ブラッククローバー ~武器魔法の使い手   作:晴月

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ページ5 初任務へ

「フッ、フッ、フッ.....」

 

夜明け前。『黒の暴牛』アジトの裏手で剣を振って素振りをする一人の青年。彼の名は ノア・レイダス。

 

今日は何時もより早く目覚めてしまったので何かすることはないかと思い、素振りを始めたのだ。

 

「996....997....998....999....」

 

彼は今、素振りを1000回行っている最中だ。

 

「1000!」

 

そして今、彼の素振りが終わったようだ。

 

「よし、次は走り込み行くか。」

 

何を思ったか今度は走り込みとして8㎞走りにいってしまった。

 

(俺もアスタに負けない為にあいつと同じ....いや、あいつの倍はトレーニングしないと!)

 

「やってやらああああああ!!」

 

ノアはそのまま意気込んで森の中へと走っていってしまった。彼が戻ってきたのは団員達全員が起きてきた後だった。

 

───────────

 

「そもそも魔法騎士団って何するんスか?」

 

朝の食堂にて、アスタがそんなことを聞く。

 

「マジで言ってんのか?テメー...」

 

聞かれたマグナは目の前に座っているアスタの首根っこを掴んで揺する。

 

「国護ったり警備したり世界一(おとこ)らしい仕事だぞボケぇぇ!!なんで入ろうと思ったァァァ!?コラァァ~~~」

 

「すみまっせぐええええ」

 

「「.......」」

 

その光景を見ていたノエルとノアは食事をしながら横目でアスタを見る。

 

「.....えーと、それは俺も知らないので教えてもらえませんか?」

 

ノアはマグナにそう質問すると掴んでいたアスタを放す。

 

「そうね~市民の安全守る~~~~?みたいなぁ?護衛で素敵な殿方とお近づきになれるかも❤️」

 

最初に答えたのは朝なのに酒を飲んで酔っぱらっている彼女 バネッサ・エノテーカ。後半は私情が混じっていたが...

 

「敵と戦いまくれるオモシロイ仕事だよ!犯罪者だったらどれだけボコボコにしても怒られないし 」

 

次に答えたのは『黒の暴牛』一の戦闘狂(バトルマニア)ラック・ボルティアがシャドーボクシングをしながら答えた。犯罪者をボコボコって、明らかにやり過ぎだと思うが...

 

「何よりも妹に尊敬される素晴らしい職業だ。給料で妹に好きなモン買ってやれるしな。」

 

鼻血を出しながら答えたのはどシスコン、ゴーシュ・アドレイ。うん。、こいつは論外だな。

 

すると突然、隣にいた団員の一人がおもむろに魔導書(グリモワール)を取り出して魔法を使い、料理を作り出す。

 

「ご飯がたくさん食べられるよー。」

 

そう言った小柄な少女 チャーミー・パピットソンは笑顔でアスタに答えた。

 

次に見た目が完全に マツ●・デ●ックスのグレイがおもむろに魔導書(グリモワール)を開いてアスタの姿に変身する。

 

「ま、とにかく楽しいところさ。そのうち一緒に任務するときはよろしくなっ!」

 

団員全員を見て三人は、

 

(((へ、変な人達ばかりだ....。)))

 

と、改めて「黒の暴牛」の異端児っぷりを見せつけられたのだった。

 

─────────

 

アジトから少し歩いた森の中。

 

そこではノエルに魔力コントロールを教えているノアの姿があった。

 

「.....とまぁ、魔力のコントロールには集中を持続させることとそれが攻撃用の魔法なら、的を狙って当てるという気持ちが必要なんだ。」

 

自らの魔力コントロールについての自論をノエルに教えるノア。

 

「集中力と当てるという気持ち....。」

 

「でもまぁ、集中力の持続が成功してるから後は的に当てるだけだ。.....という訳で。」

 

ノアは何を思ったか、魔導書(グリモワール)と取り出し、そこからレイピアを召還した。

 

「先ずはこれを狙って当てて貰う。」

 

「えっ!?....でもそれアンタの魔法じゃあ...」

 

ノエルは少し躊躇いを見せた。

 

するとノアは近くにあった木の近くの地面にレイピアを投げて突き刺した。

 

そしてノエルにそこから少し離れる様に指示し、そこから魔法を撃つように言う。

 

「よし、じゃあここから撃ってみてくれ。」

 

「わ、分かったわ。」

 

そう言うとノエルは意識を集中させ、レイピアに向かって魔力弾を放つ。だが、魔力弾はまるでレイピアを避けるかの様にしてレイピアの後ろの木に直撃する。

 

