夜のGGO内ーー
エリオスはイツキを誘って砂漠フィールドに出ていた。
エネミー討伐をしながら目指すはエリオスが最近見つけたポイント。
2人はサソリの群れと戦っていた。
アサルトライフルで敵を倒していくエリオス。
「はい、これでラストー。」
「エリオス、任せた。」
最後の一匹をエリオスが仕留めて、あらかたここら辺のエネミーは倒した。
「君が連れて行きたいと言ってた場所はこの先だよね。」
「もう少しでつくから、楽しみにしてろよー。」
「あまり期待しないでおくよ。」
「イツキさんはシンラツデスネー。」
「その設定の方がモテるからね、なーんて冗談だよ」
イツキが楽しそうに笑ってみせれば、エリオスはモテるやつは余裕だなーと苦い顔をする。
そんなやり取りをしていれば、ゆるやかな斜面が見えて来た。
「この上。もう少し登ればエネミーは出てこないし、プレイヤーはほとんど来ない。
そして夜にくれば見晴らしは最高っていうポイントだ。」
「まぁ男2人で来る所ではないね。」
「うるせー。ツェリスカも誘ったけど『イツキが来るならせっかくの星空が全部あいつの顔に見えてくるからお断りよー』って言うんだもんな。」
「…彼女の喋り方そっくりだね。」
「そっちかよ。」
それから斜面を登ってそう時間がたたずして
頂上に着いたらしく、視界を遮る物は見当たらない。
フィールドの境界線がうっすら見え、SBCグロッケンは小さく見える。
暗闇に吸い込まれそうな程、静かだ。
「知ってたか?GGOの星座ってちゃんと現実のものと一緒なんだって。」
「空を眺める事がないから気にした事もなかった。」
「普通はそうだよなー。」
「君だからこそ気付けた事じゃないのかい。」
座ってのんきに話す2人。
空も時間もゆっくりと過ぎていった。
「そういえばさー」
不意に笑いながらエリオスは話題を変える。
「ずっと聞きたい事があったんだ」
「聞きたいこと?」
「初めて会ったイベントのあと」
エリオスが言ってるのは2人が初めて会ったイベントの一週間後。
イベントの後、久しぶりにGGOへログインをしたエリオス。
てきとうにショップを散策していると、急に誰かに肩をつかまれた。
「わぁっ」
驚いて振り向くと相手はイツキであった。
向こうから接触してくるとは予想していなかった為、驚く。
「やぁ、久しぶりだね。あの時の借りを今返してもらうよ」
「えっ何…」
意味深なセリフを吐いた後、半ば強制的にエネミー討伐に連れて行かれたのだ。
「あぁ…あの時のことか」
「凄く落ち着きが無かったし、グロッケンの中を早歩きで移動するし…。」
「僕のスコードロンのことは知っているよね。」
イツキは《アルファルド》と言う名前のスコードロンのリーダーをしている。
「知ってるよ…続けて」
「イベント大会で有名になったおかげでね、どこに行っても人が集まってきてたんだ。友好的なタイプと、そうでないタイプ両方がね。」
「なるほど。…それで?」
「みんな口にするのは同じ言葉ばかりで辟易しちゃって、そんな時君を見つけたんだよ」
「要するに俺を理由に、追っかけ集団をまいたんだな」
「そうなるね。結果的にスコードロンを作ってからは減っていったんだけど。」
グロッケンの中やイベントに参加してるイツキを見つけても周囲に人がいる。
それはイツキのカリスマ性や人望の成せる技だと思っていたが、人気者はそれなりに大変らしい。
「…それで、今日ここに連れて来た用件は何だい?」
イツキは真剣な表情でエリオスを見つめる
「君が普段こんな所に行こうとは言い出さない。何かあるんだろう?」
「うっ」
核心をつかれて胸を押さえるエリオス。
「実は…」
「実は?」
「俺、GGOに当分来れないかも」
エリオスは困ったように苦笑いをする。
「当分ってどのくらい?」
「ちょっと分からない…。現実世界の方が忙しくなるだろうから」
「そうか…」
イツキはそう呟いた後黙り込む。
「ツェリスカにはまだ伝えれなくて、次に会ったときに話そうと思ってる」
「本当は今日いっぺんに伝えるつもりだったんだろう?」
「…うん」
「気にしてないよ。君がいなくなるとスコードロンを抜け出す時に困るくらいだ。…なんて冗談だよ」
「ごめん…」
エリオスはアイテムメニューを開いて、何かをイツキに渡した。
イツキの手の中にあるのは、いつかの赤い鉱石。
「ボス攻略した時に拾ったレアアイテムだ。今まで使う事も無かったし、好きに使ってよ」
イツキは一瞬悲しい表情をしたあと、了承したのか鉱石を受け取った。
エリオスが別の形でこの鉱石を受け取るのは、あとーーーーー。
ここでひとまずエリオス編、完です。
次はシロ編。よろしくお願いします。