ブラッククローバー ~武器魔法の使い手   作:晴月

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「何でこんなヒデーことをする........!!」

 

ノア達は顔に傷のある男、ヒース達と対峙し、アスタはヒースに問いを投げ掛ける。

 

だが、男達はアスタの質問を意に介さないのか何も答えない。

 

「魔法騎士団の者が来るとは聞いてません(・・・・・・)ね...」

 

「申請外の任務か何かでしょうか...?それにどうやって我々の霧の結界を破ってこの村に入ってきた...?」

 

それどころかヒースの部下と思わしきローブの男達がヒースに疑問を投げ掛ける。

 

だがヒースはそんな事はどうでもいいとばかりに懐中時計の時間を確認し、呟いた。

 

「『黒の暴牛』...魔法騎士団の中で浮いている粗野な異端の連中か...」

 

ヒースは再度時計の時間を確認し、こう指示を出す。

 

「5分だ。何も知らなかった役立たずな村人もろともとっとと始末し目的の代物(・・・・・)を探すぞ......!」

 

それを聞いてか、ついにアスタが動いた。

 

「無視すんじゃねぇーーーーー!!!」

 

アスタがヒースに斬りかかる。だが、

 

《霧魔法 "幻霧の渦"》

 

「そう簡単にヒース様に近付けると思うな愚か者め。霧に惑え---」

 

部下の一人がアスタに魔法で足止めをする。だが、

 

「誰が惑うかァァァ------!!!」

 

アスタは剣で魔法の霧を斬り、魔法を無効化する。

 

その光景からヒースはアスタに間合いに詰め寄られるのはまずいと判断し、アスタから距離を置く。

 

「なんでこんなヒデーことするのかって聞いてんだよ!!!」

 

アスタは再度ヒース達に自分の疑問を問いかける。

 

するとヒースは仕方なくという様子で口を開いた。

 

「この村は下民が住む『恵外界』だ。恵外界にいる者の殆どは生活で多少役に立つ程度の魔法しか使えない劣等種...まるでモノを扱えない獣だ。私の時間を奪う可能性のある役立たずな獣を先に片付けようとしただけの事だ...オマエら騎士団に入れる程の魔力を持っているんだろう?任務だから助けようとしているだけでオマエらにもコイツらが取るに足りん獣に見えないか...?」

 

ヒースはこの村の住民を"人"ではなく"獣"として扱い、あまつさえその獣をまるで殺処分しようと言うのだ。更にはノア達が村人を助けるのは任務だから仕方なく助けているという解釈をしている。

 

ヒースの発言に対してアスタは、

 

「その━「おい、そこの傷の顔野郎(スカーフェイス)。」

 

否、ノアが何時もの優しい雰囲気ではなく怒りを剥き出しにした様子でヒースを睨み付け、アスタの言葉を遮った。

 

「さっきから黙って聞いてりゃ、ゴチャゴチャとてめぇらの御託並べやがって....」

 

ノアは今にもヒースに対して飛びかからんばかりの様子でその異常な事態に対してアスタやノエル、マグナだけでなく村人達までもを恐怖で萎縮させる程であった。

 

「いいか、俺はどこぞの下民下民と俺らを馬鹿にする貴族共とは違う!助けたいから助ける!...ただそれだけだ!」

 

ノアはそう言ってヒースに切りかかる。だが、ヒースはノアの攻撃をバックステップで回避し、魔法を発動する様子を見せる。

 

「そうか...そんなにその薄汚い獣共が大事か......!」

 

「そんな魔法、俺の炎で━━━...」

 

燃やそうとしたノアだったが、ヒースの部下達までもが一斉に魔法を発動し、その規模は村人達とノア達を包み込む程の大きさとなった。

 

氷霧(ひょうむ)複合魔法 "無限氷轢檻(むげんひょうれきかん)"》

 

「ではこの状況でも獣の群れを守れるか...?じわじわという言葉はあまり好きではないが...これが一番効率が良さそうだ...!」

 

氷が一斉に村人達に迫る。アスタはノアの前に立ちはだかり、大剣で氷をヒースに向けて跳ね返す。だが、

 

《氷解》

 

ヒースは魔法を解除して攻撃を無効にする。

 

「魔法の反射も出来るのか...だがそれでは私は倒せん。氷の礫は次から次へと出来るぞ...!さぁ、守ってみせろ。」

 

氷の礫がノア達に迫る。

 

アスタは大剣を振り回して礫を破壊し、マグナは魔法で礫を溶かす。ノアは剣から炎を放出し礫を溶かしつつ、剣で切って礫を破壊する。

 

ノエルも応戦しようとするが、魔力弾のコントロールが出来ずにあらぬ方向に当たってしまう。

 

「魔力の操作もロクに出来ん者がいるとは...『黒の暴牛』はよほどの人員不足と見える。」

 

ノエルはヒースの言葉に悔しさを覚え、顔を赤くする。

 

「自分の身も守れない脆弱な獣が...そいつらを見捨てればオマエらは助かるぞ魔法騎士団......!」

 

(王族なのに...この中で一番の魔力を持ってるのに...完璧に足手まといじゃない......!)

 

「下がってろノエ公━━!!」

 

(ここにいる意味なんて無いじゃない......!)

 

ヒースの言葉に揺れるノエル。だが、

 

「ノエル。」

 

ハッとなり、声の聞こえた方に顔を向ける。

 

そこにはノアがいた。

 

「焦らなくていい。お前はお前にしか出来ないことをすればいい。」

 

ノエルの様子を見て悟ったのか諭すように言い放つノア。

 

「でも.....私。」

 

「足手まとい。か?」

 

ノアの言葉にノエルは頷く。

 

「だって...私、魔力のコントロールが...」

 

そこまで言いかけたところでノアがノエルの肩に手を置く。

 

「俺らはそんな事気にしてない。...いいか、今お前がするべき事は何だ?」

 

「私が....すべきこと?」

 

「俺の言葉を思い出せ。....そうすれば答えは見えてくる筈だ。」

 

ノアはそれだけ言うとアスタ達の元に戻り、村人達を守るために氷の礫の破壊を続行する。

 

「私にしか...出来ないこと」

 

ノアの言葉にノエルは思考し、自分が今すべきことを探す。

 

すると、

 

「えっ?」

 

ノエルの服の裾を少女が掴む。

 

「おねーちゃん....助けて。」

 

少女は目に涙を浮かべながらノエルに助けを求める。

 

(そうよ、こんな小さな子が助けを求めてるんだ。...私だけ逃げる訳にはいかない!)

 

ノエルは村人達を守ることを決意し、地面に膝を付けた。

 

(ノアの言葉....."飛ばす"事は無理でも"留める"事は可能。....なら!)

 

その時、ノエルの魔導書のページが輝きだし、新たな魔法が発現した。

 

《水創生魔法 海竜の巣》

 

その魔法は村人全員を包み込み、守るものだった。

 

「私は王族....逃げる訳にはいかないのよ!」

 

ノエルは決意を改たなものにし、ノア達のサポートを行う。

 

「なに!?」

 

ヒースはその様子にただ驚くばかりだった。

 

そして、遂に、

 

「俺には魔力なんて無ぇ。.....だけど俺は!お前を倒す!」

 

アスタの剣がヒースに届いた。

 

「ここから反撃と行こうぜ!ノア!」

 

「ああ!」

 

ここから二人の逆転劇が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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