その光景を見てノアはというと、

 

「う~ん。.....何が駄目なんだろうか。....ノエル自身は当てると考えながら撃ってる筈なんだけど。」

 

と、一人でブツブツとノエルに対する指摘を考えている。するとそこで、

 

「つまんねぇ~~!俺も何かやらせろ!」

 

ノアの魔法指導を見ていたアスタがつまらなさそうに文句を言う。

 

 

「....アスタ。お前は魔力無いんだから無理に付き合わなくてもいいんだぞ。」

 

と、ジト目になりながら答えるノア。

 

「でもなぁ。」

 

アスタは何かを考え込むような素振りを見せながらノアに何かを求める。

 

「.....ハァ、仕方ない。....ノエル、一先ず休憩に入れ。...俺はアスタを見てくる。」

 

「ええ、分かったわ。」

 

ノアはノエルに休息を取るように指示すると、アスタの方に顔を向け、魔導書(グリモワール)(ページ)を開く。それと同時にノアが召喚したレイピアはその開いた頁に吸い込まれていった。

 

「....それで?一体何を教えて欲しいんだ、アスタ?」

 

「そんなの決まってる!....俺m」「はい、却下。」

 

「って俺まだ何も言ってないだろ!?」

 

「どうせお前のことだ、俺にも魔力コントロール教えろとか言うつもりだったんだろ?.....だとしたら無理だ。お前には魔力が全く無い。...そんなお前に教えたところで"豚に真珠"だ。」

 

「んだとー!」

 

アスタはノアに言われたことに腹を立てて殴りかかる。

 

だがノアはアスタの拳を掴むと、そのままアスタの背後に移動し、脇固めを行う。

 

「あいだだだだだだ!」

 

「落ち着け。....今からお前にも出来る事を教えてやる。」

 

ノアはアスタの腕を離すと、魔導書(グリモワール)から剣を取り出して構えて、目を瞑る。

 

「アスタ。今から何処からでも良いから俺に攻撃を仕掛けろ。」

 

ノアが口にしたのはトンでもないことだった。

 

「いいのか?」

 

「ああ、やってくれ。」

 

ノアからの許可が降り、アスタは自身の魔導書から大剣を召喚してノアの背後から振りかぶった。

 

「きゃあ!」

 

その様子を見ていたノエルは悲鳴を上げながら目を両手で覆い隠した。だが、

 

「......ハッ!」

 

ノアは何処から来るのか分かっていたのか、アスタの方に振り向いて剣を大剣にぶつける。

 

「な.....!?」

 

驚いたのはアスタだった。まさか自分の攻撃を受け止められるなんて思わなかったからだ。

 

「なんだ、今のは?」

 

アスタはノアに今の技をどうやって自分に使ったのかを尋ねる。が、

 

「さあな?.....自分で考えな。」

 

と、それだけ言うとそそくさとアジトに戻っていくノア。

 

「あーそうそうノエル。....今日の練習はここまでとするから。後は部屋で休んで魔力を回復させるんだ。....以上、解散。」

 

「って、おい待てノア!...俺はまだお前にさっきの技のやり方教わって無いぞーー!!!」

 

と言って、アスタはノアを走って追いかけていった。

 

「....なんなのよ、あいつら。」

 

───────────

 

そしてそれから数分後、

 

ノア達三人はマグナとヤミに呼び出されていた。

 

「お前達に任務を与える!」

 

どうやら任務のようだ。アスタとノエルはワクワクしながら聞き、ノアは嫌な予感がするとばかりに目をマグナから逸らしている。その任務内容はというと、

 

「ソッシ村でイノシシ狩りだ。」

 

(((イノ...シシ...?)))

 

「な...何そのダサい任務!」

 

「ダサいとは何だァァ!!」

 

「イノシシなんぞ素手でブッ倒せますよ!」

 

「テメーイノシシナメんじゃねぇぇぇ」

 

「なら焼き斬れば...」

 

「倒し方で文句言ってんじゃねぇぇぇ」

 

「この間二人して賭けに負けちまってな~、何でも一つ言うこと聞くってとあるジジーと約束しちまったんだわ!」

 

と、二人は笑いながらその時の話をしている。

 

それを聞いてノアは思った。この二人、イカサマされてカモられたんじゃないか?.....と、

 

するとアスタが文句を言い始めた。

 

「それって僕達関係無いっスよね!!!」

 

「そうよそうよ。」

 

それに便乗してかノエルまで文句を言い始めた。

 

