「...トリタロウだな!」
「いえシルヴァンタスシュナウザーよ」
ある洞窟内でアスタとノエルが言い争いをしていた。
その前方にはラックとランタンを片手にラックの後を付いていくノアの姿があった。
「トリタロウ!」
「シルヴァンタスシュナウザー!」
「お前ら...まだ言い争ってるのかよ....?」
呆れた様子でノアが二人に話し掛ける。
「ノア、ノエルに言ってやってくれ...こいつの名前はトリタロウだって。」
「いいえ、シルヴァンタスシュナウザーよ...間違いなくそれがいいわ。」
「お前らなぁ....任務中にそんな事で言い争うなよ....なぁネア。」
「ウニャン。」
ノアのローブの中から黒猫が顔を出してノアに同意するように鳴いた。
「というかノア、お前いつの間にその猫捕まえたんだ?」
「捕まえてねーよ....この前の猪狩りの時、ソッシ村で付いてきたんだよ。」
「ニャオン。」
合いの手を入れる黒猫ネア。
(か....可愛い!!)
「そういえばそのアンチドリの名前だったな....そうだな。」
『
ノアが進言するとラックとハモった。
するとネロと呼ばれたアンチドリはラックの肩に留まると方羽を挙げたまるでその名前が良いと言ってるように。
『えええ』
ラックとノアの決めた名前に不服そうにするアスタとノア。
話は変わるが四人が来ている此処はただの洞窟ではない。
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数時間前、アジトにて
「はい注目~~~~~~~ついさっき新しい『
シーンと静まり返る一同、だが次の瞬間
『『
「ダンジョン?」
名前からして何があることは分かったがそれが何なのかは分からないな。とノアは思った。
「どうしたノア?」
ふとマグナが話しかけてくる。
「あ~いや、ダンジョンって何ですか?」
「あー...そういや説明してなかったな....いいか、ダンジョンってのはな、昔の人間達が遺した遺物が眠る古墳のようなモンで強力な古代魔法の使用法や貴重~~~な魔導具が眠ってるスゲーとこなんだよォォ!!」
「うおおおおおお!」
マグナの熱が入った説明にアスタもつられるようにして熱くなっていたが、ノアは
(相変わらず暑苦しいなぁ....。)
と、思うだけであった。
「だけど当時の人達が自分達以外の人間に悪用されないようにとんでもない
マグナの次にラックが説明してくれたが、何処か楽しげであった。
「その危険性の高さと邪な理由で遺物が奪われない為に常に魔法騎士団が調査してるのよ~」
「ほうほう。」
「特に今回の『
団長のヤミも何時もの気だるげな感じではなく、鬼気迫る雰囲気を感じるため今回の任務は必ず成功させなければならないと団員は悟った。
「......因みに、過去『魔宮』から文明のレベルそのものを変えちまう魔導具を見つけた者や..最強の魔法を使えるようになった者もいたとか。」
「俺に行かせてくださぁぁぁい!!!」
アスタはヤミの話から行けば自分もその最強の魔法が使えるのではないかと考え、任務に立候補した。
「おー行ってこい小坊主...つーか魔法帝のダンナがテメーをご指名だ。......ま お前魔力ねーから最強の魔法使えねーけどね」
「え...えええええええ!?!魔法帝ぃぃぃぃ!!?」
何故魔法帝が自分を使命したのだろうか?
そんな疑問がアスタの頭を駆け巡った。
「そうそう、ノアお前も魔法帝からのご指名だ。」
「え!?...俺もですか?」
まさか自分まで選ばれると思っていなかったノアは驚いたが、此所で実力を見せておけば、一歩でも魔法帝に近付けるのではないかと考え、任務に向かうことにした。
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そして現在、『黒の暴牛』のアジトにて、
「何で魔法帝はアスタとノアの事知ってんスかね?」
「あのダンナには俺達とは違うモノが見えてるからな...変人だしわっはっは」
「ノエル大丈夫かしら~」
「危険で重要な任務こそ新人は限界を超え成長する···多分.....ま、ラックがいるから大丈夫だろアイツの『
「その破綻した性格が心配ですけどねー」
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現在、『魔宮』前の洞窟にて、
「ちょっと足踏まないでくれる!?」
「真っ暗なんだからしょーがないじゃないか~」
どうやら灯りを落としてしまい、真っ暗闇の洞窟内を進んでいる様子だ。
「アンタが灯り落っことしたからでしょーが」
「それはお前が躓いてぶつかってきたからだろーがァァァァ」
「何よ私は王族よ!?」
「お前ら!いい加減にしないと此処に置いてくぞ!」
アスタとノエルのエスカレートした喧嘩を見てノアが止めに入る。
「お!此処かな?」
ラックは『魔宮』への入り口を探して洞窟の奥の壁を探る。
するとガコッ、と何かのスイッチが入る音が聞こえ、壁が崩れて『魔宮』が現れる。
「すげええええ!!!」
中の様子は、天井が無く、其処には別の場所へと繋がっているであろう入り口と、川が流れており、重力に逆らっているのか、水が落ちてくる事はなく、まるで滝のように上から下へと水が落ちてくる。
「魔法で空間が歪んでるみたいだね。」
ラックは中を見渡してそう言う。
「此処は外よりも濃~い『
「言われてみれば、確かに...!」
「こんなに『
「そうなのかい?」
ノア達の感想にただ一人、疑問符を浮かべるアスタ。
「まさかアナタ、これだけの『魔』を感じないの...!?」
「全然。」
「ええええ━━ってまさか『魔』も知らないなんて言うんじゃ.........」
「『魔』ぐらい知っとるわァァァ」
因みに『
「お前のような王族にとんでもなく宿っていて、俺の中には全く存在していない魔力の源━━━━━そう!!それが『
アスタが悔しい気持ちを表現しながら『魔』について力説する。
だがその時、アスタが叩いた床から魔方陣が現れ、次の瞬間、氷塊が幾つも飛び出してくる。
「な...!!『
突然の出来事にノエルとノアはその場で固まってしまったが、アスタは咄嗟に魔導書から剣を取り出して氷塊を切り裂いた。
「あ...危ないわね━━━...!」
「この先、こんな罠魔法が幾つもあるのか....。」
ノアとノエルがそんな事を呟くと、
「ん?」
ラックが何かを見つけたらしい。
「どうしました?」
ノアがラックに駆け寄る。するとラックは、
「えいっ」
「うわっ!!」
咄嗟にノアの背後に回って突き飛ばす。
「あ」
ノアが踏んだそれは、罠魔法の魔方陣であった。
「うわぁぁぁぁぁ!!!?」
ノアも咄嗟に魔導書から剣を取り出して、氷塊を破壊する。
「何するんだぁぁぁ!!?」
「凄い凄ーい」
「ちょっとアナタ...」
ノアがラックに怒りを剥き出しにするが、当のラックは何処吹く風で笑っていた。
「あっあそこまたあっ...あ━━━━━っっ!!」
ノエルが罠魔法の魔方陣を見つけると今度はラックが自ら罠魔法を作動させていた。
ある時は炎、またある時は渦潮、またある時は風が罠魔法から作動して四人を襲ってきたが、ノア達の奮闘により何とか全て破壊していった。
「楽しいね~~~~♪」
作動させたラックは楽しそうに笑っているが、ノア達三人は
(((この人と一緒にいたら...死ぬ!!)))
