「やったか!?」
アスタの攻撃がヒースの胸に突き刺さったかに見えたが、
(氷で滑らされて...勢いを殺された━━━━!!)
ヒースは咄嗟の判断でアスタの足元の地面を凍らせ、アスタの攻撃の勢いを殺して回避した。
「剣は魔法を無効化出来ても、やはりオマエ自身はただの人間のようだな」
ヒースは冷静にアスタを分析し、次の手を出す。
「━━━━━今度は此方の番だ...!」
ヒースが魔導書を開き、構える。
《氷魔法
ヒースの繰り出した魔法はアスタの腹部に突き刺さり、アスタは倒されてしまう。
「....くっ...そ!」
ノアはヒースを止めようとして向かっていく━━━━だが、
「ぐはっ!」
アスタと同じ魔法で腹部にダメージを与えられ、そのまま倒れてしまう。
「眠っていろ...永遠にな...」
「...アスタ...ノア...!!」
アスタとノアは倒され、その表情を伺うことはできない程二人の顔に陰りが見えた。
「とてつもない魔力の魔法だ...だが...人一人分の侵入口を作るぐらいは出来そうだ......!」
ヒースは左腕で氷を展開し、ノエルの放った魔法 《海竜の巣》に侵入しようと試みる。
「25秒...といったところか...オマエらは本当に私の時間を奪うのが好きらしい...その代償は大きいぞ...!!」
ヒースが氷を展開して魔法に穴を開けようとする。
(魔力も殆ど残ってねーが...闘うしか.........炎と氷......魔法の属性の相性ではオレの方が有利━━━━...だがそれを覆す程の魔力の差━━━━━━━...!!....相手が...悪かったな......スミマセン、ヤミさん...恐らくオレは......コイツに...勝て━━━━)
マグナが諦めかけたその時、
「まだだ!!!!」
ヒースの背後からノアが斬りかかる。
だが、
「遅い」
先程と同じ魔法で攻撃されてしまう。
「よくまだ生きていたな...頑丈なヤツだ...だが...その負傷では存分に剣を振れまい。」
ノアはその場に踞り、動けなくなってしまう...だが、
「まだだ!!!」
今度はアスタがヒースに斬りかかる。
「しつこい」
ノアと同様に魔法で攻撃を受ける。
そして倒される...だが、
「まだだ!」
今度はノアが立ち上がり、ヒースの行く手を阻む。
「まだまだぁ!」
「同じ手が通じるか!」
ヒースが氷柱をノアに向ける....だが、
パキィ!と氷が砕ける。
「なに!?」
《氷魔法
「喰らえ!」
ヒースを斬りつけるが、
(手応えが無い...!)
ノアが斬ったもの、それはヒースが自身の魔法で作り出した氷の人形であった。
「....っち。」
再度ヒースの魔法をバックステップで回避。
だが、二人ともその場に倒れ込んでしまう。
どうやらアスタもノアも体力の限界であるようだ。
「もうお前らに勝機は無い...何故諦めない...!?」
何度も立ち向かってくるアスタとノアにヒースが問いを投げる。
「あ?....そんなの決まってるだろ。」
ノアが立ち上がり、
「.....諦めたら...誰が護るんだ........!!」
アスタが立ち上がる。
「俺は....!!」
「俺は....!!」
「「皆を護る為に俺は....魔法帝になる...!!!」」
《武器魔法
ノアが魔導書から新たな剣を取り出して構える。
「行くぞアスタ、お前の...
「...!!....おう!!!」
ノアの言葉の意味を理解し、アスタが走る。
「此れこそは....我が父を滅ぼし邪剣!!!」
ノアが口上を述べると剣に雷が集まり始める。
そして最大限まで蓄積されたそれは━━━━
「
一点に集中して放出される。そしてその方角には━━━
「....ぐっ....!!!」
(なんて魔力量だ.....受け流すので精一杯だ...。)
即座に氷の結界を展開して防御に徹する。
「ここだ!!!」
突如ヒースの背後からアスタの声が響く。
振り替えると其処には大剣を構えたアスタがいた。
アスタがヒースの受け流した雷を反射してヒース達にぶつける!
(この雷....消えない....!!?ならば、凍らせるまで....!!!)
「うおおおおおお!!!!」
ヒースが身体にまとわりついた雷を凍らせようとするが...
「まだだ...俺の身体はまだ動くぞ━━━!!」
「━━━ま...待て...」
「待つかぁあアアアアアア!!!」
アスタの一撃により、ヒースは氷ごと砕かれてその場に倒れる。
どうやら決着はついたようである。