ブラッククローバー ~武器魔法の使い手   作:晴月

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ページ27 勇者(ヒーロー)の帰還

  

「······」「···一体何が起きているの···?魔法騎士団のお兄ちゃん···!」

 

少し離れた場所で、少女はネロと共にアスタ達の安全を祈る。

 

―――――――――――――――

 

「よっしゃあアアア!かかってこォォい!!」

 

自身を取り囲む魔導士達を挑発するようにアスタは剣を構える。

 

「この数を前におかしくなったか···?」

 

「何でもいいさ今から死ぬヤツだ···」

 

魔導士達はそんなアスタを脆弱な存在だと認識し、周囲からアスタ達に向けて魔法を放つ。

 

「うおおお!!!!」

 

アスタはその場で回転し、魔法を全て弾き返す。

 

「甘い···!」

 

ノアも負けじと剣を召喚、返却を繰り返しながら魔導士達の攻撃を受け止め、吸収していく。

 

「無駄な足掻きを······」

 

「あ〜〜〜〜〜コイツらがぁ······あの方(・・・)の言ってた反魔法(アンチまほう)の奴と例の剣(・・・)を持つ···!」

 

だが、魔導士のひとりがアスタとノアを見るなり探していたモノを見つけたように歓喜に震える。

 

 「······」(豪快さはお前の一番の武器だろうが冷静さも持て!)

 

フエゴレオンに言われたことを思い出し、アスタは笑う。

 

「冷静に···ですよね·········」

 

「?」(アスタの奴···今までと何かが、違う···?)

 

「冷静にムチャクチャします···!!」

 

そんなアスタを一瞥し、ノアは何かを得たのだと悟った。

 

「うぁらあぁああああ!!!!」

 

アスタは迷うことなく、敵の懐へと潜り込む。

 

「うおおおおおおおお!!!!」

 

ノアもアスタに続き、ファントムソードを展開しながら懐へと飛び込んでいく。

 

「コイツら···!」

 

魔導士がアスタ達に攻撃しようとした時、

 

《炎魔法 “爆乱焔”》 

 

「兄上をあのような目に遭わせたお前らを俺がのさばらせて置くわけが無いだろう···!!」

 

レオもアスタ達に続くように戦いに参加する。

 

「俺も混ぜんか!!我がライバル達よ――――!!」

 

「おう!勝手に混ざれ混ざれ!」

 

「やりたいようにやれ!」

 

今は目の前の敵を倒す! その思いで3人は一致団結する。

 

「うおおおおおお!!!!」

 

「だりゃああああああ!!!!」

 

「はああああああ!!!!」

 

互いに背中を預け、戦う3人。その目から闘志が消えることなど考えられないほどに戦いは白熱していく。

 

 (手負いの獣ほど手強いというが············こいつらは···危険だ――――――

 

『うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』

 

「ターゲットではなかったが···今ここで殺す!!

 

再び3人に迫る魔法の数々、だが、

 

  《 水創成魔法 “海竜の巣” 》

 

「そう簡単に私の仲間を殺せると思わないでくれる···!?」

 

ノエルがアスタ達を守る為に魔法を使い、防御する。

 

「へぇ···なかなかの防御魔法じゃないか······!その身なり···王族シルヴァ家の者かな············?では失礼の無いように魔導書の魔法でお相手しよう···

 

魔導士は自身の魔導書を捲り、魔法を発動する。

 

 《 樹木創成魔法 “引魔の根” 》

 

突如として地中から現れた樹木達が、ノエルの発動した“海竜の巣”の周りに集結している。

 

「――――――···!」(そんな···!!激流を飲み込んで·········!?)

 

樹木達はノエルの“海竜の巣”を吸収し、アスタ達は再び無防備となってしまう。

 

「うおおおお!!!」

 

「!!」

 

しかし、そんなことはどうでもいいといった様子でアスタどうでもレオは立ち向かっていく。

 

「···その闘争本能恐れ入ったよ···」

 

 《 風創成魔法 “穿通竜巻針” 》

 

魔導士の前に出現した風の渦が、アスタとレオを貫く針となり、二人の身体を貫いた。

 

 「············」((――――は···速すぎる······!!))

 

攻撃を受けてしまった二人はその場に倒れてしまい、このままでは確実に殺されてしまう状況となる。

 

「···では···止めといこうか――――···!」

 

その時、男は何かがおかしい事に気付く。

 

 (もう一人は何処へ行った···!?)

