「━━━では...戦功叙勲式を始めよう...!」
魔法帝の言葉と共に始まった戦功叙勲式。
この場には、任務で功績を得た者達が各騎士団から召集されている。
「星取得数7『紅蓮の獅子王』団 レオポルド・ヴァーミリオン!!君に二等中級魔法騎士の称号を授与する!!...兄である獅子王団団長と同じく君の炎魔法の威力は圧倒的だね~!やり過ぎに要注意かな。」
「悪に容赦など必要ありません。」
ツンツンした頭に獅子のような面持ちの青年 レオポルドは淡々とした口調で返答する。
「星取得数6『碧の野薔薇団』ソル・マロン!!三等中級魔法騎士の称号を授与!!男性に負けない行動力と独創的な土魔法は凄いけどちょっと自由すぎるかもね!!」
「私を縛れるのは姐さ━━団長だけです。」
褐色で短く切り揃えた黒髪の女性 ソルも魔法帝の言葉にそう返した。
この後も戦功叙勲は続き、それを見たノアは、
(魔法帝に近づくためには、戦功叙勲式で称号を授与される事が必要......なら、もっと努力しないと...!)
ひとり、憧れの魔法帝への道を検討していた。
「━━━みんな大義だったね....さて、これから簡単な席を設けてるから楽しんでいってくれ。」
(あ、終わったのか。)
ノアが考え事をしている間に戦功叙勲式は終わりを告げた。
「あ、そうそう...今日は特別ゲストも呼んであるから大いに交流してくれたまえよ!」
(え?)
魔法帝の言葉の後に称号を授与された魔法騎士達がこちらを見ていた。
(もしかして、俺たちは...報告とこの為に呼ばれたのか?)
魔法帝の考えに天を仰ぎそうになるのを堪えてノアは、終わりを待つことにした。
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場所を移動し、複数のテーブルに幾つもの料理が並べられた部屋へと案内されたノア達。
「用が出来ちゃったからちょっと抜けるね~みんな楽しんでてくれ!」
笑いながらその場を後にする魔法帝に、ノアはため息を漏らしたが、
(まぁ、でもこれも魔法帝の心意気に感謝して...食べておくか。)
諦めて食事に移行するノア。
「うぐ...周囲からの視線が痛い............魔法帝はなぜ私達などにこのような待遇を...........!?」
「.............」
周囲の視線に晒されるクラウス達、それによってか俯くノエル。
だが、
「なんっっじゃこりゃああああこんなの食べたことないぞォォ~~~~!!?」
ひとり、騒がしく食事に手をつけるアスタと、その様子を尻目に黙々と食べ続けるノア。
「なんと堂々としているのだ...!!流石だなアスタ...!それにノアも....!」
「いや、アスタはただ粗野なだけですし、ノアは気にしても仕方ないって思ってるだけですから。」
クラウスのアスタとノアに対する評価にツッコミを入れるユノ。
黙々と、食事を続けるノアの元にミモザが近づく。
「あっ...あの...ノアさん............!ご一緒して宜しいでしょうか...!?」
「うん?...いいけど、何食べる?取ってこようか?」
「い、いえ....出来れば....その...」
ノアの持っている皿を見てモジモジしだすミモザ。
(あぁ...そういうこと。)
何か納得した様子でノアはもう一つスプーンを用意して、
「ミモザ...口開けて。」
ミモザに料理を運ぶ。
「えっ!?...あの、ノアさん!?」
所謂はい、あ~んの構えになっているノアにどうすればいいか分からず固まるミモザ。
「あぁいや、魔宮攻略で疲れてると思って....駄目だった?」
「い、いえ....駄目ではないですが....その....」
「?」
こっちはこっちでなにやら甘い雰囲気。
「まさかノア...ミモザに対してそういった気持ちが...?」
「いや、あれただの天然です。」
またもやノアの株が上がりそうになるが、ユノがツッコミを入れる。
そんなノア達を見て、称号を授与されていた魔法騎士のひとり
アレクドラ・サンドラーが口を開く。
「卑しい下民が...!」
彼を皮切りにして他の魔法騎士達も次々に言い始める。
「なぜ魔法帝はあのような低俗な者を...」
「全く魔力を感じない...魔宮攻略も運が良かったに違いない」
「なんと汚い食べ方...」
「此所にいることが不自然だ...場違いなネズミめ」
「......!」
散々な言われようにクラウス達も黙ったが、
「うーん散々な言われ様ですなまぁもう慣れてるけど。」
「同感だ、言いたい事があるならハッキリ言えばいいんだ。」
(な...なんという器の大きさ.........!)
アスタとノアの態度にクラウスは驚き、ミモザはノアに対して顔を赤らめ、ユノは何か言いたげな様子で黙って二人を見る。
「下民なら貴殿らの団にいるではないか...」
「!」
「四つ葉の魔導書を持ち祭り上げられ、図に乗っている下民がな......!」
レオポルドがアレクドラに対して口撃を仕掛ける。
「先の魔宮攻略任務...俺の方が上手くやれた!」
「大した自信だな...紅蓮の小僧━━━別に我々はあのような下民に期待などしていないヴァンジャンス様の...『金色の夜明け』団の理想を体現するのは我々だ............!」
二人の言い分に苛立ちを見せるアスタだが、ユノは気にしていない様子である。
流石に言い過ぎだと思ったのか、
「━━━━......お言葉ですが...」
クラウスが口を開くも、
「お前もだクラウス!お前程度の実力の者が此所に居て恥ずかしくないのか」
「...............はっ......」
睨み付けられ何も言えなくなってしまう。
「ミモザ...!お前は魔宮では敵の襲撃で下民に助けられたそうだな」
「......!」
クラウスの次はミモザに矛先が向く。
「王族であるヴァーミリオン家の者が笑わせる...!」
「.........申し訳a」
頭を下げようとしたミモザの前にノアが庇う様に立つ。
「.........」
「何の真似だ、下民風情が」
「...今回の魔宮攻略、確かに彼女にも落ち度はあったのでしょう...しかし、今回の任務は彼女の回復魔法がなければ我々は死んでいたかもしれない....彼女を辱しめるだけでなく、評価すべき点を見つけて評価すべきでなないでしょうか?」
「...ノア...さん...!」
「黙れ、下民ごときが貴族である私に意見するな!」
アレクドラはノアに対してそう言い放った。
「つまり、評価する気は無いと...?」
「黙れと言っている!」
態度が変化しないアレクドラに呆れるが、ノアは言葉を続ける。
「......俺は何を言われても構わない....慣れてるからな、だが、ミモザをこんな場所で辱しめるのは許さない!」
ノアが怒りを剥き出しにしてアレクドラにずんずんと向かっていく。
「下民ごときが...!」
アレクドラが魔法を発動しようとしたところ、ノアはパチン、と指を鳴らす。
「ぐあっ!!?」
するとアレクドラは壁にめり込み、ノアの周りにはファントムソードが展開されている。
「俺とアスタだけ非難するならまだ良かったが....頭にきた....!」
ノアはテーブルの上に立ち上がり、
「俺は必ず"実績"を積んで...魔法帝になってお前ら全員黙らせてやる!!!!覚悟しとけ!!!!」
キレたノアの咆哮が室内に木霊する。