ブラッククローバー ~武器魔法の使い手   作:晴月

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ページ21 激突する想い

「ほう...私の魔法を...?」

 

当たって砕けろ作戦と名付けたノア それを聞いてローブの男はとんだ虚勢だとノアを嘲笑う。

 

「やってみろ...やれるものならばな....!!!」

 

蒼い焔がノアに向かっていく。

 

対してノアは周囲に飛ばした武器の一つに移動し、其処から攻撃を仕掛ける。

 

「甘い!!!」

 

男はノアの攻撃を焔で防ぎ、同時にノアに纏わせようとする。

 

「なんの...!!!」

 

しかし、ノアはバックステップで回避し、再び他の武器に翔んでいく。

 

「そんな小細工がいつまでも通用すると思うな...!」

 

男が焔をノアに向かって放つ。

 

ノアは先程と同様、回避して次の武器に翔ぶ。

 

ノアはこれを延々と繰り返し、攻撃のチャンスを着々と狙っているのだ。

 

だが、

 

「時間稼ぎのつもりか?....そんな作戦で私が倒せると思ったか...!!!」

 

男は何を思ったのか、自身の頭上に向かって焔を放出した。すると、

 

「!...しまった...!!!」

 

何と男の頭上からノアが剣を片手に落ちてきた。

 

「ぐあっ...!!!」

 

ノアは蒼い焔に四肢を掴まれ、そのまま地面に叩きつけられてしまう。

 

「がっ!あがっ!」

 

ガン!ガン!、と力強く叩きつけられ、身体だけでなく頭部、顔面からも血が滲んでいる。

 

「.....」

 

ローブの男はこうなることは予測済みだと言いたげに腕を組んで目を閉じ、黙って焔を操作する。

 

「...終わったか...」

 

焔が動きを止めると其処には、

 

「......」

 

全身から血を流しながら、地に伏したノアが倒れていた。

 

「もう少し粘ると思っていたが...この程度とは...」

 

失望したと言いたげにため息をつき、その場から移動しようとするローブの男、

 

果たして、ノアは立ち上がる事が出来るのか?

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「今回の獲物はあのクソガキだ...ジミぃ~~~~~~!」

 

男が召喚した手足の長い死体 ジミーがアスタに立ち塞がる。

 

「さっきから何かキモいのいろいろ出しやがって...ズリーぞコノヤロォォォ...!」

 

その時アスタは魔力弾がかすった頬に違和感を感じた。

 

「............」 (血が...!)

 

血が流れ出し止まらないのだ。

 

今撃ったのはジミー特製の"呪力"の込もった呪弾だ...!かすり傷でも血が止まらなくなるぜ...?せいぜい気ぃつけるんだな!!

 

再びジミーの呪弾がアスタを襲う。

 

(デカイ剣じゃ振り遅れる━━━━!!)

 

だらぁぁぁぁ!!

 

アスタは大剣を魔導書に戻すと、片手剣を取り出して呪弾を全て斬る。

 

「魔力が無いクセに煩わしいガキだ...だがジミーの呪力はまだまだ残ってるぜ...?」

 

ジミーの周囲に呪弾が装填される。

 

「━━━...っと...オマエの前に...」

 

男はアスタより右代にいた先程の少女に狙いを定めた。

 

ジミー!奥の目障りなガキ片付けとけ!!

 

アスタではなく少女に向かって呪弾が飛んでいく。

 

「え...」

 

アスタはその攻撃を全て斬り捨てる。

 

誰、狙ってる...!

 

アスタの顔に怒りが浮かび上がる。

 

「あ~あ~そうだったな、オマエら騎士団は国民を守るんだったな...あのガキを狙えジミぃ━━━━━!!!

 

再びジミーの呪弾が飛んでくるが、アスタが全て斬っていく。

 

おおおおぉ

 

「ハハハハハ!!さっさと見捨てちまえよ━━━━!!」

 

だが、やはり撃ち漏らしはあるものでアスタの脇腹に呪弾がかする。

 

「アララ、他人守る為に自分が傷ついてちゃあ世話ねぇな!!」

 

「お兄ちゃん...!」

 

そんなガキ守って何になるっつーんだよ偽善者野郎が━━━━!!!

 

何にならなくても護る!!!

 

アスタの強い意志に男は苛立ち、呪弾の出力を上げる

 

そーかよ、じゃあそこで出血死するまで剣振り続けてろバカがぁ━━━━!!

 

「アスタ━━━...!」(助けないと...)

 

少女を護る為に立ち向かうアスタを見つけたノエル。しかし、

 

ノエルは、先程ソリドに言われた言葉を思い出し、動けずにいた。

 

(...私...なんかが.........)

 

そんなノエルに死体軍団が襲いかかる。だが、

 

「!」

 

死体軍団の真横から巨大な炎が突如として出現し、彼らを呑み込む。

 

「.........」

 

それは『紅蓮の獅子王』団 団長フエゴレオンが放った馬堀海岸であった。

 

...あっ...ありが...