少なからず、命の危機を悟っていた。
「それにしても君の
ラックは二人の魔法についての感想を述べると最後に一言、
「常に武器を振れる状態でいる事を心掛けてればこの『
「うすっ!!」
ノア達にアドバイスをした。
「━━━━━...さてと...」
(......そろそろ限界かな━━......)
ラックは自身の感知力を使い、周囲の『魔』の流れを読んでいた。
すると、無数にある入り口の一つから強い魔力を感じた。
(やっぱりいる僕達以外にも....一番強そうなのは━━━...)
雷創成魔法 "雷神の長靴"
「━━━━━...!?」
「え...!?!」
「......」
すると突然ラックが魔法を使い、跳躍する。それに気付いたノア達が頭上を見上げる。
「ちょっと大事な用出来ちゃった...とゆーワケで『魔宮』攻略よろしく━━♪」
「...ちょ...どこ行...速━━━!!」
ラックはそのまま強い魔力の流れる所へ行ってしまい、ノア達三人はその場に取り残されてしまった。
「なっ...何考えてんのよあの人━━━!ありえないんだけど」
「か...かっけええええ」
ノエルからはツッコまれ、アスタからは羨望の眼差しを向けられる事になった。
だがノアは一人、ラックの行き先に検討を付けていた。
(そういえばあの人戦闘狂だったな......成る程、そういうことか。)
どうやら自分達以外にも魔導師がいることに気付いた様子。
ならば、自分達が取るべき行動はただ一つ、他の魔導師達よりも速く、この『魔宮』の宝物庫にたどり着き、宝を守ることだとノアは思った。
「考えても仕方ない、取り敢えず三人だけで宝物庫を目指そう。」
「って、何であんたが仕切ってんのよ!?」
「お前らに任せたら、ろくなことにならないと俺が判断したからだ。」
「何ですってぇぇぇ!!?」
すると突然、ノエルの背後から蔦が伸び、ノエルを拘束した。
「ん?」
「ん?」
「マズイ!!」
アスタとノエルは戸惑ったが、ノアだけは即座に自身の魔導書から炎魔の剣を取り出して、蔦を切り裂いた。
「ボーッとするな!次来るぞ!」
「お、おう。」
「あ、ありがと。」
ノアに続いてアスタとノエルも応戦する。しかし、蔦は減るどころか増え続け、不意をつかれたノエルがまた拘束されてしまう。
「...しまっ━━━━━...!?」
拘束されたノエルは蔦の本体であるハエトリグサのような植物に捕食されそうになる。
「高レベルの植物創成魔法......!!」
「逃げろォ━━━━━!!!」
その時、アスタがノエルを拘束していた蔦を斬ってノエルを解放する。
しかし、アスタも剣を持った腕を即座に拘束されてしまう。
「「アスタ...!!」」(剣が━━━━...)
ノアがアスタの救出に向かうが、蔦の数が多過ぎて、アスタの元に行くことができない。
(マズイ!...どうすれば...?)
ノアは必死でこの状況を打開する方法を模索するが一向に答えは出てこない。
そんなことをしている間にアスタは宙吊りにされ、今にも捕食されてしまいそうになる。
(やば...)
風創成魔法 "風神の叢雨"
すると何処からか魔法が飛んできてアスタを拘束していた植物を倒してしまった。
ノエルはこの魔法を放った人物に底知れぬ恐怖を感じた。
(......何よこの正確で強力な魔法━━━...!!一体何者.........)
ノエルとノアは、魔法が飛んできた方向を向くとそこには━━
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「━━━━あ、そういえば....『金色の夜明け』団からも数人『魔宮』に派遣されるそうだ。」
「えッ『金色の夜明け』━━━━...!?」
「あいつら...仲良くやれるかね?」
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「━━━━...これで...借りを返したぞ...アスタ...ノア...!!」
其処には、『金色の夜明け』団のマークが入ったローブを身に纏ったノアと二人の男女が此方を見下ろしていた。
「「ユノ...!!」」
アスタとノアは再び会えたユノに嬉しさ半分、負けたくないというライバル的闘争心を燃やすのであった。