ゼロのネクロマンサー   作:結城マサヒト

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プロローグ――水の女神

 

 

どうも、俺は死んだらしい。

 

 

ぶっちゃけ死んだ時の状況をあんまり覚えてないんだけど、目の前には女神を名乗る美女が居る。

まぁそれだけなら夢でも見てんのかなーと思ったり?なんかコスプレ会場でも来てたっけ?とか思えない事もないんだけど、なんか後光のようなキラキラを撒き散らしてるし、美人度が俺が知っている人間とは段違いである。

テレビで見るアイドルとも違う人間離れした美貌や、透き通った水色の長い髪、ボディラインも素晴らしい。どこかで写真を見たとしても、絶対フォトショで修正してますよね?っていうレベルの美女だから、なんとなく本物なんだと思ってしまう。

 

 

 

「――――――――カズマさん、貴方には3つの選択肢があります。1つ、このまま日本で記憶を無くし、赤ん坊として生まれ変わるか。2つ、記憶をもったまま天国的な所でお爺ちゃんみたいな生活をするか。3つ、肉体と記憶を維持したまま新しい世界に生まれ変わるか。まーオススメは3つめなんですけど!どうする?」

 

 

 

いかんいかん、ぼーっとしてたら始めの方聞き逃した。……って、1つ目と2つ目はわかるけど、3つめって転生?

 

 

「――えっと、その3つめってどういう事?何でわざわざ記憶も肉体もそのままで転生みたいなコースがあるんですか?」

 

 

なんか最後でちょっとフランクになった青髪の女神に、3つめの事を確認する。聞くだけだと小説の主人公でワクワクするけど、わざわざそんな事実際にする必要ってあるのかな?

 

 

 

「実はね? 今、ある世界でちょっとマズイ事になってるのよねー。って言うのも、俗に言う魔王軍ってのがいて、その連中に、その世界の人類みたいなのが随分数を減らされちゃってピンチなのよ。その星で死んだ人達って、まあほら魔王軍に殺された訳でしょう? なもんで、もう一度あんな死に方するのはヤダって怖がっちゃって、 そこで死んだ人達は殆どがその星での生まれ変わりを拒否しちゃうの。はっきり言って、このままじゃ赤ちゃんも生まれないしその星滅びちゃう! みたいな。 で、それなら他の星で死んじゃった人達を、そこに送り込んでしまえって事になってねー。」

 

 

はー、つまり魂の総量があるとして、その世界は減る一方だから、そんなに困ってない地球から持ってけばいいじゃんって事か。てかこの女神さっきからカンペみたいなものチラチラ見てるし、口調もフランクだな。

 

 

 

「……って、それなら俺も嫌ですよ!そんな魔王とかいる世界に送り込まれても、一般人の俺なんかすぐ死んじゃいますもん!」

 

 

そう言うと、女神は鼻で笑ってから解決策を提示してきた。

 

 

「ま、そりゃそうよねー。あんたみたいなのが魔王軍と戦ったらすぐ死んじゃうだろうしー、ぷくく。まあ、送ってすぐ死んじゃうんじゃあ意味が無いから、何か一つだけ向こうの世界に好きな物を持っていける権利をあげているの。それは、強力な固有スキルだったり。とんでもない才能だったり。神器 級の装備を希望した人もいたわね。……どう? これならお互いにメリットがある話でしょう? あなた達は、異世界とはいえ人生やり直せる。異世界の人達は 即戦力になる人がやってくる。悪くないでしょ?」

 

 

……ほほう、確かにそれは悪くない。パッとしなかった学生から、チートキャラにジョブチェンジ出来ると考えたら、中々に心が躍る。ただ、行き先が北斗のパンチみたいなディストピアなら嫌なんだけど。

 

 

「それは魅力的ですね!でも、その転生先の世界ってどんなものなんですか?すごい能力があっても、世界が核に包まれるような世紀末世界なら嫌なんですけど。いきなり魔王城に出現しても即死でしょうし。それに、言葉とかも通じなかったらどうしようもないですよね?」

 

 

 

「その辺は問題ないわ。行き先は冒険者が居る剣と魔法のファンタジー世界みたいな所だし、私達神による、アレな超パワーでサクッと都合よく解決済み。行き先はアクセルっていう駆け出し冒険者の街って言われてる所だし、文字だって読めるし向こうの貨幣なんかも、日本円に脳内で換算されてくれる分かり易い便利システムを採用してるわ。」

 

そんな疑問を投げかけると、3つめの選択肢を選びそうだからか、ニコニコドヤドヤ顔で語ってくる女神様、なんか可愛いな。

 

 

「――おお、それなら行ってみたいですね!ちなみに頂ける能力とかはどの程度まで可能なんですか?例えば世界最強になるだとか、魔王より強くなるだとか、相手を見るだけでなんでも命令できる魔眼とかは可能なんでしょうか?」

 

うーむ、父さんには悪いんだけど、日本で転生しても記憶が無くなるなら会えないしなぁ…。母さんは俺を産んでくれた時に亡くなってるし……親不孝でごめん。と思いつつ、貰える能力について聞いてみる。

 

 

「ばっかねー、流石にそれは無理ってもんよ。えーっとどこだったっけ……あったあった!まぁこの中から選びなさい!1個1個聞かれてもめんどいし。あ、でもさっさとしてね。」