二人の文句に対してヤミは、

 

「行くのか、死ぬのか、どっちだ??」

 

と、文句を言っていないノアにまで脅しをかけてきた。

 

それに対して三人は、

 

「「「行きます。」」」

 

としか言えなかった。

 

「とはいえ初任務だァァァテンション上がるぜ~~~!!」

 

「この私が...?小汚い村の小汚い老人の為に?小汚いイノシシ退治?」

 

「初任務がイノシシ....はぁ、憂鬱だ。」

 

と、ノエルは小汚いを連呼し、ノアは魔法騎士団になってもイノシシを狩るのかと、憂鬱な気分になっていた。

 

それを見たマグナは、

 

「んだテメェら文句あんのかコラ?」

 

と、ノアとノエルを威圧する。

 

『誰も文句なんて言ってないわ(です。)』

 

だが、ノエルは続けた。

 

「....その...魔力のコントロールも出来ない私が...行ってもいいのかなって.....」

 

するとマグナは、

 

「バーカ!ンなモン任務重ねてりゃ勝手に出来るよーになってんだよ!それにテメーのケツくらい先輩のオレが面倒見てやらぁ!」

 

と、ノエルを励ますように叱責した。

 

「マグナ先輩漢っすね!」

 

「よせよバカスタ。照れるだろ。」

 

その様子を見ながらノアはマグナに訪ねた。

 

「それで、どうやって移動するんです?...フィンラル先輩の魔法で行くんすか?」

 

「いや、今回は無理だ。...フィンラルの魔法は、あいつ自身が行ったことのある場所しか行けないってデメリットがあるんだ。」

 

マグナは更に続ける。

 

「だから今回は箒で移動する。」

 

箒、それは魔法騎士団にとっては移動手段の一つとして用いられる道具である。ただし、殆どの魔法騎士は自分で移動魔法を覚えている者が多いため、現在ではその移動魔法を覚えていない者が利用することの方が多い。

 

「箒は前に説明した物置の右側に置いてある。お前らは奥に置いてある箒を使え。」

 

「了解。」

 

ノアはそう言って物置へと移動する。だが、移動しないものが二人、アスタとノエルだった。

 

「ん?どうしたお前ら、箒は物置だぞ。」

 

すると二人はマグナが忘れていたであろう事実を口にする。

 

「オレ、箒乗れないんですけど。」

 

「私も。」

 

それを聞いてマグナはアスタの肩を揺らす。

 

「何で乗れねぇんだぁぁぁぁ!?」

 

「だってオレ魔力全く無いですからね!」

 

「何で誇らしげなんだ!?」

 

「私は魔力のコントロールが出来ないんだから当然じゃない。」

 

「お前は何で偉そうなんだ!?」

 

三人はそんな感じでワイワイとしていると、

 

「あの~御三人方、箒持って来たんですけども...。」

 

「「「....」」」

 

その後、アスタはマグナの箒に、ノエルはノアの後ろに乗って移動する事となった。

 

───────────

 

箒で移動中、ノアはふとノエルに"ある事"を聞いてみたくなり、質問する事にした。

 

「なぁ、ノエル。」

 

「何よ。」

 

「お前、アスタのことどう思ってる?」

 

「ぶっ!」

 

不意を突かれたからかノエルは吹き出してしまった。

 

「あ~その反応から察すると.....成る程な。」

 

「ちちち違うわよ!?....ベべべ別に私はあいつのことなんて。」

 

ノエルのこの様子だと自ら墓穴を掘っているようなものだ。

 

「....そうか。....でも意外だな。あいつの何処に惚れたんだ?....あいつはガサツだし、煩いし、おまけにしつこい。そんなやつの何処に惚れる要素があるのか不思議なんだが。」

 

「そ、それは....その。」

 

するとノエルは今までの高慢な態度とは裏腹に急にモジモジし始めた。

 

「まぁ、言いたくないなら別にいい。それよりもお前の魔法についてなんだがな。」

 

(話を逸らされた!?)

 

ノエルは話を逸らされたことに対して心の中でツッこんだが、あえてノアの話を聞くことにした。

 

「お前の魔法。確かに現段階では"飛ばす"ことは難しい。だけど"留める"ことは可能だと俺は考える。」

 

「"留める"ことは可能...。」

 

ノエルはノアの発言を復唱し、自分が今、出来る事を見つけようとしている。

 

「まぁ、今はまだ焦らなくてもいい。...地道に一つずつ、自分に出来る事をやればいいさ。」

 

ノアはそう言ってノエルを励まし、焦らず地道に練習を積み重ねるように言う。

 

そうこうしているうちにソッシ村の近くの森が見えてきたのでノアはそこで話を切り上げることにした。

 

────────────

 

そこからはもうなんと言うか、単純作業だった。

 

アスタはイノシシを追いかけて大剣で切り、ノアは魔法でイノシシを焼き斬った。

 

ノエルとマグナは、二人の活躍するその光景をただ、眺めているだけだった。

 

そしてイノシシを全てではないが、狩り終わったところで、三人はソッシ村に移動した。だが、そこにあったのは...