 

集中━━━━━!!!!

 

「!」

 

フエゴレオンはノエルに対してチョップで渇を入れる。

 

「~~~~~~~~............」

 

痛みに悶えるノエルに対し、フエゴレオンは

 

暴牛の娘...まさかオマエの兄に言われたことに臆しているのか...?

 

「............」

 

図星だった。ノエルはその事を思い出し、直ぐにアスタの元へと駆け付けられなかった。

 

そんなヒマは戦場には無い!!一つの判断ミスで一つの命が失われるぞ!!

 

「━━━━...」

 

フエゴレオンの最もは言葉にノエルは黙って聞く事しか出来なかった。

 

オマエは今此所に魔法騎士団員として立っているのだ━━━自分の意志で魔法騎士団に入ったのならば...覚悟を決めて強くなれ!!.........恥ずべきは弱い者ではない...弱いまま(・・・・・)のものだ!!

 

フエゴレオンの「弱いままの自分でいるな」という言葉にノエルは、

 

(━━...そうよ...アイツが、アイツらが証明してくれてるじゃない...!)

 

下民と揶揄されても、決して腐る事なく、目の前の巨大な悪にただひたすらに立ち向かっているアスタ。今は別行動をとっているが、アスタと同様に襲撃犯の一人と戦っているノア。

 

二人の背中を思い浮かべ、自分の気持ちを理解する。

 

(アイツらだって......私だって...強くなれる!!!)

 

弱い奴は弱いまま死ぬんだよ━━━━!!!

 

「ぐ......!!」

 

何とか呪弾を斬ってはいるが、アスタは疲弊している様子。

 

そして、先程呪弾がかすった脇腹からの出血の痛みでふらついてしまい...

 

(しまっ━━━━)

 

撃ち漏らした呪弾が少女に向かって、

 

《水創成魔法 "海竜の巣"》!!

 

「あぁ...!?」

 

翔んできたが、ノエルの発動した魔法で少女は護られた。

 

ノエル━━━!!

 

何やってるのよバカスタ━━━━!!見てらんないわねまったく......!助けてあげるから有り難く思うのね!!

 

相変わらず上から目線だがアスタは何処と無く嬉しそうに笑う。

 

自由に動けるアンタは止められっこないわ━━━行きなさい!!

 

「調子戻ったみてーだな」

 

ガキ共がぁ━━━━━!!

 

男が怒り、大量の死体を喚び出す。

 

図に...乗るな!!

 

アスタに襲い掛かろうとしたとき、

 

 

アスタの背後から二柱の炎の渦が死体を焼きつくした。

 

助太刀してやろう我がライバルよ!!

 

炎を放ったのはレオであった。

 

外道に一太刀浴びせてやれ!!オマエの力見せてみろ━━━!!

 

「え━━━━━━と...ありがとうございまァァァァす!!

 

アスタはレオが誰なのか分かっていない様子だが、

 

言われなくともォォォォォ!!!

 

再び発射された呪弾、アスタはそれを召喚した二振りの大剣と片手剣を持ちながら回転し、小さな竜巻を起こしながら斬っていく。

 

うおおおおおらァァァァ!!!!!

 

そして遂にジミーを斬り、呪弾の発射を阻止することに成功する。

 

「何という魔導士らしからぬ戦い方だ!!面白過ぎるぞォ━━━!!フハハハハ!!」

 

「...............は...............?そんなフザケた攻撃でのされてんじゃねぇぞー!?ジミぃ~~~~~~」

 

つべこべ言ってねーで......

 

次はオマエ自身が、掛かってこいよ!!!

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

ローブの男が背を向け、立ち去ろうとしたその時

 

「待てよ。」

 

「!!!」

 

男が振り向くと、

 

「ハァ...ハァ...ハァ...」

 

息も絶え絶えにノアが立ち上がり、男を睨み付けていた。

 

「ほう...これは驚いた、まさかあれだけの打撃を受けながら立ち上がるとは...」

 

「これでも...ハァ...頑丈な方なんでね...ハァ...」

 

(...もはや虫の息の筈だそれなのに奴は立ち上がってくる...フフフ、面白い男だ)

 

「ならば、貴様が倒れるまで攻撃を続けるまでだ」

 

「やって...ハァ...みろよ....俺は、絶対に...ハァ....諦め...ない...!!!」

 

出血が多く、これ以上戦えば確実に死ぬかもしれない。筈なのにこの少年は自分に立ち向かってくる。

 

その事実が何故か嬉しく感じるローブの男と、

 

(何としてでも...此所で、食い止める...!!!)

 

自分を犠牲にしてでも男を捕らえようとするノア。

 

果たして...勝つのは一体、どちらなのか━━━━!?

 

 

 

 

 

 


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