「何でもいい!後方お願い!」

 

エリオスはそう言うと全速力でエネミーの背後を取る。

背中の光が弱点なのはどうやら同じらしい。

スキルでエネミーの気をこちらに向かせる。

イツキと名乗ったプレイヤーはスナイパーライフルで弱点を狙撃する。

 

 

 

 

バシュンッ

 

バシュンッ

 

イツキが最後の攻撃で大型エネミーは倒れ込んだ。

何度かHPゲージが黄色になりヒヤッとしたが。

 

倒した事で扉と宝箱の蓋が開けられた。

「これは…」

イツキが宝箱を開けて驚いていた。

エリオスも覗いてみるとそこには

 

《最上階の鍵》

 

と表示されてる鍵がひとつだけだった。

 

「どうやらこの部屋は正解だったらしいね」

「ところで、君の名前をまだ聞いてない」

イツキに言われて、名乗っていない事に気付く。

「俺はエリオス。さっきはありがとう。」

「お礼を言うのはこちらの方さ。君が僕を押してなかったらこれは手に入らなかっただろう。」

「あれは俺のせいじゃ…まぁいいや」

「もしかして君って運が良い方だったりする?」

「どうだろうな…あまり気にした事無いや」

「それは羨ましい。僕は運に見放されてる事が多くてね」

「さっきのお仲間さんは残念だったね」

「仲間?あぁ…彼女たちの事か。」

あまり興味なさそうに返事を返すイツキ。

「あれだけはキャーキャー言われてて、仲間じゃなかったの?」

「仲間…とは、ちょっと違うかな」

「ふぅーん」

 

心なしかイツキの口元は笑みを浮かべてるが、寂しそうだった。

「君は聞いてこないんだね」

「何を?」

「いや…大した事ではないんだ。ただね、最近あんな感じの子達が多くて」

「モテるって大変だね」

「そうでもないさ。役に立ってくれてる事の方が多い」

「イツキってさ…」

「うん、何だい?」

「実は結構腹黒いでしょ」

 

エリオスは笑いながら聞いてみた。

イツキは一瞬目を見開いた後、すぐに笑みを浮かべたまま答える。

「その方がかっこいいじゃないか…なーんてね。冗談だよ。…そろそろ移動しようか」

 

2人はトラップ部屋を後にした。

 

「いかにもボス部屋ですよーって言いたげな扉だな」

「さっき拾ったアイテムはここで使うだろうね」

進んだ先には大きな扉とコンソールがあった。

コンソールを見てみると鍵の形だけ描かれている 。

 

鍵を持ったイツキがコンソールに近づく

「!」

鍵が光り出し、コンソールが赤色から緑色へ変化した。

 

「これで扉は開くと思うよ」

「準備はおーけー?イツキ」

「僕は大丈夫だ。エリオス、君は?」

「俺も準備万端。それじゃぁ…」

 

「「行こうか」」

 

 

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