「お前ら、散々だったな!!...ま、何はともあれご苦労馬鹿野郎共。」
「「うすっ!!」」
ヤミの激励にアスタとマグナが同時に反応を見せる。
「犯人の遺留品を魔法鑑識課が調査中だけど有力な情報は得られてないみたい、残された懐中時計の高価さや彼らの言動から考えると...王貴界の過激派・思想犯じゃないかしら?」
ヴァネッサが自身の推測をノア達に語る。
(あの男が、王貴界の過激派・思想犯.....本当にそうなのか?)
ヴァネッサの推測に対してノアは何かが違うと感じていた。
「まぁ何だってよし...魔法帝に活躍が認められ、星一つ授与されたんだからな!!」
「星?」
「9つの魔法騎士団はこの星の取得数を名誉として競い合ってるのよ....因みに今トップは『金色の夜明け』団の70個」
「多っ!」
ヤミが持っていた星が壁の中に吸い込まれていく。
「よし!!これでキリよくマイナス30だ━━━!!」
((えええええええマイナスぅぅぅ━━━━!!?))
アスタとノアは自分達の団がどれだけ星取得しているか期待していたが、まさかマイナスからのスタートだとは思ってもいなかった。
これを見たノアは再び思った。
俺、本当に来る団間違えたかもしれない、と━━━━
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その後、ノア達は『黒の暴牛』に入団してから初の給料を貰い、ヴァネッサに連れられて城下町へと来ていた。
「オイ...!あのローブ...魔法騎士団じゃねぇか...!?」
「あれは...げっ黒の暴牛━━━...」
「あんな小僧が...!?」
街の人達はアスタを見て口々に言い放つ、
それはアスタだけでなく、ヴァネッサやノエル、そしてノアもであった。
(なんでアスタは小僧と言われて、俺はリア充爆発しろなんだよ...)
どうやらノアがノエルとヴァネッサを侍らせていると勘違いしてノアへの発言が過激なものとなっているらしい。
「ちょっと騒がしくなって来たわね。」
「いーのいーの、魔法騎士団がいるだけで犯罪の抑止にもなるし........それに素敵な殿方も寄ってくるかもしれないし。」
((いや...酒ビン大量に持った状態で言われても....。))
「体力回復の薬草や消耗品の魔道具...目ぼしいモノ買ったら次はとっておきの場所に案内するわ。」
(とっておきの...場所...?)
ノア達はヴァネッサの後に着いていき、とっておきの場所がなんなのかを知りたいと思った。
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「とっておきの場所って━━━━━...」
「ココただの路地裏じゃ..............?」
ヴァネッサが案内した場所は街の路地裏であった。
「コッチよコッチ」
「えっ!?」
見ると、ヴァネッサが壁の中から手招きしている。
後に続くと、其処には露店商のような店が並んでいた。
「
「凄ぇぇぇ!!」
「......」
「アラ驚いた?王族や貴族は毛嫌いして近寄らないものね。」
「まさか、こんな場所が街にあるなんて....」
「貴方、まだ魔力のコントロールまだ出来てないでしょう?出来るようになったのはその場に留めておける魔法だけ」
「...そ...そうだけど何か?」
「ココには魔力を抑えるアイテムもあるわ、相性のいいアイテムを見つけて魔力を調整すればコントロール出来るかもしれないわよ。」
「......!」
闇市を歩いているとノアとアスタは、近くで賑わっている場所を発見した。
「んお?あそこすげー賑わってるな。」
「あそこは賭博場よあなた達にはまだ少し早いわね...素人はほどほどにしとかないと身を滅ぼすわよ。」
ヴァネッサの忠告の直ぐ後、中から聞き覚えのある声が聞こえた。
「っしゃぁぁぁ━━━━どんと来ぉぉぉぉい!」
((知ってる人いたぁ━━!!))
其処には自分達の先輩、マグナが必死で叫んでいた。
「それでヴァネッサさん、魔力を抑えるアイテムって何処に売ってるんです?」
「あら?もしかしてノア君、乗り気なの?」
「そりゃ.....一応ノエルに魔力コントロール教えてる訳ですし、気にしますよ。」
「ふーん...。」
ヴァネッサは、ノアの顔色を伺うようにしてから近くの店の商品を手にとってノエルに見せる。
「うーん....見た目が....ちょっと....。」
「━━━おやおやこんな場所に...どうしたんだい?」
「ん?」
ノアが振り向くとノエルとヴァネッサをナンパしに来たのか一人の男が近づいてきた。
「失せなさい羽虫。」
バッサリとノエルに一蹴されて何も言えずにいた。
するとそこにアスタが戻ってきた。
「あれ?お前は━━━━...」
「あれ?お前確か━━━...」
「フッハ!」
「セッケン!」
「セッケだ!...お前は惜しかったけども...!」
「....で?ノエルとヴァネッサさんに何か用かよ、ナンパ男。」
明らかに敵意剥き出しの表情でセッケに詰め寄るノア。
「い、いや...こんな所でお嬢さん達が一体何してるのかなーと思って。」
(要するに二人が可愛く見えたからナンパして、あわよくばお持ち帰りするつもりだったと....)
