「もう一度だけ聞く...何者だ...?」
突き刺した剣を戻し、新しい剣を召喚し、襲撃犯の一人であろう魔導士に対峙するノア。その隙を突いて、襲われた女性は逃げ出した。
「フ、フフフフフ....!フハハハハハ!!!」
魔導士は失笑し、次第に高笑いへと変化していく。
「答えるつもりは無い...!」
そう言ったと同時に、魔法を発動する。
「ハァッ!」
その魔法はノアが今まで見たこともない程に蒼くそれでいて美しさを感じる炎であった。その蒼く煌めく炎をノアに向かって放つ。
「こんな魔法...!」
ノアは魔導士が放った蒼い炎を吸収しようと炎魔法の武器である"炎魔の剣"を炎に向けるが、
「何っ!?」
炎は吸収されるどころか、益々勢いを増し、ノアを囲う様に徐々に展開される。
(コレに囲まれるとヤバい...!!!)
第六感で危険と判断したノアは、即座にバックステップで後ろに飛んで避ける。
「...チッ」
魔導士は避けたノアを忌々しそうに睨んで舌打ちをした。
(あの炎、吸収出来なかった...つまり、
出会った事の無い魔法を使う魔導士との対峙に困惑するノア。
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一方、アスタはというと...
「おいでなすったと思ったら..."黒の"...しかもガキじゃねぇか.........!」
男はアスタを見て、"黒の"と言った。つまり、男は魔法騎士団の事をよく知っているという事である。
そこから少し考えれば襲撃をした何かしらの理由を考察する事が出来る....と、ノアならば考えるのだが...
「その子から離れろイカレ野郎!!」
アスタは頭に血が昇っており、そんな事は少しも考えていない。
「バカがぁ...!!そんな攻撃じゃ俺様の軍団は止められねぇよ!!」
男は斬られた死体を動かそうとするが、
「......なん...だと...!?」
斬られた死体達はピクリとも動かず、何が起きたのか分からないといった様子で男は戸惑いを見せた。
「!」
その隙を突いて、少女はアスタに向かって頭突きする形で逃げてくる。
「怖かったよぉ~」
「素晴らしい行動力!」
「━...そうか...!テメェが例の
どうやら男はアスタの事を知っているようだ。
「あ~~~~あ~~~~...フザケんじゃねぇぞぉ...」
頭を掻きむしり、苛立ちを隠そうともしない男は、
「テメェみてーな魔力の無いクズはお呼びじゃねーんだよ!!」
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王都中央区には、
「銀翼の大鷲だァ━━━━!!」
「民よ...我々の後ろへ下がれ...」
『銀翼の大鷲』の団員達が救援に...
「何だコイツら...!倒しても起き上がってくる━━━━...!」
「............」
「戻ったらデザートを食そうと思っていたのに...食欲が失せる見た目ですね~」
西区は『金色の夜明け』が、
「コイツら気持ち悪いっスよ姐さん!」
「そうだな...見ているだけで吐き気を催しそうだ...」
東区には『碧の野薔薇』が、
「ものすごい数ですわ...!」
「どこかに弱点でもあるのか...?」
「そんなモノを探すのは手間だ...!」
北西区には、西区同様『金色の夜明け』が、
「コイツら...魔力は宿っているが...生きている人間ではないな...!」
そして北区にはノエルと『紅蓮の獅子王』が
それぞれの区画にて対応し始める。
「...ならば...」
『立ち上がれぬ程に粉砕するのみ!!!』
この時、アスタとノア以外の全員の考えが一致した。
《炎魔法 "螺旋焔"》
「我が魔法、受けてみよ!!」
「目障りだ!!」
《水創成魔法 "斬禍の海蛇"》
「姐さんを気持ち悪くさせてんじゃなーい!!」
《土創成魔法 "暴れ地母神"》
《硝子創成魔法 "
「せめて優雅に美しく散りなさい」
《霧魔法 "霧現分身"》
「弄び甲斐の無い連中ね」
「我が魔法の前に砕け散れ!!」
《砂創成魔法 "砂鎧の重装兵"》
「私に触れる事は誰も許さん...!!」
《荊創成魔法 "
《 炎創成魔法 "
「燃え尽きよー!!!」
「罰を受けよ」
《水銀魔法 "銀の雨"》
「有象無象がこの国の民に牙を剥いた罪のな」
「負傷なさった方は私のところへ...!」
少しずつではあるが、魔法騎士団全員が一つ一つの問題に対処していく
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「おおお!!!」
アスタも今は一人の少女を守りながら、男の操る死体達を次々に斬り捨てていく。
その様子を『紅蓮の獅子王』団の団員のひとり レオが見ていた。
(━━━あの男...!まさかひたすら剣であの数を薙ぎ払い尽くすとは...何という体力...!!何という愚直で馬鹿げた戦い方...!!)