 

まぁ無理か。というかだんだん投げやりになってませんか女神様。

あとカタログみたいなのを机から投げ渡してくるけど、よく見たら机めっちゃ散らかってますよ女神様。

 

 

気を取り直してパラパラとめくってみる。

ふーむ、≪怪力≫≪超魔力≫≪魔剣ムラマサ≫≪聖剣アロンダイト≫等々、色んな名前が記載されている。

おそらく、予想ではあるがどれも強い能力や装備なのだろう。でもどれか1つなら悩む……ただ、目安としては前衛系はやりたくない。何故なら怖いからである。一般人を舐めてはいけない。

そう考えると魔法使い系だよなー。この≪超魔力≫とか≪ユグドラシルの杖≫とか≪大賢者≫とか良さそうだよね。……お?

 

そんな事を考えていると、一つの項目に目が止まる。

 

≪能力プリインストール≫既に存在する人物の技能・能力をコピーした状態

と書かれている。

 

…うーむ、でもさっき最強とかは無理って言ってたもんな。しかし、他の能力を考えるとそこそこ強い人物でもいけるんじゃないか?……そうだ!

 

 

「あの、女神様。質問なのですが、転生先の街?というのは初心者向けの街なんですよね?なら魔王みたいなトンデモ能力者は居ませんよね?」

 

 

「んー?そりゃもちろん居ないんじゃない?駆け出し冒険者の街って言われてるぐらいだしねー。んで決まったのー?いい加減決めてよー。はやくしてーはやくしてー!」

 

ふとある事に気付いて質問する為に顔を上げると、めんどくさそうに前髪をいじっていた女神様がなげやりに教えてくれる。

ちょっと尊さが下がるのであまり喋って貰わない方がいいかもしれない。

 

 

「あ、もう決まりそうです!あの、駆け出し冒険者向けの街なら、魔王だとかの最強クラスは居ませんよね?どうせ駆け出し冒険者の街なんですから!……なら、この≪プリインストール≫で、行き先の駆け出し冒険者向けの街の中で、"一番強い魔法使いの人をプリインストール"というのでどうでしょう!それならいいですよね?」

 

駆け出し冒険者の街という事は、指導教官的な存在がいるのでは?という事を狙っての選択である。

 

 

「……んー?そうね!まあ"アクセルの中で一番強い魔法使い"ぐらいならまあいいわ!じゃあこの魔法陣の中央から出ないようにねー。能力は移動と同時に確かつくはずだからー!それじゃいってらー!」

 

……なんか不安なんですけど!?

「つくはずって本当につくんですよね!?大丈夫ですよね!?」

 

 

「あー、だいじょーぶだいじょーぶ。……たぶん。――――――ごほん、では佐藤和馬(サトウカズマ)さん。あなたをこれから、異世界へと送りまーす。魔王討伐の為の一応勇者候補の一人として、魔王を倒した暁には、神々からの贈り物を授けましょう。」

 

たぶんって言った!たぶんって言ったんですけどこの女神!―――って、あれ?

 

 

「……あの、女神様?」

 

おかしな点に気付いて、女神に声をかけるも、厳しい声に遮られる。

 

「ちょっと今良い所なんだから!決め台詞中なんだから黙って!――――そう、世界を救った暁には、たとえどんな願いでも、一つだけ叶えて差し上げましょう。……で、なによ。せっかくの決め台詞遮ったからにはつまらない事じゃないでしょうね!」

 

一気に決め台詞とやらを言い終わった後、女神様がぷんぷんと怒った顔で聞いてくる。

 

 

でも、あの

 

「俺の名前、加藤一真(カトウカズマ)なんですけど……………」

 

「…………………はぁ?」

 

何言ってんのこいつ。という顔をした後、女神の顔が驚愕に変わる。

 

 

「ハァ!?あんたヒキオタニートの佐藤和馬(サトウカズマ)でしょ!?」

 

 

「え?いや、俺入学したばっかりだけど大学生だし名前も加藤一真(カトウカズマ)なんですけど!?」

 

……もしかしてこの女神間違えやがったな!?女神というか駄女神じゃねぇか!

 

そんな事を言いあっていると、魔法陣から明るい光が溢れ出してくる。

あ、なんか体にも何か入ってくる感じ――これって能力が入って来てるんだろうか?

 

 

「えーー!?えっとカトウカズマカトウカズマ……あれ!?そもそも転生先違う世界!?私と関係ない世界じゃないの!えーー!どうしよーー!…………ん?なんかあんたからアンデットの気配するわね?―――は!そうだ!アンデットならあんたを始末すれば解決ね!≪セイクリッドターンアンデットー!≫」

 

 

ちょっ!なんか聞いてた話と全然違うみたいなんだけど!?

しかもアンデットって何さ!?なんか証拠隠滅しようとしてるしこの駄女神!?

 

 

「はやくはやくさっさと転生させて!はやくして!!あーー!なんかすっげぇビリビリする!!ほげーーーーーーーー!!!」

 

なんか消える!証拠隠滅がてか消そうとするの止めろーー!!

 

 

 

魔法陣から出る明るい光と、駄女神から発せられる光に包まれ、俺の意識は消えた。

 

 





初心者向けの街にそんなに強いキャラなんて居ませんよね(ゲス顔)

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