 

「型無きが故に無形(むぎょう)···」

 

「!!」

 

魔導士は自身の背後から小さくではあるが、声が聞こえた為に振り返る。

 

「流れるが故に無限···!」

 

「しまっ···!」

 

気付いた時には遅く、ノアの魔法は既に発動していた。

 

「故に我が剣は···無敵···!!!!」

 

魔導士はノアによって斬られ、倒れてしまう。

 

《無属性武器 “鬼神丸国重”》が彼の手に握られており、それが先程の魔法を発動したものなのだと魔導士達は即座に理解した。

 

「あと···四人···!」

 

全員をこの場で倒すつもりで魔導士達へと向き合う。だが、

 

 「!」(ぐ···ダメージが···!)

 

ノアの身体はふらつき、その場に倒れていく。

 

「クソ···ここまで···か···」

 

ノアは悔しそうに言いながらその場に倒れてしまう。

 

(あと四人···残っているのに···)

 

身体に力を込めるもピクリとも動かなくなり、次第に意識も遠のいていく。

 

「全く···手こずらせてくれる···だが、」

 

他の魔導士達が3人に向かって、今にも放とうと魔法を展開していく。

 

「これで···止めだ···!」

 

 (う···うそ·············!!)

 

ノエルは目の前の光景が信じられなかった。あの三人が倒されるなんて、と。

 

「やめてぇえ――――!!!!」

 

その時だった。

 

 (――この魔力は···)

 

魔導士達が放った魔法を上空から落ちてきた水銀(・・)の塊が三人を守ったのだ。

 

「―――――···なに···」

 

水銀の中からは、離れた場所へと転移させられた魔法騎士団員達が現れた。

 

「···み···みんな―――――···!」

 

「·········魔法騎士団·········!」

 

「よくもあんなところまで飛ばしてくれたな············!」

 

屋根の上にいたヴァルトスの元へ、サンドラーが立ち塞がる。

 

「·········!バカな······!あの距離をこんなにも早く―――···!?」

 

かなり遠くまで転送したはずだとヴァルトスは驚きを隠せずにいた。

 

「不本意の極みだったが···全員で協力し戻って来た···超複合魔法···とでも言うべきか···?」

 

「············」

 

「力を合わせるというのも···良いものですねぇ」

 

「ま、男も捨てたもんじゃないっスね」

 

「能力だけは認めてやる」

 

「協力なんざ二度とごめんだな」

 

「違う団とはやはり相容れないものだもの」

 

口々に文句を言う騎士団達。

 

「―――···だが···我ら九つの魔法騎士団はただ一つクローバー王国の平和の為にある···!!」

 

ノゼルは魔導士達を冷たく睨みつけ、そう言い放った。

 

「···チッ···」

 

ヴァルトスはサンドラーの隙をついて魔導士達の元へと転移する。

 

「このまま戦えばただでは済まない···退こう···」

 

撤退するべきだと魔導士達にヴァルトスは告げるが、

 

「そう急くな···」

 

《水銀魔法 “銀の雨”》――――――

 

魔導士達の上空からは彼らを一網打尽にしようとノゼルの魔法が炸裂する。

 

だが、魔導士の一人が魔導書を開き魔法を発動する。

 

《ゲル魔法 “ベトベトサラマンダー”》

 

現れたのは、ゲルで作られたウーパールーパーのような魔法であった。

 

 (その程度の魔法我が雨は貫くぞ)

 

自身の勝利を確信したノゼルであったが、

 

「からのぉ〜〜〜〜」

 

魔導士は大きな注射器を魔法に打ち込み、何かを入れた(・・・)

 

《裏魔導具 “特性+α”》―――吸収

 

サラマンダーはノゼルの水銀魔法を自身の身体に吸収していく。

 

 (何だ···!?あの魔導具は―――···)

 

見たことのない魔導具を使い、自身の魔法を強化した事に驚きを隠せないノゼル。

 

次に魔導士はサラマンダーを操り、アスタとノアを捕まえる。

 

「アスタ、ノア―――」

 

「もぉ〜〜〜〜らいっ」

 

アスタとノアを手に入れた魔導士はひどくご機嫌であった。

 

「ソイツら···どうするつもりだ···?」

 

「秘密♪」

 

 (こいつら···団長の魔法をいとも容易く―――――···!!)

 

「アスタ···!!」

 

「ノアさん···!!」

 

 

「覚えておくがいい···魔法騎士団の者共よ」

 

そこで初めて魔導士達のリーダーらしき人物が口を開いた。

 

「我らは『白夜の魔眼』クローバー王国を滅ぼす者だ···!!」

 

そう言い放っつと、魔導士達はヴァルトスの魔法でどこかへと消えていくのだった。

 

「アスタ!ノアああ――――――!!!」

 

連れ去られた二人を追いかけることも出来ず、ノエルとミモザはその場に立ち尽くしてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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