その一方で彼のライバル ユノもまた、襲撃してきた魔導士達の一人と戦っていた。
「誰がオバサンだぁぁぁぁ!!!」
黒衣の魔女が自身の
ユノはそれを風魔法を使い、悉く回避する。
「様々な呪詛を込めた呪弾よ━━━!!何が起きるかは当たってからのお楽しみ♪」
「お前達は何なんだ...何が目的で攻めてきた!?」
「あーら、おしゃべりなんて余裕じゃない?...いいわ、イケメンに免じて教えてあげる♪...ある人物の抹殺!!それが私達の目的よ━━━━!!」
「......!」
「ねぇねぇ、誰だと思う~~~??...ま、教えないけどね~~~~~~~~~!!」
再び発射される呪弾を避けるユノ。
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「魔法帝は どこにおる!?」
その頃、クローバー王国国王は両脇に女性を侍らせ、魔法帝の所在を確かめていた。
「こういう非常時にこの国の王である余の傍に控える事が王国最強の魔導士の何よりも優先すべき責務であろうが!戦事においては余と同等の権限があるからと図に乗っておるな.........!?あくまでもこの王国の元首たる存在は 余 のみなのであるぞ!」
どうやらこの緊急時に、魔法帝が不在だということが大層気に入らない様子。
「王よ 我々魔法帝の側近が警護しておりますのでご安心を」
魔法帝の側近であるマルクスは何とかして国王を宥めようとする。
(ぐぉぉ~~~~本当にどこ行ったんだあの人~~~~この緊急時に何処に出掛けてるんだ....いつもいつも自由すぎるだろ~~!!!)
こんな様子で彼自身も魔法帝の
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再びユノの様子は、
何度も繰り返される呪弾を受けつつ、回避するので手一杯の様子。
(攻撃が止まない...!コイツ...とんでもない魔力量だ...!)
「............」
何とかして反撃の機会を伺うも、そんな隙は全くと言っていい程無い。
「!」
そうこうしている内に、再び魔女の呪弾がユノの身体に命中してしまう。
「あらぁ~~~?どんどん動きが悪くなっていくじゃなーい、一体何の効果が当たったのかしら?」
(...くそ...目が...もう殆ど見えない.........!体の感覚も失われてきている━━━━━━━...)
「...!」
(今度は......耳も徐々に......!これが、コイツのちから...)
そんなユノの様子を一瞥し、魔女は嘲笑う。
「灰呪詛魔法 "
どうやら魔女の魔法は呪弾が命中した箇所の感覚を"奪う"魔法だったようだ。それにより、ユノの身体からは五感全てが奪われつつあった。
「............」
(四つ葉を期待され...現最強の団《金色の夜明け》に入団し...俺は...一体何を............)
薄れ行く意識の中、ユノは今までの事を思い出していた。
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『四つ葉だか何だか知らんが下民が調子に乗りやがって...』
『フン、この『金色の夜明け』の中では取るに足らん才能だ』
『今に埋没していくだろうさ』
入団して間もない頃、聞こえてきたのはそんな団員達の侮蔑が混じった心無い言葉の数々。
(周りの声なんて関係無い...俺は、負けない為に自分を磨くだけだ...だけど...)
次に思い出すのは、
(勝てなかった....いや、あの時はノアが居なければ確実に全員やられていた....しかも、そいつを倒したのは偶然手にした自分では制御出来ない力だった...)
次に思い出すのは、"シルフ"を手に入れた後の事、
(しかもその力はまるで俺の言う事なんか聞こうとしない...さっきの空間魔法から逃れられたのも自分のモノとはとても言えないその力が反応したお陰...)
『別に我々はあのような下民に期待などしていない』
不意にアレクドラの声が頭に響く。
(いや...違う...俺が悔しいのは...そんなことじゃない...!!)
感覚を奪われたユノが反撃とばかりに魔法を放つ。
しかし当たらず、
「キャハハハハどこに向いて撃ってんのォ~~~??こぉゆー風にちゃんと狙わなきゃ~~~~!!「お姉様ごめんなさい 」って可愛く命乞いすれば許してあげてもいいわよぉ~~~~!?」
次々に当たる呪弾に最早なす術もなく立ち尽くすユノ。
「............」
(何も...見えない.........何も...感じない............━━━━━━.........)
諦めるしかないのか...? そんな考えが脳裏をよぎった時、
ユノの目には、確かに、ハッキリと、鳥の様な光が見えた。
(これは...
ここで魔法の属性について説明しよう。
ユノの様に風系統の
五感を殆ど絶たれ、追い詰められたユノの研ぎ澄まされた集中力は驚くべき魔の感知力を見せ━━━━...
さらに
「ねぇねぇほらほら早く命乞いしなさいよぉ~~~~!じゃないともう殺しちゃうよ~!?君の事いろいろ聞きたいなぁ~ねぇ聞こえてる~~~~~??ねぇねぇ教えてよォ~~~!!」
頭上で魔女が煽る。
ああ うるさい オマエの事なんて知らない 俺はただ...
思い出すのはアスタとノアの顔
アイツに...アイツらに...アスタとノアに負けたくない!!!
「まだだ...!!!」
その時、ユノの魔導書のページが光を放ち始め、魔が風と成り、ユノの元へと収束していく。
「え.........!!」 (魔が...集まって...!?この...感じ...コイツ.........)
(魔を...支配した━━━━━...!?)
ユノの前には、以前現れた妖精 "シルフ"がユノの元に魔を引き寄せていた。そこで魔女は始めて気が付いたのだろう、ユノの魔導書に"四つ葉"が刻まれていた事を...!
「!...あの魔導書...!!」(伝説の四つ葉...ですって......!?)
「...俺の事を一つだけ、教えてやる...!」
先程とは撃って代わり、魔女はユノに怯えきっていた。
「俺は、死ぬ程負けず嫌いなんだよ...!!」
風精霊魔法 "シルフの息吹"
再びシルフを喚び出す事に成功したユノ。
彼の今後は如何に━━━━━!?