中年の魔導士とラックが対峙する。
中年の方は、ロータスという名前の魔導士である。
「強いね~~~~部下が一撃でのされちゃったよ。」
何処か飄々とした態度でラックを一瞥するロータス。
「所詮は部下だよね...大将の君が強かったら問題ないよ。」
そんなロータスの態度に対してラックはそんな事はどうでもいいから自分と戦え。と言い放つ。
ロータスはラックの脚を見て、
「雷の魔力を纏って戦う訳ね...中々応用がきく上攻撃力高そーだよね~~~~~どこも若い力が育ってる...いや~オジサン怖い怖い。」
とだけ言った。
「君は一体どんな魔法で戦うのかな?」
ラックはワクワクしながらロータスと戦う事しか眼中にないようだ。
「うーん...なんかやる気満々そーだけど...君らクローバーの目的もこの『魔宮』の『宝物殿』でしょ?」
そう言って突然走り出す。
「別に僕ら戦わなくてもよかないかい?...ここは暴力無しで競争しよーよ!そーしよそーしよじゃあね~~~」
と言い残して逃げようとしたが、
「ヤダ」
と、ラックの一言で拒絶されてしまい、雷魔法で魔力を帯びた蹴りを受けそうになる。
(速い━━━!)
ロータスは即座に自身の魔導書から魔法を発動して"煙"を作り出す。
(避けられた━━...!)
「いや━━━...怖い怖い、君らクローバーの国民が怒ってるのもわかるよ?自国をちょこちょこ侵略されてちゃそりゃねぇ
その時、ラックがまたもや魔法でロータスを攻撃する。
「僕は強い奴とやれればそれでいーから♪」
と、楽しげに答える。どうやら本来の目的を忘れているのか、それとも元から任務を遂行する気が無かったのか...ラックの中では任務よりも強い相手と戦う事が最優先事項として認識されているようだ。
「とんでもないのに目ぇつけられちゃったよ...オジサン泣きそ。」
左頬から血を流してラックの様子を確認し、戦うしかないと諦めた様子だ。
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「ふんぐぐぐぐぐ。」
一方その頃、アスタとノエルは...
「うぐおおおお」
「きゃあああああ!!何ココ!!重力が滅茶苦茶じゃないの~~~~!?」
重力がが不安定な通路を通っていた。
「ったく、ノアの野郎~~~ホントにこっちであってんのかよ...ん?」
その時、アスタの目にあるものが飛び込んできた。それは、足の生えた箱が何処かへと歩いていくというかなりシュールなものであった。
「アレが宝物だぁぁぁ━━━━!!」
「いや絶対違うっ!!」
アスタが目をキラキラさせながら箱を見ていたが、ノエルは絶対違うとツッコミを入れる。しかし、アスタはノエルの言葉に耳を傾けず、箱を追いかけ、そして一緒にノエルの所へと落ちていった。
そして、
「よし....さてお宝はっと...」
箱を捕まえ、開けてみるとそこには━━━━
心臓、胃、腸などの様々な臓器がどっくんどっくんと蠕動していた。
それを見たアスタはドン引きし、見せられたノエルはあまりのショッキングな光景に思わず口を押さえてしまう。
「なんてモノ見せつけてくれるのよチビスタ~」
「いいやコイツの見た目が悪い!!」
ノエルはアスタのせいで臓器を見てしまい、アスタに怒りをぶつけるも、アスタは箱に責任転嫁する。
その光景を見ていたネロはやれやれといった様子で二人を近くの窪みから見ていた。
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その頃、ラックは
ロータスと戦っていた。
ラックは"雷神の長靴"で攻撃し、ロータスは煙でガードするというようにラックの攻撃を防いでいた。
「血気盛んだね~~~~」
「避けてばっかいないでヤり合おうよ!」
ラックはロータスに戦えと言ったが、ロータスは戦いたくないといった様子。
するとロータスがラックが身に付けているローブを見て何かを思い出す。
「あぁそのローブ...!思い出したよ黒の暴牛!...君のとこの団長が若い時 一度戦った事あるよ。」
「!団長の事知ってるの?」
「こんな大層な傷残してくれちゃってね~~~~おしっこ漏らして逃げたよ~~変わった戦闘スタイルだったな~~年下で勝てなかったのは彼だけだったなー。」
ロータスは胸を傷をラックに見せながらそう語った。
「俄然やり甲斐が...」
その瞬間、ラックは身体の平衡感覚がおかしくなっている事に気付く。
「おっとっと...」
「あれ?どしたのどしたの?」
ラックがロータスに近付いて攻撃を行おうとするものの、
「遅~い!」
寸でのところで避けられてしまう。
「じわじわと いってらっしゃい 奈落の底へ」
(何だコレ............!魔法...!?けどそれらしい魔法を喰らった覚えは━━━━━...)
「実は今この空間は、僕の魔力で覆われてるのさ...目に見えない程の薄~~~~~~い煙でね。」
ロータスが発動した魔法は "煙弱体魔法 "侵奪の煙庭""という魔法。
(体が言うことを効かない...身体能力を下げる遅効性の魔法━━...?)
「目に見える攻撃だと...君には避けられちゃいそーだからね...君に気付かれないよーに極限まで魔力を絞ってコソっと使わせてもらったよ...君が僕の部下と戦ってる時にね...彼らは無駄に倒された訳じゃないよ...僕がこの魔法を使う為の犠牲になってくれたのさ....いやぁ~~~~大事だよね...チームプレイ...!」
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一方、ユノ達は...
「もうそろそろですわ...!」
三人は『宝物殿』の入り口までやって来ていた。
「すっごいですわね~~」
「
「どうやって入るんでしょう...?」
「黒の暴牛の方達はまだのようですね」
「当たり前だ奴らが我々より早い訳がないだろう。」
その時、ミモザの背後から鉱石が近付いて彼女に攻撃を━━━
"武器魔法 "斧剣
仕掛けようとした途端、彼女の背後に突如として巨大な斧剣が彼女を守るようにして突き刺さり、ミモザの盾となった。
「危ねぇ~~~間一髪だったな....えーと、ミモザ...だっけ?」
斧剣の柄の上に誰かが立っている。
「ノア...!」
「よぉ、さっきぶりだなユノ。」
「き、貴様....一体、どうやって....」
立っていたのはノアであった。
ユノは誰よりも速く、ノアであると気付き、クラウスは一体いつ此所に来たのかを問い質そうとしたが、
「あー...悪いけど、今そんな時間、無いと思うよ....ほら。」
ノアが指差した方向にいたのは....
「誰だ...俺の道にいるのは...どけ」
額に宝石のような石が埋め込まれている魔導士の男が、ノア達を睨み付けていた。
「俺の道....ハッ!...女性を傷付けようとした奴が言うセリフでは無いな。」
男を睨み付け、吐き捨てるように言い放つノア。
「それに、どけ...だと?.....
自身の魔導書から"刀"を取り出して構えるノア。
二人は互いを睨み、対峙する。