この私ともライバルだな
フエゴレオンのその言葉にアスタは歓喜に震えた。
(魔法騎士団の団長が...俺の事を.........!?)
嬉しかった。自分を一人の魔導士として認めてくれたことに対して、ライバルだと言ってくれたことに対して。
「うおおおおお!!!弱ってる場合じゃねぇぇ━━━━━!!俺はまだやれ━━━る!!!」
フエゴレオンの言葉で更に元気になったアスタ。再び戦おうと走り出すが、
「駄目だ。」
「!?」
フエゴレオンの手刀がアスタの頭部に直撃する。
「戦士ならば己の状態を常に把握し、戦えるかどうかを見極めなければならない...今のオマエはとてもそうだとは言い難い...!」
頭を押さえ、痛みで踞っているアスタに対してフエゴレオンの忠告が成される。
「豪快さはオマエの一番の武器だろうが冷静さも持て!本当に魔法帝を目指すのならばな...」
「...!」
フエゴレオンの言葉はアスタにとって、目から鱗であった。
「お前らの狙いは何だ!?侵略にしては行動に一貫性がなく無差別テロにしては統率が取れている...一体、何者だ!?」
「.........はっ......」
男はその言葉を待っていたかのように不敵な笑みを浮かべた。
「俺は6年前、トップで魔法騎士団に入団したラデスって者だよ」
「.........!何だと...!?」(元魔法騎士団員...!?)
ラデスと名乗った男は自分を元魔法騎士団の団員だと語る。
「覚えちゃねぇよなぁ.........あんたらには取るに足らない者だろ...?」
「━━━━━......!!」
その時、フエゴレオンは思い出す。6年前の入団試験の事を。
(......あの時の...!?確か『紫苑の鯱』に入団が決まった━━...)「あれだけの才能を持ち、何故......!」
「追放されたんだよ...!」
ラデスの顔つきが一瞬で変化する。
「奴らは俺の"屍霊魔法"を危険な禁術だとぬかし━━━━平民だからと誰も護らず団からも国からも追い出しやがった!!...俺の才能の方が上だってのに...貴族よりも...他の誰よりも━━━━...!!魔力が全てなんじゃねーのかよ...!?あァ~~~~~~~~!?......だからなァ...!!そんな騎士団にも国にも復讐する!!この力で!!それが俺の目的だ━━━━!!!」 (まぁ、目的はもう一つあるがなぁ...!)
ラデスの独白を聞いたフエゴレオンは、怒りを露にしていた。
「.........そんな幼稚な理由で.........ふざけるな馬鹿者ォ!!」
「幼稚...!?」
フエゴレオンの言葉にラデスも熱が入る。
「理由ってのはいつだって...シンプルなもんだろ...!?」
ラデスの背後には、召喚した屍体が独特な雰囲気を醸し出している。
「...............レオ━━━━!!」
「兄上...!」
ノエルと共に、泥水の魔法を使う屍体と戦っているレオに彼は訪ねる。
「助けが必要か!?」
「!━━━━━......」
少し考え、レオは答えた。
「絶対に要りません!!」
「それでよォォし!!分かっているのならすぐさま片付けろ━━━━!!」
その言葉を待ってたと言いたげな表情でさらっととんでもないことを口走るフエゴレオン。
(す...すげぇぇぇスパルタ兄弟!!)
正に獅子のごとき厳しさである...言ってる事は無茶苦茶だが、
「ムチャ言ってくれるぜ!!属性の相性が悪すぎだろうが!...まぁ助けになんざ行かせねーがな━━━━...」
ラデスは気付く。目の前にいる男 フエゴレオンは既に臨戦態勢に入っていることに。
「火加減は...出来んぞ?」
《炎創成魔法 "
炎で創られた獅子から高温の火炎がラデス目掛けて放たれる。
「!」
だが、ラデスは屍体の発動した防御魔法によってフエゴレオンの攻撃を難なく防いだ。
「No.1カールコイツは生前、防御魔法の達人でなぁ━━━━...そこに俺の呪力も加えより鉄壁にした...!!」
「.........」(アイツ、まだあんなのを...!)
ラデスの操る屍体の能力に辟易するアスタ。
「━━━━アスタ...」
「!」
「先ほど言った言葉、覚えているな?...見ておけ...!」
フエゴレオンの言葉を信じ、彼の戦いを見守る事にしたアスタ。
「何余裕かましてやがる━━━━!!コイツは防御魔法だけじゃ無いぜぇ━━━━━━!?」
《炎創成魔法"
カールから飛んできた矢をフエゴレオンは防御魔法を発動し、冷静に対処する。
「このカールと防御魔法比べかぁ!?」
「........」
カールの攻撃を防御しつつ、冷静に相手を分析するフエゴレオン。
しかし、まだまだ攻撃は続く。
「どうだぁ~~~~!?この鉄壁の防御と超連続の攻撃は━━━━━!!」
「...確かに手が出せんな.........」
現状、フエゴレオンから攻撃を仕掛けるのならば、ほんの一瞬。その隙を突いて攻撃する他ない。
「ハハハハハ、こんなもんかよ!?...『紅蓮の獅子王』団長さんよォ~~~~~~~!!」
その一瞬、フエゴレオンは魔法で防御魔法の壁ごとカールの核を射ぬいた。そして、直ぐ様消し炭と化すカール。
アスタとラデスも何が起きたか分からず、唖然となっている。
「.........!!」
「炎魔法 "
淡々と語るが、行ったことはかなり凄い芸当である。
「厄介な魔法など日常茶飯事...」
一呼吸置き、フエゴレオンは語る。
「いいかお前達!!騎士団にいる以上強力な敵・魔法との戦いは常に起こるだが、その時冷静に能力を見極め大胆に戦う精神があれば負ける事など絶対に無い!!分かったか━━━━━━!?」
レオとノエルに対して激励を送るフエゴレオン。
(流石兄上.........!あんな奴に手間取ってられん━━━━!!!)『はいっ!!!』
「...............」(あの一瞬で見抜いて...仲間の士気まで...これが魔法騎士団団長...!!す...すげぇ━━━!!!)
今日この日、アスタは魔法騎士団団長に選ばれた男 フエゴレオンの実力を知り、何時か自分も魔法帝になるという夢の為に辿り着けるようになろうと思うのであった。
「...馬鹿な...!!No.1がこんな簡単に......!クソが...!!クソが...!!」
一方のラデスは自身の操るカールに絶対の自信があった為か、それが破れた今、恐怖とどうすることもできない現実にただ、立ち尽くすのみであった。
「ラデスと言ったな...」
「!」
「とてつもない才能も磨き上げられた力も正しき精神を伴わなければただの暴力!!そんなモノは誰からも認められん!!!」
「.....................!!」
フエゴレオンのこの言葉でラデスの心は更なる恐怖へと傾いていく。