流石にアホ臭くて、ノアは呆れるしかなかった。
「泥棒━━━━!!!」
すると賭博場から老婆の叫び声が聞こえた。
それと同時に金の入った袋をかたてに賭博場から逃げる男の姿が確認できた。
「アスタ!」
「おう、先に行く!」
ノアの呼び掛けから直ぐに走って男を追いかけるアスタ。
「あんなの余裕だ。」
青銅創生魔法
「此所は俺に任せなお嬢さん。」
明らかにクサイ台詞を言い残してセッケも男を追いかけた。
「クサッ。」
「キモッ!」
セッケに対しての二人の反応は当然というか、かなり辛辣な反応であった。
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「待てコラァァァ━━━━━!!!」
引ったくりを走って追いかけるアスタ
(ただ走ってるだけなのに...何でこのスピードについて来れるんだ━━━━)
するとアスタは自分の魔導書から大剣を取り出すと、まるでやり投げのように投擲する。
(オレの風魔法は斬れやしな━━━━━....)
「んなァァァ!?!」
引ったくりが油断していると、アスタの投擲した大剣は男の魔法を切り裂き、男はそのまま地面にダイブすることとなった。
が、
「フッハ!」
突如現れたセッケに美味しい所を持っていかれる形で引ったくりにダメージを与える。
「...う...ぐ.........」
魔導具 "パラライズナイフ"
「え?」
突然の事に唖然としてしまうセッケ。
「こ....の.....野郎!」
男も負けじと魔導書から新たな魔法を繰り出す....が、
武器魔法
「往生際が悪いぜ、引ったくり。」
やっと追い付いたノアが咄嗟の判断でエクスカリバーを取り出し、男の放った魔法を吸収した。
「そんな.....馬鹿....な.....。」
男はそれだけ言うとそのまま気絶した。
「そのまま眠ってな。」
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その後、セッケが大袈裟なリアクションを取っていたが、魔導具によるダメージが低いと分かった途端、恥ずかしくなって逃げてしまった。そして、
「コレ全部賭博で勝ったのか!すげーなバーチャン!もう盗られんなよ!」
「ありがとうよ~魔法騎士団様~~~~」
引ったくりに奪われたお金を全て取り戻し、老婆に手渡すアスタ
「気ぃつけてなバーチャ━ン」
そしてアスタ達の姿が見えなくなると老婆はいつの間にか姿を眩ませ、その場には一人の男が立ち尽くしていた。
「━━━魔法無効化...か...見た事のない種類の魔法だったね.........いや...そもそもあれは魔法かな...?....それにもう一人の少年....彼の魔法も面白い....まるで一国を治める王が所持しているような剣だった....なかなかオモシロイ子達だね」
そう言ってアスタとノアの魔法を面白がり、二人の事も何処か気に掛けている様子だ。
『━━━やっと見つけた...!』
すると突然彼の元に通信が入った。
『何してるんですか!?"魔法帝"━━━━━!!』
「何って...新たな魔法との出会いを求めて城下町をぶらりね。」
『はい!?』
通信の声は この人何言ってるんだ? と言いたげな雰囲気を醸し出している。
『あなた自分の立場わかっ━━』
「魔法との出会いは一期一会」
『だから━━━』
「どこでどんな魔法に出会えるかわからないからね。」
『話聞けよこの魔法マニアぁぁぁぁ』
「それではまた新たな魔法に出会いに行こうか━━━」
『待てコラァァァァァ!!馬鹿な事言ってる場合じゃないんですよ━━━━━━...異じょ』
「異常事態発生...だろう?」
『え!?』
「大丈夫オモシロイ人材見つけたから。」
『えぇ!?!』
この後、ノエルがある人物から杖を購入し、その人物の師匠からアスタとノアが剣を使った戦い方を教わるのだが、それはまた別の所で話すとしよう━━━━━。