 

「何だこりゃ...?村が霧に覆われてる...?」

 

村一体を包み込むように霧が展開されていた。それはまるでこの村に訪れた訪問者を拒むかのようだった。

 

「ずいぶん天気悪い村ッスね!」

 

「バカね、アンタ!」

 

「アスタ....これは魔法だ。」

 

ノアの発言にノエルは頷く。

 

「恐らくこの中に入っても目的の場所には入れないでしょうね。」

 

「それにこの魔法....まるで俺達に邪魔をされないために発動してるようなものだ。」

 

ノアの発言にマグナは少し思考する。

 

(村一つをすっぽり包み込む魔法....こりゃ恐らく村人の魔法じゃねぇな...)

 

マグナがそうして思考していると、ノアはアスタに声を掛ける。

 

「おいアスタ。お前の剣で霧に攻撃しろ。」

 

「え。...おいおい何馬鹿なこと言ってんだよ、霧は剣じゃ斬れねぇよ。」

 

アスタはそんなの当たり前といった風にノアの発言を馬鹿にする。だが、それを聞いていたマグナは、

 

「馬鹿はテメーだァァ!魔法だったらテメーの剣で斬れるんだろうがァァァ!!」

 

と指摘する。

 

アスタは思い出したかのように急いで自分の魔導書から大剣を取り出して霧を攻撃する。

 

そして、

 

「よし!霧が晴れ─」

 

『!』

 

霧が晴れた先で四人が見たもの。それは村の中心に集められた村人達を殺そうと上空に佇む氷柱だった。

 

すると何処からか声が聞こえた。

 

「処刑」

 

男の声だった。それも村人を殺すことに何の躊躇いも感じない。無機質なそれでいて何処か冷めきった声だった。

 

男の声の後に氷柱は全て村人達に降り注いでいく。

 

だが、

 

《炎魔法 爆殺散弾魔球(ばくさつさんだんまきゅう)

 

《炎生成魔法 鳳凰(ほうおう)翼撃(よくげき)

 

マグナとノアが直ぐ様魔法を発動し、氷柱を全て破壊した。

 

『魔法騎士団が助けに来てくれた─!!?』

 

村人達は歓喜した。最早自分達はこれから全員殺されるところだったのだ。歓喜しない訳がない。

 

「お爺ちゃんの祈りが...通じたんだ─...!!」

 

村人の少年が横たわっている老人に泣きながら報告する。

 

マグナは驚いた顔でその老人に近付く。

 

「ジーサン!オイしっかりしろ────...」

 

だが、

 

「..............ジーサン......」

 

その老人は既に息を引き取った状態であった。

 

(こんなに簡単に...人の命を奪って....!!)

 

それを見ていた三人のうち、ノアは心の中でそう呟いた。

 

項垂れていたマグナだったが、直ぐに誰の犯行なのか気が付いた。

 

「テメェの仕業かァァ────────!」

 

マグナの視線の先にはマントで姿を隠した四人の魔導師と、その中央に懐中時計を見つめる顔に傷のある男がいた。

 

だが、声を掛けられた男はマグナの怒りが込められた言葉に目もくれず。ただ、懐中時計の時間を気にしていた。

 

「よくも時間を狂わせてくれたな、三秒後に全員処刑。」

 

それどころか、邪魔をしてきたマグナを排除するようにマグナの前に巨大な氷塊を飛ばす。

 

(やべぇ...魔力が足りねー...)

 

マグナはその場から動けず、そのまま氷塊に潰されるかに思われた。だが、

 

「ふん!」

 

「オラァ!」

 

アスタが縦に、ノアが横に剣で斬りつけて氷塊を破壊する。

 

アスタとノアは村人達を一瞥すると、傷の男達を睨む。

 

『許さん(ねぇ)...!!!』

 

アスタとノアは怒りを剥き出しにして思った。

 

((俺(オレ)が皆を守る!))

 

そしてこの任務が、アスタとノアのこれからを左右するとはまだ誰も気付かなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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