「フフッ...ハハハハハハ...面白すぎるではないか━━━━!!それでこそ我がライバルに相応しい!!」
アスタの愚直ながらも真っ直ぐな戦いに感銘を受けるレオ。
(俺の魔法は自分の魔を死体に張り巡らせ、意のままに操作する死霊魔法...!屍の体内中の魔をアイツの攻撃は一瞬で断ち切り消失させやがる━━━━━━...!!)
「なんで...罪の無い人達を襲いやがったコノヤロー!!」
アスタの問いに苛立ちを見せる男、
「絶対にオマエを倒す━━━━━━!!」
その時、アスタの眼前に強い光が現れ、その中から光の弾が射出される。
「No.4......ジミー...!」
「━━━━━━━━...」
突如として、黒と白の包帯等を纏った死体が黒く変色した地面から現れる。
「罪が無いだと...?俺の力が分からない奴らは...全員...罪人だ...!!」
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「ハァッ!!!」
炎魔の剣での吸収が出来ないと理解したノア、再び蒼い炎が彼を襲う。
(炎魔の剣での吸収は不可能...だったら...!)
剣を戻し、次にノアが召喚したのは 《水魔法武器 "水神の剣"》であった
「コレなら...!!!」
しかし、
「なっ...!?」
蒼い炎は消えるどころか、益々勢いを強くしていく。
「くっ...そ...!!!」
忌々しげに唸るノア、仕方なく剣を戻して父王の剣を召喚し、投げる。
それと同時にノアは父王の剣の元へと移動した。
(どういうことだ?....炎魔の剣での吸収は不可能、水神の剣での消火も出来ない...この男の魔法はなんなんだ!?...一体、コイツは...!?)
「不可解...といった様子だな、魔導士よ。」
「!」
突然、ローブの男がノアに話し掛けてきた。
「...そりゃあな」
悩んだ末に会話を試みる事にしたノア、それが奴の魔法を攻略する鍵になると考えて。
「なに、簡単な事よ...
(!...成る程ね、なんとなくだけど分かった....コイツの魔法は...コイツの怒りや憎しみ、悲しみ等の負の感情が原動力となっている...だからこそ、炎魔の剣での吸収や水神の剣での消火も出来なかったんだ...)
男の魔法がどういうモノなのかを理解したと同時にノアは、どうにも腑に落ちないと思った。
(だが、有り得るのか?....感情が魔法を
だが今現在、ノアの疑問に返答してくれる者はこの場には居ない。
「仕方ない...」
そう呟き、ノアは魔導書から複数の刀剣を周囲にばら蒔く...いや、突き刺したと言う方が近い。
「俺はアンタを倒す...そして、この国を守る...それが俺の...魔法騎士としての役目だ...!」
「ほう?私の魔法を攻略するとでもいうのか?」
「いや、取り敢えずは...」
ノアは剣を消して、自身の周りにファントムソードを展開する。
「当たって砕けろ作戦だ!!!」